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「け・・・結婚ですか?」
「うん。」
「突然、結婚ですか?」
「うん。」
「付き合う前の段階も、付き合う工程も全て飛ばして、結婚ですか・・・?」
「うん。」
突然出てきた“結婚”に驚いているけど、念のため確認していく。
「結婚を前提に、という意味ですか・・・?」
「そうじゃない、結婚したい。」
「いつまでになどの、期限は・・・?」
「明日にでも。」
そんな、子どもみたいな発言に戸惑う。
「どうして、そんなに急いで結婚を・・・?」
「急いでるわけじゃない。」
「じゃあ、どうしてですか・・・?」
その質問には、中田部長は口を閉じた。
口を閉じたかと思ったら、甘い顔を苦しそうな顔にして私を見ている。
「俺は・・・」
そう、呟いた後・・・
中田部長は黙ってしまって・・・
何も言わなくなってしまった・・・。
中田部長が何も言わないので、私もどうしていいのか、他に何を聞けばいいのか分からず・・・。
結婚も、そんな急に出来ないし・・・。
ちゃんと、付き合ってから・・・。
ちゃんと、好きな人と・・・。
ちゃんと、好きな人と・・・
そう思ったので、念の為、確認する。
「中田部長って・・・私のこと、好きなんですか・・・?」
「うん・・・。」
「それは・・・それは・・・恋愛としてですか?」
「うん・・・。」
「恋愛としてっていうの、分かってますかね・・・?
女としてって、ことですけど・・・。」
「うん・・・。」
全てアッサリ答えられ、戸惑う・・・。
だって、いつから?
いつから・・・?
約1年半も仕事だけの関係だったから・・・この1ヶ月で・・・?
何のキッカケも思い付かない・・・。
ある日突然、次に会った時には“瑠美たん”と呼んで、あんな感じになったから。
「瑠美たんは・・・」
“瑠美たん”という呼び方のことを考えていたら、中田部長からそう呼ばれ・・・
「俺のこと、男として見れない・・・?」
中田部長が何も言わないので、私もどうしていいのか、他に何を聞けばいいのか分からず・・・。
結婚も、そんな急に出来ないし・・・。
ちゃんと、付き合ってから・・・。
ちゃんと、好きな人と・・・。
ちゃんと、好きな人と・・・
そう思ったので、念の為、確認する。
「中田部長って・・・私のこと、好きなんですか・・・?」
「うん・・・。」
「それは・・・それは・・・恋愛としてですか?」
「うん・・・。」
「恋愛としてっていうの、分かってますかね・・・?
女としてって、ことですけど・・・。」
「うん・・・。」
全てアッサリ答えられ、戸惑う・・・。
だって、いつから?
いつから・・・?
約1年半も仕事だけの関係だったから・・・この1ヶ月で・・・?
何のキッカケも思い付かない・・・。
ある日突然、次に会った時には“瑠美たん”と呼んで、あんな感じになったから。
「瑠美たんは・・・」
“瑠美たん”という呼び方のことを考えていたら、中田部長からそう呼ばれ・・・
「俺のこと、男として見れない・・・?」
その質問には、戸惑う・・・。
だって、私が中田部長のことを男の人として見てるとしたら、変だと思う・・・。
中田部長は、私のことを女として見てくれているのは、良いかもしれないけど・・・
私が中田部長を、男の人として見てるとしたら・・・変だと、思う・・・。
変だと思うし、そんな自分に戸惑う・・・。
どう、返事をするか悩んでいると・・・
中田部長がゆっくりと立ち上がり、鞄の所へ歩き・・・ゆっくりと鞄を持った。
それを座ったまま見ているしか出来ず・・・
「帰るね・・・。
いつか、返事をして欲しい・・・。
結婚してくれるか、返事をして欲しい・・・。」
そう、悲しそうに言って・・・。
なんで急に結婚と言い出しているのか、分からないままで・・・。
私も、さっきの質問には答えられないままで・・・。
中田部長が玄関に向かっていくのを見て、私も立ち上がった。
その時、部屋の壁に掛けていたカレンダーが目に入った・・・。
そして、思い出した・・・。
私は、あと2ヶ月弱で26歳になる・・・。
私は、26歳になる・・・。
26歳になってしまう・・・。
また1歳、年を取る・・・。
また1歳、年を取る・・・。
それを考え・・・
震える口を、無理にでも開いた・・・。
「中田部長・・・」
玄関に着いた所だった中田部長が、ゆっくりと私を振り向いた。
少し呼吸を整えて、中田部長の元まで歩く。
そして、見上げた・・・。
「12月3日・・・私の誕生日まで2ヶ月弱・・・念の為、お付き合いさせて貰えませんか?」
中田部長は驚いた顔をした後、悩んでいる様子になり・・・
「それ、どこまでしていいの・・・?」
「どこまでとは?」
「男女のこと。」
その質問には、戸惑い・・・
そんな私を、中田部長が真面目な顔で見下ろし・・・
「俺、避妊しないけど。」
と・・・。
その、発言で・・・
その、発言で・・・
中田部長が何で、急に結婚の話をしているのか分かり・・・小さく笑った。
そして、伝えた。
「私、ピル飲んでるので大丈夫です。」
中田部長は凄い驚いた顔をしていて、でも、すぐに真面目な顔になった。
「分かった・・・誕生日までの2ヶ月弱。
念の為付き合うのに、付き合う。」
「ありがとうございます・・・。」
「それ・・・今日から?」
「それでも、大丈夫です・・・。」
「キスしても、いい?」
「私・・・お酒飲んでるので・・・。」
「そうだった・・・。」
中田部長が困った顔で笑った後、思い出したかのようにスーツのジャケットのポケットからスマホを取り出した。
「瑠美たんの連絡先、教えて?」
「はい・・・。」
「メッセージも、電話も・・・するから。」
「はい・・・。」
「また、家に来ていい・・・?」
「はい・・・。」
連絡先の交換が終わり、中田部長が甘い顔をもっと甘くして・・・私を見下ろした。
「“瑠美たん”って、やめてもいい?」
「そうして貰えると、嬉しいです。」
「“瑠美”も、2人の時は敬語やめてよ。」
「・・・分かった。」
「名前も・・・“一成君”よりも、“一成”がいい。」
「じゃあ、一成・・・。」
中田部長のことを、当たり前だけど初めて“一成”と呼び・・・満足そうな顔で笑っている一成に、私も少し笑い掛けた。