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秘書課の若くて可愛い女の子からの言葉が、ずっと頭の中に響いていた・・・。





ずっと、響いていた・・・。





ずっと・・・





ずっと・・・






「伊藤!」






急に、呼ばれて・・・






その声の方を、振り向く。







部長だった。

部長が私の横に立っていた。

しばらく何も手が動いていない、私の横に・・・。







「今日は、もう帰れ!」





「でも・・・まだ、16時・・・」





「そんなんじゃミスするだろーが!」





「申し訳ありません・・・。」





「何言っても有休も使わねーで真面目に働いてるのは、ここの奴らは全員知ってる。」






そう、言ってくれ・・・

法務部のみんなを見渡すと、何故かみんなが優しい顔で私を見ていて・・・。






「今日はもう帰れ!それと、1日休め!!!

有休取れねーって、訴えられても困るから!!」











部長や法務部のみんなから帰るように言われ、16時過ぎには早退をした。





そして、会社を出た所で・・・





「ねえ!うちの社員?」





と、なんだか風が吹いたのと同時に声を掛けられた。





不思議にも思い、見てみると・・・





驚いた。





青田夏生(なつき)だった。

うちの会社、“KONDO”の広報部に所属している、うちの社員にして広告塔でもある、夏生だった。





身長175センチ、

程よく健康的な肌の色と、短いのにお洒落な髪型・・・。

格好良いのに不思議と可愛くも見える・・・男性も女性も虜にしてしまう人。





そんな夏生が、少し明るめのネイビーのスーツを着ていて・・・

その姿は、私のスーツ姿とはあまりに違う・・・。





社内にいても会えたことが全然なくて、そんな夏生が私に声を掛けたのか心配になり・・・

念の為確認しようと、周りを見渡した。





周りに立ち止まっている人は誰もいないし、夏生は顔中を笑顔にして・・・私を見て笑っている。





「あの・・・はい、“KONDO”の社員で法務部に所属している伊藤と申します。」





「伊藤さんね、私は青田夏生。」




「はい、勿論存じ上げております。」




「急にごめんね、凄い良い身体してたからさ!」





と・・・。

そんなことを、顔中を笑顔にして、言われて・・・。





「良い身体、とは・・・?」




「綺麗な筋肉で・・・丁度良いよね。

スーツからでもよく分かる。分かる人には分かると思う。

身体の動かし方も綺麗だよね。」




「そうですかね・・・?

そんな嬉しいこと、初めて言って貰いました。

ありがとうございます。」





夏生・・・さんが、私の周りをウロウロと回りながら身体を見てきて・・・。

緊張はしたけど、真面目な顔をしているからジッとしていた。





「水泳はやってたでしょ?」




「超能力者ですか・・・?」





うちの会社は、超能力者が多いのか・・・。





「水泳やると、肩幅がね。

今は全体的に女性っぽくなってるけど、だからか余計にその肩幅は少し目立つよね。」




「小学校1年生から高校3年生までやっていました。」




「長かったね、結構良い所までいってた?」




「中学くらいまでは良かったんですけど・・・高校以降はみんなみたいに食べられなくて。」




「食べるのもトレーニングだからね。

水泳は有酸素運動だから、他のスポーツより遥かにカロリー消費が凄いから。」





それに、頷く。





「元々食が細くて、あまり食べられなくて。

高校になってからは選手コースにはついていけなくなって、部活1本でした。」





「だからある意味、丁度良い筋肉だよね。」




「丁度良い、ですか・・・?」




「うん、アスリートにはなりきれてない。

中学生とか高校生くらいで上手く止まってる。」





それには、苦笑い・・・。





「それは、良いのでしょうか?」




「うん、綺麗だよ。

スポーツしてるとさ、中学とか高校の時が1番輝いてた人生の人って多いと思うんだよね。」





その言葉に、心臓が大きく動いた・・・





「今の子達でも、そういう子が多いと思うよ。

学校とかその地域では、それなりに上にいるって錯覚出来る時期でもあるから。」





「それは・・・ありますね。」





「そういう時期を思い出させたり、今の子達はもっとそう錯覚出来るような・・・丁度良い身体だよ。」





夏生さんが顔中を笑顔にして、笑った・・・





「大人になるとさ、綺麗な思い出として残るんだよね。

あんなに辛かった練習も、全部綺麗な思い出になってる。」




「私もそうなってます、選手コースを辞めた時は凄く辛かったのに。」




「これ何の現象なのかな?

綺麗な思い出になった時、大人になってるのかな?」





夏生さんがそう言いながら、また私の身体を見て・・・






「伊藤さんの身体って、あの頃を懐かしくさせる綺麗な身体してるから、思わず声掛けたのかも!」





そう言って、笑っていた・・・。





夏生さんと別れた後、電車に揺られ・・・

自分の姿を見下ろした。




夏生さんが言うには、私の身体は丁度良いとのこと。

あの頃を懐かしくさせる綺麗な身体、そんなことを言ってくれた。




一人暮らしを始めて、1年・・・。

週に1回はプールに行く生活をしていた。

大学1年から2年生の夏までは、趣味としてもっと泳いでいたけど・・・辞めた。




それを、ここ1年はまた泳ぐ生活に戻していた。

あんなに辛かった練習も悔しかった思い出も、プールで泳ぐと気持ち良く感じることが出来るから。

そんな時間も、好きだった。




そして・・・

ここ1年、不思議なことが私に起きていて・・・。




一人暮らしのマンションから比較的近い区民プールに行っていたのだけど・・・

物凄く、ジロジロと見られていた。




中には、話し掛けられることもあったり。

女の人からも男の人からもで・・・。

これといって何かを言われるわけではないけど、世間話みたいな。




普段そんなことはないので、プールの時だけだった。




夏生さんとの会話で・・・その理由を教えて貰えた気がした。




そして・・・




思い付いた・・・。




思い付いた・・・。




思い付いた・・・。

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