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世界最強になった俺、史上最強の敵(借金)に戦いを挑む!~ジャブジャブ稼いで借金返済!~  作者: リキッド


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王都にて 8

お待たせしております。

本日二本目です。



「ロックゴーレムは普通の武器じゃ殆ど意味ないよ!」


 見た目は完全に石人形だが、立ち上がったその大きさは5メーテルを軽く越えている。だが考えてみれば先ほどまではその巨体を丸めていて岩山サイズだったのだから納得だ。

 リリィが警戒を促しているが、俺はとりあえずジュリアの介抱を優先させることにする。不意打ちに対応したものの、かなりの深手を負っているはずだからだ。

 先ほどのジュリアが行った攻撃を受け流す動作は体の”余裕”がキモなんだが、後ろを振り向きながらの動作ではその余裕がほぼないからな。受け流しきれない衝撃が彼女の体に襲い掛かったはずだ。


「灰燼と化せ! ファイア・ランス!」


 幸いロックゴーレムはその巨体ゆえに動きがかなりトロい。ようやく立ち上がれたジュリアに近寄ると同時に、アンナの火魔法がロックゴーレムに炸裂していた。ボスがいることは解っていたから十分に準備し、触媒も最大限に用いた一撃だ。しかも中級魔法の<ファイアランス>がゴーレムの中央に着弾するのが見えた。


「やったか!?」


「ユウ、それは言っちゃダメだよ……」


 また足腰がふらついているジュリアを立たせてやりながら俺は思わず叫んでいた。アンナの魔法は俺の乏しい知識から見ても完璧で、未だに炸裂した火魔法の残滓が広間に残っているほどだ。これはもう終わったんじゃないかと思ったのだが、リリィが残念そうな顔をしている。何故だろう。


 背後で何かが動く音がした。咄嗟に氷の槍を数本作りだし、背後に打ち出した。振り返ると先ほど火魔法の直撃を受けたはずのゴーレムが全くの無傷で、こちらに手を伸ばそうとしていたのだ。そんな馬鹿な! 俺がさっき射った魔法はどうしたんだ?


「ユウ殿! 敵のステータスを!」


 ふらつきながらもなんとか立っているジュリアが叫んだ。俺はジュリアを担ぎ上げると敵から距離をとりつつ、<鑑定>を行った。初見の相手は必ず情報を得ることにしていたのだが、すっかり忘れていた。



 ロックゴーレム ゴーレム種 


 太古の魔法技術によって作り出された魔法生命体。術者の命令によって起動し、魔力を受けて活動する。最古のものは力ある言葉をその体に打ち込まれることで魔力の源にしていたが、その弱点が知れ渡ると次第に外部から力を供給されるものに変遷してゆく。主に拠点防衛や戦争用に多くのゴーレムが創り出され、様々なバリエーションが存在する。ロックゴーレムはウッドゴーレムと並び、汎用性の高いゴーレムとして無数に創り出された。

 HP 25000/25000 MP 500/500 経験値 5834

 所持スキル <全属性魔法完全無効化><超硬化LV10>

 ドロップアイテム  なし



 おいおいおい、何だよあのステータスにスキルは!? なんかとんでもないもの持ってやがるぞ! さっきアンナと俺の魔法が全く効果なかったように見えたのはそういうことなのか! 俺の氷魔法は音もなく発動させるから不発だったのかと思ってたが、ちゃんと相手に当たって効果がなかったんだな。

 そしてもう一つのスキルも気になるな。<超硬化>ということだから防御力が上がってるんだとは思うが、少し試してみるか。


 ジュリアをアンナに預けると彼女は一旦退いてゆき、俺の側にはサリナが残っている。それを確認した後、俺に向かって歩を進めるロックゴーレムに逆に近づいてゆく。緩慢な動きで振り下ろされた腕、というか岩の塊をかいくぐって奴の足に思い切り殴り拳を叩きつける。

 しかし、かなりの衝撃音がするものの激痛を受けたのは俺の拳の方だった。


「固ってぇ!!」


 力一杯殴ったから俺の指が折れているかもしれなかったが、俺はそれどころではなかった。今までは緩慢な動きだったロックゴーレムの上半身がぐるぐると横回転を始めたのだ。人体ではありえない、人形だから可能にする動きだがその速度は息を呑むほどで、俺たちは間一髪であの腕の回転攻撃から逃れることに成功した。不自然に胴長で足が短い形をしていたが、それはこの回転攻撃の効果を高めるためだったか。


「あの動き、予想外。簡単に近づくのは危険」


 サリナが俺の腕の中で呟いた。今の攻撃は二人がすぐ近くにいたから敵の思考(石人形にそんなものがあるかは別として)がそう判断したのだと思う。事実、その回転のあまりの速さにロックゴーレムはいまだに回転を続けている。正直隙だらけだが、どう攻めたもんだが想像もできないな。


 だが、まあとりあえず……。


「皆、撤退だ。一旦ここから出るぞ!」


 俺はそう宣言し、サリナを抱えたまま撤退を開始する。目指すは先ほど閉じられた扉だ。


「いやー、こんなことだと思ったんだよね~」


「さすが相棒、頼りになるわ」


 ひらりと飛来したリリィが俺の側でしみじみ呟いた。俺はその先見の明に恐れ入るしかない。俺一人だったら、あまり考えずにここに入って皆を危険に晒していたところだ。すぐに負けるとは思わないが、ソフィアたちに万が一のことがあってはならない。慎重すぎるくらいで丁度いい。


 

 俺たちは、締め切っている大扉に()()()()()()()()()を潜って、このボス部屋からの脱出に成功した。



 種明かしをするまでもなく、『きっとボスが現れたらこの扉が閉まって退路を断れるんだろうねぇ』といかにもありがちなリリィの言葉を受けて逃走経路を確保していただけだ。

 ちなみにこの石の大扉も一切の外的衝撃を跳ね返したんだが、土魔法で変形させてみたらあっさりと穴が開き、それを人二人くらいは余裕で通れる大きさに拡大した。ダンジョンの壁は掘られてもすぐにも元通りにもどってしまうが、実は修復中に何かを挟まれると、その部分は元通りにならないのだ。

 これを発見したのはウィスカでなんとかダンジョンを近道できないかと考えていた頃で、壁は木枠を突っ込んで穴を開けることに成功したのだが、床は再生力が強くて穴がすぐに塞がってしまった。当時は毎日階段の位置を変えるダンジョンで壁だけ掘れても近道にならないなら意味がないと諦めていたのだが、こんな所で役立つとは思わなかった。

 

 なので、ロックゴーレムの出現と同時に大穴の開いた扉が軋みを上げて閉まったのを見て、妙に笑えて来たほどだ。この層の製作者の意図を挫いてやれたわけだ。




「さて、あのゴーレムをどうするかなんだが……」


 <鑑定>で得た情報を皆で共有した後、俺たちは作戦会議を行うことにした。こんな悠長なことができる理由はあのゴーレムが部屋から出た途端、始めにいた場所に戻って機能停止してしまったためだ。


「あのスキルはほぼ反則ですが……それでも先へ進むためにはあのゴーレムを倒さないといけないのですよね……」


 ジュリアが辛そうな顔で岩山を化しているロックゴーレムを見ていた。そういえば彼女は傷を負っていたはずだ。外傷はないから気付かなかったが不利な体勢であの質量をその身で受けたのだ。筋肉の断裂を起こしていても不思議ではない。俺の拳も先ほど骨折してもおかしくないほどの衝撃を受けたが、既に回復し終えて痛みもない。


「ジュリア、どこを怪我したのです?」


「いえ、お嬢様。この程度の痛みは無視できますので、お気遣いなく」


 気丈に微笑むジュリアの顔を見て、俺はため息をついた。リリィに目で尋ねるとまあいいんじゃないのとの返事が返ってきた。たしかにこのメンツなら、もういいか。


「内緒にしといてくれよ。<エクストラキュア>」


 確か彼女の負った傷は内部だから幹部の特定もめんどくさくなった俺は最上位魔法で一気に回復することにした。ジュリアの足元に白い魔法陣が現れると彼女を輝きが包み込んで一瞬にして怪我を癒した。ステータス上ではかなり体力が減っていたからかなりの重症だったはずだが、これで完全に回復したはずだ。オールヒールは主に怪我を、キュアは状態異常や病気を癒すが、エクストラキュアは何でも治してしまう。その代わりに膨大な魔力を消費するが、まあ俺は除外してくれ。


「こ、これは、回復魔法」


「そんなものまで使えるのですね……」


「さすが賢者様です。姉さま良かったですね」


「わ、わたしのために貴重な回復魔法まで……申し訳ありません」



 別に貴重でもなんでもないが、まあいいや。しかしメイド3人が驚いている所を見るとジュリアは意外と多くをソフィアたちに話していないのかもしれない。<隠蔽>する前の俺のステータスを彼女は見ているはずだから知っていてもおかしくないと思ったが。レナは瀕死のときに俺が癒したのを覚えていたようだ。意識も朦朧だから忘れていたかと思ったが……ああ、だから賢者呼びなのか。



 ジュリアの回復を終えたら、一旦休憩することにした。この階層に他のモンスターはいないし、唯一の敵であるゴーレムは扉の先で微動だにしていない。今まで動きっぱなしだったので分からなかったが、時刻は既に昼を回っていた。メイド二人とジュリアは平気でもお子様のレナと主人であるソフィアに疲れが見えていた。



 そんなわけで休憩兼作戦会議だ。いつもの土魔法で椅子と卓を用意してその上にクロスを敷いて完成だ。シンプルだが、椅子の上に1層のドロップアイテムである熊の毛皮を敷いているので座っても尻が痛くなるようなことはないようにした。毛皮はかなり分厚くて一枚でも十分に機能を果たすほどだった。


 メイド二人はお茶の準備をすべく動いている。マジックバッグに入れた荷物はどういう理屈かは知らないが、かなり乱暴に扱っても中身がこぼれたりはしないようだ。失われた時空魔術が関係しているという話らしいが、魔法技術で他国の追随を許さないライカールの姫であるソフィアが原理を知らないのだから他の誰も知らないに違いない。


 ちなみに熱湯は俺が用意した。双子メイド二人が揃って無言で見つめてくるのには参ったが、逆にそれだけ仲良くなれたとも思いたい。最初に出会った頃とは大違いだ。あと、食事は俺が出した。ウィスカで持たせてくれた弁当類が相当数余っていたのだ。

 ウィスカを出発する日の朝、クエストの期間中の部屋代を大目に支払ったのだが、ハンク爺さんはそれをそのまま受け取らず、俺の弁当代として多くの弁当を作ってくれたのだ。

 多すぎると断ろうとしたが、余ったら他の連中にくれてやれと押し通されてしまった。


 <アイテムボックス>内の時間は止まっていていつでも新鮮だから、という理由で後回しにしすぎたのだ。他の冒険者たちがいた護衛中は炊き出しがあってそれを口にしていれば十分だったし、ソフィアたちと共に行動してからはホテルの飯があったから、食べている暇がなくてここまできてしまった。

 一番の理由は俺が一日に二食で十分だということもある。この体は入れようと思えばいくらでも入るが、俺自身そこまで食欲がない。やはり元が人間ではないからか、あまり腹が空かないようになっているのかもしれない。


 ここぞとばかりに軽いものを中心に弁当を出させてもらう。保存食だと思っていたこともあるが、流石に感想を聞かれでもしたら食べてませんなどとは言えない。

 ハンク爺さんが作ってくれた弁当は、彼の料理の特徴である東方風の味付けはもちろん、弁当の包みも特徴的だった。経木という木の皮をなめしたような、羊皮紙のような不思議な包みに紐でくくられているものもある。保温性と殺菌性に優れているらしい。俺のスキルではあまり関係ないが、こちらのことも考えてくれて有難い。それに物珍しくてとても目を引く。

 弁当は沢山の種類もあって木の箱に敷き詰められたようなものもあって、目にも楽しい作りになっている。ハンク爺さんが素人目にも相当の腕をもっているのがわかる。俺もあの宿に居続ける理由は安さもあるがあの食事だし、本当ならもっと繁盛してもおかしくないんだが。



「この料理を作られた方は、どちらの生まれなのですか」


「本人は東方で修行していたといっていたな。基本は素材を生かすというか、もっと薄味なんだけど俺の商売上、よく動くから味付けは濃い目にしてくれてるんだと思う」


 料理をするものとしてアンナもこの味が気になるらしい。俺も好きだが、ここいらでは殆ど味わえないものだからな。素材の味を引き出すというか、あまり手を加えないというか。こっちは大抵の料理にソースがかかっているからな、美味いことは美味いが素材ではなくソースが美味いような気がしてくるのだ。


「私たちが普段食べている食事とは大分違いますね、でもとても美味しい」


 現役のお姫様であるソフィアにも好評なようだ。何しろ出来立てだからな、ウィスカでは出発が早朝だったから本当ならもう少し冷ますはずの弁当でも湯気を立てて熱々だ。魔法袋では時間は止まらないからこうはいかないらしい。たしか時間停止は発展スキルだったかな、あのときは取れるだけ取ったから良く覚えていないが、相当数のスキルポイントを遣った気がする。


「はぐはぐ、はぐはぐ」


 ジュリアとレナは無言で食べているが、実は3つ目の弁当だった。まだまだあるから好きなだけ食べるがいいぞ。ただ、ハンク爺さんのために詳細な感想はもらうがな、『美味しかった』は禁止で。

 

 俺はあまり空腹を覚えていなかったので、軽くつまむ程度にしておいた。リリィはいつもの蜂蜜を満喫している。それは食事じゃないと思うぞ、相棒。

 



 皆が人心地ついた所で、ようやくの作戦会議となった。内容は主にゴーレムのスキルについての話になる。


「魔法が効果が期待できないとなると、私は厳しいです」


 アンナがほぼお手上げだという。短剣を獲物にしているサリナも同意見のようだ。


「硬化スキルも厄介だな。力一杯殴ったが、こっちの拳が壊れるだけだった。しかも相手は被害なしときた」


「面倒ですね。ユウ様でダメなら私の剣でも歯が立たないでしょう」


「どーしたもんかね」


 皆がうーんと唸る。

 ここではっきり認める必要がある。

 俺たちとは相性が最悪の敵である。正直、まともにやりあっちゃいけない類の相手だ。魔法が完全に無効化された上に物理攻撃がほぼ通らないって、どう戦えばいいんだ!? という感じだ。



 だが、ここで愚痴っていても仕方ないので、色々やれることや敵の能力について検証を行うことにした。俺たちはこの敵について殆ど何も知らないからだ。<鑑定>で能力やスキルは知れたし、昔あったといわれる弱点を探してみるのもいいだろう。

 なにしろここから戻る階段は消えうせたのだ。前進あるのみ、である。




「これ、負けイベくさいなぁ」


 リリィがそうぼやいている。意味を尋ねれば絶対に勝てない戦いで、敗北することによって話が進む状況らしい。味方が颯爽と現れたり、何故か敵が不敵に笑って帰っていくそうだ。


 だが、ここは完全に閉鎖された空間で、相手は意思の疎通もできないゴーレムだ。参ったと叫べば帰ってくれて、帰還するための階段が現れてくれるんだろうか。都合のいい妄想は程ほどにしておこう。


 だが、リリィのボヤきも理解できる。いやぁ、本当に面倒くさい敵だわ、こいつ。


 色々試して分かったことがある。せっかくだから一つずつ挙げていくことにする。



 一つ。 この広間は一つの魔法空間である。

 俺のスキルとは違うが部屋の中は結界の中というか、正確には扉が閉まると魔法が発動する空間のようだ。穴から出入りすると扉付近でもゴーレムは起動するが、扉を開けて入るとある程度まで進んだ時に扉が勝手に閉まり、そこからゴーレムが動き出す。この魔法がゴーレムを動かしていると思われ、<鑑定>にあった力ある言葉の代わりになっていると考えられる。事実、ゴーレムの表面には文字らしきものは一切なかった。



 一つ。 ゴーレムの<超硬化>は完璧ではないが、俺たち相手にはほぼ無敵。

 完全無効という超絶チート(リリィ談)による魔法よりも望みがあるからという理由で<超硬化>がどれほどのものなのか調べてみることにした。だが、俺たちの武装といえば……アンナとサリナが魔法と短剣。ジュリアが長剣、俺がアルの持ち物であったナイフだけという貧弱さだった。いやいや、普通のモンスターには十分通用するし、悪いわけではない。だが、リリィ先生が言うにはゴーレム攻略法は専ら魔法で他には投石器や落とし穴を使って倒したりするものらしい。つまりゴーレム退治に必要なのは剣ではなく鈍器なんだろう。

 

 ということで俺の<アイテムボックス>を漁って何か鈍器といえるものはないかと探していたら、ウィスカの10層のボスであるサイクロプスのドロップアイテムがいい感じで鈍器だったのが、さすがモンスター専用武器というべきか、異常に重くて振り回すことさえできなかった。今の俺は筋力なら多分人類で最高級だと思うからおそらく人間では扱えないようになっているのかもしれない。

 このときは暗殺者共の戦利品を処分するのが早すぎた事を後悔した。もっと便利な武器があったかもしれない。手持ちのコブリンソードだが、アレは武器とはいえない。ゴーレム相手に切りつけたら根元からへし折れた。価値があるのは武器としてではなく、鉄資源としての価値だ。

 


 意外な効果をもたらしたのは、先ほどの罠の嵐で拾ったレジェ合金製の矢だった。大昔の技術で作られているらしいが、詳しいことはさておく。この矢を試しにとばかりに投げつけたのだ。弓がなかったから投げたのだが、うまく掠ってゴーレムの表面を削り取ることに成功した。<超硬化>が無敵ではないと判明したが、それがどうしたといわんばかりの結果ではある。これを続ければ来年くらいには倒しきれるのはないのだろうか。 

 まあ、無駄骨だな。



 一つ。 <全属性魔法完全無効化>はゴーレムの周囲を覆う魔法障壁である。

 魔力を外部から供給しているのに、魔法を全て無効化するとはどういうことなんだろうと思って色々やってみた。この前レッサーデーモンにやったように水魔法をぶっかけて試してみたのだが、ゴーレムを中心に円形の障壁が張られているのがわかった。障壁に当たるとその段階で全ての魔法が霧散してしまうようだ。アンナに頼んで弱めの火魔法を撃ってもらい、俺たちが見て確認した。その障壁は完全な球体で、真下からの攻撃魔法も防がれてしまったのでお手上げだった。

 

 その他にも始めに受けた回転攻撃は周囲に二人以上いないとやってこないとか、まれに突撃してくるけどその時は”溜め”が長いとか色々あるが、根本的な攻略にはなっていない。

 そこでリリィの先ほどの発言になるのだが、俺の胸中にも薄々感づいていたことがあった。リリィを手招いて聞いてみることにした。


「今更だけど、リリィはこの階層のことをどう思ってる?」


「ユウと同じ考え。ここ、本当は選ばれた誰かしか入っちゃいけないんじゃないかと思う。それなのに私たちが偶然迷い込んできちゃったんでしょ」



 根拠もない完全な予想だが、この階層って本来は謎めいた古文書の解読でも、どっかの神様からの啓示でも何でもいいけど、きちんと予備知識を得た人間が試練か何かを受けるためのような場所な気がしてならないのだ。


 

 本当なら異変があれば大事である第六層という低層であるはずの階層。降りたと同時にそれまであった階段がなくなっている不可解さ。あらかじめ安全な場所を知っておかねば突破できないような危険すぎる罠の数々。極めつけは戦って倒す相手だと思えない魔法と物理にほぼ無敵な耐性を持つ魔法生命体。

 ここまで状況が整いすぎるとそうとしか思えない。元々、低層にこんな階層があること自体知られてはいなかったのだから俺たちが偶然迷い込んだといわれたほうが納得できるが、『偶然』かどうかは疑わしい。


 とにかく、原因を突き止めた所で対策が判明するわけではないからそれ以上はやめておいた。とにかく、今の俺たちとは相性が本当に最悪で、まともに戦っては勝てない相手であることが改めて良く分かった。


「現状で一番マシな選択肢はあのゴーレムを魔力切れに追い込むことだな。無限の魔力なんて存在しないから、部屋の中で動き続ければうまくいけば数日で魔力切れに追い込めるだろう」


 俺の希望的観測に反論が入る。ゴーレム自体もおそらく外部からのエナジー補給だろうからもしかして無尽蔵かもしれないという予想は伏せておく。


「それは困ります。お嬢様は登城を控えている御身ですので、なんとしても今日中に帰りつかねば王城からの使者に非礼を働くことになりかねません」


 アンナが控え目に反対してくる。もちろん俺も今日中に帰りたいのは同感だ。リットナー家の問題に既に首を突っ込んでいるからそちらの進捗も知りたいし、一応今日もあのシルヴィアお嬢さんに会いに行く約束はしているのだ。バーニィとお付きのメイドしか話し相手がいないのであの子はとても退屈している。まさかあんな小さな女の子を満足させるために<交渉>を使うとは思わなかった。そのため、俺は毎日あの子に会いに行く事になっているのだ。


 それにしても、なんだろう……彼女たちの楽観ぶりが気になるな。ソフィアは未だにこの状況を楽しんでいるし、アンナの言葉も危機感が一切感じられないのは俺だけだろうか。

 もし打開策がなければ俺達は死ぬまでここに居続ける羽目になるのだが。


 

 だが、魔力切れを狙うのは悪くないはずだ。あの魔法障壁は常に発動しているとは思えない。部屋に入る時に何らかの魔法装置が起動するなら、何らかの形でその魔力を受け取るはずでその時は障壁を解除しているはずだ。

 それにゴーレム自体も魔力を受け取って動くならば障壁でその供給が止まってしまう。おそらくゴーレム内部に魔力を溜め込む機能があるのだと思う。電池式か何か知らないが、限界は必ず来るだろう。

 このままで限界が来ないなら、こちらから来させてやるまでだ。奇跡は起きるものではない、無理矢理にでも起こすものなのだ。

 

 さて、どうするかね?



 残りの借金額  金貨 15001332枚  


 ユウキ ゲンイチロウ  LV117 


 デミ・ヒューマン  男  年齢 75

 職業 <村人LV133〉

  HP  1993/1993

  MP  1371/1371


  STR 331

  AGI 307

  MGI 323

  DEF 290

  DEX 256

  LUK 195


  STM(隠しパラ)555


  SKILL POINT  465/475     累計敵討伐数 4364



 

楽しんでいただければ幸いです。

ゴーレム戦は次で終わります。

目標は水曜日までに投稿です!

(最近追い込むと嫌でも動く事を覚えました)

味を占めていきます。


余談ですが、東方はなんちゃって中華をイメージしていただくと適当かと。

ハンク爺さんはその中でもジャパンで修行した設定です。

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