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王都にて 11 それぞれの一日

すみません、猛烈に遅れました。日が変わっちゃう!


今回はそれぞれの視点で話が進みます。

その予定でした……


まさかの前書き修正 支店→視点 7/6 

支店ってなんやねん。orz



 僕の名前はアラン。おうちは雑貨屋さんをやっている。あんまりお客さんが来ない店だと思うけど、昔からのお客さんのおばあさんが、おとーさんは”りぃす”をうまくやっているんだって。


 よくわかんないけど、おかーさんが作るりょうりはいつもいっぱいだからうれしい。かべのそとがわの人は、あんまりたくさんのごはんを食べられない人もおおいみたい。僕はキャロがにがくていつも残そうとするとおかーさんが怒ってそう言うんだ。

 かべのそとがわのことはよくわからない。おとーさんはあぶないからかべのそとに行くなんてダメだっていうし、兵隊さんがとおしてくれないみたい。でも毎日かべのそとから人がいっぱい入ってくるから、あっちばかりずるいなってずっと思ってた。



 ずるいと思ってたけど、最近はなんかこわい人がふえた気がするからあまりちかよってない。それは妹のリィンもおんなじみたい。よかった、おにいちゃんの僕だけがこわがっていたらはずかしいもん。


 そのこわい人をつかまえているのかな? リノアおねーちゃんのお店によくあつまっている大きなおじさんたちが走りまわっているのをよくみる。おとーさんはあぶないから家にいなさいっていうけど、ぼくたちは近くの林にいかないといけないんだ。そう約束したんだから。



 でもそれがいけなかったのかもしれない。リィンと手をつないでいつもの場所へあるいていたら、汚いかっこうをしたおじさんが大声をあげて急にはしって来たんだ。後でわかったんだけど、そのおじさんはリノアおねーちゃんのところの人に追いかけられていたみたい。でもあのときはただただ必死でぶつかりそうになったリィンをどかすのかせいいっぱいだった。


 おじさんにぶつかった僕はそのまま水たまりに投げだされてしまった。体もいたかったけど、服をよごしてしまってきっとおかーさんに怒られてしまう。リィンが泣きはじめたのを見て僕もつられて泣いてしまった。しっかりしなくちゃと思ったのに悲しいきもちがあふれて来て涙がとまらない。

 リィンの手をひいておうちにもどるしかない。おかーさんになんて言おう。


 おひめ様と兄ちゃんに会ったのはそんなときだった。


 おひめ様は、お星さまのようにきれいな人でおもわずぼーとしてしまった。そうこうするうちに僕の服はせんたくされていて、おまけにポーションまでかけてもらったみたい。ポーションはしってる、冒険者の”ひちゅじゅひん”だってみんな言ってたからかくれて勉強したんだ。むずかしい言葉がいっぱいでよくわからなかったけど、けがや痛みがすぐになくなる魔法の水だ。おうちにもあるのは知ってるけど、とっても高くて売れないんだって。

 そんな高いしなものを気軽に僕につかう兄ちゃんは不思議な人だった。僕の憧れでもある冒険者みたいだけど、みんながもっている皮よろいや剣なんかも持っていない。僕が着ているような普通の服だし、武器も見せてもらった中ではしっかりと手入れはされていたけど普通のナイフだった。


 でも、兄ちゃんはほかの人とはちがう。()()()()()()()()


 僕と妹のリィンは人にみえないものがみえる。初めのうちはみんなも見えているのだろうと思っていたけれど、そうじゃないみたいだ。魔力の波が見えるんだと爺ちゃんのしり合いの人がほめてくれたみたいだけど、僕はうれしくなかった。周りの子たちは僕たちからどんどんはなれていったからだ。

 いじめられるような事はなかったけど、妹とふたりでいる時間ばかりになった。変わらず僕たちと遊んでくれるのは、隣のミイちゃんとメルちゃん、それとマリーちゃんくらい。うれしいけど、男の子がやる遊びはできないから、いつも魔力の波を見てあそんでいた。兄ちゃんはそれがよかったと言われたけど。


 兄ちゃんは、僕に出来た初めての年上の友達だ。出会ったのはさいきんだけど、なかまだしあこがれの冒険者なんだ、僕は兄ちゃんから色んな話をきいた。兄ちゃんは一日とおかず店に顔を出してくれたし、普段は僕が冒険者になると言い出すと嫌な顔をするとーちゃんもいっぱいかいものをする兄ちゃんにはあまり強く言わないのか、僕とリィンは兄ちゃんによくくっついていた。


 兄ちゃんはまるでほんやさんのブレナンおじいさんのように物知りだった。僕がきいた事をすぐに教えてくれたし、冒険者の話をきかせてとたのむと笑顔で話してくれる。


 僕はなりたい冒険者がいる。この国の冒険者で知らないもののいない『天眼』のクロイスだ。Aランクの冒険者なんだけど、この国のえらい貴族さまなのにおうちを飛び出して冒険者になったんだ! かっこいいよね! あの人の冒険譚ならいくらでも知っているよ、いっぱいきかせてもらったから。

 火山の頂上での巨人たちとの死闘、フェニックスの雛を親に返す冒険では、それを護る民との話し合いが一番かっこいいし、しんたいりくでのめいきゅう探索はヘンリーさんの酒場でよく歌っているバードのお兄さんより詳しいと思う。悪い奴らをおびきだすためにわざと捕まってどれいがあつめられた闘技大会で優勝する話なんて何回もとーちゃんに聞かせてもらったんだ。


 でも、兄ちゃんがしてくれる話は、なんかドキドキしないんだ。はじめて聞いた話は薬草取りにはいった

森でけがをしたの熊においかけられた話で、さいごに罠がうごかなかったらこっちがあぶなかったみたい。なんで魔法を使わなかったのと聞いたら、森のなかですぐ火魔法は使えないんだって。火事になったらたしかにたいへん。


 ほかにも立ちよった村で畑を守るために猪の群れとたたかった話やくすりの材料を届けるために夜なのに冬の川を泳いでわたったときの話とか、兄ちゃんは人をたすけるしごとをいっぱいしていたみたい。もうちょっとドキドキする話がよかったけど、兄ちゃんの話はきいてるとちゅうはそんな事が気にならないくらいじょうずで、リィンといっしょにききいってしまった。


 それと、兄ちゃんは魔法がとても上手だ。はじめてあった時から水魔法をつかって僕の服を洗ってくれたけど、そのときから魔力の波がほとんど動かないのだ。どうやっているのかきいてみたら、特別に魔力の動かしかたを教えてもらった。しょほのしょほといわれたけど、とってもむずかしい。がんばって動かしていたらすぐにまわりが暗くなっちゃうんだ。でも、おもしろい。手も足も動かしていないのに魔力がちょっとだけ動いているのが自分でも分かるんだ。兄ちゃんはこれをかんたんにやっている。さっきなんて少しはなれたい石をじぶんの近くにひきよせていたんだ。


 ぼくもがんばって兄ちゃんと同じことが出来るようになりたいな。



―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―



 私はその男が子供たちに嘘八百を並べている様を身を隠して見ていた。

 あの男は間違いなく嘘をついている。あれからギルドの伝手を辿って調べに調べたのだ。

 

 本名、ライル・ガドウィン。没落した男爵貴族。領地はおろか紋章さえも数代前に売り払い、果てには家名さえも売り払ったまさに名ばかり貴族。調査によると農家をやっているようだ。

 それ自体は珍しくもない。血脈だけで永らえる貴族など存在しない。歴史ある貴族というのはその命脈を保つために様々な事に手を伸ばしている。生き残る努力を怠った貴族が凋落するのは世の常だ。

 問題はここからだ。あの男が故郷を出てからウィスカの冒険者ギルドに所属し、この王都に着くまで一月かかっていないという事実。今まで受けた依頼だって薬草納品一つだけだ。だからあの雑貨屋の子供たちに話している内容は口からでまかせだ。あいつ自身まだ若いし私より2個年下だ。なりたての冒険者がそんな冒険をしているはずがない。それをあとで咎めたら、子供の夢を壊すもんじゃない、だって。よく言うわよ、自分の胸に手を当ててごらんなさい。


 けれど、あの実力は本物だ。大陸の南方でも有数の実力を誇る暗殺者集団であるロッソ一家をほぼ独力で仕留めた力は認めないわけにはいかない。事実、私はこの目で見た。集団戦において我々の数段上を行くであろう彼らがその力を発揮する間も与えられず殲滅させられたのを。震えが来るほどの圧倒的な魔法力で敵を打ち倒し、更には首領である”毒牙”のケザイルを何もさせずに瞬殺している。

 あそこには他の冒険者もいたが、彼らは殆ど何もしていなかった。そして身を潜めていた私に気付きもしなかった。だが、あの男は違う。不意にこちらに視線を向けてきた。それも一度や二度ではない、敵を倒すため場所を移動するたびに一瞬こちらを見てくるのだ。明らかに私の存在に気付いている。

 そのとき私は心臓を掴まれたような恐怖に襲われた。あの瞳、吸い込まれそうなあの蒼い瞳に見つめられるだけで、何度今すぐ目の前に現れて許しを請うべきだと本能が告げていた。だが、私にも矜持がある。未だ見習いとはいえギルドの頭を婆ちゃんから引き継いだ者として、一族始まって以来の天賦の才と褒め称えられた技量を誇る者として逃げ出したくなる気持ちを抑えて一部始終を観察した。

 そして、自分との天と地ほど違う実力に打ちのめされた時、私の心にある火が灯った。


 私の存在を認めさせてやる。あの男の記憶に、私の技を刻み込んでやる。


 今にして思えば何故あんな真似をしたのか自分でも分からない。熱病に浮かされたかのように暗殺者としてあるまじき行動―――相手に前に姿を現し、声をかけ、技術を見せてしまった。


 

 結果など言うまでもない。散々だった。自分が繰り出せる最高の一撃を易々と受け止められ、更には得物を放り返されるという屈辱……いや、自業自得なんだけど、それを味わった私はすごすごと逃げ帰った。



 私の報告を深夜まで我慢強く待っていてくれた爺ちゃんと婆ちゃんは―――聞くやいなや深夜なのに一族をかき集めて大宴会を開いた。翌日の昼まで続いたその大宴会に私は参加しなかったけど、私の曾爺ちゃんが当時のロッソの頭領と一騎打ちで敗北したことがあったみたい。それ以降、婆ちゃんにとってはロッソ一家は許す事のできない仇敵で、今回の王女襲撃も彼らの不手際だから、ここぞとばかりに渋り、嫌がらせをし、嫌味を言い続けた。随分溜飲を下げたみたいだけど、それでも何かと理由をつけて彼らの行動を制限してた。

 その彼らが全滅させられたと聞いて婆ちゃんは中身のない曾爺ちゃんの墓に報告に行った。曾爺ちゃんが敗死して婆ちゃんが頭を継いだそうだから、はなすことが多いのだと思う。

 私があの男に突っかかった事は問題にならなかった。それより衝撃的なことが起こったので、皆の意識がそこに行っていたのもあると思う。王都に潜んでいるであろうロッソ一家の残党を残らず狩る方針が確認されたくらいだ。婆ちゃんは向こうの頭領と交渉して王都に入る人数を制限したが、奴らは王都の外壁にいる連中を装って自分達の手勢を内部に入れている。実働部隊はあの男が皆殺しにしたが、後方配置の連絡員などはもちろん無傷だ。婆ちゃんはこの気に乗じてそいつらも駆逐するようだ。哀れだと思うが、この世界はこういう風に出来ている。弱くなったら死ぬしかないのだ、ロッソ一家もそうやって大きくなってきた。逆にやり返される事も覚悟の上だろう。


 話はそこで終わったと思っていた。あの男は王都での仕事を終えたら、自分の帰るべきところに戻り、私との縁は切れる。そう思っていたのに!




 私の家は代々飲食業をやっている。もともとは暗殺業(ほんぎょう)の隠れ蓑として始めたらしいけど、思いのほか上手くいったみたい。私が物心ついたときには既に二桁の店を持つまでに成長していた。全て同じ店というわけではない。肉体労働者と書類仕事で好む食事は違うからそれに合わせた店を出している。店舗拡大にあわせて一族の者を配置しているから、王都中に情報網を作っているようなものだ。

 ウチの一族は昔から王都の顔役みたいなものも兼務しているから、港で働く荒くれ者とかも纏める仕事を専門にしている者もいる。王都の裏の治安を守っているといっても過言ではないのだ。だからロッソ一家が王都で活動したいと言い出しても万が一にでも認められなかった。婆ちゃんはそれを逆手に相当の譲歩を引き出したみたいだけど。あの男が行った殲滅は私たちがお膳立てしたようなものなのだ。


 私は今住んでいる王都東地区にあるダイナー”豪腕の杯”で働いている。結構な人気店だし、私も看板娘としてそこそこ知られる存在だと思う。正直、本職よりこちらで食べていきたいが、人は生まれる環境を選べない。暗殺者として生まれた者は暗殺者になる定めだ。そこに選択肢など存在しない。


 ウエイトレスはその定めを忘れさせてくれる数少ない楽しい時間だ。生まれたときから行われた厳しい修練で培われた体力は繁忙する時間帯も易々と仕事をこなすし、ここに来る客は行儀の良い人ばかりだ。有名人だってウチの料理を目当てにやってくる。この店は私にとって胸を張って自慢できる場所だった。


 その大事な場所にあいつは現れた。


 絶対に偶然じゃない。あいつは入って早々忙しく動き回る私をまず確認した。ウチの店に呼び出されたみたいだけど、待ち合わせの相手を知ってまた驚いた。あの”暗黒騎士”バーナードなのだ。私だって彼と真正面からは戦いたくないほどの相手だ。その後ろにはあの冒険者としても名を馳せたクロイス閣下までいらっしゃるのだ。まさか、あいつ知り合いなの?


 クロイス閣下とは初対面みたいだけど暗黒騎士とは凄く親しげだった。ふたりの注文の品を聞きながら観察したけど、間違いなくあのときの男だ。気配は別人のように大人しいけど、ふとした仕草に私の中の警戒指数が跳ね上がるのを感じる。

 なんとか無難に対応を終え、あいつが店を出てゆくとき、すれ違いざまに私にだけ聞こえる声で夜にまた来ると囁かれた。

 

 完全にばれている。青くなった私は仕事を放り出して婆ちゃんに相談にいった。




 結局、有効な手は何も打てなかった。多分うちの一族が総出でも簡単に返り討ちに遭う未来しか浮かばず、せめて他の客を巻き込まないために今日は早仕舞いをした。

 普段は本店(東地区の中央にある第一号店)にいる爺ちゃん婆ちゃんも駆けつけてくれたが……ダメだ、婆ちゃんは仇を討ってくれた相手の顔を見るためだけにやってきた顔だ。爺ちゃん、何かあったら助けて。



 やってきたあいつは敵意満開の私たちに一切構わず、挨拶と礼に来たなんて言い出した。確かに王女のホテルの周囲には人を配置しているけど、一切手を出すなと伝えている。下手に動くとこちらが排除対象になりかねないからだ。とある筋から護って欲しいと言われているから人を出しているだけで、むしろ一瞬でこちらが蹂躙されるような危険人物が側にいるのだ。こっちが護ってほしいくらいなのに!


 あれからユウと名乗った冒険者のあいつは出された黒茶を悠々と楽しんだ後、こともあろうか見てるだけでも美味しそうなタルトを取り出したのだ。


 なんておいしそうな……いや、美味しいに違いない。絶対に美味しい、いいなあ。




 その後の事はよく覚えていない。何故か婆ちゃんとあいつが意気投合していて、私があいつのダンジョン探索に付き合うという話になっていた。疑問を呈する間もなく爺ちゃんが無言で私の手元を指差した。

 くっなんて卑劣な。囮を用いて最重要目標に近づくなんて。それにしても何故婆ちゃんに……頭の存在は一族でも最も隠している秘密で、下っ端なんて存在さえ知らされない。私の存在は知っていても婆ちゃんに話をつけに行くなんて実力を知っていたとしか思えない。見た目は爺ちゃんの方がよほど頭に見えるけど、実力は私が6つの時に超えてしまった。


 とにかく、婆ちゃんは最近見た事がないほどの上機嫌で私は明日一日あいつに付き合うよう言われてしまった。こうなった婆ちゃんは誰にも止められない。頭は私でも最高権力者は婆ちゃんなのだ。それに上機嫌の婆ちゃんが一番怖いことを知っているみんなは決定に異を挟まない。私に味方はいなかった。



 何故婆ちゃんがあんなに上機嫌なのか、理由も分かっている。婆ちゃんは常々私の相手(伴侶)を探していた。老い先短い老婆の最期の望みとか言っていたが、私ははいはいと聞き流していた。

 確かに結婚適齢期なのかもしれないし、周りはどんどん決まっていくけれど、私はこの人ならと思える男に出会っていなかった。人を好きになる気持ちだって解らないのに結婚なんて。


 婆ちゃんは相手のよさは結婚後にも分かるもんだと諭したが、取り合わなかった。

 仕方なく、私より強い男となら結婚すると言ってしまったのが半年前。最近色々あったから忘れかけていたけど、考えてみれば条件に合う男がいるんじゃん。


 まずい、なんとかしないとなし崩し的に話が纏まってしまう。婆ちゃんの趣味の一つは仲人なのだけど、現在99組の縁組を成立させている。記念すべき100組目が孫娘……本当にまずい。外堀が順調に埋まってきている。



 それに婆ちゃんの手にあるナイフも気になる。年季の入った明らかな業物なのは分かるけど、あんなものは見た事がない。多分あいつが持ってきたんだろうけど、婆ちゃんは握って決して離そうとしない。得物に拘るのは3流の証拠と公言して憚らない人がである。



 婆ちゃんの決定は覆らない。ならば現状取り得る総ての手段をとるしかない。まずは情報収集だ、幸い人手は集めてある。時間はないが、やってもらうしかない。




 と、意気込んで調べれば調べるほど不思議な経歴だった。とてもあのロッソ一家を返り討ちにした人物とは思えないほど長閑な人生を歩んでいる。あのときに見せた、一切の遠慮の無さ、一人残らず殲滅する用意周到さとその実行力、あれを見せられて当事者が普通の人生を歩んでいるはずがない。


 てっきり家族を皆殺しにされて復讐の人生を~とか、生まれたときから戦いに身を置いている傭兵~みたいな感じを勝手に抱いていた。婆ちゃんも同意見だったけど、短時間で得られた情報はこれくらいだった。

 後は実際に確かめて来いと叩きだされて、今に至るわけだけど……。



 あの雑貨屋の兄妹は私も知り合いだ。元は婆ちゃんがあそこの店主と友人だったみたい。特殊な魔導具を短期間貸し出す商売もしていて、そちらはよく世話になっている。王都全域で人さがしとかするとき、一族の人員とある魔導具の力で簡単に探し出せるのだ。一週間で金貨一枚取られるが、買うとなると数百倍らしいから、借りた方が安上がりなんだって。

 そんな縁であの二人がよちよち歩きのころから知っているけど、まさかあいつと知り合いだなんて。


 本当は会うのは午後からの予定だった。午前中はあいつをずっと観察して少しでも情報を引き出そうと思ったけど、あの二人が係わり合いになっているなら話は別だ。あんな危険な奴と一秒でも一緒にさせておけない。



 兄弟と別れ、早く現れた私に驚くでもなく今日の予定を聞いてくるこいつにちょっと頭にきた。

 あいつは本当にダンジョンに行くのかと聞いてくるから、こっちは命令されているから仕方ないことを強調するけど、私の服装を指摘されてしまう。


 確かに、今は余所行きの格好で来たのは確かだけど。私はほぼ遠距離攻撃だから格好は問題ないことを伝えると、あいつは事もあろうに深くため息をついた後、ついて来いと言い放ったのだ。



 なんなのこいつ! しんじらんない! 内心激怒しつつ婆ちゃんから言い含められているため強く出れない私は従うしかない。まず間違いなく私に監視がつけられているだろう。もしかしたら婆ちゃん本人が出張る可能性がある。むしろ嬉々としてやってくる人なのだ。ここで帰ったら私がどんな目に遭うか。


 連れて来られた先は、カフェ・ソルベだった。非常にお高いお店で、ここで暮らす私もお供で一度入った事があるだけだ。雰囲気最高、デザート最高、お値段最高の三拍子揃った店だ。よかった、普段着だったらきっと気後れして入れなかった。


 始めて来た筈の店なのに勝手知ったる様子で中に入り、さりげなく私の椅子まで引いてくれた。こいつ田舎者じゃないわ。動きが妙に小慣れているのがわかる。私の警戒度が一段上がったが……そこまでだった。


 気付いたときには()()とお互いのことを話していた。店内は静かながら弦楽器の生演奏が行われていて、それを聞きながら冷たい氷菓を口にする。もう夏になるのに体か冷えてきたら熱い蜂蜜入りのお茶で温める。夢のような時間だった。私は()の巧妙な罠にまんまと引っかかり、ついうっかり楽しい時間を送ってしまった。


 もちろん、ただやられっ放しではない。ちゃんとユウの口から情報も引き出した。彼は本当に駆け出しの新人冒険者のようだ。当然実力は伴っていない、私の見立てでは昨日訪れたクロイス閣下とだって正面から圧倒できる実力差だ。

 だけど、それもよくあること。私だってもし冒険者登録すればはじめはFランクだ。すぐに駆け上がる自信はあるけど、ユウはランクアップに興味はないようだった。とある目的があってウィスカで冒険者をやっているらしい。

 その目的を聞いて、私は半分呆れ、半分納得した。


 ユウは一人で()()ウィスカのダンジョンに潜っているという。証拠として8層に現れるというモンスターのドロップアイテムを見せられた。私でも知っている大きな肉球は貴族たちの垂涎の品として普通に買えば金貨10枚はする品だ。もし本当なら手にするだけでも手が震えるけれど、ああこの感触は…………。


 私はユウの言葉を信じる事にした。肉球には魔力が篭もっている。だってこんなに気持ちがいいもの。ユウが何を言っても生返事をしていたら取り上げられた。ああ! それは私の肉球なのに!!



 こほん、話が逸れた。彼の話では元々ダンジョン探索に集中するつもりが冒険者の規定で受けねばならないクエストを受けておらず、仕方なく受けた依頼であの王女一行がいたという。


 正直、信じられないような話だけれど、大体の裏が取れている。多分彼もこちらが知っていると思って話したのだ、手間を省いてくれたんだと思う。

 逆にこちらは話すことなど殆どないと思ったのだけど、ユウは私たちがやっている店の料理を聞きたがった。ウチが手広く店をやっている事を知り、王都土産になるようなものを探しているみたいだ。言葉の端々から土産を送る相手が女だとわかり、何故か胸がざわついたが、気にしない気にしない。


 私からは色々なお店の名物や掘り出し物を紹介した。王都は王都だけあって規模もお店も大きいけれど、特色といえるものは何もないのが欠点かも。陛下がいらっしゃることが最大の特徴だと言えるけど、お土産にはちょっと、という彼の言葉にも頷ける部分はある。

 私が教えた店は王都の穴場といえる店や誰もが知る有名店の名物など王都民なら抑えておきたいポイントばかりだ。同じ王都民なら私の分が無くなってしまうから教えないけど、彼は旅行者から問題ない。


 お互い得るものがあった話を終え、一段楽した後、ユウはおもむろに口を開く。彼は私が迷宮に来る必要性がないと思っているようだ。個人的には全く同感だが、こちらも婆ちゃんの命令なので拒否権はない。それに彼の目的が蜂蜜狩りと聞いては黙っていられない。この王都でさえ蜂蜜が店頭に並ぶのはごくわずか、しかも信じられないほどの高値がつく。唯一、恒久的に生産できると思われるダンジョン産は逆の意味で大人気だ。マナポーションの代用品として使えるダンジョン産は彼らが使うのでほぼ市場に流れないのだ。

 砂糖という超高級品を使用するお菓子は貴族様の特権みたいなものだ。それさえ、甘さは蜂蜜の足元に及ばないと聞くし。庶民にとって甘味とは花の蜜か、果物で得られるものだ。

 

 だから私が昨日記憶を失うほど喜んでしまったのも仕方のないことだ。あのタルトを作った人はなんと公爵家の専属料理人らしい! 


 どうやってそんな人と知り合ったのを聞く前にふと思い出した。昨日の待ち合わせメンバーだ。今公爵家といえば王国で一番ホットな話題だけれど……視線で促すとむしろ関わらないか? と逆に勧誘を受けてしまった。依頼の受注は婆ちゃんを通してちょうだいと言えたけどユウが差し出した肉球に視線は釘付けだった。私はまたもやユウの卑劣な罠に屈してしまいそうになるが、そもそもこの肉球は売却しても金貨4~5枚はするのだ。依頼として受ければ……婆ちゃんが受けない理由が見当たらないかな。



 急遽明日の予定ができてしまった。ユウはこっちが明日着ていく衣装の心配をしだした。明らかにダンジョンにいきたくない話題のすり替えだった。そんなに行きたくないのだろうか。わたしは分け前を戴く気満々なので絶対に行きたいんだけど。彼なら敵は余裕だろうし。

 

 ちなみに、衣装はちゃんとある。職業柄、貴族の夜会に潜入するとかもあるのでその辺りは抜かりない。

 ダンジョンに行きたくない理由を聞くと、ほとんど敵の出ないリルカ(王都)のダンジョンは退屈で面倒だからのようだ。そりゃあ、ウィスカと比べちゃ駄目でしょう。あそこは数十匹の敵が常に現れると聞くからユウにとっては絶好の稼ぎ場なのかもしれないけれど。そんなに敵が欲しいなら誘引香でも焚けばいいのにと言ったら、滅茶苦茶食いついてきた。どうも本当に知らないらしい。冒険者には必須の知識だと思うのだけど、やはり経験は少ないようだ。

 

 ここは論より証拠だ。ウチでも常備している誘引香を数個持ち出してダンジョンへ行く。入場料を私に気付かせずにさらっと払う辺り、手馴れている感じがして非常に不快だ。年下の癖に女性と遊んでいるのだろうか。


 私はダンジョンは久しぶりだったが、ユウはほぼ毎日来させられているようで、階段の位置は最短コースを迷わず進んでいった。あっという間に目当ての6層だ。これまで敵が現れても他の冒険者に譲ったり、武器を構える事もせずすれ違うように魔法で撃破していくのを見て、やはり実力が隔絶しているのを感じる。

 何より凄いのは魔法の無詠唱はもちろん、音を全く出さない事だ。さっきは光が見えたので火魔法だと思うが、光ったときには音もなくコボルトが塵に帰っていた。ユウは珍しく出たドロップアイテムを掴むとさっさと先へ行く。どうやっているのか不思議だが、魔力はあっても才能がない私には説明されても解らないだろう。一族には世間で優秀とされている魔法使いもいるが、ユウとは比べ物にならない。いや、比べる方が失礼なほどだ。私の家もこんな稼業をしているので、無音で事を為す意味は解っている。今まで魔法とは必ず音が出るものだと思っていたので、暗殺とは縁がないと信じていたのでこれは衝撃だった。




 6層でようやく私の出番だ。手にした誘引香に火を入れると周囲に甘い香りが漂う。魔物が好む匂いを発すると世間では言われているが、実際は違う。誰かが海で焚いた事があって、その際も海の魔物はやってきたそうだから、実際は魔力を辿っているとの噂だ。鼻のない海の魔物がやってくるのだから実際そうなのだろう。


 だけどダンジョンで実際に焚くなどという自殺行為をするとは思わなかった。魔物が際限なく湧くと思われ、他の冒険者にも被害が及ぶと考えられているからだ。だが、ここは冒険者が忌み嫌う6層なので人気はない。思い切りやっても問題ないと思う。私もユウの実力を知らなければ賛成はしなかったけれど。




 しばらく待つまでもなく、あの不快感を覚える羽音が聞こえてくる。通常の蜂より大きく、それでいて小回りの効くキラービーは実に不人気の相手だ。剣で相手にするには的が小さくて分が悪く、魔法で殲滅するには範囲魔法が必要でコストの割りに実入りが悪いと散々だ。通常ドロップである蜂蜜を落とす割合も約一割と言われていて、誰も望んで立ち向かいたくない相手だ。私だってユウが毎日数十個入手していると聞かなければ他の階層へ行く事を勧めていただろう。そんな相手だが、私自身との相性は悪くない。こちらに近づくときはほぼ一直線に向かってきており、飛び道具メインの私にはよい的だった。


 それ以前に私の隣の彼はまとめて風属性の範囲魔法で殲滅していた。私も援護しようかと得物を構えた段階で全て終わっていた。目の前には夢にまで見た蜂蜜の小瓶が散らばっている。


 歓声を上げて近づくという後から考えて悶絶したくなる恥ずかしい行動をしてしまったが、それも仕方ない事と思う。だって、蜂蜜なのだ。あのあまい、幸せな蜂蜜なんだ。これは誰だって頷いてくれると思う。


 ユウは苦笑しつつも、私の奇行を見守ってくれた。塵を搔き分けて集めた蜂蜜はなんと4個もあった。すごい! 信じられない! さっきの数はいいところ10匹だった。普段のここでは充分多いが、それでもあの数を4、5回行ってようやく手に入る数だ。さらには、レアドロップであるビーニードルまであった。


 これは本当に凄い事なのだ。百匹倒して一つ出ればいいほうとされるレアドロップがたった一回で手に入るなんて!! それにこのビーニードルは私のような投げナイフを主武器とする人間とって理想の得物のひとつなのだ。これを削りだして造るダガーは、軽さ、形、魔力の乗りやすさ、キラービーが針を打ち込んだ対象に送り込むであろう毒腺痕とおぼしき穴。この穴に薬を仕込んでおけるなど用途も多い。私もいつか手にしたいと思っていた逸品なのだ。


 私がちょっと力を入れて説明しすぎたのか、ユウは記念としてこの針を譲ってくれるという。私は今朝まで抱いていたわだかまりなどすっかり忘れて、彼に笑顔でお礼を言っていた。


 そのときに見せたユウの驚いた顔は、初めて歳相応に見えた。



 それからきっちり一刻の間、持ち込んだ誘引香を総て使い切るまで彼の狩りは続いた。昨日まで非常に非効率な戦いを強いられていたらしいユウは非常に上機嫌だ。

 私なんてほとんど何もしなかった……いや、出来なかったのだが、そんな私にもユウは笑って袋に入れた分け前を渡してくれた。蜂蜜の小瓶がじゃらじゃらと音を立てている。一体幾つ入っているのか、想像するだけで楽しみすぎて顔がにやけてしまう。封がされていなければ、はしたなくも覗き込んでいたかもしれない。


 彼は途中から不思議なスキルを使ってドロップアイテムと塵を回収していた。実際見たことはないけれど、ダンジョン内で放置されたドロップアイテムは時間と共に消えてしまうというから素早く回収するのは正解なんだろうけど……一体幾つ蜂蜜が手に入ったのか分からないのがもどかしすぎる。私の優れた動体視力は舞い落ちる小瓶やビーニードルは見えたものの、数を確認する前に新手が押し寄せる有様だった。私ではいつか押し切られてしまうような猛攻だったが、ユウは地元で慣れているのだろう。むしろ安心感さえ覚えるような手馴れた動きで次々に「処理」していった。最早これは戦闘ではない、流れ作業に違いないと思い始めたころ、背後からまたあの羽音が聞こえてくる。


 背後は私の担当らしい、ヒマだろうと問いかけられたから何かあるかと思っていたので驚きはない。むしろ少しでも私の実力を知って欲しい、そんな気持ちになっていた。


 そして分かったのだが、ユウはずるい! 明らかに何かのスキルを使っている。私は苦労して20匹を倒し、手にした蜂蜜は一つだけだ。それに対し彼は20匹程度を倒して蜂蜜を10個近く手に入れている。ビーニードルの姿も見えた。明らかな不公平だが、本来は私の個数で正しいはずだ。彼が何かしているとしか思えないが、そこまで聞く事を躊躇ってしまう。

 昨日初めて会ったようなものだし……拒絶されたら立ち直れないかもしれない。そう、私たちはまだ出会ったばかり、距離が縮まれば彼だって話してくれるはず。


 今となっては清清しいほどの先送りだけど、あのときはそれが最善だと思えた。



 ダンジョンから出た時は日も傾いていた。ユウは5時過ぎとか言っていたけど、よくわからない。

 私たちは帰路につくけれど、その歩みはとてもゆっくりとしたものになった。理由は分かっている、私がわざとゆっくり歩いているのだ。自分でも分からない不安な感情が足を遅くさせている。


 ユウは私の実家まで送ってくれるようだ。”豪腕の杯”はここから近い場所にある。しまった、南地区のはずれにある店にすればよかった。


 私と彼に共通の話題は少ない。ほぼ初対面だから仕方ないし、数少ない話題は先ほどのカフェで使ってしまった。沈黙を酷く勿体無いと思った私は幸いにも先ほど受けた依頼の話をする事にした。

 内容は、実は結構細部まで知っている。明日の儀式のためにウォーレン公爵家は精力的に動いており、ウチのギルドにも内々で協力要請があったのだ。今は王女の護衛のために人を割いているのと、あまり権力側に付きすぎるのも良くないと婆ちゃんが判断して今回は見送ったけど、事情が変わった。公爵家に恩を売れるよい機会になるかもしれない。ユウのほうから話を振ってきたと言えば婆ちゃんも諸手を挙げて賛成するだろう。


 だけど、詳細を聞こうにもはっきりしないのだ。情報が漏れるのを恐れている、というよりほとんど何も決まっていない印象を受けた。わたしはなにをすればいいの? 直接聞いてみたけど、返答はまさかの腕の立つ奴が欲しかったというだけ。自分が認められたと顔が緩みそうになるが、あまりにも計画が杜撰ではないかと思う。ユウ自身もそこははっきりしないようで、私も適当に潜入していざと言うときに力を貸してくれる人が欲しかっただけみたい。下手をすれば私は何もせずパーティで美味しいものを食べてくるだけになるんだけど、と聞いても、最悪それでもかまわないと言う。


 割のいい仕事だと思ってくれていい、という言葉を信じようと思う。それに、仕事を請ければ明日もユウに会うことになるのだから。



 どれだけゆっくり歩いても店の前にはいずれ着いてしまう。名残惜しく思いながらも、今日はどこに泊まるのかを尋ねる。護衛対象の王女一行は今日も王宮で寝泊りするのは聞いている。この分なら今日も人を配置する必要はないだろう。そう思って聞いたら案の定、かれはこのままリットナー伯爵家に向かうそうだ。そこでそのまま儀式に備えるらしい。


 今度こそ、名残惜しさを隠して別れの挨拶をする。また明日、と言う言葉にこれほどの希望があふれているとは思わなかった。目尻に涙が浮かびかけ、慌てて家に駆け出した。

 ユウのまた明日と言う言葉が酷く耳に残った。



 だが、その余韻は無残に打ち砕かれた。私が今日何をしていたのか、一族の女性陣には筒抜けだったようだ。私は稼業では頭ではあるが、私生活では小娘に過ぎない。そして私を含め、全世界の女性は恋バナが大好物である。10人を越える一族の女性陣が私の帰りを……いや、今日何があったかを聞き出すために待ち構えていた。

 みんなの餌食になるのは御免である。私は極めて平静を装って店に入り、自分の部屋に戻ろうとするが、その行く手を一つ年上のセイラ姉さんが塞いだ。隣にはその母親であるチェリセ叔母さんが実に人の良い笑みを浮かべているが、私を部屋に行かせてはくれない事は分かっている。皆口々にお帰りと言って来るが、その先を言わない、言わなくても分かっている。デートはどうだった? と無言で問いかけている。



 部屋に行く事は諦めたが、このままみんなの玩具にされる気はない。しかたない、ここで戦利品の確認をしよう。店はわざわざ休みにしているので問題はないが、むしろ婆ちゃんの本気を感じ取ってちょっと怖い。


 しっかりとした生地で織られた袋はそのまま使いまわすことも出来そうな立派なものだった。重量もかなりあり、ちゃんとしたものでないと底が抜けてしまう恐れもあったがそれ以上に期待の方が大きい。

 

 みんなの視線を無視して袋を開けて覗き込む。そこにあったものを見て私は動きを止めてしまう。


 どうしたの? と今年8歳になったシンディが背伸びして覗き込む。そして私と同じく動きが止まってしまう。そうだよね、これを見たら、動きが止まるよね。


 私はとある策を思いつく。これを実行に移せば、ここを無難に乗り切れるはず。元々この量は一人で楽しむ量じゃない。意を決して袋の中身を逆さにした。ガラガラと落ちる大量の小瓶と、レアなはずのビーニードルが大量に落ちてくる。その価値を知らぬものはここにいない。


 あっという間に争奪戦が始まった。


 私が確保できた蜂蜜は8本だけだった。その代わり、ビーニードルは全て、16本手に入れる事ができた。蜂蜜は全部で50本入っていた計算になる。あいつ、やっぱりどこかおかしいって。


 私は、怖かったので総額がいくらになるのかは計算しなかった。隣のフレン叔母さんが金貨50枚以上とか言っていたけどきっと気のせいだと思う。気のせいにして。


 どこの世界に一時間で金貨50枚分稼ぐ冒険者がいるのだろう。それに私に全部寄越したとも思えないから自分達の分は確保しているのだろう。この短時間にユウは一体いくら稼いだのだろう。


 私は乾いた笑い声を上げることしか出来なかったが、少なくとも周囲の皆は彼に合格点を与えたのは間違いないことだった。


楽しんでいただけたら幸いです。

が、またもや全後編になってしまいました。理由はとあるウエイトレスが暴れまわったからです。

続きは明日かな? いや、もう今日か。


あと、感想をありがとうございます。

本気でうれしいです! やる気が出ます。これからもがんばります!


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