奈落の底から 30
お待たせしております。
魔石はその内包する魔力量で9つの等級に分けられている。
一番価値が低いのは等級外とされる通称クズ魔石だ。世界に存在する半数以上の魔物がクズ魔石と呼ばれる等級外の魔石を有しているが、基本的な能力の魔導具を一刻(時間)程度動かす事が可能で、それ故にもっとも数多く使い捨てられている。
その上が8等級で先ほどの魔導具の基準で言えば一日ほど稼動させられる魔力を持つ。この辺りからギルドの高価買い取り対象になる。
7等級にもなるとBランクモンスターほどの強敵が持つ魔石になってゆく。6等級は数えるほどの敵しか持ち得ない。それが地上の人類生存圏における不文律となって久しい。
その例外がダンジョンである。魔力の塊ともいえる存在のダンジョンモンスターは地上の魔物とは比べ物にならないほどの上質な魔石を落とす。倒した敵が必ず落とす訳ではないが、当たれば利益は莫大だ。お宝が出なくても魔石で収支は黒字になるくらいで、金と名誉欲に駆られた冒険者達がダンジョンに挑む原動力だ。そこからは多くの財貨が生み出され人類の経済に多大な貢献を為している。
地上ではクズ魔石しか持たないゴブリンも難易度次第では8等級の魔石を落とすダンジョンだってあるのだ。数多くの冒険者が危険を知りながらもその深部に挑む理由も解ろうというものだ。
余談であるがウィスカは一層のゴブリンが7等級の魔石を落とす。これは発見されたダンジョンの中で世界唯一であり、あそこの鬼畜難易度の証明とされている。
だから俺も借金返済の有効な手段としてウィスカ攻略を思いついた訳でもあるが、まだ性懲りもなく身の程を知らない馬鹿共が挑んで大勢帰らぬ人になっている。いくら番人をダンジョン前に配置してもその蛮勇を止める術をギルドは有していないのだ。
話が逸れかけたが、高位等級の魔石には興味深い共通点がある。それは現存する3等級以上の魔石は全て地上の魔物から得られたものだということだ。俺も実体験として獣王国の秘蹟ダンジョンでは最下層に黒竜がいたが、あいつは竜玉という宝石は落としたが魔石は落とさなかったのだ。
どうやらダンジョンでの魔石は3等級が限度らしい。ここには魔物の生態を専門としている研究家のトーリがいたので聞いてみたら、どうやら生物としての”格”が魔石の質に影響を及ぼすのではないかとのことだった。
ダンジョンの魔物は基本生まれたてだし、生命体としての格は下の下だろうな。凶暴ではあるが、毎回同じ行動をするので攻略法を編み出せれば簡単に始末できる。知識を蓄える集合知があれば話は変わってくるのだろうが、生物としては一切の進歩がないのだ。
というわけで、ダンジョンは高品質な魔石を産出する場なのだが、最上級の魔石は天然物でしか取れないのではないかというのが定説だ。
そして現存する魔石は全て2等級である。過去の英雄たちが打倒した世界を滅ぼしうる魔物どもが体内に有していた魔石だが、それでも2等級なのだ。
2等級の魔石は結構な数が現存していると聞く。古代魔導具を起動する為に必須なのだが、一国を滅ぼすような超威力の魔導具ばかりでおいそれと使えない代物ばかりだからだ。それ故に長い歴史を持つ国の宝物庫に数個は眠っているとか。
それならば1等級の魔石はいかなる魔物から生み出されるのか、長い歴史の中で多くの学者が研究を重ねてきたが明確な答えはない。
与太話として神話の中にのみ名前がある世界を食らう蛇とか総てを統べる8体の王竜だとかが1等級なんだろうな、とされているのみだ。そのうちの一つは嘘である事が最近解ったが、今ここに押し寄せているような異境の支配者たちなどもその候補に入るだろう。
だが1等級は本当に存在しないのか、気になっている者は俺や先生を含め数多い。しかしそんな魔物の自然発生を狙うのは奇跡を願うより確率が低いのはわかっていた。なにせこれまでに打倒された怪物たちでさえ2等級が限度で、それ以上の神域に存在する生命体になるとまず人類領域には降りて来ない。そうなるとこちらから踏み込む他ないが、それは自殺志願以外の何者でもない。
俺もわざわざ領域外に踏み入って無意味な殺戮を行う下品な真似はしたくない。だから相手がこちら側に来てくれるような都合の良い展開があればいいな、と思う程度だったのだが……今回そんなあまりにご都合的な状況が向こうからやって来たのだ。
智慧を持つ進化個体が数体も同じ戦場に生まれるなど、奈落の底が開いたときしか起こりえない。それも高品質な餌である異境の魔物が数え切れないくらい大量に湧いている。
こいつらが更なる強さを求めて互いを喰らい合えば……もしかすると1等級に達する神の如き力を持つ魔物が生まれる可能性があるのだ。この機を逃すなんてあまりにも勿体無い。
そう力説する俺に向けられたのはあまりにも無理解な白い視線だった。
彼等の無言の声の内容は痛いほどわかっている。
それを今この状況でやる必要がどこにあるのか? と言いたいのだろう。確かにその通りではあるのだが、俺にも言い分はある。
まず敵同士が喰らい合う事によりその数が凄い勢いで減っていることだ。異境の魔物は倒しても霞のように消えるので素材もなく金にならない敵だし、倒すなら核を的確に砕く必要があるので難易度が高く面倒な敵だ。これを敵同士で潰しあってくれるのだからそれに越したことはない。
そして記録にあった通り敵勢は15日目を限度に数は増えなかった。まだ魔物は10万以上もいるが、進化個体が更なる力を得るために共食いをしてくれるなら任せてしまおうと思っている。
それに進化した敵は素材も相応に高価になる。雑魚数百匹分の素材より奴等の方が希少性も手伝って多くの金殻を俺達に齎してくれるだろう。その他にも俺達の激闘の締めくくりをを端的に表す強敵の存在は必要だろうと説いたのだが、俺の饒舌さが逆にうさん臭さを加速させたようで誰も頷いてくれなかった。
結局は皆不満を抱きつつ黙認という形で収まったのだが……
俺の計画は大幅に修正を余儀なくされていた。
「くそっ、無駄に知恵をつけやがって。魔物の癖に日和見とか舐めてんのか? もっと獣性をむき出しにして殺しあえよ、それでも進化個体か!」
既に暗闇が世界を覆いつくす中、俺は城壁の上から毒づいた。光なき世界が広がる雪原には俺の悪罵の対象が体を休めているはずだ。くそ、こんなに時間をかけるつもりはなかったってのに。
「まあまあ。魔物達が互いに様子見に入っちゃうのは想定外だよね。知恵をつけるとこういう行動に出るとは思わなかったよ」
「だが悪い事ばかりでもないだろ。俺達はまるで動かずに敵は1万近く削れているはずだしな。結果だけを見れば上等だぜ。あの4体をお前が処理してくれるという前提があってこそだがな」
俺の近くにはバーニィとクロイス卿がいて、共に暗闇を睨みつけている。姿は見えなくとも強大な気配は察知できるので敵が何処にいるかは把握しているはずだ。
「それは問題ないですが、俺の目論見では遅くとも夕暮れまでにはケリが着く予定でした。ったく、どいつもこいつも腰が引けやがって。気合が足りねえよ気合が」
俺の愚痴に二人は苦笑している。あれだけ皆に力説したのに結果は翌日に持ち越しとか格好がつかないにもほどがある。
こうまで予定が崩れたのは理由がある。余計な雑魚を間引いたりロキをたまにけしかけたりして4体の強化は順調だった。傍から見ていても強さがどんどん上がっていき、そのうちの一体がこれなら2等級の魔石を持っていてもおかしくないと思える強さにまで到達したのだ。
快哉を叫んだ俺だが、何をトチ狂ったのかその敵がこちらに向けて攻撃を仕掛けようとしたのだ。この力があれば俺を殺せると踏んだのかもしれないが奴の攻撃は<結界>に阻まれて無意味に終わった。よくこの程度の力でこちらに歯向かおうと思ったもんだが、これも1等級の魔石のためなので俺は怒り狂って攻撃を続ける敵をあやして他の個体の方へ放り投げた。
さっさとお前達で殺しあえと促したつもりだったのだが、所詮は魔物の浅知恵なのか、そいつはこちらに背を向けて逃げ出そうとしたのだ。
これには俺も驚いた。狡猾さとは命冥加でもあるから勝てない敵には逃げる事もあるだろうとは思っていたが、まさか今の段階で逃走を図るとは考えてなかったのだ。
だが当然ながらあの強さの敵を野に放つと洒落にならない事態になる。この町を覆う<結界>とは別に更に広域に<結界>を張りなおしてあの雑魚が逃げられないようにしたのだが、これが良くなかったのかもしれない。他の3体も周囲の敵を喰らい己を強化しつつも互いと距離を取り様子見を始めたのだ。
「いやあ、ユウキがあまりにも簡単に撃退したから力の差を痛感したんだと思うよ。魔物は強者の気配には敏感だし」
「こんなことになるんならもう少し苦戦してやるべきだったか。あれだけ大見得切っといて明日に持ち越しなんて恥ずかしすぎる」
面白いもの見せてやるからまあ楽しみにしておいてくれよ、とか皆に言ってたのにこの様なのだ。穴があったら入りたい気分だ。怒りのあまりあの4体を即座に始末したい衝動に駆られたが、それをやったら何の意味も為さなくなる。
「まあ、お前が思うほど皆は気にしてないだろうぜ。今はそれどころじゃないと思うしな」
「たしかに、アレは凄い食いつきでしたね。ユウキのことだからもう振舞っていたと思ったけど」
「時機を逃したんだよ。最初の事は食いもんがないって騒いでたからな、あの状況で食わせるわけにもいかんだろ」
王子達はいま自分達の宿舎で俺が渡したタイラントオックスの肉を堪能している最中だ。何故そんな事になったのかといえば駄犬が自分いい仕事しましたよね、といわんばかりの視線で褒美を強請ってきたからだ。
後にしろとその場は断ったのだが、この世の終わりのような顔をした駄犬が悲しげな声で鳴き始めたので根負けした俺がその場で肉を焼く羽目になったのだ。そしてあの場には多くの見物人が居た。
その場のほぼ全員が自分にも寄越せと無言の脅迫をしてきたので大人しく渡すと、それまで俺の行動に声に出さずとも不満を覚えていた王子などは喜色満面で戻っていった。
肉のおかげで俺への糾弾は避けられた格好だが、何とも締まらない話である。
「なんだ、まだここにいたの。暗くて何も見えないんだから早く戻ればいいのに」
「お前こそこんな時間にふらふら出歩くんじゃない。後ろの3人の迷惑を考えろよ」
城壁の上に立っていた俺達に声をかけてきたセリカは当然ながら背後に護衛の双子を、さらにはティアナも連れている。こんな時間にメイドを連れ歩くなよと思うが、まず間違いなくあの娘の方が直訴したのだろう。
だが今はその3人のほかにもう一匹、腕の中で丸まっている白い毛玉が居た。
「おいちゃん、どこ?」
「ロキならあいつが呼べばすぐ来るわよ」
「ほんと?」
昼間あの駄犬が拾ってきた喋る獣はティアナに洗われて純白の毛並みを取り戻した。その頃にはすっかりセリカが骨抜きになっていて、この子は絶対うちの子のする! と俺の意見を聞かずに決定してしまった。
その毛玉もどこから来たのか自分でもわからないと言っていたのでロキがいるなら一緒に行くと了承を得ている。更にこいつは俺と同じく記憶喪失なようで、自分のことさえよく解っていない有様だった。何を聞いてもわかんないを連発するが、ロキにだけは強い執着を見せている。
「わふ?」
「あ、おいちゃんだ」
俺が呼んだロキの分身体を見た白い毛玉はセリカの腕から下りると駄犬へ駆け寄り、その小さな体躯からは想像もできないくらいな跳躍で奴の背中に飛び乗った。わふ! と驚くロキを尻目に毛玉はおいちゃんおいちゃんと奴にしがみ付いている。
「えらく跳んだな、やっぱりこいつも普通じゃないな」
「すごいわ。やっぱり神に愛された子なのね!」
セリカが完全に親馬鹿目線で話をしているが……内容が不穏だ。まさか先ほどギーリスが呟いた一言を聞いていたのだろうか? 苦労人で常識人で冷静で思慮深い彼なのだが、一つだけ非常に困った点を持っている。それは俺を獣神殿の”待ち人”であると一切の疑いもなく確信していることだ。
その話題が出るたびに、人間がそんなものに選ばれるはずがないだろと否定しているのだが、全く信じてくれない。
さっきも”白い衣の小さき無垢なるもの……まさかあれが使徒か!?”と頭が痛くなりそうな事を口走っていた。俺が勤めて意識の外に追いやるつもりだが、きっともうラナに話が行っていそうで怖い。これ以上は勘弁してくれ。
「まさかそのためにここまで来たのか? 俺を呼ぶだけなら通話石でいいだろうに」
「少し出歩きたかったのよ。身の安全ならアインとアイスがいるもの、何も心配はしてないわ。それに二人の実力はあんたが保証したじゃない」
護衛の双子もたまには体を動かしたいと戦いに参加している。かつて共にランヌ王都のダンジョンを攻略した事もあるし、ウィスカもせがまれて訓練目的で連れて行っているので更に強さに磨きをかけているが、特にアイスが特段の成長を見せていた。
彼女にはウィスカ30回層台ででた魔法の鞭を渡してあるのだが、この鞭がなかなかに壊れ性能だ。通常攻撃、魔法攻撃、支援、回復を切り替えて行う事が出来るとんでも能力を持っているのだが、アイスはそれを瞬時に切り替えてあらゆる状況で使いこなし、あの鞭を完全に己の物としていた。
これには俺も脱帽で、アイスはその気になればどのような戦況にも危なげなく対処できる対応力を身につけていた。妹の急成長においていかれた兄のアインは酒の席で次は俺にも何か武器をくれと絡まれたりした。
「そりゃそうなんだが、そもそも不用意に出歩く事がだな……」
一応本人も気をつけてはいると思うし、あまり口うるさく言ってもなと思いかけたとき、側にいるクロイス卿とバーニィが口を挟んでこないのを不思議に思って視線をやると、揃って直立不動になっていた。
「ふたりとも、なにやってんです?」
「自国の王女を前にしてそのままでいろってのは無理な相談だぜ」「クローディア殿下は既に王籍に戻られた身でいらっしゃるからね。不敬な真似はできないよ」
ああ、そういえばこいつは姫様だったな。普段が普段だからつい忘れてしまう。
「別に今まで通りで構いませんよ。こいつなんか私の身分を知ってもなんの変化もなかったんですから」
「そりゃ身内にいちいち態度変えてられるかよ。やって欲しけりゃ跪いてご機嫌麗しゅうとかしてもいいがよ」
「うわ、止めてよ。想像しただけで鳥肌立ってきたじゃない」
そう軽口を叩きながらもセリカは周囲の気配を窺っている。最初はあの4体を警戒しているのかと思ったが、こいつも俺が奴等を<結界>で檻のように閉じ込めているのを目撃しているから別案件だろう。ちなみにあいつらは檻に囚われた直後は大暴れしていたがどう足掻いても壊せないと解ると大人しくなり、俺が与えた肉と水を飲んだら揃って爆睡した。
明日には凄惨な殺し合いをしてもらうのだ。是非とも鋭気を養ってもらいたい。
だがそうなるとセリカの目的は……
「俺とバーニィが邪魔なら外すぞ?」
「え? ああいや、そういう訳でもないんだけど。クロイス子爵、貴方には謝らなくてはならないと思って」
そう神妙な顔で切り出したセリカに対してクロイス卿は露骨に顔を顰めた。
「よしてくれ。これは俺とあいつの問題だ。姫にはなんの関係もない。大元を考えて責任を感じるんだろうが、気にする必要はないぞ。むしろ大きなお世話だ」
突き放すような言葉を選んだクロイス卿だがそれはセリカが一番欲しいものだったようで、その顔には深い安堵が見えた。流石女の扱いはお手のものだ、女殺しで名を馳せただけのことはある。
「ろくでもないこと考えてる顔してるぞ、お前」
「いやいや、尊敬に値する如才なさだと思ってますよ。この調子であの事態も一挙に解決願いたいもんですね。主に被害が俺に来るんで」
エレーナの奴は俺をなんだと思ってるんだろうか。日に日に愚痴を垂れる回数が増えている気がする。
「むしろ俺はそこが聞きたい。仲間以外にゃ塩対応だったあいつがなんでお前だけにはあんな気安いんだ?」
俺を出来の悪い弟のように扱ってくるエレーナだが、確かに彼女を知るものからすればこれまでとは考えられないことのようだ。調べてくれたユウナも今まで見られない行動ですと訝しんでいたほどだが、彼女はその解答に自分でたどり着いていた。
「それは俺も聞きたいですよ。距離近いわ人の背中を普通にバシバシ叩いてくるし、あれこれ寄越せと遠慮がない。前の性格とはかなり違うようですね」
実際はそこまで気安いのは俺くらいなものらしいが、以前のエレーナは表面上の受け答えは出来ても仲間以外には決して心を開かなかったらしい。それが今ではかなり明るくなったとか。
「新大陸のギルドじゃ”豪拳”が戻ったみたいだと言われてるそうですよ」
「……そうか。そりゃそうだ。俺だけじゃなくてあいつの中にもあの馬鹿野郎の魂は息づいている。そんな当たり前のことも忘れてたぜ」
なんで気付けなかったんだか、と己を責める言葉を発するクロイス卿だがその顔には万感の想いが籠もっていた。
命を預け合うほどに信頼している仲間と共に大冒険か、俺には……きっと縁のない事だろう。仲間のことは信じている、というか自分自身よりもよほど信じられるが、ともに戦場を駆ける間柄というわけではないからな。
すでにこの世にない剛拳はクロイス卿と本当に長い付き合いだったと聞く。彼か死んだら後を追うように冒険者を引退してしまったほどだ。エレーナも嫉妬するくらい特別な関係だったらしい。
俺もいつかは……いや、今更だな。
「ユウキ。少しだけ待っててよ。必ず追いつくから、君を一人で行かせはしない」
「バーニィ? 何を……」
「僕だけじゃない。リーナも君と並び立つ為に努力を重ねているよ。ユウキを一人で孤高の座に立たせはしないから」
彼は、バーニィは俺なんかのことを気にしていてくれたらしい。別に気になんかしていなかったつもりなんだが。
「ええと、その。顔に出てたか?」
「ユウキの家族なら気づいたと思うよ。油断してると結構出やすいって玲二も言ってたし」
そうなのか。知らなかった、俺は結構感情が顔に出る奴らしい。
「まあ、なんだ。ありがとう。そう言ってもらえて心が軽くなったような気がする」
「ユウキとの距離は広がるばかりなんだけどね。それでも諦めないよ。君がしてくれたこと、もらったものに少しでも報いたいからね。恩も感じているけど、なによりも僕はユウキの友達だから、君の隣に立ちたいんだ」
「……」
バーニィのあまりにも真っ直ぐな言葉は荒みきった俺には眩しいくらいだ。何か気の利いた言葉でも返してやればいいのだが。咄嗟には出て来ない。
「あ、珍しい、照れてる!」
セリカが俺の顔を覗き込むようにして見てきたので慌てて顔をそらした。
「照れてない」
「ふふ、可愛い。まったく、バーナードのほうが強敵ってどういうことなのよ。私よりよほどこいつのこと解ってそうで頭来るわ」
「で、殿下。けしてそのようなことは!」
夜のキルディスの町は、意外なほど明るい雰囲気に包まれていた。
「さあ、お前等、死ぬには良い日だ。本気出して殺し合えよ! 選ばれた魔物としての誇りを見せろ!」
通算19日目となる翌朝、満を持して俺は<結界>の檻を解いた。一日休んで元気溌剌と思われる4体は己を縛る戒めから解き放たれたと知り、昨日よりも勢いをまして周囲の魔物を喰らい始めた。
なんだかんだと昨日と同じ面子が集まったので、今日こそ目標達成してやる。
「今日こそ絶対に終わらせるぞ。2日もかける遊びじゃないからな」
「どうじゃろうかの? 昨日はロキをあれだけけしかけても逃げを打つばかりじゃったがの」
意気込む俺に対して冷ややかな感想を告げるのはセラ先生だ。あの顛末がお気に召さずお冠なのだが、おかしいな。昨日は俺が差し出した拳大の特大精霊石をみて途端に機嫌を直したはずのに。
「な、何を考えておる。あれはあれ、これはこれじゃ。あまり変わり映えせんようなら儂は帰るからの」
「もう、そんなこと言って。昨日はセラちゃんも精霊石貰ってご機嫌だったじゃないの」
先生の隣に座るリエッタ師の暴露にセラ先生は珍しいことに慌てふためいた。
「なっ、事実を捏造するでない。そのようなことは断じてないわ!」
ううむ、あの先生が形無しだ。やはりリエッタ師こそ最強なのではないだろうか。
「まあそれはともかく、昨日と同じことにはなりませんよ。俺もあれには参ったので色々仕込みました」
あんなグダグダ展開は二度とご免だ。奴等め、俺を本気にさせたことを後悔させてやる。
「ねえ、あの4匹、なんだか昨日よりも暴れ回ってない?」
性懲りもなくまた出歩いているセリカに咎める視線送るもあいつはどこ吹く風だ。もう何か言うのは諦めたら、彼女の腕の中で丸くなっている白毛玉が顔を上げた。
「さわざわする。へんなの」
びくびくと周囲を窺った後、再びセリカの胸の中に顔を埋めたが、こいつ中々鋭いじゃないか。
「あの魔物達があまりにも不甲斐ないんで水に狂化を促す遅効性の薬を混ぜといたんだよ。これで脇目も振らずに激突するぞ」
「うわ、なんか魔物が不憫に思えてきたんだけど。普段は欠片もこんなこと思わないのに」
失礼な奴だ。魔物に手心や慈悲を与える奴などこの世界に存在しない。どう取り繕っても魔物と人間は相容れない存在だ。人間を見つければ襲い掛かる捕食者と被捕食者の間柄は不変でありテイマーなどの例外の除いて魔物を見つければ速やかな殲滅が人間の取るべきただ一つの選択肢である。
今回の俺の手法も敵同士が潰しあわせているという一面が他の面子の納得を得られているだけで、道楽とはいえ高品質の魔石を得るために魔物の進化を促しているなどと知られれば後で罪に問われかねない暴挙なのだ。
王子などはそんな事をしていないで今すぐ殲滅すべきだと昨日も言っていたが、ただ始末するだけだと異境の魔物はあまり美味しくない敵だ。強さだけはあるが、得られるものが少なすぎて戦士たちも討伐に手を上げない。記録に残るものでは素材が高品質な触媒になる敵もいるようだが、ここでは現れていなかった。
だから遊びは昨日の内にさっさと終わらせるつもりがまさかの日を跨ぐ羽目になっている。もちろん失敗した原因は解っている。自然に任せすぎて俺が手緩かったのだ。あの4体によって魔物の総数はかなり削れてはいるものの、目標はいまだ遠い。どいつも見たところはまだ3等級程度の強さでしかないのだ。
恐らく互いを喰らいあい、最後の1体となるころにようやく1等級と呼ぶに相応しい進化を遂げるのではないだろうか。
「よし、ようやく始まった。最初からこうすれば話は早かったんだな。時間を無駄にしたな」
巨猪と巨猿が互いに耳をつんざく咆哮を上げながら激突した。その衝撃は大地を揺らし猿叫だけで心の弱いものなら失神してしまうほどだが俺の<消音>が効いているので市街地には一切届いておらず、今日も活気溢れるキルディスの一日が続いている。と言っても俺が何をしているかは物見台から見れるので興味のある奴は見物しているようだが。
「食い千切られた腕がもう再生している。進化を繰り返した魔物は最早別の生命体だな、なんという異常な回復力だ」
「俺も魔物同士の戦いを見るの初めてだが、実力は伯仲しているな。どっちか勝つかは見当がつかない」
巨猪はその大木のような角で大猿の腕を貫いて千切り落としたが、絶叫を上げる猿は即座に腕を再生させ猪を殴り飛ばす。だが殴り飛ばされ距離ができた事で猪は突進が可能になった。それに対して周囲の魔物を無造作に掴んで猪に投げつけて牽制している。
「知恵のある魔物にしては単純な戦い方じゃの。畜生類ではその程度なのかもしれんが」
「ここじゃ大して地形を利用する事もできませんしね。小細工なしの潰しあいになりそうです」
戦いは全体的に猪が有利に見えた。あの巨体を利用した突進は他の魔物ごと轢き殺す勢いだし、それに対して猿はどうしても通常通りの攻撃にならざるを得ない。だが、もしここが森の中だったら展開は逆になっていただろう。それに俺の狂化も猿に悪影響を及ぼしていた。回避や防御をする素振りも見せずにひたすら攻撃一辺倒なので単純なぶつかり合いであれば猪が優勢だった。
幾度かの突進を受けて体のどこかを持っていかれ、その都度再生するも流血が増えている猿は疲労が激しい。それに対して猪は余裕を見せている。このままだと戦いの勝者は明らかだ。
猪は猿を仕留めるべく慎重に狙いを定めている。
「も、もう終わりそう?」
流血に耐えられず顔を背けていたセリカ(何故来たのかを問いたくなってきた)が聞いてくるが、俺はそれに応えることができなかった。
「お、そう来たか。油断大敵って奴だな」
猪が背後からの攻撃を受けて地面に倒れ伏していた。奇襲をしたのは巨大な蛇で、横合いから噛み付かれて猪は大きく痙攣している。ありゃ毒を喰らったな、進化個体は各種の毒にも強い耐性を持つが、同じ進化個体の毒であれば話は別か。
その毒はかなり強力なのか、猪は大きく震えるだけで身動きが取れていない。このまま漁夫の利で蛇が勝利するかと思われた瞬間、またも邪魔が入った。
今度は蛇に向かって手負いの猿が攻撃を仕掛けた。蛇は猪を締め上げていて猿に手が回らずその攻撃を無防備に食らってしまう。そのまま蛇は頭を潰されて魔石を食われた。
その瞬間、猿の魔力が膨れ上がる。また一段階進化をしたようだ。
「もう決着が着いた。本当に始まるとあっと言う間に終わるね」
「魔物は戦略も無しにひたすら殺しあうだけだからな。だからさっさと終わる予定だったんだよ。しかし三つ巴は展開が読めなくて面白いな。一番最初に負けると思われた猿が勝ち残るとは予想外だ」
蛇の毒を受けて痙攣している猪など、新たな位階を上った猿にしてみれば道端の石に等しいだろう。一撃でその頭蓋が砕かれ、魔石の奪取という戦いの勝者の権利を享受したそのとき――
世界の刻が止まったかのような錯覚を覚えた。
誰もがその姿に目を奪われた。その威容は全員の視線を釘付けにし、金縛りにあったかのように身じろぎさえ許されない張り詰めた空気がこの場を支配する。
この世界に生まれ落ちた新たなる強者、この場にいる人々はその姿に釘付けになっていた。
俺以外を除いて……あ、トーリも除外だ。凄い凄いと騒ぎながら手帳に色々書き付けている。
「先生、あれならどうです?」
「お、おお。あの魔力、そしてこの威圧、とんでもない進化を果たしおった。二つ続けて魔石を食らった事に関係するのかわからんが、あの魔物なら可能性はある」
「よし、お墨付きが出た。待った甲斐があったってもんだ」
意気揚々と歩き出す俺にセラ先生の焦った声が背中にかけられた。
「ま、待て。あれほどの魔物となると、最早神性を帯びているやも知れぬ。人の身では神の衣は打ち破れぬぞ!」
先生をして焦らせる敵らしいが……そこまで強いかあれ? まあ試してみれば解るか。
自分に向かってくる敵の存在を把握した猿(見た目は巨人っぽくなったが、顔は猿のままだった)が俺を捉えた。魔物らしくその顔には暴力の歓喜に歪んでいる。この力があれば憎い俺を殺せると思っているのだろうか、笑わせやがる。
猿の手に膨大な魔力が集まってゆくのが見えた。何か魔法でも使おうとしているのかもしれない。
だが遅すぎる。魔力を集めた瞬間には敵を打ち抜いていないようでは話にならない。
「嘘じゃろ……いつの間に攻撃を放ったのじゃ」
猿の手に集っていた魔力が霧散する。何故ならその時は俺の魔法が猿の頭に炸裂し一撃で絶命せしめていたからだ。どんなに強かろうが生命体である以上変わることない原則がある。
生物はスライムでもない限り心臓と頭部を同時に潰されたら絶対に死ぬのだ。例外はない。
力なく倒れ伏す猿を<アイテムボックス>に収納し、即座に解体する。果たしてこいつが持っていた魔石は……
「嘘だろ。ここまでやっても2等級の魔石なのかよ! 1等級は本当に存在しないのか?」
<鑑定>して得られた結果なのだ、間違いはないのだろう。あそこまで実力を有した相手でも魔石は2等級にすぎなかった。こりゃもう存在しない等級と思っていいのかもしれないな。
ひとりで勝手に悔しがる俺を他の皆は何とも言えない顔で見ている。我に返った俺は<アイテムボックス>から濃い紫色をしている一抱えもある巨大な魔石を取り出して先生の前に差し出した。
「これが……確かに2等級じゃの。あれほどの魔物でも届きはせんかったか」
先生の声にも力がない。俺の実験結果を楽しみにしていたのだろう、期待に添えなくて申し訳ない。しかし2等級の魔石か。競売にでも出せば高値がつくんだろうが、あまり興味はないな。
金貨に変える以外で丁度良い方法が見つかったので俺はそれを実行することにした。
「王子、騒がせて悪かったな。詫びの品だ、受け取ってくれ」
手に持った魔石を投げ渡すと両手で受け取った王子は何とも表現し難い顔をした。
「は? 一体何を言っている? このような超貴重品をどうしろと?」
「いや、凱旋する時に解りやすい戦果があった方が王宮で箔がついていいだろ? 2等級の魔石なんていかにもじゃないか」
「そ、それは有難く思うが、本気で言っているのか? これは2等級の魔石だぞ。各国が国宝として秘匿するとされる品なのだぞ」
「俺が持っていても売るしか方法がないからな。それならもっと有効に使える奴が持つべきだ」
俺の言葉に王子は感謝すべきなのか怒りだすべきなのか思い悩んでいるようだ。本人が気にするなと言ってるんだから気にしなければいいのに。
別に惜しいとは思わない。2等級の魔石は金貨300枚の価値があるようだが、それくらいならウィスカであっという間に稼げるから気にもならない。
それに魔石は所詮魔石なので使ってなんぼの消耗品に過ぎないのだ。精霊石こそ珍しくて稀少性に価値があるが能力は魔石と同じなのだ。
王子が持てば政治に使えるが、俺は金貨に変えるしかない。だったら彼が持つべきだろう。
そんなことを噛み砕いて話したら物凄く変な顔をされた。街を危険に晒した行為を怒るべきなのにそれ以上の品を貰って言葉が出てこないようだ。
「ギルドに提供してくれてもええんじゃぞ?」
いつの間にか隣に立っていたグラン・マスターが王子の手にある魔石を眺めている。
「ギルドなら魔石の備蓄は十分あるんじゃないですか?」
「多少はあるがお主が言ったように政治の道具になるからの。数があればあるだけ有利になるのじゃ」
グラ王国とオウカ帝国がやっているゴーレム戦争も保有数の多寡で戦況が変化するため、ダンジョンから齎される起動核の取り扱いは政治が絡む。それと同じことだろう。
「クランに流してくれてもいいのよ?」
ドーソン翁の反対側にはリエッタがにこやかな笑顔で俺を見ていたが……笑顔なのに威圧感が凄い。セラ先生が言ってたが、こりゃ交渉上手なのも頷ける。笑顔で全部の要求を通してしまう凄腕らしいが納得だ。
百戦錬磨の二人を相手などできない。匙を投げた俺は当事者同士で話し合ってもらうことにした。
「あいつ次第です。中身に期待はできるので、交渉は自分達でどうぞ」
俺が指さしたのは残り一匹となった魔物だ。3体が相争って潰れたのであの一匹だけは無事だったのだ。
デカい熊の魔物はしばらく周囲を窺っていたが、俺が視線を向けた途端、魔物は背を向けて脱兎の如く逃走を開始した。
「逃げたか。たしかにあれほどの魔物でもユウキには赤子の手をひねるようなものだったらな。知恵があるなら逃走もやむ無しか」
王子の呟きを拾った俺は狂化しても本能で逃走を選択した熊の後ろ姿を眺めた。
「逃さないけどな。いや、逃げられないんだが」
進化した個体は一匹たりとて逃さない。あの魔物の強さは2等級程度だが、それでも世に解き放たれたらこの世の地獄が広がるのだ。
この地を治める王子からも遊ぶなら絶対に一匹残らず始末してくれと念押しされている。
逃げ出してほどなく不可視の<結界>に弾かれて派手に転がる熊だが、それでも諦めずに丸太並みにに太い手足で<結界>を殴っている。
「そんなもんで俺の護りが壊せるはずが……何?」
何度も見えない壁に向かって暴れていた熊が、突然潰された。
まるで上から踏み潰されたかのようにぺちゃんこになり、周囲に赤い染みが広がっている。
どうなっている? 俺の<結界>内に侵入しただと!? どれだけの強度で組んであると思ってんだ。なにがあっ……そういう事かい。
どんだけ想定外が続くんだよ、くそったれが。
透明化を解除した氷の大巨人がこちらを見た。敵意も好意もない、無機物を眺める瞳だったが、その一瞥で戦う術を持たない多くの者たちが意識を失った。
「これは、まずいわね」
「じゃな。ユウキよ、悪いが儂らはここで」
「ええ、先生たちは今のうちに。今ならまだ逃げられるはずです」
セラ先生とリエッタ師が緊張を顔に貼り付けたまま転移を行おうとして、その魔法が強制的に停止させられた。
「おのれ、転移封じの咒じゃと!? 古風な真似をしおって」
先手を打たれていた、或いはその程度は常に行って然るべき作業なのか、避難は封じられた。
だが、これはどうかな?
俺は放心した顔で古の大精霊が形作る大巨人を見上げる彼女に近づいて声をかけた。
「セリカ」
「ね、ねえ。あれ、なんなの?」
あまりにも現実離れした光景にセリカも呆けた顔をしている。腕の中の白毛玉は眩しいものでも見ているかのように目を細めていたが、こいつあの超常の存在を畏れてないぞ。
「おっきいの。なんでいるの?」
小首を傾げる毛玉だがそれはこっちが聞きたい。一度立ち入って調べた限りではここの異境の主はあんなとんでも存在じゃなかったはずだ。なんであんなのがここに現れるんだ。
「ねえ、あんたなら知ってるんでしょ? あれは一体なんなの?」
「下っ端だよ下っ端。詳しい話は後でしてやるから」
「したっ? じょ、冗談で……」
セリカの言葉は途中で途切れた。何故なら俺が足元に設置した転移環によりアルザスの屋敷に強制的に帰還したからだ。セラ先生の使う転移魔法と転移装置は似ているようで全く異なった仕組みなので使えるのではないかと思っていたが案の定だ。
俺は無言で護衛の双子と専属メイドに視線をやると主人から離れるわけにはいかない3人もそれに続いた。
「大丈夫なのか?」
「心配ない。後はどうにでもするさ。むしろセリカの宥めておいてくれ」
最期に残ったアインは不安げに俺に問いかけてきたが肩を叩いて送り出す。これで俺も一安心だ。セリカがここにいると気になって仕方ないからな。先生も姉弟子とリーナがここにいなくて胸を撫で下ろしていることだろう。
予想通りセリカは突然返された事に猛烈に怒っているようだが、ソフィアと雪音に後は頼む事しかできない。俺はそれどころではなくなる。
ここから先は気を抜くと俺でも簡単に死ぬからな。
「ユウキ、あの巨人の正体を知っているのか?」
改めて”敵”と向かい合った俺に王子が顔面蒼白で話しかけてきた。普段の覇気が消えうせているが、無理もない話だ。先ほどの2等級の魔石を有していた魔物でさえ、奴の足元にも及ばないのだ。
「氷の巨人だ。精霊王に限りなく近い高位精霊なんだが、ありゃ眷属だな、それも最下層の下僕だと思うぞ」
「げ、下僕だと、何を言って……」
王子の掠れた声は最後まで続かなかった。氷の巨人がさらに5体出現し、そのまま互いに向き合うようにして跪いたのだ。
その姿は、主の進む道を形作っているかのようだ。
そして”それ”がこの世界に顕現した。
「くそ、本当に来やがった。連中がこちら側に顔出すなんて信じられねぇ。どんだけ暇なんだ」
それは何の冗談か人の形をとっていた。あいつらにとって姿形なんて自由自在だから今はそんな気分なんだろう。
「な、なんだ? アレは一体何なのだ!?」
「”世界”そのものだよ」
俺は不機嫌さを隠すことなく吐き捨てた。俺の企みはどれもこれも上手くいかない事は百も承知だし、どうせ今回も面倒な事になると分かってはいたが、これはあまりにも非常識だ。運命を司る存在がもしいるのなら全力で殴り飛ばしたい。
何をどう転んだらこいつらがここで出て来るんだ? 人里になんか一欠片も興味がないはずじゃなかったのか?
彼等は生命体という範疇に括れない神秘そのもの。
人智を遥かに超えた存在、世界の頂点に君臨する絶対的超越者。
俺達は、その存在を真竜と呼んでいる。
楽しんで頂ければ幸いです。
また遅れてしまった。日曜が無理で何とか月曜に、と気付いたら日付が変わってました。その分増量なんで許して。
世界最強の生き物が現れました。想定外に主人公は焦ってます。とりあえず身内は逃がしました。
次回へ続きます。
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