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王都で楽しむ 4

お待たせしております。



 泣いていたイリシャだったが、腹の虫が盛大に主張を行ったことにより瑞宝に付き添われて食事を取りに行った。

 瑞宝は瑞宝で回復魔法を見せたときから態度が一変した。これまでは親しみを感じる程度のものだったのに対し、いまは深い敬意を表すようになっている。

 力を見せることにより関係が変わるのは嫌なんだが、イリシャの傷をそのままにしておく訳にもいかない。それに彼女はイリシャの傷を見ていたのに次に会ったら傷跡がすっかり消えていたと言うのも奇妙な話だ。

 やはり瑞宝には見せておくべきだったと思うが、それで関係が変わってしまうのは残念だな。



 意識のないキサラギを看ておくように瑞宝が連れて来た女たちの一人に頼むと、俺も腹に何か入れようと急造の食事処に向かった。


 空き地は左右で風呂と食事処で分かれているが、今は腹も落ち着いた皆が二度目か三度目の風呂に入っているようで人の数は少ない。俺が湯と風呂を追加した事によって手伝いの女達も風呂に入っているという。

 そのなかで目当ての人物を見つけた俺は声をかけた。


「クロイス卿、こちらでしたか。そちらはアードラーさんでしたね……んん?」



 獣人の一団の中にクロイス卿を見つけたたのだが、隣にいるアードラーさんに視線を向けた俺は二の句が告げなくなった。

 そこには筋骨隆々の逞しい獣人達の姿があったのだ。


 俺の記憶ではついさきほどまで飢えて痩せ衰えていたはずなんだが、まるで嘘であるかのような回復力だな!

 いや、やっぱりおかしいって。食ってすぐ体の肉に変わるわけないだろうが! 明らかに一回り体が大きくなってるじゃねーか! 

 出会った当初はその黒い毛並みもくすんでいたが、今はつやつやになっている。もやは別人といっても良いくらいの変わりようである。


 と思うものの、目の前の現実の前に理屈は力を持たない。獣人はそういう種族なんだと思う他ないな。

何せ彼の横では娘だと言うラナが、がつがつと肉を頬張っているのだ。

 もちろんぬいぐるみの体で、である。細かいことを考えたら負けな気がしてきた。


「おお、ユウキ殿だったな、馳走になっているぞ。しかし素晴らしい肉だな、これは! 私も部下も衰えた体に力がみなぎっておるわ!」


「ご快復されたようで何よりです。もしよろしければこの二人を紹介させて下さい。自分の仲間である玲二と雪音です。二人とも、こちらはアードラーさんだ。クロイス卿の友人でもある。お見知りおきを」



 互いに自己紹介をしている様を見ても、なんとも堂々としている。彼の部下らしき獣人達を見ても、その長たる彼がひとかどの人物であることは間違いなさそうだ。


「ん? どうかしたのか?」


 すぐ近くで青い顔をしているセリカが気になった。


「クロイス様と話をしている黒狼獣人。どう見ても戦士長クラスの大物だわ。そんな人物がこの国で違法奴隷になってたなんてとんでもないことよ。大事になればカザン獣王国と間違いなく戦争になるわ」


「戦争? 随分話が大きくなったな。その国と揉めることはあるかもしれないが、いくらなんでも戦争はないだろう」


 よく知らない俺は何の気なしにそう答えてしまったが、セリカの本気の顔に事態の深刻さを理解し始めた。


 獣人が誇り高い生き物であることは既に述べたと思う。

 だが、どれほど誇り高いかを具体的に表す事件が数十年前に起きた。


 初めは新大陸からこの大陸につれてこられた借金奴隷に落ちた獣人の一人が非業の死を遂げたことだが、その死が獣人の誇りを汚す物であったようで、激怒したその獣王国がその国に宣戦布告をしたのだ。


 初めは喧嘩を売られた国も獣王国を軽く見ていたようだ。本来なら多少こじれたとしても話し合いでケリをつけるべき話である。人間同士ではないにしても、”王国”であるなら大事にはせずに収めるだろうと高をくくっていたらしい。

 なにしろ海を隔てた新大陸から軍勢がやって来るだけで大変な一大事業だ。準備だけで一年をかけてもおかしくないから、どうせ口だけで終わると誰もが思っていた。



 しかし、彼等はやって来た。大軍勢を引き連れて来てしまったのだ。事実、彼らもかなり国を傾けたようだが、それでも汚された誇りを取り戻さんと何もかもを投げ捨てる勢いで敵国に殺到し、周辺国から地域大国と見なされてきたその国は半月で亡ぼされたという。


 獣人は洒落が通じない。獣人は空気を読まない。獣人はまっすぐで常に本気だ。

 友にするならこれほど心強い相手はいないが、同時に敵に回すと本当に始末に負えない相手なのだという。


 その結果として獣王国を侮る国は居なくなったし、獣人を奴隷にしようと思う輩も皆無となったから、示威行為としては正しかったのかもしれない。

 だが、逆に獣人奴隷というものの価値が跳ね上がった事も事実だ。どんな手を使ってでも奴隷として手に入れたい奴はいるのだろう。


 そしてこの国は、そんな空気を読まない国のそれなりの地位にいそうな貫禄のある人物を奴隷として売り払おうとしていたのだ。


 絶対に面倒な事になるとセリカが青い顔をしていたのはそういうわけだ。ウチは場所を貸しただけで捕まったのも奴隷にされたのもこの国ではないと言ったとして、そう簡単に聞き入れる国ではないようだしな。


「まあ、ここはクロイス卿の話術に期待しようぜ。それに俺等は彼等を助けたんだ。恨まれる筋合いはないはすだぜ」


「そういう理屈が通じる相手じゃないから困ってるんじゃない!」


 セリカはそのように非常に緊張しているが、こればかりはなるようにしかならんだろ。話してみた感じはそこまでわからず屋には見えないしな。


「まずはお二人、そして部下の皆さんには謝罪をしないといけません。貴方がたをあの倉庫に閉じ込めた連中は既にこの世に存在しないのです。情報を吐かせる前に始末してしまったので皆さんの事を知るのも遅れました。救助に時間がかかったことをお詫びします」


 イリシャの状況を思い出すだけで、連中を簡単に殺してしまった事が悔やまれる。犯してきた罪をきっちり自覚させるまで苦しめてから殺すべきだった。

 俺の<アイテムボックス>内で永久の眠りについている死者達を思うとなおさらだ。



「なんのなんの。縁もゆかりもない我等を救出してくださった事に感謝こそすれど、遺恨に思うことなどありはしない。我等を奴隷に落とした事は思う所はあるが、それもこの国の責であろうはずもないのだ。お気になされることはない」


 その言葉に隣で露骨に安堵した顔をするセリカは、これでようやく心置きなくラナを眺めることが出来るようになったようだ。

 さっきから雪音とセリカの護衛騎士のアイスはラナの一挙一動に心奪われている。女の子の贈り物に選ばれそうな大きなぬいぐるみが自分の足で立って動き回り、ましてや食べ物を口に放りこんでいるのだ。

 二人は完全に魅了されているし、俺も細かい事は気にしないほうが人生楽しそうだ。実際のところ、指もないぬいぐるみの手でどうやって物を掴んでいるのか非常に気になるが……そう言うものだと受け入れよう。


()っちゃ、あの話さ、しないとあかんよ」


「おお、そうだったな。クロイスよ、我等が囚われていたあの地に高位の獣の気配がしたのだ。我等と同じく囚われているなら助け出して欲しいのだ」


 獣? ああ、あのペットのことかな? <マップ>を見れば今は眠りから覚めてこっちに来るようだな。それとユウナに連れられたソフィア達もこちらに着いたようだ。さっきから雪音がしきりに<念話>でラナの可愛さを連呼しているので気になって仕方ないようだ。


「高ランクの獣って言ったら魔獣か!? そんな厄介な獣があの場所に居たってのかよ。急がないと危険じゃないか!」


「まあ、ちょっと待ってください。アードラーさんが言う獣はあいつの事ですか?」

 

 慌ててあの倉庫へ向かおうとするクロイス卿を制すると俺はある一点を指し示した。そこには先程ペットにした子犬が俺の元へ駆けて来る所だった。


「この気配、たしかにその通りだが……こんな子犬だったかな」


「父っとう、間違いないだ。この気配、先程までより強い力を感じるだ。間違いなく神狼、それも想像を絶する神格を持っているだ」


 俺の元へやってくるとそこでお座りしている犬を見た二人は口々にそんな事を言うが……神狼? 神獣ってことか? さっき本人(獣)もそんな事を言ってたが、お前あれ本当だったのか?


<そんなこともありました、でももう過去の話ですワン。今、我はご主人サマの忠実な僕ですワン。だからお肉ください>


 最後に本音が出てるぞ。だが素直でよろしい。生肉より焼いて調理した肉の方が美味いからそっちを喰えばいいさ。リッチモンドが今も大量に焼き続けている肉を盛って皿の上に置くと辛抱たまらんとばかりに喰らいついた。彼の機嫌はそのブンブン振られた尻尾に表れている。


<うまー! うま! こんなに美味しい物がこの世界に存在したなんて!!>


「おう、たんと食え」


<ご主人サマ、一生ついていきますワン!>


「ちょっと待って。このアホ展開に眩暈を覚えたんだけど。今この狼私達の頭の中に直接喋ってませんでした?」


「俺も頭がおかしくなったのかも思ったが、やはりあの子狼が喋っていたのか? やはり神獣なのは間違いなさそうだな」


「しかしユウキ殿はあの神格の高い狼を自分の配下にしてしまったようだな。ラナよ、お前の言葉もあながち嘘ではなさそうだな」


「あれほどの霊力の高い神獣を完全に支配しとるだ。ありえんことじゃけん、うち、あん人が予言にある”待ち人”でも驚かん」


 なんか褒められている流れのようだが、とても向こうが支配してこようとしたから抵抗したら逆に支配してしまったとは言わない方がよさそうだな。




「兄様、こちらにいらっしゃると……まあ、なんて愛らしいのかしら!」


「お嬢様、お一人では危のうございます。まあ、これは!」


 遅れてやってきたソフィア達がここにやってきたが、皆がラナの姿に見惚れている。当の本人は人見知りなのか、父親の影に隠れてしまった。


 アードラーさんが娘を庇うようにおもむろに立ち上がったが、なんとソフィアの前に立つとそのまま跪いたのだ。


「ソフィア殿下にあらせられますな。5年以上前になりますが、ライカールの王城でお目にかかったことがございます。いかに町娘のような格好をされていてもその御髪(おぐし)と溢れ出る魔力は見間違いようもございません」


「たしか、アードラー総戦士長でしたね。私のようなものにも声をかけていただく獣王国の方は貴方だけでしたので、良く覚えております。では、そちらが神事の巫女である娘さんですか?」


「は。既にその位は後進に譲っており、今は一介の戦士でございますが。そしてこれが我が娘のラナでございます。お恥ずかしい限りですが秘儀の最中に暴漢に襲撃を受け不完全な終末を迎えました。ライカールからのご助力を頂戴しておきながら面目次第もありませぬ」


 どうやら二人は知り合いだったようだ。隣のセリカは王族と直接謁見できるほどの大物だったことにやはりと息を呑んでいる。


「今の私はライカールの王女というよりもむしろ兄様の妹ですから、傅かれる事はこざいません。なによりこれまで大変なご苦労をされた御様子。私もこの国に厄介になっている身ではありますが、この王都は大変に住みやすい地です。まずはこの地でゆっくりと体を休められることをお勧め致します」


「ありがたいお言葉、感謝致します」


 二人のやり取りが一段落したのを見計らって、俺はソフィア達に話をもちかけた。


「ユウナやソフィア達に伝えることがある。まだ確定じゃないが、仲間が二人と一匹増えた。一匹がその犬だ。名前は……まだないな。おい、そういえばなんて呼べばいいんだ?」


<かつての名は既に捨てましたワン、ご主人サマのお好きなように呼んで暮れれば良いですワン>


 その語尾もかなりアレだが、ソフィアたちは頭に直接話しかけられる感覚に戸惑っている。


「あの、賢者様。あの狼さんを洗ってあげてもいいですか? あんなに汚れてたらかわいそうです」


 ソフィアの後ろに控えていたレナがおずおずと言い出した。人が少ないとレナも元気な物言いをするのだが、こうまでいろいろな人が多いとメイドとして自分を殺す傾向にある。


 それでも言い出したのだから、よほど気になったんだろう。俺としては灰色の犬、いや狼か、だと思ったのだがどうやら汚れていただけのようだ。大して気にもしてなかったわ。


「ああ、端の湯船は新しい綺麗な湯だ。必要なものは持っていくといい」


「狼さん、きれいにしてあげる」


<おお、気が利くではないか、人の娘よ。矮小な身でありながらなかなか見所があるぞ>


「次に俺の身内に舐めた口きいたら潰すぞ、この駄犬が」


<お嬢さん、よろしくお願いしますワン>



 レナに連れられてゆく駄犬を眺めながら、人に対する躾を教えなくてはならないな、と思った。



 レナが犬(あいつは狼じゃない。犬で十分だ)を連れて離れた後、ユウナが近寄ってきて肩膝をついた。だからそういうのを止めろというのに、全く聞きやしない。そろそろ強く言わないと駄目かな。


「ユウキ様、この度は私が不在であったばかりにとんだ不手際を致しました。いま、ギルドの方にクレームをいれておりますので、何卒彼等の命ばかりは」


「まてまて、別に不快な思いをしたからと言って殺したりはしないって。俺をなんだと思ってやがる。ギルドには人を呼びつけておきながら、なにしてくれてんだとは思うがな」


 ユウナが通話石を持ちながら俺に謝罪をしてくるが、まあ間違いなく通話先は王都のギルドなんだろう。さてはようやく事態に気付いて、俺の配下でありながらも冒険者ギルド職員でもある彼女に泣きついたのだと思われる。

 だが、タダで許すつもりはない。俺を舐めるとどれほど高い代償を払うことになるかをきっちり知らしめてやる必要がある。


「とりえずはそのように伝えます」


 万事心得たユウナは一礼すると俺から離れ、通話石で会話を始めた。


「聞いたぞ。ギルドと揉めたんだってな。若い受付嬢のすることだ、多目に見てやってくれよ」


「援護してくれとギルドマスターから話でもあったんですか?」


 俺の問いにクロイス卿は微妙な顔をした。


「はっきりとは言わなかったが、匂わせてはきたな。こっちとしても貴族としてギルドとの関係を深めるいい機会だ。機嫌を直してくれよ」


「別にそこまで怒っているわけでもないですよ。だだ向こうがこの落とし前をどうつけるか次第ですね。」


 もう既に俺の中では単に頭を下げればよいという話でもなくなっている。せいぜいギルド側にふっかけて気軽に俺を呼びつけようと思わせなくしてやろうとは思うが。



「みつけた」


 そのとき腹もくちくなったのか、イリシャがこちらに駆け寄って近くの簡易な椅子に座らず、俺の膝の上に飛び乗ってきた。付き添っていた瑞宝は俺に一礼するとその場を離れた。


「おう、もういいのか?」


「ん」


 周囲の女性陣の視線が一気に冷えた気もするが、気にせず続けることにする。


「みんな聞いてくれ。さっき話した仲間の一人だ。イリシャ、自己紹介しろ。ここにいるのはお前の身内でもあるんだぞ」


「ん、イリシャ。よろしく」


 簡潔きわまりない挨拶をした膝の上の少女に思わず苦笑が漏れる。照れているのか俺の服に頭を埋めながらの台詞だった。


「自分でも何の因果か解らんが、少なくとも一人で生きていける力を持つまでは面倒を見るつもりだ。ほら、ちゃんと挨拶しろよ。お前の兄や姉になる人たちなんだぞ」


 脇に手を入れて持ち上げて皆に顔を見せてやる。痛ましい傷跡が消えたら肩までの銀色の髪を持つ実に可愛らしい顔が出てきたのだが、こんな可愛い子を酷い目に遭わすなんて世の中には外道が多すぎる。


 それに持ち上げて改めて解ったが、イリシャの羽毛のような軽さに空恐ろしささえ覚えた。骨と皮だけしかないのではないかと思うほどに体重がない。


「しばらくお前の仕事は食って寝ることだぞ。とりあえず体重(めかた)を増やせ」


「はたらかざるもの、くうべからず……」


 こしゃまくれた事を言うイリシャをぶらぶらと揺らしてやる。


「それが言えるのは元気な奴だけだ。今のお前はまだ病人と一緒だ。今はさっさと肉をつけろ」


「あい」




「兄様、その子もしかして私と同じ……」


「あなたもかわった目をしてる。私はすこしさきの事が見えた。それをまわりの大人にいったら”あくまの子”だっていわれていじめられた」


「やはり、魔眼持ちなのね。こんなに小さいのに、苦労したでしょう。私はソフィア、貴方のお姉ちゃん」


 イリシャのか細い手を取って抱きしめたソフィアは自分と同じ特殊な物を見ることが出来る魔眼持ちの幼い少女に同情的だった。

 しかし、未来が見えるだと? そういえばさっき彼女を<鑑定>した時に変わったものを見たな。


 改めて<鑑定>してみると職業が時の巫女なる聞いたことのないものだった。物知りであるセリカやクロイス卿も聞いたことがないようだが、父親の隣で小さくなっているラナは情報を持っていた。


「”時の巫女”は神殿の巫女の一種だったはずですだ。オラも文献でしか見たことない言葉ですが、最高位の巫女の階級の一つだったような気がしますけん。その言葉の通り、未来や過去を視る力があるといわれてますだ」


 <鑑定>を偽装できる力がイリシャにあるとは思えないから、恐らく事実なんだろう。幼い彼女があの劣悪な環境で生き延びられたのは<HP回復>のおかげか? それはイリシャにとっては終わらない地獄だったかもしれないが、だからこそ俺と出会えたとも言える。



「兄様、イリシャの瞳は目立ちます。虹彩異色(オッドアイ)は不吉の予兆と言われている地域の方が多いのです。それに魔眼持ちだなんて、この子が大変な目にあってきたのは想像に難くありません。何とかしてあげられませんか?」


 ソフィアにあの傷跡を見せなくて良かった。彼女の腕の中で暗い顔をしているイリシャを見るに、あの瞳と魔眼で色々あったのだろうと察せられる。だが、瞳の色を変えるなんて事どうにかできるのか?


 俺がどうしたものかと考え込んでいると、隣から玲二が口を挟んだ。


「そこまで考え込まなくてもいいじゃんか。色彩だけならカラコンでも使えば何とかなるって。イリシャの目は右が青で左が緑か。二つ合わせると、えーと」


「シアンね。空色とでも言えばいいかしら。カラーコンタクトも用意できなくはないけど、とても時間がかかるわよ。今はそれこそサングラスみたいなもので対処すべきだと思うわ」


 異世界人の二人は解決策への引き出しが多いな。俺には想像もできないが、全く問題にもならない軽い調子で二人が言うので任せてみる事にした。


「少し待ってろよ。魔眼のほうは俺の知り合いに詳しい人がいるから力が抑えられないか聞いてみるから。そんでもう一人が、稀人だったんだが……」


「はあ? 稀人って異世界人かよ!」


 俺の何気ない爆弾発言に周囲が驚く中、馬車から一人の女が駆け出してきた。どうやら当の本人が目覚めたようだな。


 

 聞きたい事は山のようにあるが、いきなり大勢で押しかけてもなんなので、同郷である玲二と雪音だけを連れて馬車の中に入った。


 手には玲二がいうには”ぽかり”なる体力回復に役立つ液体を持っている。ポーションはもう使ったし、あれはお世辞にも飲みやすい代物ではないからな。



 まだ起き上がる力さえないその青年を手助けして上体を起こしてやり、”ぽかり”が入った”ぺっと”を口に当ててやると彼は勢いよく飲み始めた。

 何度か咳き込みながらかなりの量の水分を摂取すると、掠れた声で話し出した。


『まさか、この世界で……ポカリみたいなものが飲めるとはね……ここが天国なのかい? って通じちゃいないか』


『いや、極楽にしては俗っぽいぞ。ここはあんた達が言う異世界さ。アセリアと俺達は呼んでいる』


 キサラギは目を見開いた。言葉が通じるとは思ってなかったのだろう。あの時は扉越しだったが、玲二たちも同じような反応を返していたな。


『君も日本人なのか!? 見た目は現地人のようだが……』


『俺は少々特殊なんでね。日本人はこの二人さ』


 俺の横に二人が並ぶと、キサラギの顔に喜色と涙が浮かぶ。


『こんな場所で日本人と出会えるなんて……すまない、ちょっと待ってくれ。感情が追いつかない』


 肩を震わせる彼に、これまでの苦労が偲ばれる。

 俺が玲二たちと出会ってから既に30日以上が経過している。十中八九あの教団の召喚によってこの世界に来たとしたら、あの場所で捨てられたことも含めて彼はかなり凄惨な体験をしてきたはずだ。

 それを思えば彼の肩を抱いてやることくらいはしてやりたい。




 キサラギが落ち着くのを待って、俺らも共に飯を食べてしまう事にした。既にここへ来てかなりの時間が経過しているから、多くの人が一旦落ち着き、これからの人生を考えているはずだ。


 違法奴隷の内訳は8割が若い女で、残りがアードラーさんたちと僅かな男性だ。


 これだけの人数をどうしたものかと思っていたが、ちょうど規模を縮小せざるを得なかったゼギアスたち”ウカノカ”は商売で使っていない部屋が大量にあったようだ。

 そこを仮の宿とすべく既に動いていたので俺が何か言う必要もなかった。やはり自分達でできるなら俺の存在要らないんじゃないかな。



 とりあえずまだ固形物を食わせる気はないのでオートミールとホワイトシチューを深い大皿に乗せて出すと、彼はかきこむようにして食べ始めた。風呂にいれて身綺麗にした彼の印象は細身の美形なのでかなり違和感のある光景だが、あとで聞けば数週間ぶりのまともな食事らしい。

 イリシャといい、ほんとにあそこでよく生きてたな。


「はあ、はあ。す、すまない。礼もまだだったのに。僕は如月という。年は24で、インテリアデザイナーをしていた男さ。もっとも、全く売れてないから副業の方が儲かってたけどね。あそこから助け出してくれたことに感謝する。本当にありがとう」


 寝台の上で深々と礼をする如月を手で制する。これまでは友好的だったが、これから先は全く読めないからだ。


「俺はユウキ。こっちは玲二と雪音だ。二人は見ての通り日本人だ。如月、何故貴方がここにやって来ることになったか、話は伝わっているか?」



「いや、言葉が通じないんだ、何も解らなかったよ。正直なところ、今君たちが日本語を話して懐かしさに泣けてきたくらいだ。状況は何も解らない、もう大分前の話だが仕事中にいきなり変な声がしたと思ったら怪しい空間に飛ばされていた。そして気づいたらもっと怪しい連中に囲まれていたんだ」


 やはり玲二たちと同じくグレンデルによる異世界召喚組か。如月はそこまで話すと自らの足に触れた。



「僕は事故で両足が不自由でね。あいつら、こっちには見向きもせずにもう片方に向かったよ。それからはまあ、想像の通りさ。いろいろ小技は使ったけど自分でも何で生きていたのかよく解らない」



 滔々と語る如月だが、気になるところがあったので割り込むことにした。


「ちょっと待ってくれ。もう片方? 召喚者は他にもいたのか?」


「ああ、僕の他に二人、若い男女だった。年頃はそこの二人みたいに学生みたいな二人だった。それから先は解らないな。少なくとも俺と同じ末路にはならなかったんじゃないかな」


「そうか……ありがとう。重要な情報だった」


 少なくとも二人、把握していない稀人がいることは確実だ。急いでクロイス卿や公爵と情報共有すべき話だ。



 そこからは玲二や雪音が引き継いだ。元からここの住人である俺より二人から話した方が円滑に進むだろう。

 本格的な仲間になるかどうかは二人の交渉次第だな。如月の持つユニークスキルは気になるが、下手に出てまで欲しがるものでもないし、彼もいやいや仲間にされても本意ではないだろう。彼が己の道を行くと言うのならそれを尊重してやりたい。




 一旦馬車から出るとザインが俺を待っていた。


「御歓談のなか申し訳ありやせん。ご報告しなければならない事が……」


 俺は無言で出入り口の方に顎をしゃくった。


「ここの縄張りの連中か?」


「へい。10名ほどですが、ウチの若い奴等と睨み合っておりやす」


 普段ならば知るかそんなことで終わる話だが、今回はこの場所も俺が指示した案件だからな。となれば後始末も俺の仕事だな。


 すぐ傍で控えていたジークとも合流しながら、これから会う連中について尋ねる。訊くならばジークだろう。


「バイコーンだったか? どんな奴等なんだ?」


「はい、王都の下町を中心に縄張りを持つ組織です。元々下町はある組織の縄張りで、そこが王都の全ての組織の頂点に立つ存在でした。それが10年ほど前にある事件が起きて今はその組織は完全に衰退し、今は見る影もありません」


 <マップ>を見れば仕切りの外にはかなり大勢の男達が集まっている。やれやれ、暇な奴らだ。


「バイコーンはその組織の後釜のような立ち位置にいます。金銭的に優れている訳ではありませんが、下町の全てを支配下に置いています。首領の名はボストン。40ほどのどこにでもいそうな男ですが、100人近くの構成員を確実にまとめています」


「今来ているのは序列5位のディンでやす。頭を出せとの一点張りで、このままでは此処から撤収もままならねぇ状況です。お許しを頂ければあんな奴ら蹴散らしてきますが……」


「今回はこちらが押し掛けたからな、話くらいは聞いてやるさ」



 幕で仕切られた外側には全部で30人近い男たちが睨み合っていた。人数はもちろんこちらが多い。いい大人が安息日でもないのに昼間から屯しているこっちがおかしいのだが。




 そのディンとやらは本当に若い男、いや少年だった。年の頃は俺とほとんど変わらないのではないか?

 不機嫌さを隠そうともせずにこちらを睨みつけているが、まだまだ胆力が足りないな。俺には子供の背伸びにしか見えんぞ。


「俺が言えた義理でもないが、子供が一体何の用だ? こっちは暇じゃないんだ。話があるなら早くしろ」


「お、おまえがここの大将だってのかよ。マジで俺と変わらないじゃないか」


 何でこんな子供が序列高いんだと思ったが、背後のジークがディンはボストンの一人息子だと伝えてきた。親の七光りかよ。


「放っとけよ。それに俺を見るのは初めてじゃないだろう? その顔、あの夜に見たぞ。ああ、成る程、親子で来てたのか。確かによく似てるな」


”ウロボロス”の本拠を潰しにいく時、かなりの数の見学者が周囲に散っていた。<マップ>で覗き見野郎共を確認していたのだが、確かにこの顔があったのを覚えている。


「う、うそだろ。あの暗闇で見分けなんかつくはずが……」


「といわれてもな。家の屋根に登ってた二人だろ? まあどうでもいいか、話がないなら帰るぞ。こちとら忙しいんだ」


「ま、待てって! ここは俺たちの縄張りだぞ。他の奴等がいきなりやって来てこんな仕切りまで作って何してんだよ。それを聞きに来たんだ」


「悪いが話せないな。隠したいことがあるからこんな真似してるんだ。ここを借りたのは一番近かったからでお前らに喧嘩を売りに来た訳じゃない」


「これだけ隠しといて、お前の言葉だけを信じろってのかよ!?」


「俺らもコソコソやってた訳じゃないからそろそろ噂も流れ出すだろ。それを聞いて想像した内容で大体あってるよ。日が暮れる頃には撤収するからもう少し待ってろよ」


 事が公になれば奴隷として拐われてきた人達も災難だが、特に獣人達がどうなるか。アードラーさんの妙に爽やかな態度や、父親の傍から離れようとしないラナ等を考えると……嫌な想像が頭をよぎるな。



 出来る限りの配慮はしたが、獣人の誇りに関する事までは流石に徹底していない。助けに来たあとで判明したから今更どうしようもないが、こんなことになるならば救出そのものも夜陰に紛れるべきだった。クロイス卿も後で相談があると言われたから恐らく間違っていないだろう。


「おい、ディン。こんなガキにいつまでも調子に乗らせてんじゃねえよ。俺ならこの程度の連中……」


 向こうの取り巻きの一人が懐から光りモノを取りそうとした瞬間、ザインに顔を掴まれてそのまま宙吊りに持ち上げられていた。頭の骨が軋みを上げる嫌な音がした。


「三下が、頭に舐めた口きいてんじゃねぇぞ。おい、ディンさんよ。()()はお宅らの総意ってことでいいんだよな? ()()は小さくなっても今の俺らは全員頭のために命を張れる奴らしかいねえぞ? その覚悟があっての喧嘩だな?」


「ま、待ってくれ。俺らの本意じゃない。血の気の多い若い奴の暴走だ」


 殺気を隠そうともしないジークがディンの言葉を鼻で笑った。


「つまり貴様らの教育が悪いと自分で認めるのか。”バイコーン”は刃を抜いても冗談で済ますお気楽な連中だということだな」


「言うじゃねえか! 人様のシマに土足で入り込んで挨拶もなしたぁ、たいした了見だな!」


「頭の言葉が聞こえなかったか? もうすぐ出てくって言ってんだろうが!? テメエらは黙って指咥えてみてりゃいいんだよ」


「何だとこの野郎!」「やる気だってのか!」


 ザインが持ち上げていた三下を相手側に投げ捨てると場の状況は一気に険悪化した。向こうはそれぞれに刃物を持ち出している。

 まずいな。別に”バイコーン”の連中がどうなろうが関係ないが、それらを統括すべきディンが場に呑まれて状況が、特に周囲がまるで見えてない。

 

「黙れよ」


 軽く<威圧>を籠めた声で周囲の動きを止める。皆が凍りついたように動けなくなる中、相手側の一人に近づくと素早く刃物を回収し、ザインによって頭蓋がえらい事になっている奴にポーションをぶっかけた。


「な、何を……」


 出端を挫かれたディンが戸惑う中、俺はとある方向を指差した。その先に視線をやった者達は即座に臨戦態勢を解いて居住まいを正した。


「なんだ? まだ日も高いってのに取り込み中か? 暇な奴らだな」


「そんな訳ないじゃないですか、ガレス隊長。俺達仲良くやってますよ、いざこざなんてとんでもない」


 実は警邏隊がすぐそばまで迫っていたのだ。理由は考えるまでもなく共に解決した奴隷達の件だろう。


「あなたが代表者だな? 悪いが当事者達と話をさせて欲しい」


 俺がセリカ経由で各所の人物を動かした事を知っているのか、横柄な印象を持つ警邏隊にしては礼節を持った話しかただった。俺の正体を掴みかねて、とりあえず低姿勢でいくつもりなのだろう。もし変装した貴族に普段の言葉で話せば後々問題になるからな。王都の警邏だ、そこいらへんの機微は他のどこよりもあるだろう。


「彼らの境遇を考えれば日を置いてほしいと思うのですが……そちらにも立場があるでしょう。ご案内します」


「忝い。こちらも動いた以上は報告を上げねばならんのです。配慮に感謝します」


 隊長とその他数人を連れて仕切りの中に入ろうとすると、背後のディンから声がかかる。


「あんたらが消えるまで監視するからな」


「好きにしろよ。俺は戻るぞ」


「あ、おい!」


 背後の声を無視して戻る。これ以上子供の遊びに付き合う義理はない。


 隊長達と話すのは先程助け出した男達でいいだろう。獣人は秘匿事項だし、女達には酷だろう。俺と話した仕事のできそうな男ならば上手く対応してくれるだろう。

 あとは警邏たちにメシでも食わせて退場願えばよい。権力側とはこれからも持ちつ持たれつでやっていかないとな。


「頭、お手数をお掛けしやした。それと結局トラブっちまいましてすいやせん」


「別にいいさ。お前達も引けなかっただろうしな。警邏にお帰り願ったら俺らも撤収するぞ。今のうちに外の連中になんか食わせとけよ」

 

「ありがとうございます。手下も喜びます」


 二人は礼を言って離れていった。すぐに周囲の手下に指示を出し始める。




 さて、玲二と雪音は如月に説明を終えただろうか。あの二人は本当に考えたのか? とこっちが危うさを感じるほどに即決だったが、冷静な大人の印象がある如月はよく考えて結論を出すだろう。別にいま答えを出す必要はないのだ。

 なかなか激動の日々だったと思うから、ここでゆっくり考える時間も必要かもな。


「ん!」


 途中で俺を探していたらしきイリシャに捕まって共に三人のいる馬車に戻った。イリシャは何かと俺につかまりたがるので、いまは俺の腕の中だ。

 しかしこの娘、本当に軽いな。しっかりと抱きしめておかないと儚く消え失せそうな気分を抱かせる。


 やはり疲れていたのかすぐに寝息を立ててしまったイリシャと共に馬車に戻ると、既に大事な話は終わったようで、三人は日本語で談笑していた。


<話はもういいのか?>


 玲二と雪音は答えずにそのまま如月を見る。視線を受けた彼は俺の方に向いて、しっかりとした声で己の判断を口にする。


<今すぐにどう、と言う話でもないんだ。とりあえずはゆっくり考えて……>


<もしよければ君の厄介になりたい。こんな体だが、役に立てる事があると思う。この世界に来た時に貰ったユニークスキルも君の力を借りれば有効に活用できそうだからね>


<そうか! 大歓迎だ!! 楽しくやろうぜ。だが、一度だけ聞かせてくれ。仲間入りをこの二人に強要されてないよな?>


<おいおい、俺達を信じてないのかよ!? 別に変なことを言った訳じゃないぞ。俺達がこれまで体験した事を話しただけだって。嘘ついたってそのうち如月さんからバレるだろーに>


<そうですよ、ユウキさんと共に行くと楽しいですよと事実を告げただけです>


 心外だ、と怒る二人を宥めると、俺は如月に改めて向き直った。俺達の仲間になるのなら、これはやっとくべきだろう。


<それじゃあ、これからよろしく>


 と、手を差し伸べる。この意味を二人が伝えていたとは思えないが、まあ人生には驚きに満ちているものだからな。


<あ、ああ、こちらこそ……っつ、熱っ!!>


 俺の手を介して<共有>が発動し、恐らくなんらかのスキルが効果を発揮したのだ。その力をもってすれば()()()()容易いことだ。



<足が焼けるようだ。ッ! 足が!? これまでどんなことをしてもなんの反応も感じられなかったのに!」


<ようこそ、異世界(アセリア)へ。この世界の不可思議な力は俺達の常識の外側にあるぜ。せっかく来たんだ、この異世界を存分に楽しもうじゃないか。これは俺からの贈り物だ>


<あ、足が! 足が動く! こ、こんなことがあるなんて!!>


 知らずに涙を流している如月は、自分の足を何度も叩いている。痛い筈だが、その痛みさえ嬉しいのだろう。


<足の筋肉が戻ればすぐに歩けるようになるはずだ。まずは慌てずにゆっくりと……っておい!>


 人の話を聞かず立ち上がった如月はすぐに体勢を崩して倒れ込んだ。そりゃあアレだけ細った足じゃそうなるだろう。だが、その泣き笑いの顔は喜色に溢れている。


<あ、歩いたんだ、いま僕は歩いたんだ! もう一生無理だと諦めていたのに。彼女と共に永遠に失ったと思ったものが還ってきたんだ>


「しょうがねえなぁ」


 多分俺も今の玲二と同じ顔をしていたはずだ。二人で如月に肩を貸してやり、歩行の補助をしてやる。

 おとなしい印象を受けた如月だが、不具になった足が甦ったことによる興奮で、別人のようにはしゃいでいた。

 だが、もし自分が同じ目に遭えば同じことをしないとは思えないから、いまは好きにさせてやろう。


 馬車を降りて裸足のままでしばらく歩き続けるとようやく満足したようだ。素足で地面を歩くと痛いはずだがそれも込みで喜びらしい。



 今迄の興奮振りから我に返ったように大人しくなった如月は俺達に何度も礼を言って馬車に戻った。


 先程周囲を確認したら、囚われた人々は大分落ち着いたようだ。そろそろ後片付けをして移動してもよい頃たな。


<ほ、本当に有り難う。年甲斐もなく興奮してしまったよ。この中じゃ一番年上なのに>


<いや、年上なのはユウキだぜ。こう見えて中身爺さんだからな、一番訳有りなのはコイツだよ。だってどう見ても現地人なのに日本語ペラペラだからな>


<そこら辺もおいおいな。今は落ち着ける場所へ動こう。男女共に仮の宿を用意している。もちろん如月は仲間だから俺達と同じ宿に向かうけどな>


<異世界の初宿は王族御用達の最高級ホテルかぁ。いや、確かに場末はホント地獄だから日本人にはキツイか>


 とりあえず移動を、と動き出した俺達を如月の声が阻んだ。


<ここまでしてもらったんだ、僕のユニークも知っておいてほしい。日本人なら絶対に有効に使える能力のはずなんだ>


<悪いけど、助け出す際に<鑑定>させてもらった。<ワームホール>だったか?>


 俺の言葉に彼は<鑑定>があるのかと驚いていたが、すでに<共有>によって彼自身も使えるようになっていることは今言わなくてもいいか、面倒だし。


<その様子だと能力までは見てないんだね>


 如月は少し自慢気な顔になって続けた。


<僕の<ワームホール>は日本と繋がっているんだ>







楽しんで頂ければ幸いです。


大変遅くなりましたて申し訳ありません。まさか10日もかかるとは。これぞ年末進行の恐ろしさか。


新たなユニーク保持者の登場で物語はさらにハチャメチャになっていくかと思われます。

ですが、このスキルもレベル制なので現状ではあまり役に立ちません。ですがとあることには使えます。その話を次にする予定です。


できれば早い内に……年末さえなければ時間が取れるのですがががが。


最後にいつもの感謝です。

読んでくださった方、評価、ブクマ全ての方に感謝申し上げます。

あなた方が私のエネルギーです。本当にありがとうございます。

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