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お昼休憩、いつも通り社食の空いているスペースで、持ってきたお弁当を食べていると・・・
隣の席に社食のトレーを置かれ、笑顔の男の人がお辞儀をして座ってきた。
それに小さくお辞儀をしてから、周りを少し見渡す。
いつも通り、混んではいるけど・・・。
こんなに詰めて隣に座る程は混んでいない。
忙しい時はデスクで食べているけど、そうでなければ気分転換に社食に来ていて・・・。
でも、こんなに詰められて座られると・・・気分転換も何もなかったと、少し後悔をした時・・・
「お弁当、美味しそうですね?」
と、隣の席の男の人に言われた。
一瞬驚いたけど、私に話し掛けたかどうか・・・念の為周りを見て確認した。
そしたら、小さく笑われて・・・。
「面白いね、君に声を掛けたので間違いないよ。」
「相違ありませんでしたか、申し訳ありません。」
「・・・面白いねっ」
男の人が声を出して笑いながら、私を見ていて・・・
そんな変なことを言っていないので、小さくお辞儀をしてからまたお弁当を食べ始めた。
そしたら、それにもまた笑われて・・・。
なんだか気まずくて、どうしようかと思っていたら・・・
「見たことないよね、新卒?」
「いえ・・・転職です。」
「そっか!いつ転職してきたの?」
「4年前ですね。」
答えると、男の人が驚いた顔をして止まっていて・・・。
念の為、伝える。
「ラーメン伸びてしまうので、早く食べた方がいいですよ?」
そう伝えたら、今度は大笑いをして・・・
一向にラーメンを食べない。
「いや、ごめんなさい。
たぶん俺の方が年下ですね、うちの会社は基本的に大卒しか採用しないので。
俺今年25ですけど、お姉さんは?」
「今年で26歳だから、私の方が年上だね。」
「ごめんなさい、新卒の子かと思いました。」
それには、苦笑いで・・・
「大人っぽくないかな?」
聞いてみると、男の子は首を何度も横に振った。
「大人っぽくないというか・・・なんでか、新卒かなと思って。
うちの採用のことを考えなければ、10代にも見えますよ?」
「え~・・・それは、ショックだな。
まだそんな感じか~。」
「いや、良い意味で。
でも実際お姉さんだからか、色気もちゃんとあるので・・・なんか不思議な感じですよね。」
男の子の顔を見ると、笑ながらも真面目な顔で言っているので・・・悪い感じではないから笑い返した。
「部署どこなんですか?」
「法務部・・・早くラーメン食べな?」
念の為もう1度言うと、笑ながらもやっとお箸を持った。
でも・・・
「法務部か、普段仕事でお世話にならないから・・・全然見たことありませんでした。」
男の子はラーメンを食べる気配がないので、私は気にせずお弁当をまた食べる。
「名前、聞いてもいいですか?」
「伊藤。」
「・・・面白いって言われません?
伊藤何さんですか?」
「瑠美。」
「伊藤、瑠美・・・ですか?
なんか・・・聞いたことあるな。」
男の子にそう言われ、一成とのことかなと・・・覚悟をした。
「あー・・・火曜か水曜日かな、部署の先輩数人が話してましたね。」
「そうなんだ・・・。」
「“狙ってみようか”って数人で話して盛り上がってたの、たしか“伊藤瑠美”さんでした。」
「私・・・何を狙われるんだろう?」
それには怖くなり、男の子を見た。
そしたら、男の子がまた驚いた顔をして・・・大笑いをした。
「最近、誰かに連絡先聞かれました?」
「うん、1人。」
「1人?それは・・・意外ですね。
でも、ラッキー!!
俺と連絡先交換してくださいよ!」
男の子は、左手に持っていたスマホを操作し始めた。
それを見ながら、少し悩む。
「“今”は、お付き合いしてる人がいるからな・・・。
そういうの、どうなんだろう。
お付き合いしてる時は、そういうの良くないよね?」
「連絡先交換するくらい、別にいいんじゃないですか?
てか、彼氏いましたか、やっぱり。
長いんですか?」
「先週の金曜日から。」
「めっっちゃ最近じゃん!!
1週間前かよ!!マジか!!!
・・・もしかして、連絡先最近聞かれた人とか、します?」
「うん、まあ・・・。その人。」
「出遅れたか・・・いつ、交換したんですか?」
「連絡先を交換したのは・・・先週の金曜日だけど・・・。」
正確には、“最近”の一成の連絡先だけど。
一成は昔スマホを解約して、新しいスマホを契約したことを、私は知らなかったから。
そんなことを思い出していたら、隣の席の男の子が頭を抱えた。
「当日交換して、当日付き合うとか・・・俺、惜しすぎだろ!!」
「それより、早くラーメン食べなって。」
「連絡先交換してくれたら、食べます。」
「でも・・・彼氏や彼女がいる人と、他の人は連絡しないのが常識なんだよね?」
「どこの国の常識ですか、それ?」
「前に、言われたことがあるから・・・。」
「でも連絡先交換しておかないと、彼氏と別れた時に、報告してもらえないじゃないですか。」
その、話しには・・・驚き・・・
「そんな報告まで、一般的にはするの?」




