王都で楽しむ 5
お待たせしております。
如月のユニークスキルは<ワームホール>というものなのだが、この言葉単体では俺は意味が良く解らなかった。
<鑑定>によると何らかの化学用語のようだがこれでも何のことだかよくわからない。
スキル保有者の如月本人はホイーラーがどうたらこうたらと説明していたが、学のある雪音はともかく玲二と俺は『なるほど、わからん』状態だった。
ともかく転移系のスキルだと思えばいいようだ。自前で転移環を作れるようなものだとしたらとんでもない能力でさすがはユニークスキルだと思わせるが、であるなら彼がこのような扱いをされていない。
彼のレベル1の<ワームホール>は直径5センチほどの小さな穴だった。彼は頑張れば片手くらいは入るよ、と悲しげに笑っていた。
今の段階で出来る事は穴の先にもし人がいれば握手ができる、というくらいだな。
実際は<ワームホール>を展開中は擬似アイテムボックスのように使うことが出来るようで、身の危険を感じだ如月は初めの頃は潤沢に与えられた食料を<ワームホール>に移動させて備えていたようだ。
「そこまで便利な能力じゃないね。普通に時間経過もあって腐ったものも多いし。それでも生き長らえる事ができたのはこの能力のおかげだけど。でも5センチに入るものだけしか入れられないけどね」
そりゃ用済みだと捨てられるなと思わせる能力だが、さすがは日本人、この能力の違った使い方を既に考えついていた。
俺達はあの空き地から撤収し、既にホテル・サウザンプトンへ戻っていた。
ホテルに宿泊を記帳したレイア本人は既にウィスカのセラ先生の下へ仕事に戻っているのでここにはいないが、<念話>で何故この最上階を確保したのかを聞くと、前回と同じ部屋でと受付に告げただけなのだが……と逆に困惑されてしまった。
前回は隣国の王女であるソフィアが一緒だったから警護の意味も籠めて王国側が用意した部屋だったのだが、その話をレイアにしていなかったな。つまり俺のミスなのか、仕方ないけどこの階層当然だが目茶苦茶高いんだよな。
これまでもこのホテルとは肉を卸したりして何度か付き合いはあったりするが、この超高級ホテルで料金を値下げしてくれとは恥ずかしくて言えないな。
<交渉>を使えばなんとかなるんだろうが、そもそもこういうホテルは金を使いたくて仕方ないような見栄張りどもが使うものなのだ。
値段交渉なんかしたら一生軽く見られて影で笑われてこう言われるだろう。
”身の丈に合った他の安いホテルを探されたら如何です?”と。
やれやれ、一日金貨15枚支払うとするか。この後でダンジョン行って一稼ぎすればいい話だ。前回の王都行きのときは金貨一枚でひいこら言っていたものだが、我ながら当時とは大違いだな。
借金持ちが更に身の丈に合わない豪遊をするという事実にため息をつきたいが、それを分かち合う奴は誰もいなかった。
「おお、マジで繋がったぞ! アンテナ立ってる! うわ、すげえ、さすがはユニーク! マジ意味わかんねえ!」
「でもこの先が日本だという確証はあるのですか? 地球のどこかの無人島ということもあるのでは?」
「僕の荷物が連中に取り上げられる前、しばらくスマホを触っていたけど通信量は通常通りだったんだ。これが海外なら凄まじい勢いでパケットが嵩むからね。まず間違いなく日本だと思うよ。でも、雪音ちゃんのいうとおり、繋がった先が日本の孤島である可能性は否定できないけどね。電波が入るから中継局が近くにはあるんだろうけど」
「玲二さん、その小さな板がどのように変わるのですか?」
「ええと、そうですね。動画サイトが手っ取り早いかな」
玲二が手にしていた小さな板状ものをソフィアとレナが覗き込むと歓声があがった。
「まあ、板の中に小さな人が!異世界の魔導具ですか?」
「高度に発達した科学は魔法に匹敵するってよく言われるけど、実際そんなもんだな。確かに異世界の魔法だよと説明した方が早そうだ」
「技術の進歩を魔法の一言で片付けないの! わたしも詳しくは説明できないけど……」
俺もよくわからん原理を雪音は滔々とソフィアに語っているが……なんか理解していそうな感じだな。
「しかしよくスマホの電池が残っていたね。一月も経っていればとうに放電で電池切れだと思っていたよ」
「そりゃユキの力で充電池を作りまくったからな。まだまだ山ほど残ってるぜ。なあユキ、如月さんのスマホも創った方がよくないか? 俺らだけじゃ不便だぜ?」
「レイも見たでしょう? 出てくるのは聞いたことのない怪しいメーカーの知らない機種よ? スオーミとかはともかく、ビンとか東南アジア系ばかり出てきます。それでもいいなら創れますが?」
「スオーミがあるなら欲しいな。元はリンゴユーザーだったから、それがあれば一番いいけど、僕も探したけれどベトナムのメーカーとか逆に良く見つけてきたねといいたくなる品揃えだね」
「設定は大丈夫ですか? 何もかもまっさらな状態なのでは?」
「ああ、大丈夫。僕はパスワードは全部頭で管理する人間だから。IPアドレスも全部頭に入ってるよ。よければ君達の支払いもこっちに回すといい。それくらいはさせてくれ」
「いいんですか? 実はそろそろ口座の金が尽きている頃で……いつ止められてもおかしくないんですよ」
「僕達は運命共同体じゃないか。いずれ僕のレベルが上がればこの小さな穴も大きくなるんだろうけど、それまでは僕のスキルが一番使えないからね。役に立ちたいんだ」
「ありがとうございます。ではスオーミです。さすがに”林檎”では出ませんでしたし、いつの機種なのかもわかりませんけど」
調べていた玲二が言うには”2018もでる”とやららしいが、俺には暗号にしか聞こえない。
雪音のユニークスキルは狙った品物を出すのは至難の技だ。花摘みの紙を出すときも、正式な商品名は9文字も必要で現実的な選択肢ではない。そのときは紙だけでひたすら当たりが出るまで続けたのでえらい手間がかかったのを覚えている。
その”すまほ”とやらは便利な道具のようだが、どう使えばよいか解らんし、俺は要らないな。
「何言ってんの!? アプリ入れて思う存分漫画とアニメ見るんだから! 早くしてよ!」
リリィは既に雪音のスマホで遊んでいる最中だった。自分の体ほどのある”すまほ”を既に使いこなす姿は堂に入っている。
「私の専用スマホも欲しいからよろしく。それにしてもコーイチのスキルがレベル上がればいずれ日本にいけるのかな?」
リリィの何気ない呟きを玲二が反応した。
「可能性はなくもないが、たぶん最大レベルじゃないの? 俺らの貰えるスキルポイントもレベルが100越えたら5から3に減ったし、相当かかると見たほうがいいぜ」
「うーん、夢の日本旅行はまだ先かぁ」
「これなに?」
「あ、イリシャ。いきなり横から出て押すなよ。一体何を……って、やべっ! lain開いちまったか! 全部既読ついちまった……」
「だめだった?」
「いや、別に大丈夫だけどさ……何て説明すりゃいいんだ? 消えたのは異世界にいるからですって書けばいいのか? うわ、もう反応が!」
盛り上がっている皆を眺めながらため息をつく。如月のスキルは今のところ小さな穴でしかないが、その穴からでも日本と通信を可能にするらしい。
これまでは簡易計算機として活躍していた二人の”すまほ”とやらが本領を発揮している状況だった。
通信なら俺のスキルでもできるのでは? とはじめは思ったが、二人から見せられる様々な娯楽にこの世界の住人は夢中になった。
既にソフィアやセリカ達は有り余る暇を使って日本語を使いこなしている。その用途は専ら雪音が創造した雑誌や本を読むために使われているが、これで話す方も完全に習得するだろう。
さっき見せて貰った画面の中には数万本を越える活劇や映像化された劇などいくらでも時間があっても消費しきれないだろう莫大な量が存在したからな。
俺が気になったのは主に運動関連だな。馬に乗りながら地面の球を手にした棒で奪い合いながら相手側の守る陣地に投げ入れる遊戯はなぜかとても印象に残った。
こちらでもできそうな競技だし、あとで詳しく見せてもらおう。
如月も如月で足が治り健常者に戻れたこと、そして二人のユニークスキルと俺の<共有>による恩恵の大きさに驚愕して興奮が止まらないようだ。
さっきからしきりに歓声をあげている。
本当ならこの世界の話をいろいろしてやらんといけないはずだが、さっきからみんな”すまほ”にかかりっきりだ。
落ち着いたら玲二辺りが話すだろう。
「ユウ、いや今はユウキ様か。明日の予定なのだが、変更は無しでよいのだな」
「ああ、そのつもりだ。今ユウナが準備をしにギルドへ出向いてる。三日で突破するぞ」
「おお。なんと頼もしい言葉だ。わたしの姫様のお側を長く離れるのは遺憾だが、この機会を逃す手はないのでな。日々の鍛錬の証明をしてみせよう」
「貴方の腕にも期待している。俺もこれから俺自身の準備をしてくるつもりだ」
今日はいろいろ盛り沢山だが本来の予定をこなさないとな。元々はギルドに顔を出したらすぐ向かうはずだったのだが、色々ありすぎて随分と遅れてしまった。
出掛けるための準備をしていると丁度ユウナが戻ってきた。彼女にも関わりがあることなので共に出掛けようとしたのだが……やれやれ、一緒に連れてきてしまったようだな。
「ギルドマスター、本当にサウザンブトン・スイートにあの子供がいるのですか? 私だって簡単には泊まれない超高級な層ですよ」
「カレン君、少し想像を働かせてみたまえ。私は彼がここにいても全く驚かないし、ユウナ君がここを案内する際に周囲のホテルマンが彼女を止めない理由を考えたかな?」
「それは……」
「おっと、彼等の仕事に対する侮辱は私の居ない所でやってくれよ。王国貴族として愚物のレッテルを張られるのは願い下げだからね。君が伯爵令嬢だからと言って全てが許されるのはこのホテルの外だ。特にここから上は伯爵家など路傍の石程度にしか思っていない人物達の集まりだ」
「それは……解っていますが」
「貴方は新人のようですね。魔法処理されたギルドの召喚状を只の子供が持てる筈もないと少し考えれば解りそうなものですが。とにかく、過度な期待はしないでください。彼は慈悲深い少年ですが、敵には全く容赦しません。私の仲介はあくまで場を用意するだけ。それすらこれから許しを得るのです。この訪問が無駄骨になることも承知しておいてください」
「そんな!! こちらはそんなに暇では」
「カリン君。君の父上、ゼビオ伯爵に直接ことの経緯を話した方が良いかな? 私もその方が彼の許しを乞いやすいのだが」
「そ、それはやめてください! 父は関係ないはずです!」
「私はゼビオ伯爵のたっての願いで君を受け入れた。君の起こした問題は伯爵家の問題になるし、君が大層軽く見ている彼が本気になればさらにその上に話を持っていくことが出来るのだ。そうなれば明日にも伯爵家の醜聞が王都中に広まっているよ」
「そこまで人でなしではないつもりですがね」
人を極悪人のように言うドラセナードさんたちを出迎えたのだが、俺は既に出かける準備を整えていた。
「やあ、ユウキ殿。今回は完全にこちらの不手際だ、申し訳ない。謝罪を……と言いたいところだが、これから外出かね?」
「ええ、約束が有りましてね。そんなにかからんと思いますから良ければラウンジで待っていてくださいよ。ユウナ、戻ったばかりで悪いが君も来い。あれを取りに行くぞ」
「はい、お供します」
階段の辺りで控えていた従業員に視線をやると、彼がギルドマスター、ドラセナードさんと俺と揉めた受付嬢を案内して行く。
「どこかいくの?」
イリシャが駆け寄ってくる。俺はしゃがんでイリシャとの視線を合わせた。
「すぐ戻るからこの部屋でおとなしくしてな」
「私もいく、いくの!」
駄々をこねるが、その瞳は今にもくっつきそうだ。数時間前まで瀕死の際にあったイリシャは体重はもちろん体力も極端に低下している。しばらくは食べて寝る生活を続けるべきなんだが……そんな置いていかれる事を恐れる目をするなよ。しょうがないな。
ため息ひとつ、イリシャを抱き上げると案の定寝息を立ててしまった。
皆を見ればソフィアと雪音はついてきたそうだが、もう日も暮れる。なかなか楽しい店なのだが、行くのはまた今度な。複数回訪れる必要があるのでまたその時にでも皆で行こう。
俺達がホテルを出ようとしたら、丁度セリカ達とクロイス卿が入ってくる所だった。彼は獣人のアードラー親子とその部下を公爵邸に送り届けて別行動だったのだ。
彼らは公爵家の賓客として丁重に扱われることになる。クロイス卿にとっては命の恩人でもあるそうなのでその扱いは当然だと言い張って固辞する彼らを押し通した。
セリカはあの場で色々とやることがあったようであの空き地で俺達と別れていた。
「ん? こんな時間から出掛けるのか?」
「ええ、あんなことがあったから遅れてしまいましたが、もともと今日が受取日なんですよ」
「ああ、そうだった! 俺もこの騒ぎですっかり忘れてたよ。俺も彼に謝罪をしなければならないな」
「それはやめた方がよいのでは? 動機はどうあれ、被害の直接的な原因はクロイス卿ではないのですから。むしろかえって悪感情を抱かせてしまうかも。黙っていれば決して解らない話ですし、これからの関係を考えればそのほうがいいでしょう。それより先程ギルドマスターが来たんで相手をしてもらってもいいですか?」
「ああ、謝罪の件か? 解ったよ。その代わり、後でこっちの相談にも乗ってくれよな」
「なんかまた面倒そうな予感がするんですが」
「話を聞けばお前も手伝う気になるさ」
やれやれと肩をすくめながらユウナとホテルを出る。その時レイアも仕事が終わったようで、こちらに合流するという。どうもユウナが一人で俺と共に居るのが気に入らんらしい。
「そうですか。先輩が参られますか」
ユウナはなんともなさそうな顔をしているが、全身から緊張感をかもしだしているのがはっきりわかる。
何故俺を巡って女の戦いが起こるのかさっばり理解できんが、俺がどういう性格なのかは二人とも熟知している。
面倒になったら二人とも放り出すからな、と暗に告げているので今の所は大きな問題は起きていない。そもそも別に従者なんぞ全く必要としていないのだ。二人は友人として付き合えば良い話だし、俺なんぞに傅く義理なんかないのだ。
「我が君、お待たせしたかな? おや、その子が噂の?」
「ああ、縁あって身内になった妹のイリシャだ。あとで挨拶させるが、それと異世界人がもう一人と変な犬も飼う事にした。後で顔を見てやってくれ」
「畏まった。しかし、そこの後輩を含めて日に日に人が増えてゆくな。これも我が君の人徳であろうか?」
寝ているイリシャの頬を撫でながらそう呟くレイアだが、振りかえって考えてみると……
「君が来てから加速度的に人が増えたな。となると俺ではなくて君の力な気がするな」
「私の力は我が君の力でもあるからな。結局は全て我が君に集ってくるという訳だな」
俺は人を引き寄せる磁石かよ、落ち着いてダンジョン探索して金稼げればそれで構わないんだがな……
「ユウキ様、先輩。お話し中ですが、あまり時間はありません。急がれた方が宜しいかと」
まもなく日も落ちようとしている。今は夏だから直ぐに闇が支配するというようなことはないが、訪問先には非礼だろう。
「おや、後輩に我等の仲を嫉妬されたようですね」
「そのようなことはありません」
「そうか、ならばこうしても問題ないな」
レイアはユウナに見せつけるようにして俺の腕を抱き寄せた。もう片方はイリシャを抱えているので既に両腕は塞がっている。
「もちろん問題ありません。ありませんとも」
そう口では言うものの、静かに怒りの度合いを上げてゆくユウナ。このふたり、仲が良いのか悪いのか。
どちらにしても俺の行動は変わらない。
レイアの腕を抜き、さっさと先に歩き出した。身内の面倒事は絶対に関わらないに限る。
「あ、我が君」
「ユウキ様!」
追ってくる二人よりも先に俺のとなりに現れた奴がいる
<ご主人サマ、お出掛けですか?>
「なんだ? 綺麗になったら見違えたな。灰色の犬かと思ったぞ」
そこには白銀の美しい毛並みを持った子犬がそこにはいた。
<レナさんに洗ってもらって本来のボクを取り戻したかんじです。あの屋敷にいてもつまらないから、お出掛けならお供するワン>
ホテルには動物の持ち込みが拒否されたので公爵家に預けられていたペットの犬だった。
そろそろほんとに名前を考えてやるべきか。ペットの犬では呼ぶのも面倒だしな。後で皆から募集しようか。
「わ、我が君! その狼から神威を感じるのだが……」
<ボクを一目で見抜くなんて……目敏い人間がいたものひええぇ!! ご主人サマ!ととんでもなく強い魔族がいます! こ、この強さはご主人サマ以上かも。ふひゃあ!>
子犬を抱き上げて揉みくちゃにしているレイアはその耳に囁いた。
「いくら神狼とはいえまだまだ青いな。我が君の力は私程度では計りきれぬのだぞ? 我が君が自らに課している封印は簡単に見破れるものではない」
「魔族が力の劣る人間に仕えるはずがないでしょう。少しはものを考えなさい」
<ううう……>
レイアの言う封印とは別にたいしたものではない。レベルアップと玲二のユニークスキルの影響で俺の各能力は異常を通り越して馬鹿みたいな数字になっている。5桁にまで達したステータスは日常生活をまともに送る事さえ困難なので、俺達は3桁程度の能力に抑えているのだ。
罰として二人に遊ばれながら俺達は王都を歩いた。
王都の職人街は西地区に存在する。王都で西地区と言えば教会関連なのだが、職人街も存在する。もっとも彼等に言わせれば向こうがあとからやって来てでかい顔をしているだけ、のようだ。
位置としては南地区との境目にあるあたりなのであたりはかなり賑わっている。その途中で色々と食べ物や酒を買って先へ進む。
<焼いた肉のにおいがするワン>
足元の犬が露店の肉の串焼きの匂いに釣られそうになった。これからの教育も込めて買い与えてみたが、最初は喜んで食い付いたものの、途中から残念な雰囲気を醸し出し始めた。
<あんまりおいしくないワン……ご主人サマのくれる肉に比べるとゴミみたいな肉だワン>
「そういうことだ。ここらで買い食いするなら戻って食え。無理して不味い肉食わなくてもいいだろう?」
<はいだワン。でも、買い食いはたのしいから捨てがたいワン>
その串焼き肉を買ってるのは俺なんだが……まぁいいか。
「お前、ここから先は来ない方が良いぞ。ここで待ってろよ」
<お供するって言ったワン。ここで待つなんて従者失格だワン>
「やれやれ、警告はしたからな」
俺達は職人街をどんどん進んでゆく。武器、防具職人、服、家具職人などの店を通りすぎ、様々な職人をまとめる職人ギルドの大きな建物も過ぎてゆくと王都の外れになってくる。外れにしか置くことが出来ない店もあるのだが……
<うっ! 酷い臭いだワン! 鼻が曲がりそうだワン>
「皮を鞣してるんだよ。だから待っとけって言ったんだ」
人間を遥かに越える嗅覚を持つ犬なのだ。猛烈な匂いを発する皮鞣しの現場は常人でさえ辛いのだ、たまらずキュンキュン鳴いているので仕方なく<結界>を張ってやった。使いかた次第で周囲の空気を遮断する効果もあるので大分マシにはなったはずだ。
実際は周囲の空気も遮断しているので早く解除しないと中毒症状に陥る筈だが、こいつの場合自分で何とかしそうではある。
皮職人達の工房を抜けてさらに進む。どうしても匂いとその微妙な立場から王都の外れにならざるをえない皮職人たちの更に向こう側に目的の店はある。ホテルから向かうとこの道が最短なので通ったが、立地的には悪い場所ではなく高級の部類に入る。
<ひ、酷い目にあったワン>
「だから待ってたほうがよかっただろ? っと、着いたな。どうも、親方は在宅かな?」
立派な工房の扉を開くと、そこには数人の弟子と共に初老の男が作業中だった。
不躾な闖入者にその男は怪訝な顔をしたが、俺だとわかると直ぐに満面の笑みを浮かべて立ち上がった。
「おう、来たか! 待ってたぜ。お前達の得物は出来上がってるぞ」
俺達は王都、いや国一番と評判の細工職人、クリフ親方に預けていた愛剣を引き取りに来たのだった。
「どうでぇ、なかなかのもんだろ?この氷の親子剣の見事さに釣り合うようにこっちも張り切らせてもらったぜ」
「こいつは凄い……なんて素晴らしい仕事だ」
「鞘は今ある最高級の革、黒魔竜バイデルの腹の革だ。装飾も注文通り華美にならない程度に仕込ませてもらった。大抵の客は観賞用に俺のとこに持ち込むんだが、お前さんはバリバリの現役だからな、きっとそれを手に戦うんだろう。全て戦闘用に硬く仕上げてあるぜ。それでだ、握りを確かめてくれ。こいつはナッシュの野郎との合作でな、満足いかなけば何度でもやり直すから遠慮なく言ってくれ」
俺が依頼したのは鞘の作成と握り部分の作り直しだ。共に長い年月を経ていて持ち手が風化しており、不恰好この上ないので相応しいものを新たに作り直してもらったのだ。
「いや、全く違和感がない。本当にいい仕事ですよ」
「他ならぬ命の恩人からの仕事だぜ? 他にないほど魂籠めたからな、喜んでもらえてよかったぜ」
破顔する親方のいう命の恩人というのは文字通りの意味だったりする。今となっては随分と前に感じるが、愛剣アイスブランドが盗まれたとユウナから報告を聞いた直後に俺は王都へ跳んでいた。
すでに配下にしていたユウナだが、<マップ>で位置を把握してすぐさま駆けつけた俺の視界には、背後から袈裟懸けに斬られて虫の息のクリフ親方の姿があった。
隣には狼狽する彼の一人娘が居るだけで彼女は現実を受け止められずにいた。
ユウナはその娘さんから僅かにではあるが状況を聞き取っており、俺達の剣が強盗に遭った事に気づいて報告してきたのだ。
その現場についた俺はまずどうするべきか一瞬だけ考えた。まず親方の救助は確定。彼の技術は王国の宝だと皆が口を揃える程だし、このまま彼を死なせては黒幕の思う壷だからな。人名救助というより犯人の思惑を叩き潰してやりたくなったのだ。
だが、方法に問題があった。王都で回復魔法はかなりまずい。明らかな致命傷である親方を魔法で癒すのはかなりの上位魔法を必要とする。ユウナが既に手を打っていたのでまだ騒ぎにはなっていないが有名人であるクリフ親方が上位回復魔法を受けたと知れれば要らぬ騒ぎに巻き込まれるだろう。
回復魔法はそれが上位であればあるほど魔力が体内に残るのだ。本人の体調に影響を及ぼすほどだったシルヴィアの件は俺がやり過ぎたので本当に稀だが、王都の治癒師ギルドの使い手なら絶対に気付かれる。
そこで俺は別の手段を取ったのだが……
俺は腕の中で眠るイリシャをレイアに預け、アイスブランドを鞘から抜く。冴え冴えとした青白い剣身は何時見てもその美しさに呑まれてしまう。人気のない場所で幾度か素振りをすると、その剣の軌道に光る線が伸びた。我が愛剣はそんなところまで美しくて最高すぎる。
近くで同様の事をしているユウナの表情を見れば俺と同じ事を思っているのは明らかだ。
鞘に収まった姿も様になっている。今までは明らかに剣の素晴らしさだけが際立っていて他がみすぼらしく見えたものだが、今はきちんと調和が取れている。さすが国一番と名高い親方の仕事だ。
「クリフ親方、本当にいい仕事でした。感謝します」
「お嬢さんの方も問題はなさそうだな。あんたはこの意匠よりも揃いであることの方が大事そうだが」
「いえ、素晴らしい出来です。特にこの雪の意匠を施してくれたのは?」
「ああ、ロッテの仕事だ。あんな半人前関わらせたくなかったんだか、あんたらの指定じゃな」
俺とユウナの得物は大小の違いはあるがほぼ同じ形だ。ユウナがそうしてほしいと願ったからでもあるが、元が同じ宝箱から出た親子剣なので同じ形な方がしっくり来るのは確かだ。
そして俺達の揃いの証として雪の結晶を象った印を鞘に刻んである。精緻な彫り込みの上に……これまさか白銀か? プラチナを埋め込んだ最高に美しい仕上げになっている。
非常に恰好良いが、逆に鞘で相手を殴る事が躊躇われる程の高級品だな。
武器なんて武人の蛮用に耐えうるものじゃなくてはならんのだが……おいそれと使うのが躊躇われる代物だった。
いや、職人の厚意なので有り難いしうれしいのは確かなんだが。問題はそれだけではない。
「しかし親方、本当に御代をもらってもらえないのですか? こっちが申し訳なくなるんですが」
「たりめぇよ。命の恩人から金なんか取れるかい! そんな不様な真似したらそこら中から笑われらぁ。なに、お前さんが与えてくれた特製ポーションのお陰さんで長年の付き合いだった肩凝りも腰痛も膝の痛みまで全部消えて健康体よ! こちとら腕さえありゃこれからバリバリ働いていくらでも取りかえせらぁ。只でさえいろいろ差し入れてもらってんだ。ここは笑って納めてくんな」
そうなのだ。この親方、料金を頑として受け取ろうとしないのだ。彼の言う理屈は解らんでもないが……。俺は念話でユウナに話しかける。
<ユウナ、君の見立てでこれだけの代物ならいくらかかる? 少な目で見積もれ>
<はい、バイデルの素材だけでも金貨100枚は固いです。その扱いも完璧ですし、神工ナッシュまで係わっていると聞きましたから、その親方程の職人に頼むとなるとどれだけ少なく見ても150枚は見なくてはなりません。もちろんユウキ様の剣だけの話です。私のほうは大きさから見て100枚でしょうか。それに手間賃がかかりますし>
<やはり300枚くらいするよな。それをタダなんて儲かった、ですむ話にはならんな>
<そうは申されますが、ユウキ様がうっかり使ってしまったエクスポーションは金貨を積めば何とかなる代物ではありませんよ? 間違いなく金貨500枚でも買えません>
<俺の場合は偶然手に入っただけだからいいんだよ。もとは拾い物だし、手が滑ったから仕方ないだろ>
<あれほどあからさまなうっかりはなかなかお目にかかれませんが……いえ、何でもないです>
あれからもうひとつエクスポーションは手に入れているから使ってしまっても問題はないのだ。
恩を着せるためでもないから彼には良く効く特製ポーションだと告げているが、いくら貴族から順番待ちの列が途切れない名職人とはいえ、いやだからこそ技術の安売りはいかんと思うのだが。
どれだけ言葉を尽くしても聞いちゃくれないので、せめて現物支給をと色々と市場で買ったものを差し入れちゃいるが、まだまだ金貨2枚分にもならない。
そういうわけで、色々と小細工がいるのだ。
「ロッテさん、今回も見せてもらって良いですか?」
「わ、私の作品で良ければいくらでも!」
「親方、少しロッテさんを借りますよ」
「まったく、そんな半人前の細工なんざ、タダでいくらでも持っていけば良いのによ。物好きなもんだ」
クリフ親方から辛辣な言葉を並べられたロッテさんは、20もいってなさそうな若い女性細工師にしてクリフ親方の一人娘だ。
瀕死の親方を見つけた第一発見者であり、あの時の俺の行動を一部始終見ていた人物でもある。
そういうわけであまり気兼ねすることもない関係になっているのだが、細工師としての腕は名人と名高い父親の血をしっかり引き継いでいて見事なものだ。それはこの剣の鞘にある雪の結晶をみれば明らかである。
それなのに親方があんまりな物言いをするので、初めはこの腕を見てもそんなことが言えるのかと思ったものだ。だが、しばらく見ていると親方なりの照れ隠しなのだと解った。
考えてみれば妻を早くに亡くして男手一つで育て上げた娘が可愛くない筈がない。事実、この前買い上げた銀細工を目にした親方はこの上ないほどに上機嫌だった。
聞いた話では歳を取った後に出来た子だから家庭内では溺愛しているとか。他の弟子や他人の目のある所ではあえて厳しくしているのだろうか。
「今日は何があるの……というか、みんな好きなのを選ぶといい」
ロッテ嬢の作り出す細工は女性らしく繊細で細やかだ。これほどの逸材が野に埋もれているのは専ら親方が過保護過ぎるせいだが、そのお陰でセリカは誰とも契約していない名工を一人確保することに成功した。
ロッテ嬢としても作り手の性で他人の評価が気になる所だったようで、一目見て直ぐに口説き始めたセリカの提案に飛び付いた。
クリフ親方は娘に悪い虫が着かなければ問題ないらしくロッテ嬢には何も言わなかったが、工房を辞した俺達を追いかけ、何度も何度も礼を言うのを見て、親の愛の深さを感じた。
そのようなことがあって既に数回この工房を訪れており、その度にロッテ嬢から金銀細工を買い上げている。ユウナは既に数回来ているが、今日はレイアもいるので彼女にも好きなものを選ばせることにした。
「我が君よ、良いのか?」
口では遠慮したものの、先程までユウナと俺が共に剣を手にしたことを凄い目で見ていたからな。それをユウナが露骨に見せつけたことも影響していたが。
「ああ、遠慮せず選んでくれ」
「ふむふむ、それでは私と我が君を繋ぐ縁となるようなものを選ぶとするか」
俄然やる気を出してロッテ嬢が持ち出してきた品物を選び出すレイアに対抗するようにユウナも真剣に選んでいる。そこまで熱くならんでもと思うが、もちろん口には出さない。
二人が選んでいる間に先に支払いを済ませておく。今回も支払いは現物支給だ。金と銀をインゴットで渡してゆく。銀はダンジョンから、そして金はスキルで創造したものだ。スキルで作った金は常日頃から金銀を扱っている彼等から見ても本物で間違いないようだ。大量に作ったもののスキルでの買い取りは出来ないし、ギルドへの持ち込みも変な詮索を受けるしでどう消費するか悩んでいたが、これで共に有効活用できる環境が整ったというわけだ。
「いつもありがとうございます。特に銀は最近流れる量が減っていて困っていたんです」
セリカから聞いていた銀の枯渇はここでも現れ始めたようだな。
「あと、これはいつものな」
数枚の銀貨と共に小さな革袋をいくつかこっそりと置く。ロッテ嬢はその革袋を押し頂くように受けとると深く頭を下げた。
これ以上は互いに言葉にはしない。革袋の中身は金貨がつまっているからだ。もちろん俺とユウナの依頼料である。
クリフ親方は当代一の腕前を誇り、一仕事終えたあとの一杯が最高の楽しみだという正に職人魂が人の形をしたような男だが、大きな欠点がある。
それは金銭感覚が全く無い存在しないことだった。仕上げた品を客が気に入らなければ代金を受け取らないことなど日常茶飯事だし、俺らにしてくれたように高級素材を惜しげもなくつぎ込むので至高の作品が出来上がるが、そのせいであちこちに借金を抱えているらしい。
つまり、最高の仕事が出来ればそれで満足という根っから職人なのだった。端から見るだけなら職人たるものかくあるべし、と褒め称えたくなるが、身内にしてみればたまったものではないだろう。怖くて詳しく聞いていないが、奥方が早くに亡くなったのもそれと無関係では無さそうだ。
職人道に邁進したからこそ今の親方があると言えばそれまでだが、その影には支える身内の苦労があると言うわけだな。
「ユウキさんにはなんとお礼を言えばよいのか……父、いえ師匠の命を救って頂いたばかりか、このような温情まで……」
「これは当然の報酬ですから。良い仕事には相応の金がかかるものです。私の連れに聞きましたが、素材だけでもかなりの金額とか。私がもっていた薬はダンジョンで偶然手に入った元手のかからないものですからそこはお気になさらずとも」
「そうはまいりません。父の兄はかつて冒険者をやっていたのでポーションの程度は知っているつもりです。明らかな致命傷の傷であった父を一瞬にして完治させるほどの代物は伝説のエクスポーション以外にありえません。それを初対面の父に惜しげもなく与えてくださったのです。父が料金を取らないといっていたのもそれを考えれば当然なのです」
「そうは言いますがね、貴方や弟子の皆さんも霞食って生きていけるわけではないでしょう。それに素材の買い付けにも資金は必要なはず。会計も貴方が担当されていると聞いてます。黙ってれば親方は気付きもしないでしょう」
俺の指摘にロッテ嬢は黙り込んだ。借金の苦しみは俺にも良く分かるつもりだ。クリフ親方の存在が支払い能力の証明だからこれまでは厳しい取り立てもなかったようだが、もしあの時手遅れだったらこの工房は破産していただろう。それに……
「父の命ばかりか奪われた品まで取り返していただいたのに……貴族様から依頼を受けた品が盗難にあったままでは父が一命を取り留めても私たちは破滅したでしょう。そのご恩に報いることさえできていないのに」
「それは貴方がこれからよい作品を作り続けてもらえば結構です。お忘れかもしれないが、貴方は既にウチのセリカと契約済みですよ。貴方が才能を発揮してくれないとこちらも困るので、金の問題はさっさと片付けて創作活動に励んでください」
そもそもこの袋に入っている金額は金貨80枚程度で料金には程遠い。これをあと数回繰り返さねば料金には届かないのだ。白金貨で払えば額自体は簡単なのだが、白金貨は受け取っても使える場所がなくて彼女が困るだろうからな。
どのみち俺がここへ通っている事は皆が知っている。まだソフィア達とは時間が合わなくてつれてきていないし、さっきも目で訴えられていた。王都にはまだしばらくいるし残金を払う機会はまだ来るだろう。
「それで、欲しい物は見つかったか?」
「ん!」
目を覚ましたイリシャが指差す先には子鳥を模した銀細工があった。綺麗に彩色されたうえ瞳の部分に赤い宝玉が使われており、素人目にも良い出来だとわかる。
「とりさん、すき。目がみえなくなるまえはずっとみてた」
「そうか、つけてやろう」
その銀細工は髪飾りだったのでイリシャに飾ってやると、その可愛さが数倍増しになった。
「似合ってるぞ、元からお前のために誂えられたみたいだ」
褒めてやると照れたのか、俺の足にしがみついてきた。
そういえばイリシャはまだ俺の服を着たままだな。後で一式揃えてやらないといけないな。如月も全裸ではあったが、あちらは俺らと体格がそう変わらないので下着類も含めて俺達ので流用できたが、イリシャはそうはいかない。
だが、雪音が張り切っていたので明日の朝には揃っている可能性が高いな。彼女は前の世界でその手の意匠関係の仕事を熱望していたようだ。そこらへんでセリカと意気投合したようでもあるし、必要な布は既に大量に『創造』している。それを見たセリカが妖しい笑みを浮かべていたのでものはよいのだろう。
「べつにこれがあればいい。あったかいし、兄ちゃんのにおいがするし」
俺の視線に気付いたのか、よじ登りながら指定位置である俺の腕の中に納まったイリシャはそう言うが、見た目がぜんぜん合っていないからな。彼女が着ているミスリルの防服は売れば服が数十着は買えるほどの金額になるが、元々戦闘用装備なので身の守りとしても使えなくはない。ミスリルが裏地に編みこんであるから魔法攻撃を殆ど減衰させるし……この子が魔法攻撃を受ける状況など考えられないが。
「それ一枚というわけにもいかんだろ。たぶん雪音が準備してるさ。それより二人は決まったのか?」
長く選んでいたレイアとユウナも決めたようだ。二人そろって銀の細工が施された革の首輪を選んだ理由を深くは聞くまい。買い上げると同時に装着していたことにも触れないようにする。
深々と頭を下げるロッテ嬢にまた来る事を次げて店を辞した俺達だが、ホテルに戻るとギルドマスターたちの姿は無かった。相手をしていたクロイス卿によると途中でギルド職員から緊急の呼び出しが入ったようだ。例の件なのかもしれないが、あの王都ギルドの大きさを見れば俺一人が手を貸さないことによって破滅するようなことはあるまい。
一応向こうも謝罪をしに来たという結果は残したことになるな。
まあこっちに明確な何かが残らん限り、簡単には許さんけど。
「玲二にアイン達、準備は大丈夫か? ジュリアは……いつでもいけそうだな」
「あしたどっかいくの?」
「ああ、お前と如月はどのみちしばらく静養だけど、俺達は王都のダンジョンを攻略するのさ」
残りの借金額 金貨 14785341枚
ユウキ ゲンイチロウ LV1156
デミ・ヒューマン 男 年齢 75
職業 <村人LV1278>
HP 98521/98521
MP 86550/86550
STR 15639
AGI 15433
MGI 16417
DEF 15958
DEX 15870
LUK 9125
STM(隠しパラ)4150
SKILL POINT 5220/5410 累計敵討伐数 122451
楽しんで頂ければ幸いです。
ようやく悪夢の年末がおわりまして投稿です。
最後にある通り、王都のダンジョンをピクニックでさっくり攻略します。
ここで年末の挨拶はしません。明日も投稿する予定でいるからです。(まだ白紙)
ワームホールの現状の能力は首都圏のどこかに繋がっていて、そこから電波を受信している状況です。ワームホール展開時は魔力を消費しますが、既に<MP回復>で消費量以上に回復しますので問題はないです。人が通れる大きさになるのはいつになることやら……です。