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北の恋風  作者: 空蝉 明
7/18

涼、告白される!

輝の憧れの存在 涼。 その涼が告白される! 輝は?

学園祭も終わり、しばらくは通常授業。

本来、目立つ事の嫌いな輝が、学園祭の演奏で更に目立つようになった。


軽音部からは誘いに来るし、料理研究会なんてもう学園祭の前から三顧の礼を尽くして輝に頼み込んできている。 この頃、図書館にいても、指をさされて、視線を感じたりもする。

輝にとって、落ち着ける場所が学校では少なくなった。

輝は、学校が終ると、自転車で逃げるように家に帰り、バイトに行って、家に戻り勉強する。 そんな毎日になった。 渉が輝を、休みの日に誘おうとしても、輝は、悪いバイトがあるから。と言って断られてしまう。


ある日、渉は、ル・シエルの定休日に、輝の家に行った。 玄関のインターホン鳴らすと、輝の母 典子がでた。 『こんにちは~ 輝君 います?』 『ええ いるわよ。 今開けるから待ってね。』 典子は輝に、『輝~ 渉君見えたわよ~ と言いながら玄関のドアを開け、渉君、久しぶりね~』 と言って 『どうぞ』 と入れてくれた。 輝は部屋のドアを開け、『渉か 入れよ』と部屋に渉を入れた。


渉は、輝に 『なんか俺 お前に悪い事したな・・・ お前が目立つの嫌って言うのは俺も知ってたんだけどさ~ でも 俺どうしても良い音楽にしたくって・・・』  輝は、『渉 お前のその気持ちはわかるから、お前の事悪くは思ってないよ。 俺が渉でも同じ事したしな。 昨日さ 2年の伊達さんからも色々言われたんだよ。 目立つって事は悪い事ばかりじゃない。 それに今回の水主の目立ち方は、誰が見たってかっこいい。

見られてるって意識を持って生活するのも、男にとっては大事な経験だぞ ってな。

流石 伊達さんだよな。 その通りだと俺も思ったよ。』

渉は、『伊達さん すごいな~ 俺も輝になんとか前を向いてもらいたくて今日お前んちきたんだけど、結局、何をどう言えばいいのかわからないまま、来ちゃった。 伊達さんには程遠いわ・・・ 1億万光年くらい差がありそうだわ(笑)』 『俺も同じだよ。』輝も言った。


『輝~ おまえさ~ 彼女作る気ないの?』 『う~ん 俺も色々あって今はその気ないな~。』

『理恵が言ってたけど、今は渉より、水主君のほうが人気あるよ ってな。』 輝は 『それはないと思うけど、この頃 女の子が結構俺の周りに多い気はする。 でもさ 俺 ほんと 今は恋愛とかする気にならないんだよ。』 渉は、 『まぁ 深くは聞かないけど、なんか俺でできる事があるなら言ってくれよな。 俺もなんか責任感じてるからさ。』 『お前が責任感じる事はないよ。全部俺の意思で引き受けたんだし、さっきも言ったけど、お前の気持ちはわかるからさ。 でもサンキューな。 わざわざ来てくれて。』

『輝~ 今日さ~ バイト休みだろ?』  『うん 休みだけど。』 『じゃあさ カラオケでも行かない?』

『カラオケか~ 俺、人前で歌うの好きじゃないから、聞いてるだけでいいなら行くけど。』 

『明日香ちゃんがさ~ さっき 渉君 輝君カラオケに誘ってみてって言ってたんだ。』

『ああ~ 俺もこないだ瀬戸さんから誘われたけどバイトあって断ったわ。 瀬戸さんの歌なら聞きたいから じゃ 行こうか。』

渉は、明日香に 輝 行くらしいから、現地集合ね~ とメッセージを送った。


カラオケボックスは 渉、輝、明日香 だけだと輝は思ったらもう一人来ていた。なんと涼だった。

明日香と涼は林間学校がきっかけで仲良くなり、お互いの家で勉強したり、休日、一緒にスイーツを食べに行くような仲になっていたらしい。

彼女の私服姿を、輝は始めて見た。 制服とはまた違って、ただただ 可愛いと思った。 制服の時は、少しクールな感じもあるのだが、私服の時はそれがなく、誰もいなければ今すぐ抱きしめたくなるほどキュートな涼だった。 『矢島さん 私服始めて見たけど、制服とイメージかなり違うね。』 輝は涼に言った。 『私服だとなんかおかしい?』 涼は少し心配そうな表情で輝に尋ねた。 『違う違う、凄く私服だと可愛いなって』 すると明日香が『涼ちゃんはどっちでも凄くかわいいじゃない! そうでしょ 輝君!』と言った。 『うんうん それは間違いない。でも俺は矢島さんの私服初めてで、制服より可愛く感じたからさ。』 渉は、『輝 矢島さんに今 告白してるの?』と笑った。 輝は 『馬鹿。 俺じゃなくてもみんなそう言うだろ!』 渉は『 冗談だよ。そりゃ矢島さんは誰がみても可愛いよ。』 涼は 真っ赤になって、『可愛くないよ。』 と下を向いた。 涼は、明日香が、輝の事を水主君ではなく、輝くんと呼んだ事がものすごく気になった。  渉と輝がカラオケの手続きをしている時、涼は、『明日香ちゃん。 水主君の事 輝君って呼んでるの?』 と聞いた。 明日香は 『うん』 と言い小声で 『告白したけど 私 ふられちゃってね。でも友達ならいいって言われて、それからかな~ 輝君って呼ぶようになったの。』 と言った。

涼は、『そうなんだ~ 私も友達かな~?』 『一緒にカラオケ来てるんだから、もう涼ちゃんも友達だよ。』

そう言うと、手続きが終って帰って来た渉と輝に、 『ねえねえ 私たち友達でしょ?』 渉が 『そうだけど』 と言うと。 『じゃあさ これからはこの4人の間は全部名前で呼び合うことにしよ! 私は 明日香でも明日香ちゃんでもいいよ。』 『じゃ 俺は 渉でいい。』 『俺も輝でいい。』『 私も涼でいいです。』

『流石に呼び捨ては~』 輝が言うと、 明日香が 『じゃ男の子は君付け、女の子はちゃん付けでいいじゃん!』 渉は 『おう そうだな』 と言った。


輝は涼に 『じゃ 涼ちゃん 行こう。』 と言うと 涼は更に赤くなって 『うん。』 と答えた。

カラオケは明日香の歌で始まった。 明日香の歌があまりに上手すぎて、涼は、『明日香ちゃんの後は歌いにくいよ~』 と言うと、輝が 『じゃ 渉で!』と言った。

渉は、楽器をやらせれば素晴らしかったが、なぜか歌はお世辞にも上手いとは言えなかった。

『渉の 後なら誰でも歌いやすいし。』 輝が笑うと、 渉は 『ほんとの事いうな!』と笑った。

渉が歌い終わって、『じゃ 次は涼ちゃんね』 と輝が言うと、渉は、『輝 お前俺の後は誰でも歌えるって言ったよな! お前の歌聞いたことないぞ~俺』 と言うと 明日香も 『私も聞いてみたい~』 と言った。そして涼まで 『私も』 と言う。 輝は、『俺 人前で歌うの苦手だから聞きに来るってことでカラオケ来たんだけど・・・』 と言うと、 渉は 『おい 輝!男らしくないぞ! 何でもいいから歌え』!と言う。 明日香も『そうだ そうだ~』とか追い討ちをかける。

仕方なく 輝は 『わかったわ。』と言った。しかし、いつもこの所洋楽ばかり聴いていたので、日本語の歌でまともに歌えそうな曲がない。 かと言ってここで英語で歌うのはもっと嫌だ。

明日香にせかされて、やむなく輝は英語の歌を入れた。


音楽が始まり曲名が出てみんな驚いた。『えっ 英語で歌うの?』

曲はJohnジョン LegendレジェンドAllオール ofオブ Meミイだった。

輝の歌声はJohn Legendのような男性っぽい声ではなくどちらかと言えば、日本のアーティストで言うとシドのボーカル マオ のような中性的で高い歌声だった。

その英語は流れるような、綺麗な発音で日本人が歌っているものとはとても思えず、聞いていた3人は、一言も声が出ず、ただ黙って聞き惚れてしまった。

輝が 歌い終わると、拍手もせず、みんなまだ呆然としていて、やっと涼が、『すごく すごく素敵だったよ。』とつぶやいた。 渉は、『始めて聞いたけど こんなすごかったんや。』と言い 明日香は、『私 感動して震えちゃったよ。 私なんかより全然すごいよ。』 そう言った。

輝は、『今日は4人だから歌えただけで、明日香ちゃんみたいに大勢の前でなんて 俺 無理だから。』と言うと 涼は、 『じゃ 私たちとまた来てよ。 私 輝君の歌 聞きたいもん。』と言うと 『俺も』 『私も』 と続いた。 輝は『歌えるように最近の邦楽も聴いとくよ。』と答えた。


輝は それから 俺のどが弱いから、何曲もは歌えないから とずっと他の人が歌うのを聞いていた。

涼は、下手ではなかった。ただ、感動するほど上手いわけでもなかった。けれど、歌ってる姿を見てるだけで癒されると輝は思った。

部屋の電話が鳴り、受付から『10分前です。』と連絡が入った。 涼は 『はい わかりました。』と答えて、輝に 『輝君 もう一曲だけなにか 歌って ダメかな?』とお願いした。

輝はどうも涼に頼まれると弱く、断れない。

『じゃあ ラストで』と 輝の父が好きだったと言うBackstreetバックストリート BoysボーイズDrowningドローイングと言う歌を歌った。

輝が歌い終わると 横に座っていた涼が、『輝君 ほんとに ありがとう。無理言ってごめんね。と言った。』 渉は、『いい歌聞かしてもらったわ。』と言った。 明日香は 『また聞かせてね。絶対よ。』と言った。

輝は、『まぁ また機会があればね。』 と言ってみんな部屋を出た。

カラオケ店から出た時、他の3人に自分が英語で歌った事はこの4人だけの秘密にして欲しいと頼んだ。

みんな了承してくれた。

涼と、渉は同じ方向で 明日香、 輝と3方向に別れた。 『じゃあな~』 『じゃあね~』 歩いて2分くらいすると渉から、涼ちゃん 輝のアドレス知りたいらしいから教えてもいいか?とメッセージが来た。

輝は いいよ。と返信した。


輝は家に帰り 今日は典子が休みなので、一緒にご飯を食べ、風呂に入って部屋に戻ると、携帯にメッセージが届いていた。 それは涼からだった。

涼は、もし 言いたくないようなら言わなくていいんだけど、今日聞いた英語の曲ね。 輝君すごく綺麗な発音だったんだけど、どこかで習ってるの? もしいい所なら私も輝君が習ってる所で習ってみたいから。 出来たら教えて欲しいな。 と言うものだった。

輝は、今、習ってるわけではなく、父が生きてる時に自分に教えてくれたのだ と説明した。

涼からは、そうなんだね~ もし習ってたら 私も一緒に輝君と教えてもらいたかったけど残念。というような内容の返信が来た。

輝も、何か涼と二人の共通な事があれば林間学校の時のようにまた、二人きりになれるチャンスもあるのにな と思った。 涼の本心も輝と同じだったのだが、輝も涼もお互いに相手の本当の気持ちがわからないままだった。


期末試験も、今日で終わり。 明日からは短縮授業で、もうすぐ冬休み。 その日、輝は気になる噂を聞いた。 バスケ部の古賀がどうも涼の事を好きらしい という噂だった。 これが本当なら、伊達さんだけじゃなく古賀までと言う事になる。 伊達さんは涼に告白するような気配は全くなかったが、古賀は結構普通に、女子とも話す方なので、涼に気持ちを伝えると言う事は十分ありえる。

LINEのアドレス交換しても、涼に何を話していいかわからず、また、涼の方も何を話題にして話せばいいのか、輝からなにか言って来てくれないかな~と待つばかりで、お互いカラオケに行った夜のやりとりを最後に何の進展もなかった。

輝の容姿は、伊達や古賀と比べれば敵わないかもしれないが、十分にハンサムで、自信を持ってよかったが、たまたま、涼を好きだと言われてる二人が、ハイレベル過ぎて自信を喪失してしまっていた。

明日香は、輝に対して告白した時の気持ちが残っていたが、輝は、やはり涼しか心になかった。


その二日後、渉が、『輝 なんかさ~ バスケ部の古賀が涼ちゃんに告白したらしいぞ! さっき明日香ちゃんに会ったら教えてくれてさ~。』  『涼ちゃん OKしたのかよ?』 輝は渉に聞いた。『いや それは俺もわからんわ。 告白したらしいって聞いただけでさ。 明日香ちゃんに それで 付き合う事になった?って聞いたけど、私もまだわからない って言うしさ。 輝 気になるなら直接 涼ちゃんに聞いてみたら?』

 『そんなの出来ないわ。 彼女の問題だし。』 内心気になって仕方なかったが、聞くことも出来ず、モヤモヤした気持ちでいた。

短縮授業なので、家に帰って着替えるとすぐ、店にバイトに出かけたが、どうも気になって仕事がはかどらない。

それに なんだか胸がむかむかして気持ちも悪くなってきた。 シェフに『今日は体調が優れないので、早めに上がらせてもらえませんか?』とお願いすると、『今日は余裕あるから、帰ってゆっくり休みなさい。』と言ってもらえたので、 『じゃ すみません 今日はこれで失礼します。』 と他のスタッフにも声をかけて帰宅した。

家に帰った輝は、胃薬を飲んで、少し仮眠を取ろうと思ったが、涼が古賀にどういう返事をしたのか?まだしてないのか?気になって気になってどうしても寝付けなかった。

『くそう!』 輝はベットから出て映画を見ることにした。 ネットで英語の字幕映画を一つ選んで、時々セリフを口にしながら、なんとか涼の事を考えないようにした。

映画を見終わったころには自然に眠気がさして、ベットでやっと眠れた。

目を覚ますと、目覚まし時計の針は早朝の4時だった。 ご飯もお風呂も入らず寝てしまっていた。

輝は、お風呂の追い焚きのスイッチを入れて、待つ間、お湯を沸かしてお茶漬けにしてご飯を食べた。

追い焚きのスイッチの所から お風呂が沸きました。 というコール音がして、輝はお風呂に入った。

典子が、お手洗いに行くために起きてきて、『 あー君 お風呂?』『あ~ うん』 『昨日晩御飯作って起こしたんだけどぐっすり眠ってたから、そのまま寝かしといたよ。 おかずは冷蔵庫のタッパーウェアの中に入れてあるから、食べたい時食べてね。』 『うん ありがとう。今お茶漬け食べたから、朝ごはんの時食べるよ。』 『うん じゃ そうして。』 典子はお手洗いに行って寝室に戻った。


朝ごはんを急いで食べて、輝は自転車に飛び乗った。 少しいつもより起きるのが遅くなって、急いで行かないと遅刻しそうだった。

なんとか、HRのチャイムの前に教室に着くとみんながざわめいている。

『おい 渉。 何かあったの?』 輝が渉に聞くと、 『なんかさ~ 涼ちゃん 古賀に断ったって で うちの女子、結構 古賀のファン多いから 良かった~ みたいになってるらしいわ。』

『そうなんだ。』 輝は内心 ほっとした。 別に涼が輝と付き合ってくれるわけではないが、やっぱり他の男と歩いてる姿とか見たくはない。

渉は、輝に 『良かったな~』 と言った。 『なんで 俺に言う?』 『いやいや 輝もほっとしたかなって思ってな。』 渉はにたついている。 『涼ちゃんが誰と付き合おうと彼女の自由だから、俺がそれでうれしいとか悲しいとか関係ないし。』 『そうかな~ まぁ 俺はまた明日香ちゃんや涼ちゃんと気兼ねなくまたカラオケ行けるのは、うれしいけどな~。』 『渉!お前は理恵ちゃんと二人で行ってやれよ!』 『なぁ 輝 今度、理恵も連れてっていいか?』 『そりゃ お前の彼女なんだし、俺はいいよ。』 『じゃ 今度は5人で行こう。 理恵はさ~ 何か 輝が明日香ちゃんか涼ちゃんと上手く行けばいいな~とか思ってたみたいで、ちょっと遠慮してたみたいなんだよ。』 『お前が明日香ちゃんと親しくしてると心配するんじゃないの?』

『明日香ちゃんはバンドのボーカルだし、 俺は理恵に信用されてるの! 俺そういう所はちゃんとしてるから。』 『まぁ 渉は浮気するようなタイプではない事は確かだよな。 そんな度胸もないし。』 『おいおい 俺 小心者じゃないぞ。 ただちゃんと理恵を大事にしてるだけだし。』 『わかった わかった。(笑)』 輝は、なんだかんだ言っても、涼が断ってくれた事で明るくなっていた。


期末試験の結果が帰って来た。 輝は少し成績が下がったがそれでも学年ではトップ10に入ってた。

渉が、 『輝~ 結果どうだった?』 『少し順位は落ちたけど まぁ こんなものかな。』『えっ お前あんだけバイトやら遊んでて9位かよ? くそう~ 頭いいやつが羨ましいわ。』 『渉は どうだった?』 『あかん 俺 追試だわ・・・ なぁ 輝 俺に数学だけ教えてくれないかな~?』 『理恵ちゃんに教えてもらうんじゃないのかよ?』 『理恵は数学だけは苦手でさ~ なぁ~ 頼むよ。』 『いいけど 2時間くらいだぞ。俺 夕方からは、バイト入らないとだし。』

渉は、『じゃさ バイトには、俺んちから直接行けよ。 バイク停めるスペースうちの駐車場にあるしさ。うちからの方がバイト先近いやん。 俺んちで教えて。』  『じゃ わかった。 家で着替えたら 渉んち行くわ。』


渉の家は、一戸建ての二世帯住宅で、渉は小学4年生まで、大阪に住んでいた。 言葉は随分こちらの言葉に慣れたが、今でも時々、関西で使っていた言葉が自然に少し交じることがある。 輝も関西弁は話せた。 それは祖父が生きてた頃、よく京都の祖父の家に遊びに行ったからだ。 祖父の近所に住んでいた、同じくらいの子供たちと遊んでいた時に覚えて、関西弁のアクセントで話しても違和感がないほど話せた。輝は、渉と話してると、自分では意識がないうちに、渉の関西弁につられて関西弁がわずかながら交じってしまう。

 渉の父が名古屋に転勤になり、実家の祖父の家を建て替えて二世帯住宅にして、住んでいる。

もし、父が転勤に再度なっても、今度は単身赴任にしてもらうそうだ。


輝は渉の、家に着きインターホンを鳴らした。 『すみません。水主です。』 『あっ 輝ちょい待って すぐ行くわ。』 渉が出てきて、『バイクそこに置いて。』 と言って二人は家に入った。 輝は『お邪魔します。』と言って、家に入った。 渉の祖母が 『輝さん いらっしゃい。 いつも渉と仲良くしてくださってありがとう。』と言った。 輝は『いえ 渉君がいると楽しいので、僕のほうが仲良くしてもらってるという感じです。』 と言った。 祖母は 『まぁ そんな風に言ってくださってうれしいわ。』 と言った。

渉は、『おばあちゃん、ちょい勉強教えてもらうから、部屋行くね。』と言った。 輝は 祖母に軽く会釈して2階の渉の部屋へ階段を上がって行った。 渉には2歳下の妹がいたが、その日は家にいなかった。

渉の、祖父と祖母は、輝をすごく気に入っていた。 あの子は、玄関で靴を脱いでも、必ずきちっと揃えて上がるし、挨拶も本当に丁寧にできる。 躾がいい子だ。と褒めていた。


しばらくすると、渉の母がパートから帰って来た。 渉の母は、司書の資格を持っていて、近くの公立図書館に夕方4時まで、働いていた。

輝ももう少ししたら、バイトに行く時間だ。 渉の母は、『輝君帰る前に、飲み物用意してあるから、それだけでも飲んで行って。 頭の悪い息子の面倒みてもらってすみません。』と言った。

渉は、確かに成績が良くないが、それは愛心高校だからと言うだけであって、公立の進学校なら上位に入れるだけの力は十分にあった。 ただ、愛心の偏差値が高すぎるので渉が低迷しているだけなのだ。

輝は、『渉君は頭全然悪くないですよ。 ちょっとやり方が良くないのでそれを変えれば普通に出来ますよ。』と輝が渉の母に言うと、『渉 あなたいいお友達持ったわね。 輝君に感謝しなさいよ!』と言った。

渉は、『わかってるって。 輝にはいつも感謝してるし。』 と言った。

飲み物を飲んで、輝は『ご馳走様でした。 グラスはシンクの横に置けばいいですか?』と渉の母に尋ねた。

『ううん 輝君 私が片付けるからそのままでいいのよ。』 『じゃ よろしくお願いします。 お邪魔しました。』 そう言って輝は 渉に、『ほんじゃな~』 と行って ル・シエルに向かった。

渉の母は、『水主さんところ、母子家庭でお母さん働いてらっしゃるのに、どうしたらあんな行儀の良い、しっかりした子に育つのかしら? 両親そろってても、 うちなんか あんななのに・・・』と呟いた。


輝は 涼が、古賀に断った事で元気が出て、頑張って働いた。

『もうすっかり体調良くなったみたいだな。』 高峰シェフは笑顔で輝に言った。

『すみませんでした。 もう大丈夫なので頑張ります!』 『うん 頼むな。』

この日は、なんだか凄く忙しく、輝は頼まれて閉店までバイトした。

仕事が終った時、高峰シェフが、クーラーボックスに色々食材を詰めて、『これ店で余った分、家で使いなさい。 古いものはないけれど、切れ端みたいなものが多いから工夫して使ってな。』 と渡してくれた。

時々こうやって、シェフは良い食材を輝に、渡してくれていた。

『ありがとうございます。 使わせて頂きます。』 『うん お母さんは どう?元気にされてる?』  『はい。母は元気で働いてます。 最近は聖書ばかり読んでます。』 『そうかそうか まぁ 元気ならなにより。よろしく言っておいてよ。』 『はい 伝えておきます。』

輝は、もらった食材で、時々典子のために、豪華な料理を作った。

輝は、自分の分の昼食の弁当は、できるだけ自分で作っていたが、今は短縮授業で自分の分はいらないので、母の弁当をたまには作ってあげようかなと思って、家でクーラーボックスの食材を眺めながらどういうお弁当にしようかと思案していた。





冬休みが始まり、大晦日の夜 輝は渉たちと初詣にでかける。 そこで・・・

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