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猫吸い

作者: みくた

 日の当たる窓辺で愛猫が気持ち良さそうに仰向けで眠っている。

 ゆっくり上下するふわふわのお腹に私は居ても立ってもいられなくなり、ゆっくり近づくと私はふわふわに顔をうずめ大きく息を吸った。

 これが所謂「猫吸い」、至高の瞬間である。

 その状態のまま深呼吸を繰り返し猫を堪能していると、愛猫は迷惑そうに後足で私の顔を押しのけた。

 頬に伝わる肉球の感触・・・ここでもまた至高。

 そう思ったのも束の間、愛猫が素早く見を翻して立ち上がり小移動をした。

 そして、頬に痛みが走る。

 咄嗟に手で押さえ、部屋の壁に掛けられた姿見で確認すると頬に赤い一本線が入っていた。どうやら爪が引っかかってしまったようだ。

 顔を傷物にされてしまったが、正直ちょっと嬉しく思ってしまうのは我ながらどうかと思う。

 当の猫は小移動した位置に座り込み、私が顔を埋めたあたりを念入りに舐めていた。

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