五話 「キャリーベース」
戦闘シーンがなくてすいません。もうちょっとしたら出てくるので。
「誘導レーザー受信。ラインゲート開きます」
砂漠の中をあれから一時間。北米大陸前線基地「キャリーベース」に到着した。
「レーザー安定。このまま降下してください」
本部からの案内で、基地内部にあるドックに停泊することに。修理と補給をここで受けて前線を駆けるのだ。
傭兵を束ねて指揮する隊は他にもあるが、オルゲンゲーテの保有する隊は中でも一番多い。
徐々に降下していき、ベイゲートをくぐるとそこには広大な大地が広がっていた。
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「うわぁ~」
窓に顔を張り付けて凝視するミクリ。そとの殺風景な世界とは別世界の様な景色だ。
一面緑に覆われ、鳥や花が咲いている。ミクリにとっては見たことのない大森林だった。
「驚いたろぉ?俺もここに来た時はマジビビったわぁ」
「は、はいぃぃ」
ミクリはすでにこの自然の虜になってしまった。
窓から見える風景はミクリにとって宝の様な存在になった。
「ここは自然を保護するために作られたジオフロントよ。可能な限りのサンプルを増殖させたの。だから見たこともない植物や生物がたくさんいるはずよ」
やけに詳しいレイ。しかしミクリは早く行きたくてうずうずしていた。16歳とはいえまだ子供、未発達な好奇心が余計に高ぶるのだろう。
「にしても、ここまでよく掘ったよなぁ。上の大地が沈むんじゃないか?」
「大丈夫でしょ。自然の穴を使ってるんだから」
この穴はキャラバスクレーターと呼ばれる自然に出来た穴だ。大量のガスが入っていたのか、ある日に地下から爆発音が聞こえた。掘り進めてみると巨大な空洞があったらしい。
「なんとも不思議なことで」
ガウェインはあまりメルヘンチックなことは好きでない様子。
そんなことをしているうちに港へ着いた。
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「スゥゥゥ!」
大きく息を吸うレイとミクリ。
「ハァァァァ!」
吸った息を堪能して吐いた。笑顔がこぼれてニヤついたレイ。
「やっぱりここの空気は最高ね!酸素が直に感じられて、もう最高!!」
よほど嬉しいのか、最高を二回言ってしまった。
「そんなにはしゃぐなよ。田舎者と思われるぞ」
「あんたみたいな古臭い人間は悲しいわねぇ」
挑発する二人。しかしはしゃいでいるのはレイだけではなかった。
艦からクルーが次々と降りてきて、その手には透明なバッグを持っていた。
「あの人たち何持ってるんですか?」
見たことが無い物だ、中身も何だかわからない。ミクリがレイ達に尋ねると。
「あれはな。男のロマンになる予定だった物だ」
ミクリの背後でボソッと呟いたガウェインにビックリした。
「あんたそんな目で見てたの。キッモ、近寄らないで」
「ひでぇ扱いだなぁ。事実なんだからしょうがないだろぉ」
何の事を言っているのか分からなかったが。レイが教えてくれた。
「あれはね。『水着』よ」
「はへ?」
意外な答えに驚いた。しかしミクリにとって水着は作業服のようなものだったので勘違いした。
「ああ、なるほど」
「それだけか?」
「それだけですけど・・・」
二人もあっさりとした反応に戸惑う。
「まあいっか。じゃあ行きましょう」
南国のような道を歩いていった。