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そう、思っていた・・・




そう思っていたのに・・・





6月、選手コースの練習が終わり21時・・・





俺は、全速力でまた走っていた。





全速力で走り、走り・・・





「瑠美!!!!」





家の門を閉めた後に扉に向かおうとしている瑠美の腕を、思いっきり引いた。





瑠美が驚き、俺を振り返る。





「誰!?その人、誰・・・!?」





瑠美の隣に並んで立つスーツ姿の男をチラッと見てから、瑠美に聞く。

瑠美が家に男を入れるなんて初めてだったし、しかも夜に・・・





しかも金曜日だし・・・





それに・・・





「酒、飲んだ・・・?」




「うん、少しだけ・・・。」





瑠美からも・・・少し驚いている隣に立つ男からも酒の匂いがする。






「瑠美ちゃん、この子・・・中田一成?

結構取り上げられてるよね?」






隣に立つ男が、瑠美のことを“瑠美ちゃん”と呼ぶ。

その男を睨み付けながら、口を開こうとした時・・・






瑠美の両手が俺の目を覆った。







「怖い顔しないでよ。

同じ法律事務所で働いてるの。」







そう言いながら、瑠美はゆっくりと俺の目から両手を退けた。







そして、隣に立つ男を見上げて笑った。








「この“子”、隣の家の“子”なの。」








そう言って、俺を少し見てから困ったように笑い・・・







男と一緒に・・・








家の中に、入っていった・・・。








“早く彼氏作りなよ”

そう言った・・・。

俺は確かにそう言ったけど・・・。




それは、こういう意味でなくて・・・。

そう聞こえたかもしれないけど、そういう意味じゃなかった・・・。




俺と、付き合ってほしくて・・




そう言ったのに・・・。




俺の窓から、今日も瑠美の部屋を見る。

でもカーテンは閉められていて、部屋の明かりが漏れている・・・。





苦しい・・・。





苦しい・・・。





何故か、瑠美は俺を部屋に入れてくれなくて・・・。

俺は1度も入ったことがないし、瑠美も俺の部屋に入ることはない。





窒息しそうになる・・・。





窒息しそうになる・・・。





それくらい、苦しい・・・。





苦しい・・・。





震える手で、瑠美に電話を掛ける。





出ないかと思ったら、すぐに出て・・・





『もしもし?』




「瑠美、あいつ誰・・・?」




『あいつとか言わないの。』




「あの人、誰だよ・・・っ」




『同じ法律事務所の人。

ごめん、今日はもう・・・。

またメッセージ送るね。』




「瑠美・・・っ!!!」





瑠美の名前を呼んだけど、呼んだけど、電話が切れて・・・





切れて・・・














「マジかよ・・・っ」












瑠美の部屋の電気が、消えた・・・。




















「・・・あぁ・・・っ」











両手で頭を抱え、その場にしゃがんだ。









手が震えて・・・









息が上手く吸えない・・・。









苦しい・・・。








苦しい・・・。








窒息する・・・。








窒息する・・・。








置いていかれてしまう・・・。









瑠美に、置いていかれてしまう・・・。

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