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危機開戦〜ゴクリ、
この地を侵すものは、誰であれ排除する。
守るのではない。
排除するのだという意思が、布陣だけで示されていた。
国家そのものが牙を剥き、異物を拒絶する圧力。
大地は沈黙し、空気は凶器と化す。
日本の防衛隊は、すでに壊滅。
この防衛線は破れない――
それが常識であり、絶対だった。
だが“絶対”は常に、破壊される順番を待っている。
黒い影。
理を覆す者。
「……揃ったな。」
蒼生大和――日本最後の前提破壊者。
「…………」
必要なのは“状況の支配”。
日本の防衛隊は敗れた。
誰も、この壁を越えられない。
誰もがそう信じ、諦めている。
――ただ一人を除いて。
「揃ったな」
それは無道。
ただそこに立つだけで戦局を揺らす。
草薙悠弥。
力強いわけではない。
巨大なわけでもない。
だが彼は、絶望を否定する“根拠”だ。
無道戦術、それを以て
言葉は短く――しかし世界を変える。
「――十全明証。」
この瞬間、奪還戦は始まる
◆
「あぁ……」
ゴクリ、と配下の美女は息を飲んだ。
―草薙なら……
そう
――草薙ならきっとなんとかしてくれる
その期待があった




