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異世界に魔王はいない  作者: 滝沢良也
『些細な願い』
23/27

第1章22『墓参り』

 ――――小学校を卒業し、俺は中学校に入学した。

 小学校では、友達はいなかった。いわゆるぼっちという奴だ。

 その原因は、大まか予想はついている。

 俺がいつも一人でいると、先生や同級生達はいつも俺に話しかけてきてくれた。

 だが、俺はそのたびに、そっけない態度を繰り返していた。

 それでもめげずに俺と仲良くしようとしてくれる人もいた。

 だが、俺の態度は変わらなかった。

 それからは、俺は誰にも相手をされなくなった。

 そうなるのも仕方のないことだった。

 当時、まだまだ幼かった俺の頭の中には、母の事、父の暴力の事しか頭になかった。そこに友達というものが入る余地はなかった。

 事件の後は元々素っ気なかった俺の態度がさらに素っ気なくなった。

 そんな俺が、中学に入り、急に友達ができるわけもなくこれまでと同様に、俺はぼっちだった。

 青春のせの文字もないような中学生活を送っていたある日、俺は学校を休んだ。

 ズル休みをしていたわけでもなく、病気になったわけでもなかった。

 ただ、その日は母の命日だった。

 その日は、叔母さん一家と伯母さん一家と母の墓参りをした。

 俺はその中で、最年少だったため雑用を頼まれた。その雑用を断る理由が見当たらないため、俺はあっさりと承諾した。

 雑用の内容は、『水を汲んで来い』とのことだった。

 特に何もなく、バケツ一杯に水を汲み終えた俺は、墓前へと戻る。だが、そこで事件は起こった。

 俺が墓前へと戻る階段を上っていると、叔母さんたちの話し声が聞こえてきた。

 俺は、足を止め、耳を澄ませる。

 程なくして、叔母さんたちの話していた内容を聞いた。いや聞いてしまった。

 それは、衝撃の内容だった。

 母がDVにあっている事を知っていたということ。

 知っていながら、知らないふりをしていたということ。

 俺は胸の内から何か熱い物がこみ上げてくるのを感じた。

 それは後悔などではなかった―――

 ――――それはただの怒りだった。

 俺は、説明するのが難しいほどに怒り・憎悪を感じていた。

 

 

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