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カイ×カイ   作者: 棒王 円
カイ×カイ ~人食い怪異と怪異狩り~
5/9

5



不意に。

納音のおとの横の塀の影から、何か大きなものがゆらりと出て来た。

二人の間に割り込むように、立ちふさがる。


「え?」


納音の目の前に、不気味な影の塊が立っている。

真っ黒な毛並み。

生臭い荒い息づかい。


それが納音を見た。

見られた瞬間、納音は呼吸する事を忘れる。


人間の男より大きな黒い影だった。

顔も真っ黒で形がよく分からないが、動物のようだと納音は思う。

らんらんと光る赤く発光した目と、犬のように伸びた長い鼻。

そして顎の先まで裂けている大きな口には無数の鋭利な歯。口の中は真っ赤に染まっていた。赤い液体と何かの肉片が口の端にこびりついていて。


恐怖で動く事も出来ない。

生暖かい息をはく口が、納音の眼前まで迫っていた。


「初川!!」


その影と納音の間に、銀色の光が割って入った。

納音の視界がグレーのパーカーで覆われる。


ほふりが影と納音の間に割って立っていた。

影はバッと二人から飛びずさる。


ウルルルルルルル…。


低いケダモノのような唸り声が、納音の塞がれた視界の向こう側から聞こえた。

祝が何かを右手に持っている。

納音はそれが刀だと気付いてビクリと身を固くする。

しかし得体の知れない恐怖で、身体は竦み声も出せない。


納音の目の前から、グレーの色が消失する。

祝はその影に太い刀で切りかかっていた。

影が横に立ち切られる。

しかしそれが崩れ落ちることはなく、切られた先から癒着し形を戻していく。


祝がちっと舌打ちをする。

共に距離を置いて相手の出方を伺っているが、影は塀に近寄るとそこに在る影に吸い込まれるように消えた。


「…逃がしたか…」


大きな何かが消えた影の当たりを、祝は睨みつけていたが、やがて肩の力を抜くと納音の傍に戻ってくる。

ずっと立ち尽くしていた納音は、祝が傍に着た途端へなへなと座り込んだ。


「…大丈夫か?」


納音は混乱している頭を軽く横に降る。

たった数分の間に起こった出来事に、頭がついていかない。


「立てるか?初川」


納音がまた首を振ると祝は小さく溜め息を吐いてから、ひょいと納音を抱き上げた。




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