リルカのダンジョン 3
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宝珠はウィスカのダンジョンの20層以降でもそこそこお目にかかる品だ。前にも説明したと思うが宝珠とは何度でも使用可能な魔法が籠められた宝石だ。これに対して使い捨ての発動体がスクロールだ。何度でも使用可能といっても好きな魔法を籠められる物や決まった魔法があらかじめ設定された言葉だけで発動するもの、そして宝珠の元となった石の色によって属性魔法の効果が増大したりと様々な種類があり、価値も千差万別だ。4大宝珠とされているルビー、アクアマリン、エメラルド、アゲートの色が各属性を表している。
そして宝珠も完全な形で出て来る事もあれば、破損して割れた物が入っていることもある。恐らくは力尽きて倒れた冒険者の遺品なのだろう。ダンジョンの不思議な所だが、死体は一日でダンジョンに吸収されて消えてしまう。俺もそれを利用して王都で出た大量の”生ゴミ”の処理をウィスカのダンジョンで廃棄したし、それら冒険者が身につけていた装備類は新たに出現する宝箱に入って再利用されるという塩梅だ。
そしてかつてその装備を所持していた奴を知る者と揉め事を起こすこともまたよくある話だ。基本ダンジョンで起こった揉め事は当事者同士で解決すべきでギルドは積極的に係わろうとしない。例外があるとすればギルドにとっての不利益が看過できないほどの案件、例えばAランク冒険者同士の喧嘩やら俺のようにギルド専属冒険者が巻き込まれた時くらいだという。
そこが冒険者は全て自己責任といわれる所以だ。先程出会ったアホ丸出し男もその実力が伴っていればダンジョン内で好き勝手できるし、明らかな証拠でもない限り立証できない犯罪行為はギルドも目をつぶる。だがそのような奴が横行するとギルドの黙ってはいない。ここではいないようだが、他の大きなダンジョンの町では『ギルドセイバー』なる自警団を組織している所もあるとか。
話が脱線したので宝珠の話に戻るが、砕けた宝珠は当然二束三文にもならない。砕け散った大きさにもよるがそこらで落ちている綺麗な石片とかわりないからだ。俺もこれまで10個ほど使いようのない宝珠を手にしているが、それでも始めから魔法が設定されている宝珠は砕け散った欠片でも使い道があることがわかったのだ。
宝珠として主に使われるのはまさに最後の切り札、つまり大魔法と称される上級魔法を籠められたものばかりだ。砕けた欠片では同じ魔法を使うのは無理だがその属性の下位魔法なら問題なく使えた。それを知った俺は欠片をさらに小さな板状に砕いて整形し、地水火風の4属性の欠片を集めた発動体でも作ろうかとかねてより考えていたのだ。
それは才能に満ちているが認められていないロッテ嬢と出会ったことにより実行に移され、彼女の溢れ出る才能はとりあえず腕輪か何かで、と考えていた俺の予想を裏切り、さらに小型の指輪となって現れたのだった。
さらに俺は一属性だけでも十分と思っていたら位置を工夫して4つとも綺麗に配置されていた優れものになっていて、発動時には任意の属性を選べる上に宝珠が欠片程度なので籠める魔力も僅かだから消費も少ないときた。一回の発動でMPにして10ほどだ。威力もそこまでではないが収束、拡散などあらかじめ設定できたりしてかなり便利な品になっている。
「これは、まるでアーティファクトのようだな!? スクロールのように使い捨てではなく指輪だからいざという時の切り札になる!」
「嵌めこんである石から直線上に魔法が出るから位置を気にしないと真上に出たりするから気をつけろよ」
「なんて長い射程! 視界に入る範囲は全て届くと見ていいわよ」
とりあえず試し撃ちをしたアイスが驚いているがこんなもんじゃないぞ。石をはめ込む見えない土台の部分には微量ではあるがミスリルを埋め込んであるので不満点だった威力も倍増している。慣れてくれば剣で相手を押し込んでいる最中に魔法を打ち込んでトドメを打てるようになるだろう。まさに試作品ならではの豪華さだ。
「とりあえず後で自分が何発打てるのか試して見るといい。そこで自分の大体の魔力も掴める筈だ」
騎士の二人が魔法使いの真似事をしてもしょうがないから、魔法を教えるわけではなく同じ効果を持つ魔導具を渡したのだが、思いのほか喜んでくれたようだ。
「いいなー。俺にはないのかよ?」
「始めから魔法が使える奴にはただの補助機だぞ? 普通に魔法と剣を同時に使えよ。最近<並列思考>の練習してるか? あれができればこんなの子供の道具だって」
「ううっ。寝る前に少しだけしかやれてない」
俺の指摘に玲二は詰まってしまう。慣れない内は時間は短くてもひたすら回数こなして頭に<並列思考>の負荷を覚えさせるべきなのだが……頭がグチャグチャになる感覚みたいだから敬遠するのはわからんでもない。だが覚えておくと本当に便利なんだよな。
「最終的にはここまでになるんだから、無理してでも覚えた方が……いや、強制する気はないけど」
現状でも最大効率である95本の魔法の矢(というかデカいから槍みたいだが)を次々と生み出すと周りから感嘆の声が聞こえた。この声はジュリアか。
「ジュリアは魔法の修行は順調か? 魔力鍛錬は進んでいるのは見ればわかるけど」
「ぜ、全然ダメなのです。正直あの魔導具を頂きたいぐらいなほどに進んでいません。だが、私もライカールの子としての意地があるのでなんとしても開眼してみせます!」
明らかな虚勢を張っているジュリアに俺は実際に魔法を使ってみさせる。そもそも<鑑定>で火魔法があるので素養どころか今すぐできていてもおかしくないはずなのだが。
「猛き舞い上がる火の精霊よ、我が導きの先にその炎舞を為せ。ファイヤーボール!」
ちゃんとした詠唱は初めて聞いた。その詠唱の一つ一つの言葉で魔力が高まっていたのに、魔法名を言う瞬間にはせっかく高まった魔力が散逸している。たしかにこれでは魔法は発動しないな。
「やはり……私には魔法など無理ではないのではないでしょうか。ユウキ様は才能があると仰ってくれてはいるが、この様なのです」
「いや、なんか変だぞ。魔法そのものに異常がある感じだ。ちゃんとした作法を習った貴族のお嬢様にやるべきじゃないんだろうが、手をだしな」
うなだれるジュリアに俺は文字通り手を貸すことにした。俺が何をするかはかつてこのダンジョンに潜った際、雷魔法を開発し双子メイドに教えろと強請られた時に見せているからジュリアも素直に従った。
メイドは我流の魔法を教えたとしても誰に咎められるわけでもないが、ジュリアは立派な貴族だ。しかもソフィアの後ろ盾になっているという侯爵家のお嬢様だ。これで変な癖でもついたら俺が悪者になりかねんので悪いと思いつつ手を出さずにいたのだが、これは明らかに得意不得意ではなくなんらかの異常だ。見過ごす方がこっちの気分が悪い。
ジュリアの手を介して魔法を放つ準備をする。そしていつも通りに魔法を、と思った途端にジュリアのほうから猛烈な拒否反応があった。
これか。彼女も無意識でやっているのだろうが、せっかくの魔力が霧散してゆく感覚がある。だが、霧散するどころかそれ以上の魔力を送り込んで無理矢理魔法を形にして遠くの壁に火魔法を打ち込んだ。
轟音と衝撃と共にダンジョンの壁に大穴が空くが、すぐに塞がってゆくいつもの光景の中、ジュリアが自分の手を見て驚きに固まっている。
「い、今のは私の手から魔法が……魔法が出たのか!?」
「魔法は使える、それは間違いない。自信を持っていけよ」
ジュリアは信じられない表情で喜んでいるが、俺は正反対だった。明らかな心因性由来の拒否反応だ。たぶん彼女の過去に何かあったのだろうが、それを聞くのは憚られる。
一番いいのはソフィア辺りにそれとなく聞いてみるほかないな。
思わぬ問題も発覚したが、アインとアイスは新たな力に喜び、ジュリアも満足しているので先に進もう。今日はひたすら階段を下りる日だ。敵を倒しつつも宝箱を無視してわかっている階段の位置までまっしぐらに進む。色々無視しても今の時間を考えれば20層は行けないと踏んでいる。翌日は転移環で再開できるとはいえその場所は安全地帯でなければならず、となると転送門のある15層あたりで探索を終える必要がある。全30層の内、一日で半分踏破と聞けば聞こえは良いが20層以降はここなど比較にならぬ広大さだという。王都のギルドに残されている断片的な情報もかなりの距離を歩いているようだが、層の端にあたる壁には一度もぶつかっていないようで、かなり広いと見ていいだろう。
俺達(というか騎士三人はだが)はこのダンジョン用に5日の休日を貰っている。序盤は強行軍で進み、3日で踏破する予定を立ててはいるが、20層以降の全容解明次第ではもう少し長引くかもしれない。こんな場所はさっさと通り抜けるに限る。
6層のキラービーに苦戦はしたものの、それ以降の敵は頭がウサギ、体が熊のラビットベアー(直球過ぎないか?)や突進力が自慢のファングボアなどそこそこ大きいモンスターだったので難なく対応できた。
アインなど鍛錬のために普段使い慣れない槍で戦ってみせる等余裕も出てきた。
「なに、いざという時は貰った指輪で遠距離攻撃も出来る。我等には勿体無いくらいの代物だ」
そう言って喜んでくれたので、お互いに笑顔が増えてきた。
昼食には玲二が持ち込んだコーンポタージュが好評だった。俺は一度ダンジョン飯なる焚き火を焚いて干し肉を炙って食べる事もしたかったが、周囲の皆の”なんて美味い食事があるのにわざわざ不味い方法で食べるの?”という視線を感じてそそくさとしまい込んだ。
「<アイテムボックス>の有難味が良く分かります。ダンジョン内で湯気の立つものを食べられるのは本当に贅沢ですよ。それにこんな新鮮で豊富な食材、他の冒険者が見たらお金を払うから分けて欲しいとせがまれるでしょう」
かつてはジェイクやドラセナードさんたちと様々な冒険をしてきたユウナの台詞は実感が篭もっている。日帰りでダンジョン行をしている俺やそういったものに縁の無い騎士三人組は聞き耳を立てるだけだが、食事の豪華さには同意した。
「特に護衛の我等がこんな良い物を口にしていいのか未だに悩むよ。お嬢様の護衛任務が終了した後のことを考えたくないくらいさ」
「一度贅沢に慣れるともう戻れないからな。俺の実体験でもあるけど、生活のレベルを落とすのはマジできついんだこれが」
今朝の収穫で手に入れたレタスを用いた”BLTさんど”なるパンを頬張りながら玲二が同意する。玲二が来てくれた事によって俺達の食生活は大幅、いや劇的に改善した。このパンも言葉を話すのが勿体無いくらい美味い。本人はこれくらい誰でもと謙遜するが、ジュリアが既に6つ目に手を伸ばしているからよほど美味いのだ。間違いないが、別に彼女の見事な健啖さをどうこういうつもりはない。本当だぞ。
他にも簡単に食べられる果物などが山盛りになっている中、俺もポタージュを飲みながら体を温めた。
外気は汗ばむほどなのだが、10層のボスフロア内はひんやりとしている。この下はもっと気温が低いのかもしれない。俺と玲二以外はちゃんとした鎧下を身につけて今までは暑いくらいだったそうだが、俺らは気を抜きすぎた。明日は一枚着込んだ方がよさそうだ。
10層のボスは本来大きな蛇がいるようだが既に倒された後だ。ウィスカのように一日で復活するわけではなく7日も必要とするから誰がボスを倒すのかで揉めることもあるようだ。
俺達はユウナが仕入れた情報で既に討伐されている事がわかっていたので特に気にもしていない。早めの昼食を取って11層からの探索に備えた。
結局15層についたのは昼の3時を回った辺りだった。腕利きが揃っているこのパーティでは苦にもならないモンスターばかりで、数も多くて5匹が最高だ。退屈というより早歩きの運動をしている気分だ。
ここまではまだ冒険者達もまばらにいるので見知らぬ罠に苦しめられる事も無くスカウトであるユウナの出番もなかった。
今から20層にむかうと早くても夜の七時くらいになる。予定ではここまでにしようと思っていたのだが、休みも有限だし進めるうちに進んだほうが良いのでは、という意見がジュリアから出されアイン達も同意したので20層を目指すことにした。帰りが少々遅くなるが、<念話>でいつでも連絡が取れるし相棒に至っては自分で覚えた転移で勝手にこっちに移動できるから心配はいらない。
「ちょっと早まったかな? これは明日でも良かったかも」
16層に降りた俺達はその光景に怯んだ。そこはつるはし担いだ男達の集団が行きかうむさ苦しいものだった。
「情報は得ていたが、これほどまでとは。出回る鉱石の量から人数は多いと聞いてはいたが」
「これが有名な鉱山層ですか。ランヌ産の緑黄石といえば我が国でも用いられる鉱石ですからね」
王都のダンジョンを鉱山ダンジョンと呼ぶ奴もいる。低層でも鉱山夫のような格好の奴を前に見かけたし、岩肌が剥きだしになっている壁を掘ると金になる鉱石が出ることは前回でも見ていた。
だが、ここまで大掛かりとは思わなかった。
「16層はずっとこのような感じです。特産品の緑黄石は王都ギルドではなく国の管轄なので働いている男達も冒険者ではありませんし、警備は王都の兵士です。ユウキ様の性格上、揉めると面倒なので私が先導します」
「密かに俺にひどくないかそれ」
暗にお前は揉めそうだから引っ込んでろと言われたと思うが、俺もここで何かを主張する気はない。ささと通り抜けて17層へ向かうとする。
16層からはこれまでとは全く異なる大きさの階層だ。手にした地図に書き込まれた通路の細かさだけでもそれがよくわかる。本来はこの層から戦闘を主にやっていこうとしたのだが、今日中に20層へ到着するにはここも急いで突破しなくてはならない。
ユウナがいうには手応えのあるモンスターは20層からの方が多いようなので鍛錬は明日からだな。
王都のダンジョンは階段が幾つもあるが、地図を埋めようとでもしない限りどうしても最短経路を通る者が多い。なので途中の罠も目立つものは全て解除されており、ただ歩くだけの時間が過ぎるばかりだ。
もとより今日はひたすら歩くぞと言い含めてはいたが、皆も不満げではある。手のつけられていない宝箱もあるにはあるが、どうしても遠い場所だ。いつもの俺のようにダンジョン内を走って取りに行くなどという奇行(自分で言うのもなんだが)をするわけにもいかんのでここは我慢してもらおう。
敵はレッドキャタピラーなる大きな赤い芋虫だ。見た目はかなりアレだが、攻撃手段はダンゴ虫のように丸まって突進だけなので、数も少ないから全く脅威ではない。仲間達は向かってくる敵をいかに綺麗に切り飛ばすかを競っていたくらいだ。
ドロップアイテムの赤い甲殻は一つ銀貨8枚。うーん、微妙だ。
17層から19層までは何もごともなく進んだ。といっても歩く時間は長く、既に夜の7時を回っている。最短距離を歩いたつもりだが、あまりにも味気ないので近くの宝箱を漁りに寄り道したりしたので少し時間は押している。
「この護符は面白いものだな! 5寸(分)だけとはいえ自分の重さを消すとは。飛び跳ねると鳥になった気分だぞ」
「兄さん、鳥というより飛蝗では? 跳躍力なんだし、面白いのは同感だけどダンジョンではあまり役に立たないわね。すぐに天井に着いちゃうし」
跳躍の護符なる変わったアイテムを手に入れたので持ち回りで遊んだりした。アイスの言うとおり、イナゴやカエルのようにぴょんぴょん飛び跳ねることが出来るだけのアイテムだ。あくまで今のところの評価ではあるが、全員一致で売り払おうという事になった。価値は金貨5枚とでたので俺が立て替えておくか。何かに使えるかもしれないし。
19層に出るワーウルフを張り倒しながら進んだ俺達はようやく20層への階段の前に着いた。このワーウルフ、人狼だから素早い動きかと思えばただ狼の毛が生えた二足歩行のモンスターに過ぎなかった。
昨日見た獣人の逞しさ、見るだけでわかる強者の気配から比べると偽者もいいところだが、あちらからすれば一緒にするなと怒られそうだ。落ちるアイテムは狼の牙だが、この敵牙生えてたか? 攻撃手段は格闘みたいなんだけど。価値は金貨1枚だった。
「ようやく20層か。一日で三分の二進んだだけあって、よく歩いたなあ」
俺と同じスキルを持っている玲二とユウナはともかく、途中から訓練と称して重い背嚢を背負って歩いていた騎士三人は流石に疲れが見えていた。敵の襲撃に備えながら重い荷物を背負って戦ったのだ。敵は強くないとは言え、なかなかよい鍛錬になったはずだ。
その仕上げとして、これは最適じゃないか?
「20層のボスはリポップしてから倒されていなかったのか! 一日の終わりとしては丁度いいじゃんか」
玲二も俺と同じ感想のようだが、かなり体力を消耗している騎士三人の顔には逡巡が見える。今の自分達で戦いを挑むのが最適なのか悩んでいるようだ。
「ジュリアたちはどうする? 明日もあるし、厳しいならここで待ってても構わないぞ。鍛錬とはいえ無理は禁物だ」
「いや、行こう。厳しい戦いになるかもしれないが、それが目的で来たのだ。尻込みはしていられん。ジュリア殿もよろしいか?」
「無論です。苦境こそ成長の糧。望む所です」
やる気十分の三人なのでこちらから何も言う事はない。玲二も戦う気満々なので俺達は補助に徹しよう。
<ユウナ、ここのボス敵の情報はあるか?>
<はい。20層のボスは数体のモンスターが確認されています。敵は一匹ですがランダムで敵が選ばれる仕様です>
<結構な難易度だな。装備している物と真逆の属性とかで来たら苦戦しそうじゃないか>
<そのため無属性の高品質で固めたパーティが推奨されます。汎用性を高めてどのような敵にでも対応させるのです。我等の力量ならばどんな敵でも取るに足らないと思いますし、何より……>
俺は<念話>を打ち切った。<念話>の数少ない欠点で、俺の仲間全員に丸聞こえである事が上げられる。今の会話を玲二も聞いていたはずだ。今ここにいない如月やレイアも話は聞こえていただろう。俺としては未知の敵に対する準備を皆にして欲しいのだが、俺を頼りにでもしているのか完全に怠っている。
ちょっと死にかけるくらいの危機を覚えたほうがいいと思い、あえてこの先は聞かなかった。
<念話>を打ち切られたユウナも俺の顔を見て納得したようだ。冒険者としての力量が高い彼女のことだ、俺の危惧などとうに承知しているだろう。
「じゃあ行くぜ、みんな気をつけろよ!」
威勢のいい玲二の声に応、と返事をする俺達。彼の強化された腕力は重い扉を易々と開いていく。
「あれは……なんてこと!」
ユウナの緊迫した声が俺の耳に届いた。寒気さえ覚える凍てつく冷気がここまでやってきている。
「霜の巨人! 今まで僅か数体しか確認されていない超強力な個体です!」
「なんだってこんなことに! 霜の巨人だとぉ!?」
俺の焦った声が20層のボスに聞こえたのか、膝をついていてさえ見上げるほどだった巨人がゆっくりと立ち上がるのを俺達は黙って見ている事しかできなかった。
楽しんで頂ければ幸いです。
早くダンジョン編終わらないかな(まだ長い)




