表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

43/76

3

婦人科で・・・何でか分からないけどお小水を取った。

これまでの検査ではしたことがなかったから、これが何になるのかは分からないけど・・・。




一成と笑ったら、気持ち悪さが少し良くなったようにも思う。

一成らしい感じ満載だったけれど、そんな一成に感謝をしながらトイレを出たら・・・




もう、目の前の壁の所に立っていて・・・




「そんな所に立ってたら、他の女の人が入りにくいから!!

出たらビックリするし!!」




「だからか、さっき凄いビックリされて話し掛けられた!」




「それは・・・また違う驚きだとは思うけど。」




そんな会話をしながら、また呼ばれるまで待合室へ。

待合室の席は埋まっていて、明らかにみんなに見られているけど・・・仕方ないので壁の方に一成と2人で立っていた。




「瑠美、大丈夫?」




「一成が笑わせてくれたお陰で、少し気持ち悪いの良くなった。」




「それは良かった・・・。

あれ、何の検査?」




「分からない。私も初めてやった。」





私が答えると、一成が深刻そうな顔で下を向いた・・・。





そして、顔をゆっくりと上げ・・・






「俺、瑠美が死んだらもう生きていけない。」




「そんな大袈裟な・・・。」




「いや、大袈裟じゃなくてマジで。

マジで生きていけないから、俺。

それに、俺が死ぬ時に瑠美が目の前にいてくれないと、俺死ねないから。」




「私の方が年上なんだから、順番的に私の方が先に死ぬんじゃない?」




「死ぬとか言わないで・・・。

大丈夫だよ、女の人の方が寿命長いし・・・俺のじいちゃんより、ばあちゃんの方が長生きしてるし。」




急に一成のおじいちゃんとおばあちゃんの話が出て来て、笑ってしまった。




「おばあちゃん元気なの?

全然こっち来てないでしょ?」




「元気だよ・・・じいちゃん死んでも、ばあちゃん元気なんだよ。

女の人って、強いよな・・・。

俺、瑠美いなくなったらマジで無理。」




「一成なら大丈夫だよ、もう泳げるようになったし。」




「・・・っ泳げなくなるから!!!」





急に、急に、一成が大きな声を上げて・・・

私は驚き、一成の腕を叩く。

一成は少し深呼吸をしてから、チラッと周りを見て小さな声で続けた・・・。





「俺、瑠美がいないと泳げなくなるから・・・。」




「そんな弱気で、ダメだよ。

もう・・・明日には、明日には、戻るんだから。」





笑いながら一成を、見上げる。





「“中田部長”と“伊藤さん”に、戻るんだから。」




「まだ・・・今日は終わってない。」




「そうでした・・・。」




「最後の追い上げがある。

瑠美は、俺より最後の追い上げ凄かったよ。

他の人より身体が細いのに、どこにあんなパワーが残ってたのか不思議なくらい、最後の追い上げが凄かった。」




「大会ではいつも・・・一成のことを思いながら泳いでたからね。」





自分で言って自分で笑いながら、一成を見上げる。





「小学校1年生の“一成君”に追い付かれないように・・・最後の方でいつもそれを思い出して、慌てて全力で泳いでた。」





笑って言う私を、一成が驚いた顔で見ている。

そして、嬉しそうに笑って頷いた。





「俺もそうだよ。

そうやって、俺も泳いでるから・・・。

だから、瑠美がいなくなったら俺は泳げなくなる。

だから、俺は・・・泳げなくなった・・・。」





「泳げなく、なった・・・?」






そう、聞いた時・・・

私の名前が呼ばれ、また一成に手を繋がられ診察室へ入った。






診察室に入り、またさっきと同じ椅子に私は座った。

一成は何故か私の横に立っていて・・・





「先生・・・」





と、先生に話し掛け・・・

私だけでなく、先生も看護士さんも不思議そうに一成を見る。





「瑠美、死んだりしませんよね・・・?」





そんな質問を大真面目にしていて、また診察室に笑い声が響いてしまう。






でも、先生が先に笑顔から真面目な顔になり、一成を見上げた。






「命を、かけることにはなります。」






そんな、ことを言って・・・






私も一成も、固まる・・・。






固まっている私と一成を交互に見ながら、先生が笑った。







そして・・・





























「おめでたです、伊藤さん、中田さん。

妊娠9週目、3ヶ月です。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ