七話 「戦争の代償」
今回も戦闘シーンがありません。スンマセン
「来たよ」
「遅かったね」
湖の片隅にいた少女にまた会いに行ったミクリ。
少女は昨日と同じ姿だった。
「なんで今日じゃないといけないの?」
「おしえられな~い」
焦らす少女。待ちぼうけになるのかと思っていた。
「私ね、あなたとお話ししたかったの」
「じゃあ普通に話せば・・・」
「だめなの」
「?」
訳がわからない。理不尽にはなれているが、ここまで秘密秘密だと意味が読めない。
「私もうここにいられないの。だから最後にあなたと遊びたかった」
「いられないって、どういうこと?」
「いいからさ、遊ぼうよ」
少女に手を引かれて森に入って行った。
入ったことが無かった森林は、ミクリの目を彩った。
少女が連れてきた空間は、様々な花や鳥、生き物がいる不思議なところだった。
「うわぁぁ・・・」
「すごいでしょ?」
「うん・・・」
すこし怖かった想いもあったがすぐに消え去った。今自分が居る空間が別世界のように感じられた。
それからは色んな所に行ったり、彼女の作ったもので遊んだりと、楽しく愉快な時間が流れた。
気づけばミクリは毎日のようにそこを訪れていた。
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「最近ミクリ君、森の奥に行っているみたいね」
「いいんじゃないの、あいつだってまだ子どもなんだから」
「危なくないかしら」
「安全だって言ったのおまえだろ」
ガウェインは今日までの情報を見返していた。しかしある記事を見た時、飲んでいたコーヒーの手が止まった。
「おい、ちょっとこれ見てくれ」
「なに?なんの話が載ってるの?・・・・・これは!?」
「ああ、まずいな」
その内容は「黒いマシンの被害内容」と書かれていた。それはどれもひどい物で
「近いうちにこいつとも対面するかもな」
「ええ、残念だけれど」
その黒い機体には見覚えがあった。黒と赤の機体になびくマント、右手に構える大きな鎌、そしてなにより。
「この顔は忘れられないわ」
マシンの顔が動物の骨の様な形をしていたのだ。
牛か羊か、なにかの宗教に関わるのかは分からない。が、その顔から伝わってくるのは、死神、悪魔、魔王。そう言ったものが分かる、憎たらしい機体だった。
「アルデバラン・・・強欲の使者」
詳細には載っていない名前。それがこの機体の名前のようだった。
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ジャズが鳴っている、レトロな風景で、カジノの様な雰囲気を味あわせる。
バーの席に一人の男が座っている。
「やあ、やはり来たね」
ジョニー・エイモンド将軍が座っている。グラスに酒を注いでちょびちょび飲んでいるようだ。
「ええ、ここは私たちだけの場所ですから」
「ここでは元の言い方でいいですよ。『先輩』」
「そう言われると腰が抜けそうだな『ジョニー』」
立場が逆になっている。しかしこれが正解のようだ。
「まさか後輩に階級を抜かれるなんてな」
「先輩だって立派に艦長やってるじゃないですか」
もともと同じ隊にいた二人。しかしアフターウォーの前章「ヴィスタント戦役」で、ジョニーは初めて司令官を務めた。そのときの指揮下にオルガスが乗っている艦があったのだ。実質二人とも司令官を務めたことがあるが、戦役以来、大きな階級変更がされてこなかった。
「お前は言ったはずだ。俺がエンタープライズに居た時から『俺は変わってない』って。お前も同じで変わってない」
「ええ、これが世界が私たちに植え付けた代償ならば受け入れます」
彼らの話は夜まで続いた。同時に酒も進んだ。