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総合病院、婦人科の待合室。




大学生になり水泳中心の生活でなくなっても、私は生理が来なかったり・・・2~3ヶ月ぶりに来ても2日くらい、少量だけ出て終わってしまったりしていた。




大学2年生まで様子を見てから、勇気を出して婦人科に来た。

大学生の私にとって、処女である私にとって、婦人科に来るというのは勇気のいることでもあった。




平日でも混んでいる総合病院の婦人科、今回も1時間くらい待った後、やっと呼ばれた。




女の先生・・・

ずっと処女だったので、女の先生の日に必ず来ていた。




「伊藤さん、今日は・・・低用量ピルを止める相談ね?」




「はい・・・これまで何度かやってみてるのですが、今回もしてみます。」





そこまで伝え、少し呼吸を整える・・・





「先生、申し訳ありませんでした・・・。

実は、先生に今までお伝えしていなかったことがあります。」




「なに?」




「私は、ご飯をそこまで食べていませんでした。」




「そうね。

痩せてるわけでもないし筋肉もついてるけど、何度か・・・それが原因かって聞かれてるわね。」




「はい・・・。

私は、“ご飯をそこまで食べていませんでした”。

そのことに相違はありません。

ただ、その要因をお伝えしていませんでした。」





不思議そうな顔で私を見る、いつもよく話を聞いてくれる先生・・・。





その先生を見て、震える口を無理矢理動かし・・・開く。





私の話を、先生が真面目な顔をして聞いてくれた。

隣に立つ看護士さんの視線の方が気になる感じもしたけど、仕方ないので話続けた。





そして、話終えてから・・・





先生が優しく笑いながら、頷いた。






「ご飯の量もそうだけど、精神的なことが原因となる可能性もあるから。

今回、またピルを止めてみようか。」




「はい。あと、先生・・・。」




「どうかした?」




「あの・・・痛くて・・・。」







お昼前にお会計まで終わり、総合病院を出た。

スマホを確認すると、一成からの心配したメッセージが届いていたので返信をした。




病院が終わったことと、あとは・・・




“擦りすぎて炎症している”ことも、念の為伝えた。




そのメッセージに笑いながらスマホを鞄に入れ、近くにあるお蕎麦屋さんに入った。

お蕎麦は・・・一成の検査で数値が高く出た物の1つで。

3年、私も食べていなかった。




一成と約束をしていたから。

高校2年生の一成が、症状が治まっても怖くて食べられなくなってしまった時に、そう約束したから。




あんなに大きかった一成が小さくなっていくのを見て、そう決めたから。




私も同じ物を食べるから、一緒に食べようと・・・

そう、約束していたから・・・。




久しぶりに食べるお蕎麦は・・・感動するくらい美味しかった。

それに、いつもだったら食べられないようなこの量も、無理なく身体が受け入れた。




私の身体は、私が成長することを受け入れている・・・。




一成の身体は、高校2年生の頃から進んでいないのかもしれないけど・・・

私の身体も、そのくらいから成長することを拒否していた・・・。




お蕎麦を食べ終わりしばらくしてから、スマホで時間を確認した。

そして、最後に蕎麦茶をゆっくりと飲んだ後、立ち上がった。







「ただいま!!」




一成が帰って来た時、玄関からすぐのキッチンにいたので、すぐに振り向き返事をした。




そんな私に、一成が固まった・・・。




それに不安になりつつ、念の為聞いてみる。




「どう・・・?

“大人っぽくしてください”ってお願いしたんだけど。」




そう言いながら、すぐそこにある洗面台でもう1度確認する。




お蕎麦を食べてから、予約していた美容院に行っていた。

いつも行く所ではなくてもっとお洒落な所。

病院に通う度、お洒落な所だなと思っていた美容院。

入ってみたら、夏生さんの旦那さん・・・芸能人も担当しているようなヘアメイクさんが経営している美容院だった。




真っ黒な髪色は似合っているからとそのままで、

切り揃えていた前髪は少し軽くしてくれ、

肩より少し長かった髪の毛は、肩より短くなり・・・

動きが出るようパーマをかけてくれ、毛先は外にはねたりしているけど、

短くなっている表面部分は耳くらいの位置で、お洒落な感じで動きがでている。




それと・・・。




まだ驚いている一成が、洗面台にいる私の後ろに立った。





「化粧って、凄いね・・・。」




「女の子達が化粧する意味、私もやっと分かったよ。」





百貨店の中の化粧品フロア、そこで美容部員さんにしてもらった化粧・・・。





別人としか言えないような私が、鏡の中にいた。

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