見捨てられた場所 13
お待たせしております。
「あ、おにーちゃんだ!」
「ええっ? 貴方はいったい誰……この匂い、まさかキャロなの!?」
「そうだよ。ユウキおにーちゃんがくれたリボンで”へんしん”? したんだって。あ、ママ! 見て見て!」
リエッタ師の付与魔導具を施したリボンを身に着けて人間の幼女に変身したキャロはその姿を家族に見せようと、一目散に転移環へ飛び乗った。俺も既に話は通してあるとはいえあちらの家族に詳細な説明をする必要を感じ、あの子の後を追うことにする。
しかしなんだ、変身した後も服はちゃんと来ているご都合主義設計だったのは有り難い限りだ。俺の膝上くらいの背丈だったキャロが、変身により腰まで身長が伸びているのだ。魔道具の効果ばかりが気になって変身したその後を一切考慮してなかった俺の落ち度だった。
「ねー、とーちゃん。あれなあに? キャロちゃんかわったのなに?」
俺の腕の中には目を輝かせたシャオが俺に質問攻めだが、悪いがこっちも付与魔法については詳しく解ってないんだ。あいまいな答えを返しながら歩くのだが……なんと答えたものか。
まともに説明しても娘には理解できないだろうから、不思議な力だよと言葉を濁すにとどまったが、すごーい! と納得してくれたのは助かった。
「あれがあんたが北で前に話してた変身の魔導具なのね? リエッタ様の実力は向こうでも見たけれど、本当に付与魔法ってとんでもないわね……」
護衛の黒猫クロを腕に抱くシャオを抱き上げながらラコンに突撃するキャロの後を追っていた俺に話しかけてきたのはエレーナだった。彼女もここに居ることは先ほど<マップ>で確認していた。エレーナもこの訪問の理由の一つなので手間が省けてちょうどよかった。
「ああ、キルディスの多重支援魔法も物凄かったが、今回もぶっ飛んでるな。頼んだ俺が言うのもなんだが、よく作ってくれたと思うよ。“変身”なんて完全に遺失魔法だろ、エルフのあの人じゃなきゃ存在自体忘れられてそうだぜ」
俺が持つ認識阻害の指輪の指輪は獣人が存在しない日本に連れてゆくための手段として最適だと思われた。玲二が試しに繁華街で目立つ行為をしてみても指輪を嵌めた状態では注目を集めなかったというから、間違いなく使えるだろう。だが、こいつには欠点がある。装着した当人の認識を阻害するので他人と触れると効果が打ち消されてしまうのだ。
ラコンやアードラーさんたちなら問題なく振る舞えるだろうが、幼いキャロにそれを求めるのは無理だろう。無邪気に俺やセレナさんに抱き着いた瞬間に大騒ぎになってしまうのは間違いない。
妹に厳しいラコンはキャロを連れてゆく必要はないと言い切ったが、あの子だけ仲間外れにするのは俺の流儀に反する。何とか手段を講じる必要があり、俺の浅知恵ではすぐに限界が来た。
暗礁に乗り上げた難題に光明を齎してくれたのが付与魔法の泰斗であるリエッタ師であったというわけだ。
「ユウキさん、娘のためにお骨折りを戴きましてありがとうございます」
シャオがエレーナに駆け寄ってその腕の中に納まった時、セレナさんがこちらに話しかけてきた。彼女には以前に話を通していたのでその顔に驚きはない。
「いえ、これは自分のためでもあるので、どうかお気になさらず」
恐縮するセレナさんに俺は本心から答えた。実際の所、エレーナの胸に顔を埋めるシャオの口をふさぐ事ができない以上、絶対にキャロに異世界の話は漏れる。その際に隠し事が露見する厄介さを考えれば今の内に手を尽くしておくべきなのだ。
どうしてキャロは行っちゃダメなの? と目に大粒の涙を浮かべて問われる未来が回避できただけで俺にとっては最大の成果だ。
ああ、でも認識阻害の指輪は意味がないな。俺の目の前でキャロが兄のラコンに抱きついているが、彼は自分の背丈より大きく変身した妹に微妙な顔をしている。気持ちはわかるぞ、妹に背丈を越されたくないよな。
だがキャロの方から抱きつけば認識阻害の効果は消えてしまう。そして幼児にそんな詳しい説明をしても解ってはくれないだろう。
つまり、アードラーさんやラコンがいくら気を付けてもキャロが抱きつけば全て無意味じゃないか。
大人しくあと3つの付与魔導具をリエッタ師にお願いしよう。お礼は何が良いだろうか?
「だがこれで取り合えず一段落だな」
準備さえ整えば彼等も異世界に赴ける。実際に行くかどうかはともかくとして、シャオがキャロに日本の話をしたときにあの子だけ仲間はずれになってしまう大きな危機を脱することができたのだ。
ほっと胸を撫で下ろす俺である。
「あんたってホント変な所で律儀よね」
「俺にとって約束とは違えるものではないってだけだよ。特に子供が関わった場合はな」
確かにえらく手間がかかったが、実務はリエッタ師が担当してくれたし俺自身はどうしたもんかと気を揉んだ程度で今は安堵の気持ちでいっぱいだ。もしこれが失敗したらキャロだけ日本へ連れていけないと身内に説明する未来が訪れていたのだ。そんな事は想像もしたくない。
「確かあんた、聞いた話じゃスラムのもっと厄介な問題に関わってるんじゃなかったっけ?」
「その通りだが、あれはほぼ俺の手を離れたんだよ。後は関係各所が勝手に動くだろうさ。それに俺にとってはこっちの方がよほど優先順位は高いしな」
「相変わらず変な奴ねえ」
キャロに泣かれたら俺にはどうしようもないし、娘の口を閉じる方法がない以上、最優先で対処すべき事例だった。これに比べれば貧民窟など他人事以下の些事に過ぎない。
「それはそうとエレーナ……」
俺は無言で彼女を小さく手招きした。これはキャロに隠れて行わなくてはならないので自然と声も小さくなった。
「え? なによ突然?」
俺は周囲を窺いつつ、怪訝な顔でこちらを見るエレーナを人知れず転移環へ招き、セラ先生の店に案内することに成功した。
「マール! もう、遅いじゃない。待ってたわ、これでやっとみんな揃ったわね!」
「わっ、エレーナさん! お、お待たせしてごめんなさい」
エレーナは遅れてきた仲間の最後の一人を見つけると駆け寄って隣にいた姉弟子ごと抱きしめている。
「いいのよ、どうせユウキがあの魔導具を置くのを手間取ったのでしょう? 悪いのは全部あいつなんだから!」
どんな流れで俺が悪いのかさっぱり解らんが、楽しそうな4人を見れて俺も胸を撫で下ろしている。最近は元気の無い姉弟子を見かねたセラ先生が俺になんとかせい、と圧力をかけてくる始末だった。
果たしてこれは俺のせいなのか? と疑問を感じつつもライカールに設置した転移環はジュリアの故郷であるラインハンザだけなので王都セイレンにも置きたいとは常に考えていた。
王都セイレンは当然として、ラインハンザも海洋交易都市として珍しい品が入荷して眺めるだけでも面白い都市だ。獣王国の王都ラーテルの大市場には規模こそ一歩劣るが、新大陸に集まる品とは趣を異にした商品が集まるのであの港町も興味は尽きないのだ。
それにあの都市は俺が出資して大改造中なので、面白い建物がいろいろ作られている。”美の館”の支店の出店も決まっており、周囲から熱い視線が注がれているとか。
共にライカールを代表する街だけあってそれぞれ特色があるが、二都市とはかなり距離が離れており気軽に移動とはいかず不便ではあった。俺もクランの一員として王都セイレンには顔は出したくもあり、先生に尻を叩かれたのは事実だが、最終的には俺の意思で設置を決めた。
「さて、ポルカ。今日から君の修行が始まるわけだが、その前に色々と準備を済ませておかねばならない。まずは君の机から用意しようか」
「そんな、レイアさん。僕に机なんて必要ありませんよ、クランから木箱でも持ってきます」
「それは駄目だ。君の天賦の才は正しく伸ばされなくてはならない。正しい手順で正しい道具を用いてこそ、確かな才能は輝きを見せるのだ。さあ、色々と準備をしようではないか。大導師よ、弟弟子は借りて行きますぞ」
「あ、あの、先生!」
ポルカの叫びも虚しくレイアの言葉にセラ先生は手をひらひらと振って了承の意を示し、リエッタ師と茶を飲んでいた。
ポルカを俺が移動させることを決めてからレイアは今日という日に向けて張り切っていた。どうも彼女は幼い子供の相手をするのに慣れているようであり、今も彼の世話を焼いてやっている。本来は姉弟子の役割だろうが、彼女はマールに向かっているからな。
「さあ、行こう。なあに、心配することはない。ポルカに合った道具は既に見つけてあるのだ。後は君の手に馴染むかどうかさ」
「あの、レイアさん……よ、よろしくお願いします」
良いのかな、と俺を見てきたポルカに頷いてやると彼は安堵したようだった。レイアは俺を一瞥してこの場を離れる意思を告げ、転移環が置かれている部屋へ向かった。ひとつの嵐が去ったわけだが、この店内にはまだ騒動の種が残っている。
「ここがあの伝説の魔導具店“八耀亭”……魔導を志す者なら一度は訪れてたいと願う聖地……何て素晴らしいんだ!」
「す、凄え! 置いてある品がどれも秘宝級の魔力量だ! ガキの時分にお袋が話してくれた通りじゃねえか! それに、この店そのものが結界に覆われてるぞ、なんて精緻な展開力だ、凄すぎて俺じゃ推し測れねえ……」
クランの幹部様二人は転移環に度肝を抜かれたあと、魔法使いとして雲の上の存在であるセラ先生の店にいると気づいて今度はそこに興奮しているのだった。
「二人とも、落ち着いてください。ユウキ様が二人にこの事実を明かした意味を正しく理解していますか?」
興奮しきりの二人に冷や水を浴びせたのはユウナだった。純然たる魔法使いとして伝説の存在であるセラ先生の店に思いがけず訪れて喜んでいた二人はユウナの言葉に落ち着きを取り戻している。
「ああ、もちろんだ。ユウキの信頼を無碍にはしねえ。ポルカとマールだけじゃあの家までの道行きは不安が残るのも解るしよ。秘密は責任をもって守らせてもらうぜ」
「弟に同じくさ。これほどの神器を見せてくれた感謝を忘れはしないよ。研究者の性として私にも一つ欲しいとは言いたいが、まだ例の品の研究も始めたばかりだからね」
ラルフとルーシアはユウナに告げてはいるが俺にも言葉を発している。分別を弁えた幹部にこれ以上言葉を重ねる必要もなく、俺は別の話題を口にした。
「あの二人を俺が連れてくると決めた時点でお前たちを巻き込むつもりだったんだ。だから命に代えてでも秘密は守れとは言わないが、気を遣ってくれると助かる。その分面白いものを見せてやるからよ」
「君が短時間で世界各地に現れると噂にはなっていたから何らかの移動手段があるとは見ていたが、まさか転機を可能とする魔道具が実在するとはね。君のことだ、きっと新大陸や大陸北部にも繋がっているに違いない。期待させてもらうよ」
「姉貴……駄目だこりゃ、数寄が抑えられねえようだ」
「お前も望みが顔に出てるぞ。ダンジョンはまた今度連れてってやるから」
姉を諦めの顔で見つめるラルフだが、こいつもウィスカのダンジョンに行ってみてぇ、と顔に書いてある。いいのか! と喜色を浮かべるラルフだが、こいつの実力と魔導書があれば戦えはするだろう。継戦能力が必要な”攻略”ができるかどうかは話が別だが。
幹部二人はユウナが先生の店内を案内してくれるようなので、彼女に二人のことは任せて俺は先生と茶を喫しているリエッタ師のいる卓に歩み寄った。
「あら、ユウキさん。あのリボンは上手くいったかしら?」
「ええ、持続時間など調べることはまだありますが、動作自体は問題なく機能しました。無理を聞いていただきありがとうございます」
「いいのよ、これはお礼なのだし、事情を聞けば知らんぷりなんてできないもの」
クランも子供たちが多かったし、彼女もきっと一人だけ仲間外れにされる状況は避けたいと思ってくれたに違いない。
「それでも感謝いたします。自分では手に余る案件だったもので。これであの子に泣かれる未来は避けられそうです。謝礼は後程お送りします」
「これは私の命のお礼なのだけれど……子供たちが喜んでくれるから、有り難く頂戴するわ」
俺が贈るのはマギサ魔導結社ならいつでも喜ばれる魔石や触媒だ。そのほかに普段の支援とは別に少し高めの甘味や食料を渡すことにしている。リエッタ師自身は受け取ろうとはしないだろうが、クランの皆宛てにすれば頷いてくれるのは解っていた。
この件に関しては本当に俺個人ではどうにもならなかったので、リエッタ師には感謝しきりである。
「ユウキさんもマールとポルカをよろしくお願いします。私の我が儘を押し通すことになってしまってごめんなさいね」
「思うところはありますが、いずれ自分も王都に転移環を置いたでしょうから、時間の問題でしたよ」
子供に遠くに行ってほしくないという親心を見せられては強くは言えない。彼女の子供たちが王都にあんなに多いのもそこらへんに理由がありそうな気がしてきた。
「アリアちゃんもいるから不安はないと思うけど、マールの事もできるだけ見ていてくれると嬉しいのだけれど……」
他にも冒険者をやっている子供たちは大勢いるはずだが、リエッタ師はマールを心配している。確かに女性だけのパーティーだと余計な面倒の種が生まれることもあるが、そもそもあいつら普通に強いんだよな。不埒者がいてもエレーナとリーナで一捻りだろう。特にリーナは俺の弟子たちとの修行を見学に来ることも多く、その飲み込みの早さで芸達者になっている。戦闘力だけで言えばAランクでも上位に位置するはずとエレーナも太鼓判を押している。時たまやらかすポカはご愛敬だ。
「一応これからその対応をする予定でいます。じゃあ、これでこの場は失礼します」
「待て」
卓から離れようとした俺を先生が呼び止めた。何かなと思ってその顔を見る……いまだにこの美少女顔には慣れないな、と余計なことを考えていると先生は無言のまま指で卓をこつこつと叩き始めた。
おい、まさか――
「はいはい、ご存じの通り俺はそういうのに疎いんで適当に置いていきますから、お好きなものをどうぞ」
「ほう、これは異世界産か? 面白い、味見といくかの」
「まあ、これはとても綺麗ね。食べるのがもったいないくらいだわ」
普段はレイアが用意するようだが彼女は今ポルカを連れて買い物中だ。甘味を要求して来た先生の要望に不肖の弟子は応えるのだった。
「さて、お前らもこれで全員集合だな」
「ああ、ようやくメンバーが揃った。これで冒険者として本格始動だ」
わいのわいのとやっている女性陣に近づいて話しかけるとリーナがそう返事をくれた。その顔にはこれからの期待が満ち満ちている。
「そんなお前らに俺が祝いの品を送ってやろう」
「え? あんたから? 唐突すぎてなんか企んでそうなんだけど……」
姉弟子が俺の突然の提案に訝しんでいる。その他の面々も不安、というより状況が読めてない顔だ。
「とにかくついて来てくれ。悪いようにはしないさ」
そう言い放って俺も転移環で先生の店を後にした。
「また随分と騒がしくなってるな」
俺がそう独りごちたのは熱気と活気に満ちた作業場だった。
「おう、ユウキの大将、待ってたぜ。そこの嬢ちゃんたちがそうのなかい?」
数人のドワーフと共に作業の指示を出しながらこちらへ歩いてきたゲルハルトが俺に声を掛けてきた。
ランデック商会が彼に与えた工房はかなりの大きさを誇っていたが、今では多くの職人が行き交って最初の頃の静けさが噓のようだ。
「その通りだ、よろしく頼む。だが2日前より明らかに人が増えてないか?」
俺の問いかけにゲルハルトは苦笑して答えた。
「ああ、どこから嗅ぎ付けたのか、王城で暇してた連中がこっちに流れてきてこの有様だぜ。だがよ、腕は確かな奴等だし、エドガー会頭も快く受け入れちまったもんだから俺にはどうしようもねえな」
ドワーフたちはこの工房の好環境を野性の嗅覚で察知して王城から移って来たらしい。その数は日に日に増えており、このままではこの広い工房がとある称号持ちのドワーフで埋まってしまいそうだ。
「責めてるわけじゃないさ。だがここはいつの間にかとんでもない場所になってるな」
「それは確かだな。世界で最も優秀な鍛冶屋が集まってるのは間違いねえ。だがよ、大将が持ち込んだ材料を見れば奴等も腕の振るい甲斐があるってもんだ。職人なんざいい仕事が出来て美味い飯と酒があれば文句は言わねえ生き物よ、その点ここは最高だな! ドワーフの願いを叶える全てが揃ってるときた」
「それで俺たちはそんな彼らの作品をもらいうける事が出来るって訳だ。互いに得しかない話でなによりだ」
違えねえと笑いあう俺たちに対して。連れて来られた4人は文句を言いたげな顔をしている。
「ねえユウキ、黙って事を進めようとするのはあんたの悪い癖よ? どうして私たちをここへ連れてくる必要があるわけ?」
4人を代表してエレーナが俺に説明を求めてきたので、彼女の望みをかなえてやることにした。
「解ってるよ、俺はあんたらの結成祝いに防具を贈るつもりでいる。この中でまともな防具を持っているのはエレーナだけだろ? そんな恰好で冒険者として依頼に行くのかと思うと不安になるくらいだからな」
俺の言葉に最初に反応したのはマールだった。姉弟子とリーナには前に伝えてあるので納得顔だ。
「防具を? 私のためにそこまで気を遣わなくてもいいのに」
「防具は自分の身を守ってくれる大事なものだぞ。特にお前らは全員後衛だし、敵に懐に入られたら厄介だ。身に着ける品は最高のものにしておけ」
「うん。わかった、ありがとう」
「さあお嬢ちゃんたち、話はまとまったかい? じゃあ採寸を始めようじゃ……って、誰かと思えは紅眼のエレーナじゃないか! 久しぶりだねえ、何年ぶりだい?」
背後からデボラさんが巻尺を手にこちらに歩いてきたのだが、エレーナを見て驚きの声を上げているが、それは彼女の方も同様なようだ。
「え、貴女まさか”破城槌”のデボラ!? 貴女が引退して以来だから、5年は経っているかしら? 元気そうでよかったわ」
高名な二人は互いに面識があったらしい。思いがけない再会に喜び合う二人だが、不意にエレーナが真剣な顔になった。
「え、ちょっと待って? 貴方の出身は北の方よね? なんで南端のランヌ王国に? ……色々と事情がありそうね」
「なぁに、ウチの亭主を追ってここまで来たのさ。大した意味はないよ、さあて採寸を始めようかね」
俺は彼女たちを驚かせたくてこの件の細部は語っていない。最初にそのことに気付いたエレーナの顔が驚愕に満ちてゆく。
「貴女の亭主って、たしか神匠ゲルハルトじゃない……うそでしょ、まさかそんな!?」
「ああ、そうさ。あんたらは運がいい。ウチの旦那の防具を身に着けられるんだ。ドワーフの中でも最高の技量をもつマスタードワーフが、あんたらのために特注装備を作り上げてくれるってんだからさ!」
楽しんでいただければ幸いです。
申し訳ない、ひと月掛かってしまいました。理由はいろいろありますが、単純に私の問題です。色々ありました(遠い目)。普段より短いし。
これからは少しはマシな更新になるはずです。(願望)
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