彼女の道 18 領都シンタオ 10
お待たせしております。
「ここが清国屋であるか! 我等は殿下の私兵である! 貴様等が不正蓄財をしているとの密告を受け、調査に参った! 潔白なれば大人しく査察を受け入れよ!」
俺が引き連れたエイセイの配下でいかにもガラの悪そうなやつ(妻子もち、意外と真面目)が声を張り上げる。それぞれが棒を手にしており、威圧感は物凄いことになっている。すると店の中から恰幅の良い番頭らしき男が飛び出してきた。
「お、お勤めご苦労様にございます。私めはこの店で番頭を務めておる者にございますが、身共は真っ当な商いをさせていただいており、誓って不正などは……」
「黙れぃ。密告者がおるといったではないか。貴様もこの者の顔を見忘れたとは言わせぬぞ」
そう言って縄を打たれた一人の中年の男が番頭の前に連れ出される。そして見て解るほど顔色を変えた。
「シ、シンカイ太守様……」
「この者の罪状を言え!」
「清国屋には抜け荷と人買いを見逃しました。その見返りに東南の河川普請の際に人足の補充と称して奴婢を北方から買い集め……」
「それは貴方が持ちかけた話ではないですか! それを我等の罪とは」
「黙れ! この咎人が! 領都の大通りにこのような大店を構えて随分と羽振りが良さそうではないか。殿下は貴様等が使い尽くした金殻をどのように工面するか、難儀されておるのだぞ! それに引き換え貴様等は何だ! ただこのような悪党と結託し、己が利を貪るばかりではないか! 天が許し、殿下が見逃されようとも我等股肱の臣は決して許さぬ! これは総検めである!」
なんだなんだと集まってきた領都の民も悪どく稼いで来た清国屋に降って湧いた災難に喝采を上げている。やはり評判は良くなかったようで、ざまを見ろとの声が聞こえたほどだ。
「行くぞ、皆の者! 国庫に収めるべき財貨を取り戻すのだ!」
応、と声を揃えたあらくれどもは店の中に殺到する。総検めといいつつ実際は打ち壊しの様相であるので、番頭は真っ青になって声を張り上げた荒くれに詰め寄っている。
「我らは正統な法に則り、商売をさせていただいております! それなのにこれはあまりに横暴でございます! 殿下の兵がこのような無体をされるのですか!」
「寝言を申すな! 周囲を見てみよ、お前の店が周囲からいかに恨まれているか、町の衆の反応が全てではないか。我等の行動に賛同し、貴様等の罪が暴かれるのを今か今かと待ち望んでおる! 真にお前の店がお天道様に恥じぬ商いをしているのなら、町の衆は我等に反感を抱くであろうが!」
そうだそうだと周囲から声があがる。サクラは仕込んでいないのでこれは自然の反応だ。
「それは……しかし、我等に不正などございませぬ。幾らでも家捜しをされるが宜しかろう。ですが、何も出てこなかった場合は、我等の身代を賭けて然るべき場所に訴え出る所存でございます」
番頭は決意を籠めて隊長に脅しを入れる。長らく宮殿から富を吸い上げてきた歴戦の番頭だけあってなかなか肝が据わっている。ただではやられんと覚悟を決めているのだろうが、ここにいるのが素人ならともかく、俺は宝探しの玄人なのだ。
「ほう、面白い事を言うな。その言葉、覚えておこう」
「何だ貴様、その耳は奴婢か、人間の分際で……金の髪の人間だと……まさか、まさか貴方様は」
メイファの周囲にいる金髪の人間は目立つ。もう非常に目立つ。最近じゃ天の遣いなどという馬鹿げた異名までくっついてきたお陰で番頭の顔色は青を越えて白くなっている。
「身代を賭けるか。それは楽しみだ、実に楽しみだな」
俺は何か言おうとする番頭を無視して店の中を物色する荒くれどもに命令した。
「おいお前、そこの床板を剥がせ。そっちは左の壁を掘れ。そう、そこだ。面白いものが出てくるぞ」
残りはついて来いと告げると俺は店の裏側に回る。そちらには蔵があるのは解っている。
「困ります! 店を壊されては商売が立ち行かなくなりますぞ!」
「もし何も無ければ補修して弁償してやる。なにもなければ、な」
俺についてくる番頭に答えてやりながら大きな蔵の目の前に立つ。当然蔵には鍵がかかっている。
「お前への配慮で口にしてやる。鍵を開けよ」
「鍵は会頭が持ち歩いておりまして、ここにはございません。今しばらくお待ちいただかないと……」
「番頭のくせに鍵の管理も許されていないのか? 仕方ない。警告はしたからな」
南京錠の原形のような大きな鍵だが、俺にはあまり関係ない。無理矢理力で引き千切るとそのまま投げ捨てた。絶句する番頭を尻目に木版やらが詰まれた倉庫の中に入り、まっすぐ奥へ進み目当てのものを探し出す。
「そ、それは……」
驚きすぎて最早表情を隠せていない番頭に対して俺は壁や床板を外していた店舗に戻る。男たちは俺の指示どおりに役目を終えており、いくつかの木箱が現れていたが、その全てに符が貼り付けられていた。
どうするつもりだと自信ありげな番頭には悪いが、俺はこの符というものを研究したのだ。魔力がないから想定していないのか、符というものは魔力を流しながら触れるとただの紙切れ、板切れになってしまう性質があった。
「ば、馬鹿な! 燃えて全て消し炭になるはずが……」
他人が不用意にあければ証拠隠滅される予定だったみたいだが、俺は何気なく符を毟り取って箱を空けた。なかにはぎっしりと棒金が詰まっており、男たちは歓声を上げた。
「店の売上金を随分と珍しい場所に隠しているな。ええ?」
「そ、それは……」
ちなみに俺が蔵から持ち出したのは不正の書類一式だ。もし太守側が裏切ればこれを使って対抗する気だったらしいが、裏切る前に破滅したからしょうがない。
シンカイには罪を吐けば吐くほど逃がした妻子への追求を緩めると話したら、幾らでも商人や守備隊の埃が出てきた。それを全て把握していたから大したものだが、元々シンカイはその頭と実直な勤務態度で評価されてきた男だったらしい。その後で賄賂と策略で上に登ったのもまた確かなようだが。
「さて、金は他にもあるのは解ってる。書類も抑えた。ええと、なんだっけ? 身代を賭けてくれるんだったよな?」
「お待ちください! あ、あれは言葉の綾というもので」
「商人が一度出した言葉を翻すのか!? そうかそうか、清国屋はそういう人間を番頭に据えているのか。ずいぶんと程度の低い店が領都御用達になれたもんだな。まあどっち道お前もこの店も終わりだ。金目の物を全部持ち出せ! 俺達を舐めたのが仇となったな」
下品な歓声を上げて男たちが馬車に金を積み込み始める。それを見て周囲の町の衆もやんややんやの大騒ぎだ。それにまだこいつらが隠し持っている金はいろいろある。いやあ、借金持ちが他人の金を無理矢理奪いに行くのは実に楽しいな。癖になりそうだ。
哀れなほどにうなだれてい番頭を尻目に、俺達は馬車に棒金箱を積み込んでいる。事前にシアンや優秀な密偵でもあったカリファが調べてくれていたので驚きはないが、馬車に積み込めないほどの棒金箱があった。どれほど溜め込んでいたのか溜息が出るほどだ。
「番頭、俺が誰だが知っているな」
「は、はい。天の御使い様であらせられます……」
精も根も尽き果てた番頭が幽鬼の様な表情で告げてくるが、俺の一言は彼の心を折るものだった。
「天に唾する者はすべからく罰が落ちる。お前も新たな湖が出来たのは知っているだろう。お前もまた俺に対して偽証を行った。罪には罰が与えられねばならん。どうだ? 景気よく店ごと吹き飛んでみるか?」
「ご、ご冗談を……ご冗談、なのですよね?」
救いを求めるように俺を顔を見た番頭は、全ての感情が消えていた。おい、何を見たんだっての。
「気にするな。これから国に寄生していた他の商会、ケイトウの手駒と化して享楽に耽っていた守備隊もまとめて吹き飛ばすのだ。お前の店はその号砲となる。連中も自分の番が来るまで己の罪を数えつつ震えて待っていてくれるだろうさ」
天罰、これが天罰と呆けたように呟き続ける番頭を尻目に、俺達は次の店に取り掛かろうとしたその時、裂帛の声が響いた。
「お前たち、何をしている!!」
メイファが数人の供を連れてやってきていたが、その顔には怒りがある。天上人の登場に周囲の民はもちろん番頭やシンカイ、荒くれたちも即座に平伏する。これが太守や将軍くらいなら皆も固唾を飲んで見守るだけだが、本物の帝族が来るとなると本能で平伏するのを選ぶようだ。
今、立っているのは俺だけだ。これで明確な立場を示した格好である。
「これは殿下。今、殿下に仇なす不逞な輩を懲らしめて回っている最中でございます。こやつめらは前太守シンカイと結託し、不正に金を溜め込んでおりました。ご覧下さいこの金額を、間違いなく多くの民を苦しめて集めた金にございます」
「返してくるのだ」
畏まった声で告げた俺にメイファは硬い声で宣言した。
「は? 今なんと?」
「今すぐ返してくるのだ! 商会に不正あらば、私の直轄の兵を派遣し、詮議する。お前は何の権限があってこの者達を罰し、その財を奪うのか?」
「これは異な事を。この商人は民を苦しめ、私腹を肥やしたのです。罪に応じた罰が下るのは当然、それが真理ではありませんか」
俺の言葉にメイファは毅然とした声で断言する。そう、まるで周囲に言い聞かせるように。
「それを行うのは私の兵が、私の命によって行う。お前は私にとって天の遣いだが、権限を越えた行為は断じて認めぬ。罪は裁く、盗んだものは返してもらう。だが、それは法に基づいて行わねば盗賊が他の盗賊の宝を奪うのと何の違いもないのだ。たしかに天の行いは全て正しい。天こそが真理だからだ。しかしそれは人にとっての正しさではない。私たちは知っているはずだ、雨が降らぬ旱魃の苦しさ、食べ物が無く厳しい冬を。だがそれを行うのもまた天である」
メイファは周囲をぐるりと見渡し、民一人一人に語りかけるように言葉を発した。
「天とはただありのままを受け入れるものだ。しかしこの世に生きる我々は人の法に拠って立ち、裁かれねばならぬ。下がれ、ここは天の遣いの出る幕ではない、我等の事は我等でカタをつける!」
俺とメイファの間に言い知れぬ緊張が高まってゆく。不穏な空気が流れ始めた時、俺は口を開いた。
「後悔なされますぞ。人は過ちを繰り返す。言って解らぬ獣に必要なのは言葉ではない、力と恐怖だ」
「人は過ちから学ぶのだ。そうして前に進んでゆく。そして過ちを犯したものを許せぬようでは、この世は修羅の巷ではないか」
「いつからここは楽園になったのか。現世は煉獄の底であるからこそ、私がここにいるのだ」
だが、ここは殿下の顔を立てようと、と荒くれどもを連れて俺は店を離れた。
そして大通りから離れると荒くれどもと別れ、別の場所からメイファ達を観察することにした。
「お前は、あの店の番頭か」
「は、はい。清国屋で番頭を勤めさせていただいております。こ、この度は不徳の致す所でございまして、申し開きのしようもございません」
番頭は憑き物が落ちたかのような穏やかな顔でメイファに平伏している。
「罪を犯したか」
「はい。前太守と結託し、不正に金を溜め込みました」
何もかも告白した番頭はまさに裁きを待つ囚人のそのものである。
「証拠はあるのか?」
「はい。天の御使い様がお持ちになりました」
「災難であったな。あれは人の心が解らぬ、なにせ天の使いだからな。あの星堕としを見たであろう。あれほどの天変地異を起こして何の痛痒も感じていない。むしろ積極的に罰を与えようとしておる」
「これから私どもの店や他の不正をした店に星を堕とすと仰せでした」
「無茶を言う。安心せよ、私の名に誓って止めさせる。さ、早くあの金を持って店に戻ると良い」
「いえ、それには及びませぬ。我らは罪を犯しました。その咎を受けるのは当然のこと」
「待て待て、どうせあいつの事だ。店の金を根こそぎ奪ってきたのだろう。お前たちが明日から生きる金が無くなるであろう。不正とはいえ、あの金全てというわけではあるまい。法に基づき、処理をする。さあ立て。大の男がいつまでの土の上に平伏するものではない」
伏して頭を下げる番頭にメイファは肩に手を置き、立ち上がらせた。その顔には滂沱たる涙が滴っている。
「どうか全ての金銭をお持ちくだされ。我等、御用達として宮殿の財政を理解しております。これほどのご温情を受けておきながら、殿下を困窮させるなど、あってはならぬことでありますゆえ」
「お主、さっきの話を聞いておったのか? 罰則においては法に照らし合わせて処分するゆえ、少々待っておれ。罰金以上の金は要らぬ、欲しいが取ってはならぬのだ。太守が法を守らずしてお前たちが守る道理が無いではないか」
「ではせめて、せめて半分は殿下に喜捨させていただきます! 愚かな私や働く者の命をお助けいただいたばかりか、このような温情を頂いて何もせぬとあれば素っ首搔き切って天に詫びねばなりますまい」
縋りつくようにメイファに金を渡すと言い出す番頭に噴き出しかけるが、本人はいたって真面目だ。
「わかったわかった。喜捨であるのならありがたく頂戴する。だが、それは箱一つで構わぬ。我等は民からの年貢で禄を食んでおる。必要以上は取るべきではないのだ」
「おお、殿下。なんという尊きお志! このコヘキ、未だ殿下の崇高なお考えを理解せぬ愚劣な者共を一人残らずひっ捕らえ、必ずや御前にて陳謝させる事を誓いますぞ!!」
いつしか熱狂的なメイファの信者となっていた番頭ことコヘキは彼女が引くほどの忠誠心を見せるようになった。
「そ、そうか。それは助かる。皆も聞いて欲しい。天は荒れ、人の情は消え去ったといわれ久しい。だがそれは私が変える。親と子で争い、友同士で殺しあうような世は終わりだ。それを為す為に私はあの天の遣いに出逢ったと思っている。この行いを今は児戯と笑うがよい。だが、私の行動で皆それぞれが判断して欲しい」
以上だ、と告げて去るメイファを全ての民が平伏して見送り、彼女の姿が見えなくなっても誰一人として頭を上げようとするものはいなかった。
その日の内に事の顛末を聞いた欲深どもがメイファの元へ謝罪と多くの財貨を持って参上した事は言うまでもないことだ。誰だって自分の家に隕石を落とされたくないからな。
そして世間ではメイファと俺の不仲が囁かれる事になるだろう。
「かくして殿下は労せずして資金難を解決し、領都の掌握に成功するっちゅう訳や。いや~、知っとったけど、悪いやっちゃなーユウキはんは!」
「いやいや、嬉々として悪徳商人の情報をくれたシアンの協力があってこそさ」
ふふふ、へへへ、と悪い顔で笑いあう俺達と対照的に、メイファは絶賛不機嫌中である。
「どうして! 君が! 私のせいで悪評を背負わねばならんのだ! これほどシアンから説明を受けてもとうてい納得できんぞ」
納得できんといいつつ仕事はきっちりこなすあたり、事の必要性は理解しているのだろう。
「まあいいじゃないか。ここに残って仕事があるみんなと違って俺はまもなくここを去るんだ。別にどう思われようと構わない」
「人の上に立つ以上、悪評は必ずついて回るものだ。それを恐れてすべてに迎合していては何もできぬ。その程度理解しているぞ」
「それでもないほうが良いのが悪評ってもんや。それにこれまで殿下をこれでもかとお助けしていたユウキはんが居なくなれば嫌でも憶測を呼ぶ。果てには殿下の徳がなくなったせいだと口さがないもんは言い出すやろ。そのためにも不仲説はあったほうがいいんや。それも殿下にとって都合の良い話が」
「それも含めて私の資質の問題ではないか」
駄々っ子のような問答を繰り返すメイファだが、話の先が見えたシアンが、アホらしという顔でこっちを見てくる。くそ、確かに惚気話のように聞こえなくもないか。
そして意を決したようにメイファが訊ねてきた。
「どうして君はそこまでしてくれるのだ?」
ここでメイファのお気に召す答えを告げるのは容易いが、真摯に行くなら本心を告げるべきだろう。
「君には価値があるからだ。知っての通り俺には目的があるし、そろそろ時間も少なくなってきたが、君の進む道の果てを見届けるまでと決めてここに居る。ここまでしたんだ、程度の低い連中が君の足を引っ張るのは不愉快だからな。俺に出来る事はしてやるさ。物好きが面倒を背負ってくれるってんだから、ここは幸運だと思っておけよ」
俺の答えに、そういうことではないのだ、と顔を赤くしながら呟いた。
もちろん彼女の望む答えを口にする事はできる。彼女の事は好きだ。でなければこんなに面倒を見ない。
だが、俺が寝込んだ彼女を連れて戻った際に俺の提案に彼女は首を振り、この世界で生きると告げた。
その時から俺と彼女の道は違えているのだ。そして俺がこの世界で生きることもまた、出来ない。俺にも俺の道があり、守るべき愛する家族、仲間がいる。それはメイファも同じだ。
互いに憎からず思っていながら、それぞれの道を行く。
思春期真っ只中の子供ではないのだ、こういう結果もありなのではないかと思う。
「私はだな、ユウキ。君に……」
「ご歓談中、失礼いたしますお嬢様! 火急の用件にございます!」
このたび宮殿の家宰に就任したソウテツが、息を切らせて走りこんできた。万事手抜かりの無い彼にしては非常に珍しく、メイファもすぐに思考を切り替えた。
「ソウテツがそこまで慌てるとはな。只事ではないな」
一呼吸置いた彼は、メイファの目を見て告げた。
「天都と北都より使者が参っております。双方共に書状を所持しており、それぞれ兄君からのものだそうです」
天都とは当然この国の首都、現天帝がいる場所だが、北都とは天帝の弟、第二皇子が自称する都の名である。もちろんかつては北の領都とよばれていた。
メイファがこの領都を奪ってまだ三日だ。向こうの反応が早いなと思うが、情報の伝達だけなら特殊な符をつかえばできなくもないそうで、彼女自身に驚きはなかった。
落ち着き払って使者に会うと告げ、どちらからお会いになられますかという問いに、両方だと答えると、一瞬表情を変えたソウテツさんは豪胆な主人に誇らしげな顔をした。
「直ちに謁見の準備をいたします」
謁見の間にいるのはメイファと隣に俺だけだった。ソウジンやラコウたちも控えの間に居はするが、彼等がメイファの正当性を口にするより、彼女自身が使者に対して受け答えするほうがなによりの証明となるとメイファ自身が言うので渋々引き下がった。
ちなみに天帝の使者は禁軍に3人居る将軍の一人オウキであり、金剛兄弟の知り合いだった。シキョウ将軍の元で長く働いていたそうだ。
第二皇子のほうはなんと家宰がやってきた。第二皇子は第二家宰の家が後ろ盾となっており、ソウテツさんの元同僚なので本人確認は容易かったが、先ほどのメイファの言葉もあり、顔を合わせては居ない。
「ご使者殿。参られます」
相当に略式ではあるが、過度な装飾を嫌ったメイファの方針で使者はすぐに通された。領都の謁見の間なので元々豪華だし、太守の座に座る本人の存在が一番豪華なので貧相には全く見えない。
「天帝よりの使者、オウキでございます」
「同じく北帝からの使者、サイテイにございます」
使者は頭を下げない。メイファがまだ何者でもないという意識の現われだろうか、だが幼少のメイファとよく顔を合わせていたサイテイは既に声が震えている。
「オウキにサイテイ。よくぞ参った。私がメイファである。天帝の妹を名乗っておるが、事の真偽は既にどうでもよい。天帝と北帝からの書状があると聞いたが」
メイファの言葉にまず口を開いたのはオウキである。挑むような口調だった。
「畏れおおくも天帝の書状を渡す前に、一つお訪ねしたい。何ゆえその身の確かさを証明されないのか?」
「下らぬ事を聞く。それは天帝の使者としての言葉であるか?」
かなりの激情家だと聞いていたオウキだが、その噂に偽りはないようだ。異常なことにメイファが咎めなかったので帯剣まで許しているが、いざという時は俺が守れば良いか。
「下らぬ、だと。天帝の血脈を侮辱するか!」
「下らぬものを下らぬといって何が悪いのだ。言葉にて血を証明したとして誰が保証する。お前が今から天帝を名乗る事は容易いが、誰がそれを信じるのだ。私は天帝の4女としてではなく、只のメイファとしてこの東部を手に入れた。むろん一人で行ったわけではない、多くの者の助力があってのことだ。だが、私は王女だから手を貸せと言った事は一度もない。天を正すために力を貸せと言ったまで。天帝の名前だけで天地が安んずるなら二の兄上は叛乱など起こさぬわ」
「ぬ、ぐぅ……」
「オウキよ、短慮は治っておらぬな。だから温厚な父上にあれほど激怒されるのだ。あの時、私が泣いて場を乱さねばその首は胴から離れておったやも知れぬぞ」
その言葉に愕然としたオウキは慌てて膝をつく。メイファに敬意を示した格好である。
「ま、まさか、私を覚えておいでなのですか?」
「当たり前であろうが。我が家、そしてこの国に忠を尽くす者の名と顔を残らず覚えるのは帝族の責務である。ま、それくらいしかしてやれぬのだが。似合わぬ髭など伸ばしおって。頬の傷がないから顔だけでは思い出せぬかも知れんかったぞ」
「で、殿下! よ、よくぞご無事であられました! このオウキ、ご祝着申し上げます」
そしてこれまた使者としてはあるまじき事に懐に手を入れてあるものを取り出した。つうかこいつら自由すぎだろ。もう少し厳格な空気でやれば使者にここまで勝手をさせる事はなかったか?
俺はそんな事を考えたが、オウキが取り出したものを見たメイファは他愛ないほど取り乱した。
「き、貴様。まだそんなものを持っておったか。早く捨ててしまえば良いものを!」
答えるオウキの目には涙が見える。思うんだがメイファと出会う連中の大半は泣いてる気がするな。
「殿下のご幼少の砌に頂いたものです。これまでは殿下の形見として持っておりましたが、このたびの報を聞き、お返しできる時がきたと思いこの任務に志願いたしました」
オウキの手にあるのは腕飾りだろうか。大分古ぼけて、今にも壊れそうだ。
「我を忘れそうな時はこれを見て私の言葉を思い出せと仰られたこと、生涯忘れもいたしませぬ! これが亡きご母堂様の遺品の一つと後に伺い、我が家の家宝としておりました」
「誰がそのような事を! 遺品を渡す馬鹿がおるか! それは私が手慰みで作ったもの。礼を言いに現れたお前を戒める為に渡したのだ! ええい、もうよい。そんなものさっさと捨ててしまえ!」
子供の頃の手作り品を出されたメイファは恥ずかしそうだが、オウキ将軍は満足そうである。前にソウジンから子供の頃のメイファは誰からも愛される子供だったといっていたが、彼の反応を見る限り嘘ではなさそうだ。
「ふん、さっさと本題に入れ。陛下からの書状を持っているという話だったな」
「はい。こちらにございます、殿下の真贋が明らかになり、本物であれば是非返答を持ち帰るようにと命じられております」
「あい解った。中身を検めるのは二の兄上の書状を受けてからにしよう。サイテイ、久方振りだな、兄上は息災であるか?」
メイファは長兄を陛下と呼び、次兄を兄と呼んだ。次兄の僭称を認めていない政治的宣言であるが、北帝の家宰であるサイテイは気にする素振りも見せなかった。
「お久しゅうございます。殿下におかれましては御身のご無事を拝見し、感涙に咽いでおります」
「お前も元気そうだ。二の兄上にこき使われておらぬか? あの方は優しさが不器用であるからな」
「ははは、殿下にかかっては我が主も形無しですな。して殿下、一つお聞きしたき儀が。第三家宰を勤めていたソウ家の者はおられぬのですか? あの天都で殿下がご無事であると言う事は、あのソウテツ殿が何らかの手段を用いたとしか思えぬのですが」
「うむ。私の証を立てたからにはもう皆を呼ぶとしようか」
メイファが手を叩くと控えの間から多くの者が飛び出してきた。使者二人に係わりのある者も多い。
「オウキ将軍!」
「おお、ラコウにラカン! それにソウジン元将軍までおられたか! 聞いたぞ、殿下の元で活躍したそうだな。そして、シキョウ大将軍のこともだ。あの方の最期はいかなるものであったか?」
「はい、叔父御は最期まで武人としての生涯を全うされました。是非とも叔父御に会ってやって下され。叔父御も伯母上もお喜びになるでしょう」
オウキ将軍はシキョウ大将軍の下にいた期間が長く、その甥である兄弟とも親しかったようだ。その繋がりでメイファの身元もおおよそ見当がついていたようである。
「サイテイ殿」
「やはりソウテツ殿がおいででしたか。それにあちらに見えるはリシュウ老師まで。ううむ、殿下の覇道は約束されていたようなものでしたな。多くの者の力を集めて事を成したこと、この事を我が主が聞けばお喜びになるでしょう」
「私など只の旗頭に過ぎぬ、皆の流した血と汗がこの勝利の礎である。して兄上からの書状もあるのだろう?」
「はい、私めもご返答を頂戴するように申し付けられております」
2通の書状を受け取ったメイファはそれぞれを読み、軽く溜息をついた。その顔は安堵のような、疲れたような不思議なものだ。
「まったく、兄上たちは変わらんな。それに二人にしてみればまだ私は幼子のままか。有難くもあり、鬱陶しくもある」
「嬢ちゃん、どんな内容じゃ? 無理難題でも押し付けてきたかの?」
リシュウ老師が興味深そうに尋ねる。二人の家庭教師もしていた老師は王子の性格を良く知っているのだろう。
「幼子にそのような事を言うか。陛下はこのまま私に太守をせよとの仰せだ。そして二人ともとにかく会って話がしたいとある。すぐに返事を書くが、実は明日が前太守の葬儀の予定なのだ。二人には名代として出席をお願いしたい」
手紙を老師に渡したことから見るに、そこまで重要な話はないようだ。読み終えた老師もこちらに回してくるので、皆で読んだ所、2通とも妹の無事とその激動の日々を気遣う内容だった。
共に直筆なんだろうが、天帝は達筆で次兄は豪快な文字だ。文字にはその人の性格が現れるというが、これを見ると結構粗野な印象を受けた反乱者の次兄だが、文面は怪我はしていないのか、飯はちゃんと食えているのかなど、メイファを大層気遣うものだった。
「元々仲は悪くない兄弟じゃった。それに嬢ちゃんが上手く兄弟間を取り持っておってな。とても4歳児の立ち回りでじゃなかったわい」
「でも叛乱を起こすほど揉めたんでしょう」
俺の問いに老師は複雑な顔をした。この後で酒を呑みながら聞いた話をまとめると、次兄の生母は周囲との折り合いが悪く、特に長兄の母親とは険悪だった。次兄は母を守るために長兄に挑むようなことが多くなり、武人として軍の支持を多く得た次兄の影響力は増すばかりだった。
彼としては長兄を助けて軍人として生きる道も悪くはなかったそうだが、周囲がそれを許さない環境になったらしい。そして先帝の急逝で状況は一気に悪化した。本人よりも周囲が盛り上がり、生母の実家は暴走的に事を起こした。
後には引けない状況で旗頭にされたが、次兄としてはそこまでして兄に歯向かう気は起きず、立場は敵で疎遠になっても手紙のやり取りは続けて偶発的な暴走は防いでいるのだという。
何しろこれまで軍事行動が禄になかったことがそれを裏付けている。
家宰のサイテイさんとしては、昔のようにメイファに兄弟間の仲を取り持って欲しいと考えている節があるし、メイファとしても嫌いな兄達ではない。いずれそうなるのかもしれないが、それは先の話だ。
「さて、今日は使者殿をもてなす酒宴だな。喜ぶがいい、今の我等は天上界の酒と肉がある。出立する際には土産として兄達に持ち帰るがよい」
そう言って会談を締めくくったメイファだが、最後まですぐ隣にいた俺の紹介がなかったな。まあすぐ消える奴だし、必要ないか。
「ほう、よう来たの」
二日後、メイファが葬儀の喪主を務めている(喪主を務めるのは実質的な後継者の表明)最中、旅立ちの準備を終えた俺はリシュウ老師の部屋を訪れていた。
彼の部屋は俺とメイファの約束で彼女の部屋のすぐ近くにある同格か、僅かに下がる立派なものだった。
「最後のご挨拶に参りました。老師におかれましては色々とご指導いただきまして」
膝をついた俺に老師は手で遮った。
「堅苦しいのは要らん。そうか、行くか。とりあえず前に話しておった西か? あの性悪どもには気をつけい」
「とりあえず噂の天都を見学して西に行ってみるつもりです。帰り道を探さないといけませんし」
「そうじゃな、あの小っちゃなお嬢ちゃんのためにも帰り道は必要じゃの」
昨日はシャオがメイファにべったりだった。途中でずっと一緒に居ると言い出したが、じゃあ俺が迎えに来るまでここで待ってるかと問うと押し黙り、メイファにしがみ付いてそれも嫌だと駄々をこねた。
終いにゃ”とーちゃんなんとかして”ときたんだが、それをするために一旦離れるんだと言い聞かせたらメイファの胸の中で大泣きした。結局はこれから間違いなく忙しいメイファのもとではなく俺といる事を選び、二言めには”早くして”といわれる始末である。実に可愛い生き物だ。
「娘にも言われたんでなるべく急ぎます。そしてこれなんですが……」
俺は背後から酒の甕を5個取り出して置いた。それを見た老師の顔が喜色に歪む。
「おお、ありがたい、ありがたいのぉ。しかし、もっと置いていってもいいんじゃぞ」
恨みがましい目を向ける老師に苦笑した。だが世の中には限度というものがある。
「お孫さんに気づかれずに隠し持つにはこれが限界でしょう。置いてもいいですが、隠し切れますか?」
「ぐぅ。最近はかわいいシュンメイも死んだ娘に似てきよったわい。二言目には酒は控えよじゃ。酒がなくてどうしてこの世の楽しみがあろうか」
「それに関しては俺も御孫さんの意見に同意しますよ。貴方の代わりはどこにもいません。だから悪どい手まで使ってこちらに来てもらいましたので」
俺の率直な意見に老師は一瞬真剣な顔をしたが、すぐに普段の調子を取り戻した。
「ふん、儂の代わりなど幾らでもいよう。シアンの嬢ちゃんに最近じゃチョウヒなんかもいいの。あれは世が世なら上手く育てば天下が望めるほどじゃよ」
「才気でいえばそうでしょう。ですが、あの二人ではメイファの不興を買ってまで諌める事は出来ません。彼女は優秀ですが、それゆえに頑固です。その時は貴方の苦言が絶対に必要です。なので長生きして下さい」
そう言って病気に聞くライフポーションを数個置いた。今はないが必要なら寿命が延びるローヤルゼリーも置いていきたいほどだ。
「……解った。その代わりといってはなんじゃが、一つ受けて欲しい物がある」
これから旅立とうとしている奴に何をさせる気だとは思うが、これで老師がヤル気になれば安いものだ。
「自分にできることであれば……」
新たな酒関連かなと思っていた俺は突如居住まいを正した老師に驚いた。背筋を伸ばし、両手をついた彼はその禿頭を俺に向かって深く下げたのだ。
「どうか儂の礼をうけてほしい。異郷のユウキ殿。貴殿の計らいで我が至宝は天へと駆け上がった。この事、老い先短い我が身なれど、生涯の大恩として決して忘れぬ。貴殿の頼みとあれば、命を懸けてそれを行う事を誓う。我が至宝、メイファ殿下の御身を助け、導いてくれた事、誠に感謝いたす」
これほどの賢人にここまでの感謝を受けたことに衝撃を受けたが、ここで呆けたままで返礼を帰さないのはあまりにも無礼極まる。俺も居住まいを正し、正座して手を突いた。
「その感謝、全身全霊を持ってお受けいたします。この国の希望の光をどうかこれからも宜しく御導きいただけますよう、異国の地よりお願い申し上げます」
構えを解いた俺は腰を上げながら、老師に最後の挨拶を交わした。
「それでは、またお会いできる日まで、どうかお達者で」
「儂が冥府に行く前には戻ってくるのじゃぞ。さらばじゃ」
先ほどまでの威厳はどこへやら、早速酒の封を空けた老師は、俺に視線を向けることなく酒に夢中だった。俺はこの愛すべき飲んだくれへ深く頭を下げると、宮殿を後にした。
「あ、ユウキ様!」
俺の視界には同じく旅装をしたセキロとチョウヒの姿があった。妹のセキランはメイファの侍女兼占い師として立派にやっており、兄達と同行はしないようだ。彼らはある目的があっていったんここを離れるのだ。
「よう、奇遇だな。そっちも今日出発か」
「ええ、早いほうが良いですけど、殿下の晴れ舞台を見逃すなんて勿体無いですから」
「今の時期はかなり南下しているんだっけ? お前たちの部族は」
「これから冬ですからね。仲間に引き入れるには丁度いいですよ」
二人はメイファの許しを得てこれから多くの騎馬民族を手下にするべく旅立つのだ。
「騎馬民族の大軍団か。歴史に残る最強の軍団になるんだろうな」
「ええ、我等と殿下の武名をこの蒼天に轟かせてやります。貴方にも聞こえるくらいにね。しかし、言葉に尽くせぬくらい御世話になりました。何もお返しできず、本当に心苦しいです」
「女の綺麗な顔に傷だぞ。治すのに理由なんているかよ。前にも言ったが、どうしてもってなら、その分はメイファにな。そのほうがお互いに利益になる」
「そうします。しかし玲二にももう一度ちゃんと礼をいいたかった」
「後で伝えとくよ。あいつも会いたがってたが、これで今生の別れってわけではない。また会えるさ」
玲二は今は学院に戻っている。本当ならこっちに居たかったのだろうが、玲二に惚れた騎馬民族の女の子が彼に求婚を迫り、その親も是非に、と乗り気だったので断って逃げ出したのだ。
なかなかの器量よしだったのだが、本人曰くしばらく女はマジでいらないとの事だ。
「ユウキ殿は西でしたか?」
すっかり第二の軍師としての実力を皆に示したチョウヒが訊ねてくる。
「天都を経由していくつもりだ。北経由は、多分まずいだろうな」
「やめたほうがいいです。治安もそうですが、これから冬ですよ? 一日中空っ風が吹いて洒落にならないほど寒いです。移動する気力が根こそぎなくなります、南経由のほうが絶対良いですって。草木も枯れて不毛地帯ですよ、冬の草原は」
そりゃ見てもつまんなさそうだ。南は大穀倉地帯だそうだし、そっちのほうが見応えはありそうだ。
そのとき、風に乗って銅鑼の音が響いた。葬儀が終わり、メイファの太守就任式典が始まるのだ。既に別れは告げて、色々と置き土産はしてきた。後は彼女の晴れ舞台を見て、この素晴らしかった休暇を終えるとしようか。
聞きなれた美しくも透き通った声が耳に届く。声のほうを見ると、そこには豪奢な礼服を身に纏った大層美しい姫君がいた。そして向こうもこちらを見つけたのか、俺に小さく頷いて見せた。
「新たに東部太守として就任したメイファである。私は太守として皆に約束する。誰よりも自覚を持ち、勤勉であると。だから皆も私に約束してほしい。明日は今日より良い日にすると。皆がそれを行えば、このレン国はこの大地のどの国よりも誇れる場所になるはずだ。むろん道は厳しいだろう、多くの苦難があるだろう。だが、私は諦めるのが大嫌いだ。できる事は何でもやるし、そのための努力も惜しまぬつもりだ。そしていつの日か、この東部を天都に劣らぬ豊穣の大地に変えてみせる。そのためにも皆の力を貸して欲しいのだ!」
簡潔なメイファの宣言が終わると、一瞬静まり返った会場から怒号にも似た歓声が沸き起こる。
その感銘受けたのは隣の騎馬民族二人も同様のようだ。体から凄まじいまでの覇気が漲っている。
「すげぇ。流石は殿下だ。よし、チョウヒ、一刻も早く戦力を集めて殿下の力になるぞ。ユウキ様、それじゃ、また会いましょう!」
「おう、二人も元気でやれよ」
大歓声が彼女の就任を祝福する中、俺はその声に背を向けて歩き始めた。
歩む道は異なるが、その先が交わらぬと決まったわけではない。未来のことなど誰も解らないのだ。
また会おうぜ、メイファ。
俺は心の中で彼女に別れを告げ、新たな大地へと一歩を踏み出した。
楽しんで頂ければ幸いです。
書きたいことが多くなると長くなってしまいましたが、これに新大陸編のレン国編は終了となります。最後にでて来なかった者たちは次の後日談で取り上げるつもりです。
今日から仕事なので、一旦連続更新は止まり、水、日に戻ると思います。
年末で終わる予定が4日ものびてしまいました。
次は耳が長くて根性の悪い弓の名手たちの国で主人公が暴れます。もうそりゃもう暴れます。
私も早く書きたいです。
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