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草薙を待ち受ける女魔族
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笑いが漏れる
女魔族の稚気を宿した微笑みは美しく危うげで相手にスリルを与えるものだった。
「ふふふっ」
その様子は
まるで恋人を待ちわびる様子を彷彿とさせた。
やりましょうやりましょう
女魔族の肉体が熱くなる。
女魔族は十全の準備を整える。
「――あの男を」
絶対に殺すために。
盤面は整えた。
万全からは程遠いあの男。
魔大国と戦うという気が狂ったとしか思えないあの日本人
(日本という国はそういう国、か馬鹿げてるわね)
そう聞いた事がある。馬鹿げている。
日本という国が強国相手にも戦う狂った勇気を有する国なら、日本人という人種がその気質を有するなら、あの只の日本人を名乗るあの男は――
「日本人の極地ね」
殺そう。
女魔族の思索はそこにいきつく。
この地で殺さないと。あの男が力をつけ、力を取り戻さないうちに倒さねばいけない。
そうしなければいけないという本能的な危機感があった。