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要人、その正体は

遅くなりました。

「何故自分が選ばれたのか聞いてもいいですかね?」


「元々、俺たちの依頼の中にお前の面倒を見ることが入っていたのがひとつと、他のパーティを足したら流石に商隊側が少なすぎる。その点お前は一人だからな。あとは単純に力のあるやつを選んだ。ここからは本当に実力がある奴じゃないと、多分死ぬからな」

 

 やっぱ解るやつにはユウの力が解っちゃうのねー、と懐の相棒がしきりに頷いているが、やれやれ、何とか誤魔化して抜けるわけにもいかなくなったな。

 さっきまでの王都まで観光旅行気分が吹っ飛んでしまった。そう思いながらも俺はどこか楽しくなってきた気分を否定するつもりもなかった。それに何より早く帰れるかもしれないしな。



 さて、俺たちはこの豪華な馬車を護衛して王都まで先行することになったのだが、最大の問題が残っている。

 未だにこの中の人間に会えていないことである。セドリックはひたすら渋っていたが、ここは押し切らねば話にならない。


「セドリックさん、俺たちの依頼はこの馬車を王都に届けることではなく、中の人間を届けることだと思います。そちらの事情も理解したいとは思いますが、あなたが毎回この中の人たちと仲介してくれるならばともかく、あなたはこれから先ほどの村に戻らねばならないはずだ。違いますか?」

 俺とザックスのパーティ(名称は”ヴァレンシュタイン”というらしい)メンバー6人を合わせた合計7名がこの馬車を護衛する全員になる。ザックスが遠慮して言わないので、俺が詰め寄る形になっているが、こりゃあ俺のテストかな。


「それはそうなのですが……」


「あなたが中の方と交渉をしていただきたいですね。我々は未だにどなたを護衛するのかさえ知らされていないのをお忘れなく」

 

 ここまで言ってもそれでも渋っている、全くどんだけ大きな爆弾抱えてるんだ。


 結局、セドリックが出した答えは、隊商を護衛する冒険者が去ってから顔見せするというものだった。徹底的にこの案件を知っている人間を少なくしたいらしい。だがとにかく、俺たちが顔も知らない誰かを護衛するなんて馬鹿げた話は無くなったわけだ。ちなみに報酬の件は交渉して紙面でもらうことに成功した。〈交渉〉スキルを使っていなかったのに嫌にあっさり応じたのが気になるが。



「すまないな。本来なら俺が依頼主と話し合う場面だったんだが、任せてしまって」


「いいですよ、そちらも色々大変でしょうし、リーダーと依頼主がモメると色々面倒でしょう。俺がやればせいぜい下っ端が跳ね返ったくらいにしか思われないはずです」

 

 俺の言葉にザックスは押し黙ってしまった。お前本当に新人かよといわれたが、冒険者として新人なのは間違いないぞ。そちらが俺を見極めようとしていることも解っている。それについては非難する気にはない、お互いの技量を解っていないと指示も連携もできないからな。



 さらに彼らはBランク昇進もかかっているから、余計なことで評価を下げたくはないのだろう。依頼の本筋は大分逸れているが、上手く行けば大幅な加点が望めるようだから、ここで引く気はないようだった。急な依頼の変更は本来なら契約違反だが、Bランクは一流の冒険者の証だ。柔軟な対応が取れるかをギルドからのテストかもしれないと思うと強く言えない事情もあるようだ。こっちは関係ないので言わせてもらったし、流石に金貨二十枚チラつかせる依頼はギルドはしないと思うけども。

 



 そのあとで”ヴァレンシュタイン”の連中とこれからについて話し合った。彼らの内訳は男女3人ずつのバランス型パーティで、戦士のザックスと狩人のジキル、スカウトのナダル、魔法使いのカレンとマリーと僧侶のメルヴィで構成されている。ちなみにマリーとメルヴィは姉妹のようだ。全員がCクラス冒険者で前にギルドで会った”五色”よりも格上の冒険者だった。

 王都まで馬車一台の護衛とはいえ、セドリックのあの態度からして命の危険がある依頼と考えたほうがよさそうだ。ザックスは護衛隊の隊長としてはあれこれ指示を出すリーダーだったが、パーティー内では仲間の意見を聞く形のリーダーらしい。皆に意見を聞いた後、俺にもどうすべきか聞いてきた。


「何があろうとさっさと王都を目指す。これでいいのでは? 馬車の中の人から色々情報をもらえれば他の意見も考えますが、現状では昼夜関係なく突っ走って王都に突っ込んじゃったほうがいいでしょう」


 その後は俺らの管轄外ですしと付け加えた。


 俺たちは協議の結果、とりあえず警戒しつつ出発しようということになった。何も決めていないに等しいが元々情報がないから仕方ない。商隊のほうはまだ壊れた荷馬車から荷を降ろす作業をしており、日中一杯かかりそうな気がした。馬車の中の人間から話を聞くにもここを離れないといけなかった。


「まずは次の中継予定である村に向かいます。それでよろしいですか?」


「承知した。こちらに異論はない」


 ザックスに返答したのは御者台にいる女騎士(立ち方、視線の配り方が素人じゃない、多分本物の騎士だろう)だった。己を律している固い声だったが、若い女の声音だった。見た目年上かと思ったが俺と大して変わらないのかも知れない。



 そして、やはりセドリックは隊商に残るようだ。つくづく経緯がよく解らない話だ。商隊護衛のはずが要人護衛になってしまっているし、依頼主は商隊のほうが重要らしい。果たしてあの男から詳細を聞くことはできるのだろうか。



 

 出発した馬車の速度は段違いに速くなっている。商隊の荷馬車が遅れの原因なのは間違いなかったので当然ではあるが。今までは後方にいたからこの馬車を間近に見たのは初めてだが、よくよく見れば馬の馬体はしっかりとしていて、軍馬といっても通用しそうだ。更に馬車自体も豪奢だが各所に鉄板が使用されていてかなりの装甲化が施されている。「そういう用途」で用いられることを前提に造られているのがわかる。うーん、コイツは剣呑だなぁ。




 王都へと繋がる道はこの国の基幹街道でもあるからしっかりと整備されているし、道は幾つか枝分かれしていることはあっても基本一番広い道を行けば王都へ着くのは間違いないらしい。ザックスたちは主に王都活動している冒険者で、王都のダンジョンに潜って戦ったことがあるそうだ。彼らにとっては帰り道になるから道案内はお願いすることにした。


 俺は王都のダンジョンに興味があって、彼らに色々な話を聞かせてもらった。ウィスカのダンジョンに一人で入っていることなど話しても信じてもらえないから、彼らの話に反応しながらこちらのダンジョンとの違いを考えていた。

 最大の違いはやはり敵の出現率だな。あちらのダンジョンは多くても一度に5、6匹が普通らしい。それに王都のダンジョンはモンスターよりも冒険者の数のほうか多いという笑い話は決して誇張ではないらしい。地下5層くらいまで行かないと敵よりも冒険者のほうがよく出会うという。これでよく冒険者たちが生活できるなと思ったが、ダンジョンの奥深くまでキャンプしている連中以外は、週の半分くらい街の外の依頼をこなしているらしい。それでも多くの冒険者が一攫千金を求めてダンジョンに篭もるのだという。


「ウィスカのダンジョンは一度入ったが、すぐ出てきちまったよ。王都とは全然勝手が違って話にならなかった。ありゃあ、今のウチの編成じゃ無理だな」


 お前もあんなところ向かうんじゃないぞといわれて微妙な顔をしてしまった。実入りは良いんですがね。



 そんなことを話しながら、俺たちは先を急いだ。気を抜きすぎかと思ったが、来るかどうかも解らない相手に警戒感全開ではすぐに疲弊するし、逆に相手から目立ってしまうからこれでよいとザックスが判断したようだ。



 次の村に着いたのは昼を少し回った辺りだった。これで全体の行程の二割くらいだ。急げは今日中にあと村を二つほど通過できるだろう。この速度を維持できれば四日後くらいには王都に到着できる計算だ。王都周辺は難所があって若干時間がかかるらしい。無論、何事もないという前提だが。

 通常の旅で王都まで四日か五日なのだから、商隊の速度がいかに遅かったがわかる。〈マップ〉で確認したが、彼らはまだあそこから動けていない。こりゃあ十日はかかるぞ。



 俺たちは昼食の支度をしつつ、馬車の中の人物の登場を待った。お忍びである可能性を鑑みて馬車は村のはずれに止めてある。

 御者台の女騎士が馬車に何事か囁くと、昨日から一度も開くことのなかった扉が開き、そこからまずはメイドが一人降りてくる。


「こちらにおわすはライカール魔法王国第一王女、ソフィア・アドラント・ライカール殿下にあらせられます。一同、お控えください」


 第一王女? ライカールって隣の国だよな。何かとんでもないのが出て来たのはわかるが、体がほぼ無意識に貴種への礼を執っていた。ザックスたち”ヴァレンシュタイン”のメンバーはもっと早い、扉が開いた時には既に片膝をついている。女性陣も見事なコーテシーだった。


 もう一人のメイドに伴われて馬車を降りたのはまだ年の頃十三、四の女の子だった。服装は大きな都市の町娘が来ていそうなものだが、手入れされた艶のある蒼髪だけでいいとこのお嬢様であるのが解る。長い髪は富の象徴で金のない庶民では毎日手入れをされているでろうあんな髪にはならないからだ。この体の宿主だったライルが知る最も裕福な人物でさえ、くすんだ髪をしていたのを覚えている。



「皆さん、お顔を上げてください。私たちの事情に巻き込んでしまって大変申し訳なく思っています」


 直答などできるはずもない、俺たちは皆頭を下げたままだ。様々な疑念が脳内を駆け巡るが、今はこうしているしかない。言葉通りに顔を上げようものなら騎士の剣がこちらに向きかねない。社交辞令を文字通りに受け取るわけにも行かなかった。


「姫様は皆様と会話を所望です。気楽になさってください」


 メイドからの言葉でようやく会話をする許可が出た。よく見るとメイド二人はよく似た顔をしている。双子なのだろうか。

 

「恐れながら申し上げます。私は冒険者を生業とするザックスと申します。ここにいる仲間ともう一人の七人が御身の盾となる者たちであります。依頼主から伺った内容では殿下ご一行は王都を目指しておられるということでよろしいでしょうか?」


 パーティリーダーとしてザックスが意を決して問いかけた。貴族の相手も慣れているのか中々堂に入ったものだ。俺も見習いたい……借金持ちじゃ係わりあいになることなんてないか。


「そうなる。これ以上は今は容赦願いたい」


 答えたのは女騎士の方だった。ザックスもスカウトのナダルの方を見て何かを確認しあうとそれ以上踏み込むこともなく引き下がった。


 王女様は久々の外が名残押しそうだったが、メイド二人に馬車に押し込まれてしまう。昨日から全く外に出ていないはずだから、お偉いさんってのも大変だな。


 そして事態は急変する。 

 

 昼食は村で買い求めたものにすることにした。街道にある村だけに旅人向けの店も揃っている。はじめは自炊する予定を変更したのは、ナダルの言葉が理由だった。


「マズいことになった。行動を可能な限り速める必要がある」


 昼食を取りながら声を潜めたナダルは車座になった俺たちに状況を説明した。


「ユウがいるから順を追って話す。まずはあの王女様は本物だ、騙りじゃない。馬車の扉の内部に王家の紋章が見えた。あれを偽造する勇気のある馬鹿はいない」


 まあ、あの青い髪を真似ようとする奴もいないだろう。あれが一番の本人確認だな。ナダルがそう続けた。この大陸広しといえど、青い髪を持つのはライカールの王族のみらしい。しかし疑問もある。


「でも、本物の王女だとしたら供回りが少なすぎませんか? 王女含めて四人しかいないなんてありえないでしょう」


 一国の、それも第一王女の地位にある者の移動なのだ。この十倍から二十倍の人数が動員されても全く驚かない。それどころか王女に対するライカールという国の見識が疑われる話だ。


「それを説明するには少し長くなるから簡潔に話す。十年程前、ライカール王には6人の子供がいたとされる。それが今はたった二人だ。それがどういうことか解るな」


 諸悪の根源はあの国の皇太后なんだが、あの姫様とは血が繋がってない。あとはわかるな、と視線で訴えてくるナダル。ああ、不幸な事故になったんですね。

 あの少女は追い出されたのか、隠れて脱出したのか、確かに色々と想像を掻き立てられるな。


「それでだ。最悪を想定すると、できる限り急いで先を進んだ方がいい。向こうも喜んで同意するはずだ」


 休憩を減らし、夜営を覚悟して急いでもあと3日はかかるが、それでもやる意味はあると、続けた。


「ナダルの意見はいつも正しかったから文句はないけど、夜営の連続は色々厄介だ。さすがにあちらも承けないのではないかしら」


 魔法使いのカレンが馬車の方を窺う。彼女たちは休憩のときも馬車から降りようとはしなかった。高貴な身分だからなのか、何かを恐れているのかはまだわからない。


「言いたいことはわかる。だが、ここで動けば動くほどこっちが後々有利になる。向こうがこっちを巻き込むなら事情は明かすだろうが、それまで待つと敵が有利になるだけだ」


 ナダルは既に「敵」がいる前提で話している。スカウトという職業上、知り得る事が多いのだろうが彼の中ではほぼ確定の事項らしい。詳し過ぎないかと思ったら顔に出たようで、夜になったらあちらの方々と一緒にまとめて話してやるといわれてしまった。今はとにかく距離を稼ぎたいらしい。


 結局、ザックスはナダルの意見を容れた。これにより、先行組一行はさらに先を急ぐことになった。ナダルは向こうの事情もある程度理解しているようで、判断に迷いがない。こちらとしても先に王都について依頼が達成になり、解放されるなら願ったり叶ったりだ。


 ここにきてナダルが主に指揮を取り始めた。ザックスはそれを追認している形になっている。得意分野によってリーダーを変えているのかもしれない。


 速度をあげるためにここで置いて行く荷物などを話し合う彼らに、相棒に許可を得た俺はある提案をすることにした。脳裏に師匠の自重せよとの言葉がよぎったが、これくらいなら大丈夫だろう。




「ヒャッハーッ!! こいつは凄ぇや!!」


「ちょっとナダルさん! 声が大きいですよ、失礼です!」


「いや、スマン。だが、コイツは本当にスゲェんだって! なあ二人とも!」


「ああ。この体勢だと風を切って進んでいる感じが強くてな。ジキルもそう思うよな?」


「ああ、馬に乗っている時よりも早く感じる。これは中々できない経験だ」


 ザックスと狩人のジキルも興奮しているようだ。ジキルは寡黙な男でまともに声を聞いたのはこれが初めてだが、渋い声の四十がらみの男だ。糸のように細い眼をしているが狩人らしく目が抜群に良い。ナダルと二人で()()()()()()()()()()()()()()ので二人で索敵を担当してもらっている。俺とザックスは馬車の後部にしがみついている。

 他の女性陣は馬車の御者台に3人が座っている形になる。先ほどまで御者を務めていた女騎士は馬に騎乗して襲歩みたいな速度で飛ばしている。馬の素人の俺から見てもかなりの速度だが、馬は難なく走っている。やはり普通の馬ではなく軍馬なのではないかと思う。


「しかし精霊魔法ってのはとんでもないな。普通の魔法とは全く違うと聞いていたがこんなことができるなんてな!」


 俺たちは馬車を僅かに浮かせて、つまり馬にかかる負担をゼロにして街道を爆走していたのだ。


 やり方は風属性の魔法で下方向に噴射することで浮かすだけだ。始めは訓練のときの用いた体重を消すようなやり方にしようかと思ったのだが……上手くはいったのだが馬車の中までふわふわと浮いてしまい(これはこれで姫様たちには好評で後でまたやることを約束させられた)、断念した。

 結局、大きな板の上に馬車を動かして板の下から風を吹きつけることで浮かすことに成功した。これはこれで始めは平衡を維持するのに難儀したが、数回繰り返してコツを掴んだ後は楽だった。ただ、あまりに無茶な魔法なんで相棒の精霊魔法のお陰だと言い張り、俺は制御に集中すると嘘をついて、いかにも難しい顔をすれば誰も追及してこない。魔法使い二人が異を唱えなかったのも上手く働いたのかもしれないが。


 他にも色々と細かいことはあるのだが、女騎士が馬に鞍を付けて騎乗すればあとは走り出すだけだった。勿論馬も休ませてやる必要はあるが、出せる速度は今までの比ではない。

 先ほど今日逗留予定だった村を通過したが、時刻はまだ二時を少し回った辺りだった。


「いいぞ、このペースなら日は落ちるが今日中に蒼月湖までいけそうだ! 上手くすりゃ、明日にも王都へ突っ込めるが……」


「何もなければ、だがな……そうもいかないようだ」


 ジキルが指笛で警告を発すると馬の速度が徐々に緩やかになる。話し合いで決めていた異常のサインだ。馬車の重さを消す走法は大きな欠点がある。慣性で動いているからすぐには止められないのだ。徐々に重さを戻して自重による制動を行わねばならないから少し手間だ。

 俺も〈マップ〉で気付いていたが、少し先に馬車が横転しているのだ。しかも中央に陣取るような場所に幅を取って塞がっている。商人らしき数人が回りをうろついているのが見えた。今の俺たちにとって怪しいことこの上ない……俺にとってはそれ以前の話だ。〈マップ〉は既に敵表示になっていたからである。

 

 既に普通の馬車としての走行に戻っている俺たちだが、男連中と女騎士は地上に降りている。御者台の3人はそのままで彼女たちが馬を曳く形になる。尤も直ぐに魔法発動ができるように準備は万端だ。



「俺が行く。皆は警戒していてくれ」


「ザックス、対応は任せる。気を抜くなよ」


 ナダルがいつでも援護できるように短剣を後ろ手に隠している。ジキルは馬車の影の位置で矢を番えている。俺はお手並み拝見といこう、この程度どうにでもなる。


「やあ、何か困りごとかい?」


「いやあ、申し訳ない。馬車を倒した拍子に馬に逃げられちまってな。今代わりを呼んでいるからもう少しで退かせると思うんだが」


「それは災難だな。こっちは男手がある、よければ馬車を退かすの手伝おうか?」


「いいのかい? 助かるよ。いつ他の馬車がくるか気が気じゃなかったんだ!」


 駆け寄ってくる商人を制してザックスは厳しい顔をする。


「それより聞きたいことがある。あんたの後ろにいる男は何で物陰に隠れているんだ? 疚しい事がなければ出てくるべきだろう? それとも、何かあるのかい?」


 それに対する返答は飛来する矢でもたらされた。咄嗟にしゃがんで回避するザックスに商人が隠し持っていた短剣で襲い掛かるが、彼は危なげなく盾で防ぎきった。


「やってくれるじゃないか!!」


 だが、その後の商人たちの反応は早かった。初撃が防がれたと同時に方々に散っていったのである。ザックスに直接襲い掛かってきた奴などはすれ違いながら通り過ぎていったほどだ。始めから逃走径路を確保していたに違いない。


「ザックス、怪我はない!?」


 カレンが御者台から飛び降りてザックスに駆け寄った。彼はなんともないと身振りで示すもののナダルが僧侶のメルヴィに解毒の魔法をかけるように指示している。


『そういえば、キュアポイズンの魔法って覚えていないよな?』


『〈状態異常無効〉を取っちゃったからいらないと思って。まあ、必要なら覚えればいいんだし。誰かにかけるなら専用のポーションあるしね』


『先生の所にあったかな』


 スキルで取得する以外に魔法ってどうやって覚えるんだろうとぼんやり考えている間にザックスの治療が終了した。キュアポイズンの魔法に反応があり、やはり接近したときに毒を仕込まれていたらしい。



「しかし連中、あっさり退いたわね」


「ナダルの考えが確かなら、目的通りなんでしょうけど」

 

 カレンともう一人の魔法使いであるマリーが話し合っている。俺もそれは気になっていたが、理由もわかっている。


「馬車は退かした。先を急ごう!」


 俺が会話に参加する前にザックスが出発の号令をかけた。だが、その表情は暗く、厳しいものだった。来るとわかっていた襲撃でも、実際に襲ってきたならばやはりその事実は重くのしかかってくる。


「ユウ、やってくれ。敵は本気だが、だからこそこっちが先に進むほど有利になるんだ」


 ナダルの表情も険しいが、同時にどこか余裕を感じさせる。勝ち筋が見えているもかもしれない。俺自身はどう動こうかな。襲撃は面倒といえば面倒だが、正直この件は俺にあまり関係がないんだよな。先生にもあんま動くなと言われてるし、そう考えるとあの婆さんは何をどこまで把握しているのやら。

 夜に詳しい話があるらしいからそのときに決めるとしよう。

 

 俺は頷くと新たに魔法を発動させた。




 今日の逗留地点はナダルの予想通り、蒼月湖とやらのほとりの村になった。時刻は六時半を少し回った辺りだ。これから気温が上がる時期なのでまだ日は落ちきっていない。いわゆる黄昏時という奴だ。今思いついたので意味は知らん。


 自慢にもならないが俺は地理に疎い。少し前まで憑依霊やってたし、場所もド田舎だったので仕入れる情報などたかが知れている。おのぼりさん丸出しで周囲をきょろきょろ見回していると女魔法使いのマリーが声をかけてくれた。


「この蒼月湖はこのランヌ王国でも有名な場所なの。湖面に月が映ると淡く光るのよ。この湖を見に国中から貴族が集まるくらいにね。これから丁度見頃になるんじゃないかしら」

 

「観光地ってわけですか。確かに村と言うには立派なつくりの家が多いですね」


「貴族が多く集まるから宿屋も相応に立派よ。あの方々も今日はそこに泊まるでしょうし」


 事実、宿屋は高級になるにつれ景色のよい場所に建てられている。王女一行は最上級の宿を選ぶと思ったが、中級程度の庭の広い宿を一軒貸切にした。他の客を締め出して自分達のみになる環境を重視したようだ。確かに宿泊客が自分たち以外全員敵で囲まれているなんて状況は御免こうむる。



 宿泊のための諸々の準備を済ませる間、俺は一人自由時間をもらえた。誰も俺に構う暇がなく夕飯の調達を頼まれたのだ。来たばかりの宿を疑っても仕方ないが、毒殺の危険もありうる。しかし、一国の姫様の舌を満足させる料理がこの村にあるとも思えないな。仕方ないので数件ある高級宿の厨房から直接料理を買い取ろうと思って俺は相棒を伴って高級宿のある湖方面へ向かう。

 

 既に日は暮れかかり、周囲は深い闇が覆いつつある。主要街道沿いの村だけあって篝火も用意されているが、数は少ない。薪も無料ではないしこの世界、基本は夜はさっさと寝て朝は陽が出たら直ぐに行動が当たり前だから仕方ない。それでもこの篝火を頼りに移動者はちらほらやってくる。

 

 村、いやもう町だな、宿場町の中央にある食い物屋からは賑やかな喧騒がこちらまで届いてくる。肉の妬ける匂いが俺の腹の虫を呼び起こした。そういえばウィスカを出るときにハンク爺さんから買った弁当があったっけ。流石に王女一向に提供するわけにもいかないが、その内に食べようと思う。リリィが新人イジメでご飯抜きとか有り得るからね! と脅されたから用意したのだが、”ヴァレンシュタイン”が予想以上に真っ当な連中なので食べる機会がなかった。


「私のせいじゃないよ! 普通に有り得ると思ったんだから!!」


 はいはい、責めちゃいないって。どの道〈アイテムボックス〉の中じゃ時間止まってるから何時でも出来たてだし、いつまでも保つから今じゃなくてもいいしな。

 

 店屋から漏れる明かり目当てなのか、もう大分暗いのに露天商がまだ営業している。ふと気になった俺は覗いてみることにした。相棒も乗り気で、これぞテンプレの予感!と息巻いているが、よく解らんな。


「こんちは、おっちゃん何売ってるんだい」


「よう、坊主。駆け出し冒険者かい? ちょっとうちの品は値が張るから坊主には無理かな」

 俺の格好は初心者だ丸出しだ。未だに革の肩当とナイフだけだからな。ダンジョンでかつて冒険者が装備していた物も宝箱から出るのだが、全て換金してしまっている。


 髭の親父が並べている商品は雑貨が主流で少し日持ちのする食品も扱っている感じだ。露天に出しているから値が張る品物はないが、ちょっとした小物が多いな。


「流石に手が出ないや、安い薬草はあるかい? 今切らしちゃってさ」


「手頃な奴ならコイツだな。銅貨3枚でどうだ」


 露天商から薬草を買い求めると俺はその場を後にする。背後を振り返ると露天商も店仕舞いをするようで俺が最後の客になったようだ。


「ユウ、そんなの買っちゃってよかったの?」


「後で取り返すさ。それにしても、思ったよりも手が早いな」


 俺の手には先ほど購入した薬草がある。ちなみに〈鑑定〉結果はこちらだ。



  毒草   価値 銅貨一枚


一束で銅貨一枚の価値しかない毒草。干した後なら初心者が薬草と見間違えることもあるが、自生する場所では葉の形が違うので見間違えることは少ない。各種毒薬の原料にするには効力が弱すぎ、抽出して濃縮する作業が必要。手に入れても使う価値はほぼない。

 

「後でしっかりと()()()に伺うとするさ」


 立ち去る露天商を見やりながら俺は口元を歪めた。俺らがこの街に到着してからというもの、〈マップ〉にはその露天商が敵性反応を示す赤い点がしっかりとついていたからだ。






「つまり話を纏めるとこうなるわけですね。

 北の国ライカールの第一王女であらせられるそちらのソフィア殿下が、お生まれに関するお家騒動に巻き込まれ、それを憂慮なさった兄上である国王バイデン3世陛下がこの国に留学という形でライカールから遠ざけたと。そして陛下の母上、ソフィア殿下からすれば血のつながりのない母親が色々画策していると」


 ザックスの言葉に双子メイドと女騎士は頷いた。当の姫は何も口にしないがその表情だけで真実を物語っている。


 俺たちは借り上げた宿の大きな部屋で夕食を取りながら事情を聞いていたのだが、話題の内容が内容であまり味を感じられない状況だった。俺の金ではないとはいえかなり高級な宿の食事を買い込んできたのだが勿体無いなあ。



「皇太后ディアナ様は恐ろしいお方で、自らの敵を決して許さない方だ。先代国王様の御世も側室が何名も不審死しているし、ソフィア様のお母上も若くしてお亡くなりになっている」



 女騎士は主君を見やりながらお母上の死にも疑念を抱いていると匂わせる。ああ、貧しくても辛いが位が高いとそれはそれで大変だなぁ。



「この国のクローディア姫とはご友人でいらっしゃる縁でランヌ王国に留学という形で亡命が叶いました。王都に入ってしまえばディアナ様も流石に魔手も伸ばせないと思われますが、逆に王都に着くまでは一切の油断ができないと考えています」


 双子メイドの片方が騎士の言葉を引き継いだ。ちなみにショートカットの双子なんだが、片側は普通に喋るがもう片方は片言の特徴的な喋り方をする。見た目は全く見分けがつかないので俺は魔力の強弱で見分けている。かなり強い魔力を持っている方が普通に喋る方である。


「国王陛下が殿下のご留学を発表なさると同時に夜陰に紛れて祖国を発ちました。相手を上手く欺くことに成功し、船旅でこの国のレダの街に辿りつきました」

 

 女騎士の実家の商売の関係でレイルガルド商会と付き合いがあり、彼らの力を借りてこの国までやってきたらしい。さらっと密入国したと聞こえた気がするが、王族のすることだし気にしない気にしない。


 考えてみればここから北に位置するライカールの一行が、普通に南下すればいいものをランヌ王国の東に位置しているウィスカにいる時点で相当遠回りしているな。レダの街というのはこの国の東端にある小さな港町だ。



「レイルガルド商会との関係はどの程度なんです?」


 話の合間を縫って尋ねてみた。これまでのセドリックの不可解な行動を思い返すと想像はつくが。


「あくまで商売上の付き合いで、契約はこの国に入国するまでだ。奴自身は商人の誇りにかけて王都まで送り届けるなどと言っていたが、あの有様だ」


 始めから利用しあう関係でしかないと女騎士が鼻で笑った。なるほどね、あの意味不明な行動はさっさと王女一行を切り離したかったというわけか……そして俺たちは人身御供に使われたと。俺はセドリックのその長い面を思い出しながら金貨二十枚を絶対に回収すると心に決めた。

 しかし、そうなると別の問題が発生するわけだが………それについてはもうどうしようもないな。



 冷たいようだが、はっきり言って一介の冒険者には手に余る案件だ。本当にさっさと王都に辿りついて王宮に保護されてほしい。となると我々が気にすることは一つだけだ。


「それで、差し迫った危機はあるのですか? 先ほどの襲撃もその一環ととらえてよろしいので?」


 あえてのザックスの問いに一同は押し黙ってしまう……が、意を決したようにジュリアと名乗った女騎士が口を開いた。


「我が国の暗部でお恥ずかしいのだが暗殺者ギルドか確かに存在し、そこの手の者が姫を狙っているという情報が確かな筋からもたらされた」


「暗殺者ギルド! そんなものまであるのか」


 思わず口に出してしまった俺にナダルがこの国にも非公式だが存在するぞと言い放った。どこもかしこも同じだということだな。


 ため息をついた俺だが、明確な敵がいることが改めて当事者の口から語られた。俺たちは食事を続けながら大まかなこれからのルートを示して、敵が襲撃をかけてきそうな地点を話し合っていく。こういった荒事担当はやはりナダルが担当するようだ。彼が主に話を進めていくが、王女たちの前もありこの口調は丁寧なものだった。


「今いる蒼月湖の辺りで全行程の六割を消化しています。これはユウの力によるものが大きい。正直、あの魔法がなければ未だ三割も行かなかったでしょう。このペースを維持できれば明日にもリーヴへ辿り付ける見込みです。この東征街道はよく整備されているが途中で道が狭く見晴らしの悪い場所がいくつかあり、敵から見て絶好の襲撃箇所にもなる所も数点あります」


「敵の規模は流石に解りませんよね」


 初めて田舎から出てきたばかりの俺はザックスの説明に耳を傾けるほかない。<マップ>スキルで彼の言葉のすりあわせを行っていくと確かに”臭い”場所がチラホラあった。

 ナダルは王女たちを見やったが、何も反応がないので溜息を一つついて、ゆっくりと語り始める。



「姫様方が語りたがらないので俺が代わりに話す。敵はまず間違いなくロッソ一族だ。ライカール王国の闇に潜む由緒正しい暗殺者一族でかなりの歴史と規模を持っている連中だ。」


「随分と詳しいですね」


こっちの業界(スカウト)じゃ有名なんだよ。元々どこにも属さない連中だったが、皇太后の実家と繋がりがあったらしい。今じゃ皇太后の黒い刃って訳さ。あの国には他にもでかい組織があるが大貴族の後ろ盾を得て目下ロッソ一家が規模も資金力も国一番だ」


 あまり大きな声では言えないが、王女殿下の親類も数人やつらの毒牙に掛かっていると見て間違いないとナダルは声を潜めた。


「他国の冒険者にまで話が漏れているとは……恥ずかしい話だ」


 ジュリアが溜息をつきながら嘆く。連中の素性はわかった。で、どんな手口を用いるんだろう?


「そこは暗殺家業だ、暗器は勿論、篭絡、買収、不意打ちなんでもありさ。毒も当然も使ってくる。昼間にザックスが受けた毒は多分、噴霧させる類だろうよ。こっちもそこは読んで対応したがな。そして一番の特徴なんだが、連中は一族で纏まって動くらしい。それを考えると数十人は見る必要がある」


 そんなにいるのかよ。こりゃあまともに相手していられないのも解るな。


「異国の地でそういう大人数での仕事は難しいのでは? この国にもあるっていうそのギルドから援助を受けている可能性はどうです?」


 これが一番最悪な可能性だが、ナダルは首を横に振る。


「それはありえない。国が違うとはいえ商売敵でもあるんだ。せいぜいがこの国の連中に筋を通すくらいが関の山だ。さっきメイドの一人が王都に逃げ込めば大丈夫といったのもそれが理由だ」



 職がなんであれ、同業というのは嫌でも見抜かれるものだ。他国の暗殺者が王都に大量に入り込んでいれば露見するし、そうなれば暗殺者同士で刃を交えかねない。さらにこの留学は双方の国王の了解を得た話だ、皇太后がいかに大物とはいえ国王の決定に正面から異を唱えるわけには行かないだろう。王都に入ってしまえばこの国の庇護下に入ったも同然だ、そのロッソ一家とやらも手が出せなくなると踏んでいるのだろう。もし王都で王女が殺されようものなら両国間で戦争になりかねないしな。


「王都なら襲撃が無理でもここでなら平気な訳は?」


 魔法使いのカレンがナダルに尋ねる。一瞬こっちを見たから俺に理解しやすいように話を回したなこれは。


「さっきも言ったが王都はランヌ王国側のギルドの縄張りだ。そこで仕事しようもんならまず連中は王都の同業を敵に回すことになる。この国と揉めたくなけりゃ敵はこの街道で勝負を仕掛けなきゃならん。そういう話をつけたんだろうさ。だから無理して先を急いだんだ。それにこっちが有利な点がもう一つある」


「王女殿下一行の皆様にお伺いします。先ほど皆様は敵を出し抜いたと仰いましたが、そうなると敵は未だライカール国内に?」


「それは流石にありえません。確かに囮を用意して陸路で南下させ、一定の時間を稼いだと見ていますが、この国に入国した段階であの番頭がわが国へ連絡しているはずです。彼らもロッソ一家を敵に回したくないでしょう。身の潔白をするためにもいち早く通報するはずです」


 どうも例の商会の弱みか何かを握って無理に入国したようだな。裏切られるもの承知の上で来たという事か。


「そういうことだ。つまり連中はまだこっちへ仕掛ける準備が整っていないはずだ。南下して王都へ都合へつけて東側に網を張るには時間がなさ過ぎる」


「昼間の襲撃は?」


「ありゃ、小手調べだ。俺たちの能力を探るのが目的だからあっさり引いたんだろ。それ以降仕掛けてこなかったことをみると先遣隊だろうな。まだ本隊はこちらに到着してないと見るべきだ」


 その言葉を聴いて一同胸を撫で下ろした。数で上回り、その上この国の暗殺者まで襲ってくるとか冗談じゃない。ナダルの考えは本隊が南下し終える前に王都に到着してしまうことだ。それが誰にとっても一番安全だからな。


「相手が不利を悟って撤退する可能性はどんなもんで?」


「向こうも本職だ。無理なら撤退するだろうが……俺が知る皇太后の性格なら失敗した奴をそのままにしておくとは思えないな」


「その通りです。まず間違いなく一族皆殺しの憂き目に遭うでしょう」


 ナダルの言葉にサリナとか言ったメイドの一人が続いた。やれやれ、一戦やらかすのは確実な状況か。




「大体出揃った情報はこんなところかな。んじゃあ、次にどう行動するかだが、皆意見はあるか?」



色々な話が上がるが、さりとて方向性を変えるほどの重要性はないものばかりだ。今後の確認やら予定の進捗やらを食べながら話し合っているのだが……視線を感じるな。 


 するとソフィア王女の視線が俺の肩にいるリリィに向いている。ああ、この王女は見える人なのか。


「貴方は私が見えるの?」


「ええ、こんばんわ妖精さん。私はソフィアというの。貴方のお名前はなんて言うの?」


「私はリリィよ。妖精が見える人間なんて何十年振りかしら」


「よろしくね、リリィ。わたくしずっと前から妖精さんとお話ししてみたかったの。もし良かったら私とお友達になってくれないかしら」


「え、ええ、いいわよ。私の友達の一人に加えてあげてもいいわ!」


 二人は楽しそうに話し出している。こっそりソフィア嬢を<鑑定>してみたらスキル欄に<妖精の眼>があった。妖精や精霊など普通見えないものが見えることができる目らしい。


 王女が虚空を剥いて話し出している奇異な状況なので説明を兼ねてリリィに姿を見せるようにお願いした。可視化の魔法で一同もすぐにリリィに気付いたようだ。皆驚いているな、やはり妖精は珍しいのか。


「ユウ、お前は妖精連れなのか、その力の一端が解ってきた気がするぜ」


 聞けば妖精を連れている者は様々な幸運を授けられるらしい。リリィといて退屈した事はないけれど、幸運を授かったというとちょっと首を傾げたくなるが。


「まあ、アレが俺の相棒のリリィです。昼間の精霊魔法は彼女の力を借りたものです」


 おお、とザックス達は盛り上がっている。僧侶のメルヴィなんて聖印を切って祈ってまでいる。世間じゃそんな扱いなのか。こういうのを見るとリリィは調子に乗るんでできればやめて欲しいのだが……幸い王女との話に夢中でこちらに気付いていないようだ。



 なんだか真面目な顔で話し合いをする空気ではなくなったので、お開きとなった。明日も変わらず飛ばしに飛ばして王都に直行するのは変わらない。時刻は夜の八時を回った辺りだ、休むには少々早い時間だからきっとこれから()()()する連中もまだ寝てはいないだろう。


 善は急げだ。直ちに向かうとしよう。

 



 残りの借金額  金貨 15000894枚  銀貨7枚








ユウキ ゲンイチロウ  LV113




 デミ・ヒューマン  男  年齢 75




 職業 <村人LV129>




  HP  1912/1912

  MP  1329/1329

  STR 320

  AGI 294

  MGI 311

  DEF 279

  DEX 246

  LUK 190

  STM(隠しパラ)532


  SKILL POINT  455/470     累計敵討伐数 4321





読んでいただけたら幸いです。


書き上がっていはいたのですが、アップする前に確認したら展開が前後逆になってたり

して調整のために時間食ってしまいました。

次はすぐにアップしたいと思います。

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