鼓動
「あとは、爆弾が車の振動で作動しない事を
願うだけだな。」
「あのおもちゃ屋のお爺さん、急に語り始めて
どうしたんだろう。よほど話す人居ないんだな。
一人の事で悩んでいる暇は無いな。農家の人の野菜を発注先に届けないとな。」
この先に行くとしたら、でこぼこした道を通らないといけない。おもちゃ壊れないと良いけど…
「なんか後ろからピーピーって鳴ってるな。
車止めて見てみよ。」
近くにあった駐車場にトラックを留め
不気味な音に驚き、まさかと思い手を震わせ
トラックのバックドアを開ける。
そこには赤く光った箱が4つあった。
その箱はおもちゃ屋のものだった。
おもちゃ屋に問い合わせると…
「兄さん、どうした。」
「箱が赤く光っているんですけど、
これはなんですか?」
「あー、あれかい中身がロボットだからだよ。
振動に弱いんだわ、気をつけて運んでね。」
「電話切りますね。」
「おう。」
「危ねえ。危ねえ。爆発するとこだったわ。
無事に届けてくれよ。兄さん。」
「じゃあ、配達再開しようかな。」
あれは怖かったと言い、ため息をついた瞬間、
ある人に声を掛けられた。
「ちょっと、すみません。」
「なんでしょうか。」
「私、こうゆう者でして。」
「あっ、そうなんですか。」
警察側の人なんだなと思い安心した。
「聞きたいことがあるんですが。
この赤く光っている箱を見せて貰えますか。」
「はい…」
警察側の人は箱を隅々まで見ていた。
「おもちゃが入っているんですか?」
「はい、何かあったんですか?」
「おもちゃ以外の物が透かして見えるので…
箱を開けていいでしょうか?」
「まぁいいでしょう。発注の人に事情を
話しますので…」
「ありがとうございます。」
警察側の人は箱を開け始める。
開けるとそこには爆弾らしき物が入っていた。
恐怖に怯え、力が抜け震えながら跪く。
「あっ、これは施錠式爆弾ですな。」
大きな無線機器をポケットから取り出し、
ドラマとかで耳にするものを発する。
「こちら022番。こちら022番。
東京都○○村の西部に値する場所に
発注トラックが止まっており、その中の箱に
施錠式爆弾を仕掛けられていた物を発見。
直ちに急行せよ。」
「1時間程でそちらに向かいます。」
「こちらで時間を稼ぎます。
それくらいの時間があれば爆弾解除出来ます。」
「分かったよ。中村には爆弾解除を頼みます。」
「はい。」
中村は腕を巻くり、慎重に箱に触れる。
微妙に手が震えていたが爆弾解除には支障は
なかった。
「赤く光った箱はこの一つだけですか?」
「いえ、奥にある箱3つもです。」
「お時間は大丈夫ですか?」
「はい!」
中村は箱の底を開き、おもちゃを取り出す。
「あー、こうゆう爆弾かぁ。
施錠式の中で一番解除に時間が掛かる物なんだね。大体、一つ30分くらいはかかるだろう。とりあえず、この周辺に住んでいる人に避難指示してほしいです。」
「分かりました!」
警察側の役に立てて嬉しいのか分からないが、
発注の人はまるでプレゼントを貰った時の
子供の様に笑っていた。
「そういえば、発注の人に名乗って無かったな、
戻って来たら、言おう。よし、やるか。
それにしても、この爆弾誰が作ったんだ。
おもちゃ屋の箱って事は、おもちゃ屋の人って事
だよな、発注する時、段ボールに紙を貼るはずだ。
"東京都三田区おもちゃ屋の三田"って、自分もおもちゃ買った事がある所じゃないか。」
まさか、あの優しい人がと驚きを隠せない私は
優しい人は余り信じない方がいいなと決意をした。
どんなに優しい人でも犯罪者は犯罪者だ。
これは通報しようと決断した。
プルルルルと小高い音で携帯から出る。
「あっ、○○の中村ですが、
東京都○○村の西部にあるトラックに入っていた
段ボールの件何ですが。」
「はい?」
「施錠式爆弾の製造者が分かりました!」
「それは誰ですか?」
「東京都三田区にあるおもちゃ屋の三田の店主、
三田義満です。今すぐおもちゃ屋に
向かってください!」
「分かりました。今、中村から電話が入った、
東京都三田区にあるおもちゃ屋の三田に突撃せよ。
ありがとう、中村。」
「今度こそ、解除しよう。
このマイナスドライバー使うか。」
表面に付いている、カバー的な鉄の板を
ドライバーで剥ぎ取り、本体があらわにされた。
「うわ。」
本体の手前にコードやボタンやらで、
本体を取り出せない状態だった。
コードは赤と緑と青と黄と紫と黒と白と茶の
8種類があった。
「鋏、使うか。」
手を震えさせながら、三田は青と黄が好きな事を
思い出す。
「青を切るか。」
手を抑えながら、青線を切る。
「あー良かったー。でも、まだ赤い光は出てる。」
黄線も切る。ピーピーと鳴っていた音は消えたが
赤い光は止まらなかった。
「赤い光はこのボタンで
なんとかするしかないのか。
また、青かもしれないな。」
何故か笑いが出た。青ボタンを押した。
「おぉ。赤い光が止まったー。」
「中村さんー」と声高い後輩の声が聞こえ安心した。
「遅かったな、お前たち。あの赤く光っている
段ボールの中に施錠式爆弾が入ってる。
わいが言ったとおりにコードとボタンをやれ。
良いな。」
「はい!」
「コードは青と黄だ。そして、ボタンは青だ。」
「分かりました。」
警察から電話が来た。
「もしもし、中村です。」
「そっちはどうだ。」
「爆弾解除できました!」
「それは良かった。私等も三田を逮捕したが…」
「何ですか?」
「三田が話したい事があるみたいなんだ。
変わるな。」
「はい。」
「もしもし、三田ですが、貴方が中村さんですか?」
「はい。」
「残念だったな。中村ー。まだ爆弾あるんだよな。
つまり、自分だ。私がサンタさんなんだー。
はっはははははははははは。」
「止めろ、三田あぁぁぁ。」
電話の先から三田の笑い声が消え、
何かが爆発する音だけが聞こえた。
ピー、ピー、ピー
「…」
それは又、次の話で