Hello world
文がおかしい?気にするなッ!
インクが紙に滲むように意識が起き上がる。
釣り糸で吊られる様に夢から現実へと。
そうして起き上がって最初に感じたのは違和感だった。
布団が妙に温かく、そして小さい。これでも寝相はいいほうだ。布団を蹴飛ばした事など無い。はず。
それだけではない。地面も妙に硬いし、どこからともなく清々しい風が吹いてくるし、空気がとても澄んでいて、かすかな爽快感をもたらしてくる。
どうもまだ寝ぼけているらしい。
こんな空気の澄んだ所に行った覚えも無ければ行こうとも思わない。
大自然の中よりエアコンの効いたネット完備の部屋。
科学文明万歳。
いや、それよりも。
なんで俺はそんなところにいる?
いやいや、だっておかしいだろう、窓は1年以上開けていないし、クーラーはこんな強い設定にしてないし、扇風機は家には無い。
・・・仕方ない、起きよう。そうすれば全てわかる。だるいけど。
そうして目を開けたら青空が目に入った。・・・ん?
ワッツ?
青空?
何で?
おk、落ち着こう、何かの間違いだ。
青空は一旦ほっとこう、
全くどうしてこうなったと起き上ったらさらなる混乱が俺を襲った。
さっきから布団だと思っていたものは少女だった。・・・ん?
ワッツ?
少女?
なんで?
おk、もう一回落ち着こう。俺は冷静、な訳ない。
少女はかなり小柄で白と黒の髪を肩のあたりで切りそろえ、これまた白と黒のブレザーのような服を着ている。
うつ伏せに寝ているせいで良くは分からないが、学校の制服というよりは何かのコスプレに見える。
そんな少女に見覚えあるかといわれたらない、はず。・・・ないよな?
あれ、なんだか不安になってきたぞ。
「んぅ?」
あっ、起きた。
「あっ、おはようなのだ!ご主人!」
いやいや、そんなことを言われましても。
「えと、誰?」
「にゃ!? ひ、ひどいのだ!オセロはご主人のオセロなのだ!忘れちゃダメなのだー!」
「忘れるも何も元から知らんのだが」
「ご主人がご主人の事を美少女と言って配信している動画で出てくるコントローラーなオセロなのだ」
「ああ、言われてみれば――――――」
趣味で配信している動画で、「コントローラーかわいい」って言ったらたまたま見ていたイラストレイターの方が擬人化してくれたんだっけ・・・いや待て。
「嘘だろ!?神速は美少女説が10割占めていたはずだ!何故俺だと分かった?」
「だからそれは、オセロがご主人のコントローラーだったからなのだ!ちゃんと証明もできるのだ」
「証明?」
そう言った瞬間だった。
ブワッという擬音が似合う様な勢いで少女の輪郭が、色が崩れる。
そして白と黒の靄のような、霧のようなモノになった少女は、俺の右手に纏わりつく。
「なっ!?」
反応なんてできなかった。
そして5秒ぐらいだろうか?しばらくした後、俺の右手には見覚えのあるゲームコントローラーが握られていた。白と黒の混ざったゲームコントローラーは世界に1つだけの品だ。見間違えようがない。
『フフン、どーだ!これでオセロがご主人のモノだっていう証明ができたのだ。』
コントローラーから声?というかイメージのようなものが流れてくる。ていうかその状態でしゃべれるのか。
「いやいやいや」
『これでだめなら口座の暗証番号からマイナンバー、アカウントのパスワードに端末の物理アドレスまでこたえられるのだ。』
「あーはいはい、分かったよもう!お前はおれの愛用のゲームコントローラーです!ありがとうございます!クソッたれ!」