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病院の検査では、塩素だけでなく他の食物の項目でも、高すぎるアレルギー反応の数値結果だった。
プールだけでなく、他の食べ物もこれまで問題なく食べられていたのに。
身体が毒だと判断して、強く反応してしまう・・・そのような話だった。
偽アレルギー反応・・・そんな感じだった。
それからの一成の生活は、一変した。
何に強いアレルギー反応が出るか分からない生活の中、死んでしまうかもしれない・・・そんな恐怖の中、常に生活をしていた。
「瑠美・・・?出てる?」
昔のことを思い出しながら一成の身体を確認していて、少し長くなっていたのか・・・
一成が心配そうに聞いてきた。
「大丈夫だよ。」
そう言って答えると、一成がホッとした顔で笑った。
「俺、1ヶ月半・・・死ぬ気で頑張る。
“大人の男”になるから・・・。」
「うん。」
そう、一成に笑い掛けた。
あと、1ヶ月半・・・。
私が出来ることを、やる・・・。
一成の身体を、“大人”に進める。
無理矢理なやり方かもしれないけど、一成の人生は続いていくから・・・。
いつまでも高校2年生のまま、止めてはいられないから・・・。
だから、今回は私も全力で泳ぐ。
1ヶ月半しかないから。
私が26歳になるまで、1ヶ月半しかない。
いつからか、誕生日が来るのが怖くなった。
これだけは、一成でも追い付けないから。
あと1ヶ月半だけは・・・5歳差でいられる。
全然変わらないけど、いつも一成の誕生日から私の誕生日の間だけは、少しだけ嬉しく思っていた。
“お母さん”ではなく、“お姉さん”くらいにはなれるかな?なんて、思っていた。
だから、あと・・・1ヶ月半・・・。
あと、1ヶ月半・・・。
あと、1ヵ月半で・・・
震える口を無理矢理でも、動かす・・・
「2人とも“大人”になれてたら、その時は・・・結婚しよう。」
*
翌朝、玄関でお弁当が入っている袋を渡す。
「これ、お弁当ね。」
「ありがとう!」
「卵焼き、入ってるから。
念の為、他の人達がいる時に食べてね?
救急車自分で呼べないとダメだから。」
「サポート支援部の社員も部員も、みんな俺のこと分かってるから大丈夫!
事前に相談しておく!」
「そうだね、事前に相談しておくことは大切だね。」
そう言って笑うと・・・一成の顔が近付いてきて・・・少し長めのキスをされた。
「みんなに、瑠美とのこと自慢した!」
「それ、全然自慢にならないから・・・。
だからかな・・・昨日社内でジロジロ見られたんだよね。」
「みんな羨ましがってたよ?
サポート支援センターで瑠美凄い人気だから。
でも・・・本社の人には言ってないけど。
・・・あ、秘書課の人には言ったか。」
それを聞き、少し頭を抱えた。
「あの、若くて可愛い子ね。」
「若いって言っても俺の方が若いからね!
大卒の人だから23でしょ?
なんか・・・凄いから、瑠美と付き合ったって言っちゃった!」
あの子が若くないなら、26歳になる私はどうなのか・・・と、複雑な気持ちになりながらも頷く。
「瑠美、これから病院でしょ?」
「うん、勝手にピル飲むの止められないから。
それに今後も検査してもらいたいから。」




