捏造の王国 その55 オメガ株までニホン産変異株出現か! 総理、国際大運動大会は新型肺炎ウイルス変異株の大繁殖場になりそうです!
国際大運動大会開催予定日まで一か月きったものの、開催国ニホンでは、医療崩壊のおそれや感染対策の甘さなどから、反対の声はますます大きくなっていくばかり。理由探しに今までの対策を思い出すガース総理だったが…
第5の季節、梅雨入り宣言がなされたものの、降ってるのか降ってないのか、気象予報士泣かせの天候が続くニホン国。天候だけでなく、世界的国際スポーツイベント関連に大きな暗雲がたちこめていた。
「ああ、なんで新型肺炎ウイルスが収まらないのだ。ワクチン接種も一回目はおわりつつあるというのに、これじゃ“全国的に減少傾向にあります”とかいった私がばかみたいじゃないか」
と、覚ました麦茶をガブ飲みしながらつぶやくのはガース総理。健康のため、煮出しした麦茶を常温まで戻して飲用することをこころがけているのだが、問題山積みのため、あまり目立った効果がない。それでも、一応筋が通った発言をして、それを記憶しているぐらいの効果は見えてきたようだ。
「国際大運動大会まですでにひと月をきったというのに、いまだ反対派がいるとは。まあ確かにワクチン打ったはずの選手が感染したし」
ふうっとため息をつきながら、麦茶をグラスに注ぐ総理。
「まあ、あれはまずかったかな。なにしろほかの選手団はそのまま宿泊地に向かって、現地で握手とか地元民と交流させてしまったし。そのあとほかにも感染者を出てしまったし」
麦茶を一口、口に含み舌であじあう総理。
「なかなかいけるな。麦茶はミネラルも含んでいるとかいうが、肺炎ウイルスの予防とかにも効果がないのかな。まあ免疫力があげるのが一番とかいうが。はあ、どこぞの国の選手はワクチン接種前に来ました、とか堂々というし。安心安全の大会イメージがどんどん崩れていく」
そもそも世界中から選手他が集まる国際大運動大会の開催そのものが危険視されているのに、対応が悪いかもと嘆くガース総理。
「空港で検疫…日に400人ぐらい連絡がつかないというのは、やはりまずいのだろうか」
世界中でウイルスが猛威を振るう中、国外からの入国者数百人の足跡がおえないとは、いかに能天気のニホン国国民でさえ、半分はマズイと考えるだろう。そんな単純明快なことをJ疑問視してしまうガース総理。
「小中学生に国際大運動大会の感動を味わってもらいたいとの観戦の呼びかけは、学徒動員とか言われるし。私の国際大運動大会の思い出話は何の効果もなかったのだろうか」
ワクチン接種もできない児童を真夏に一駅以上歩かせるというリスクをまるっきり無視し、個人的な感動だの思い出だのを理由に開催をすべきなどと述べたことを反省どころか、野党ほかの同意を得られると思っていたガース総理(もちろん、ピント外れなこの答弁は野党党首のエダノンやシイノやら、多くの人々に呆れられ、非難された)。
「ああ、しかもついにワクチン供給が不足するかもとか言われだすし。なんであの製薬会社のトップはあってくれなかったんだ!」
アポもきちんととらず、英語での交渉もろくにできないくせに、相手をなじるガース総理。そもそもワクチン製造会社が“いやー、努力はしますけど、約束した数があげられなかったら、ごめんなさいね”的な契約書を作ってきたのにもかかわらず、訂正しろとか英語で交渉できなかった外務省だの厚労省だのの責任もなきにしもあらずだが。
「ああ、オンミとか分科会の学者連中もついに中止だの無観客だのと言い出すし。1万人ぐらいなんとかならないのか」
観客は1万人、関係者やスポンサー枠はいれないもんね、などとふざけた案を出したことは忘れているガース総理。
「しかも酒類の提供とかは禁止になってしまったか。選手村での種々の特典も、かなり叩かれるし」
大運動大会担当大臣のスポンサーへの謎の配慮発言で、かえってスポンサーのビール会社が袋叩きにあってしまうというオウンゴール的な展開を嘆くガース総理。
「はあ、例のアレが出ないだけましだが、国際大運動大会は開けるのだろうか」
“あ、およびですかああ”
と、グラスの底から声が…
「うわあああ。き、貴様、地獄の書記官!いつもは早く突っ込んでくるから今日は出ないと安心していたのに、今頃来るとは!」
“いやあ、このごろ忙しいんですよ。でもガースさんが寂しそうだから休憩中にきてあげましたよ、感謝してくださいねえ”
「感謝なんかするか!永遠に出てこなくても結構だ!」
“そんなこといっちゃてえ、まあ、じきに直で会えるかもしれませんけどお”
「な、何。ま、まさか私はし、死ぬのか」
“いやあ、そのお。ま、いっか、言っちゃっても。実はあ、国際大運動大会を開催したらあ、世界中の変異株も集まっちゃって、選手村とかあ、競技場とかでえ、いろんなのが交じり合っちゃって、すんごい変異株がたくさん出るだろうって予測でえ。で、死者もたくさんでるだろうと。そうなるとお、地獄の作業が追い付かなくなる恐れがあるんでえ、早めに死にそうな人の罪状調べたりしなきゃいけなくなったんですよお”
「わ、私も感染、わ、ワクチンは」
“やだなあ、もう。変異株なんですよお、しかもすんごい強力なのが生まれる予定なんですよお。春に打ったのはあ、最初のほうのウイルスの奴ですから、それよりもっと感染力とかが強いやつが今でもいるでしょお。それが、国際大運動大会で世界中の人が集まって、汗かいたり、歓声あげたりしてえ、どんどん広まって、混じって変異株が進化しちゃうわけですよお”
「わ、私はちょっと開会と閉会にで、出るだけ」
“開催はともかく、閉会式はもう、変異株がわんさかですよお。もう数えきれないぐらいでるんじゃないですかあ。オメガとか、その先までいっちゃうかも。たとえガースさんが式とかにでなくても、ガースさんのお知り合いいっぱい出るでしょう。部下の人たちだってえ。それにい、後でえメダル獲った選手とかとお、握手とかするでしょ。選手さんたちは選手村で濃厚接触するんでしょ、一時的なカップルもたくさんできるって話ですしい”
地獄の書記官の話に青くなるガース総理。
「い、いや。もう国際大運動大会の関係者全員、ワ、ワクチンを。う、打てば少しはまし」
と弱弱しく反論したとき、突然
ジリリ
と電話の音がした。ガース総理が慌てて受話器をとると
『総理大変です!ボランティアのワクチン接種が完了しません!お、おまけに担当大臣が“一回目で免疫をつけていただく~”などと発言し、非科学的な根拠でボランティアを危険にさらすなと非難ごうごうです』
興奮してまくしたてるシモシモダ総理補佐官の声。
「ワクチン接種完了はむり、なのか」
『そ、その、減ったといえども数千人、おまけにワクチンの供給が、その。ワクチン担当大臣のご発言も、その、』
「ああ、くそ、あいつめ。総理の座を狙っているのかウケ狙いで、首尾一貫しないことばかりいいおって」
自身もかなり支離滅裂、言語不明確、意味不明発言を連発していることを棚にあげ、他人を揶揄するガース総理。
“あ、休憩終わりなんでえ、私はこれでえ”
麦茶を入れたグラスが少し揺れて、不快?な声はぴたりとやんだ。
「ああ、本当に開催したら変異株が大量発生するのか。いや、ワクチンが、こうなったら麦茶ほか健康によいものをだして免疫力をつけてもらうとか」
手にした麦茶のグラスを回しながら悩むガース総理であった。
一か月きろうと危ないものは危ないのですが、どこぞの国の政府だの委員会だのは、それが全く理解できないようで。科学が不得手なのはいいとしても、理解できないものを拒否して、感動だの、時間切れだの情緒的に突っ走るのはいかがなものなんでしょうねえ。