表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

126/418

仄暗い闇の中から 7

お待たせしております。




 26層の攻略は今日で通算4回目になる。ここはダンジョンの構造としては至って普通、とある点を除けば特色がなくて逆に怪しむほどだ。

 6層から10層までが暗闇、16層から20層までが環境層とそれぞれ特徴的な階層だったことから拍子抜け感は強い。


 罠そのものは21層から続いているのであるにはあるのだが、新たに追加されたものはないのでこれまで通りの対応で切り抜けられた。この層の難易度としての評価は平均以下と言ったところか。


「これで7つ目だ。中身は……やはり出なかったか」


 俺はこの26層でとあることを確かめるために全ての宝箱を回収していた。階段の位置は毎日変わる点はいつもと同じだが、最近は回数をこなしてきたこともあってある程度の法則がわかってきたような気がする。

 恐らく長い時間をかけてこのダンジョンに潜っている熟練冒険者たちは、この情報を更に精査して独自の法則を見つけていてもおかしくない。だからこそ<マップ>もなしにこの最高難易度のダンジョンに潜っていられるのだと思う。


「今日はこれで全部みたいだね。やっぱりないのかな」


「階層主も一度も落とさなかったからな。4回続けて()()なんだ、帰還石は出ないと考えていいだろう」


「はぁー、めんどくさっ! このダンジョンの製作者、絶対根性悪いよ。普通こういうギミック作るかね? 下手をすればここから出れないじゃん!」


 ユウナによれば高難易度ダンジョンにはこのような『退路を絶つ』系はあるにはあるそうだが、まだ中層に差し掛かったばかりと言っていいはずの26層で出るのは珍しいそうだ。

 だが、侵入者を排除するのが罠の本来の目的ならこれはこれで正しい気はするが……いや、納得している場合じゃない、冒険者として地上へ帰れなくなるのは大いに困る。


「しかし、まさか降りてきた階段が無くなるとはな」


 王都のダンジョンで喰らったあの罠がここでもあったのだ。あのときはどんな攻撃も無効化する無茶苦茶なゴーレムがいたものの、あれを排除すればその先に下に続く階段はあった。

 それと同じことがここでも起きていた。あのときと違うのは、敵が団体さんで大量に訪れるのと、下の27層に降りてもまた26層に続く上り階段が消えてなくなることだった。


 この不可思議な状況を解明したい気持ちはある。例えば複数人で降りてみて、一人が降りている間にもう一人が上がったら階段はどうなるのかなど、やれることは色々あると思うのだが相棒と二人で行動している状況では試せる事などない。玲二たちを連れてくるのは不安があるし、不測の事態が起きかねない。他人を使った実験は他の冒険者がやってほしいものだ。


 俺たちとしては与えられた状況を受け入れた上で、その中で最善を尽くすしかないわけだ。



 現状を整理しよう。

 26層に帰還石は存在しない。階層主も落とさなかった。25層へ戻らせない為か、この先の層も上へ向かう階段は降りたら消える仕様だった。

 帰還の選択肢としては、恐らく30層のボスを倒し、あるであろう転送門を使って戻るか、これまでの道中で入手した帰還石を使用して戻るかの2択だけとなっている。


 ということは、あの嫌がらせ階層にしか出ない帰還石の価値はさらに跳ね上がったことになるな。

 そう考えるとだからこそあの面倒臭い階層に最重要アイテムが配置されているのだなと理解できるが……。


 25層の下り階段の近くに転送門があるのも、25層にだけ宝箱の中に帰還石がないのもそのせいだな。明らかに簡単には手に入らないように調整して配置しているな。


 ああ、言い忘れたが25層の砂の滝の回りに宝箱が集中している事は既に述べたが、(多分流砂で宝箱が落ちてきてあるのだと思う)その中に火鼠の衣と言う魔導具扱いの装身具がある。

 その効果は完全な火炎遮断能力に装備者の火魔法の威力を1割上げるという、完全に24層用のお助けアイテムだった。

 これやあの風切りの刃をうまく使って帰還石を効率よく取ってねという製作者の意図がありありと見えるようだ。


 俺は自身のスキルとステータスで無理矢理乗り切ったようなものだから、21層からの嫌がらせ階層は普通に攻略するなら相当の被害が出ることを覚悟すべきだろう。特に蜘蛛の巣で身動きが取れなくなる22層と火魔法ですぐに爆発する24層は初見殺しに過ぎる。


 そのために専用アイテムを用意したと言わんばかりだが、どのみち置かれている位置が位置なのであまり意味はない。

 結局は一度真正面から突破しなくてはならない事に変わりはない場所にあるのだから。



 つまり、俺とあの嫌がらせ階層の縁はしばらく切れそうにないと言うことだ。こんなことになるならばギルドに納品などせず、自分で帰還石を溜め込んでおくべきだった。

 現在は仕方ないので21層の階層主を真っ先に狙って倒し、近くにある宝箱だけを開けて帰還石があれば良し、無ければ諦めるという方法で挑んでいる。


 この話をギルドにしたときはもう少し帰還石を、との意見もあったのだが丁重に断った。何故ならば26層への探索を最優先にしたからである。


 他の冒険者たちの生存率向上に繋がる帰還石が限られた階層だけしかでないことを知ったギルドは内部で俺に正式な依頼の形を取って帰還石の納品をさせるべきだと言う話もあったらしい。

 

 一応ギルド専属冒険者の肩書きを持つ俺は、かなりの強制力をもつその依頼を断れない立場に居たようだが、それでも断った。ユウナとジェイクが手を回してくれたようだし、なぜ俺が26層を優先したか知っているからだ。



 26層は非常に美味しい階層だったのだ。

 

 何しろ敵が純金を落とすのだ。しかも敵は同一種と見られるゴールドマンとシルバーマンという人形の二種類だがその金銀の体の色が示す通り、銀塊と金塊を落とすのだった。


 銀塊のほうはかなりの大きさだが、価値としては金貨5枚分になる。


 そして金色の方は一つで金貨10枚分の価値の小さな金塊を落とすと来た。

 金額で見ると前の階層のほうが単価としては高いものが多いが、この二つをかなりの高確率でボロボロ落とすのだ。その他に通常通りに魔石も落とすと来た。


 つまり、死ぬほど儲かるのだ。


 昨日などはついに一日の収益が遂に金貨4000枚の大台を大きく超越え、4600枚に達したのだ。もっと粘れば5000枚も越える日も遠くない。

 この圧倒的戦果の前では帰還石など後回しだ後回し、となってしまっても仕方ないだろう。


 それと、21層からこれまでの宝箱には必ず一つは帰還石が入っていたが、この層では違うアイテムになっていた。

 エーテリオンなる”広範囲”魔力回復剤である。それもお得な三個入りだった。<鑑定>によるとこの液体を用いてとある魔方陣を描くと、一定時間中は魔方陣内部の人間の魔力が回復し続けるという。

 凄すぎて真偽が怪しかったので、セラ先生の所に持ち込んだら先生はこのエーテリオンの経験者らしく、本物だと判明した。


 なんでも文献ではとある戦争中の国が疲弊した魔法隊の回復の為に使用し、魔力切れ寸前の彼等を一瞬にして回復させたとかなんとか。


 嘘が許されない神殿の文献だそうだが、それでも半信半疑だった俺はアイテム創造をして魔力の枯渇しかけた玲二、雪音、レイアと共に試してみることにした。


 結果は、大成功だった。元々のスキルで魔力の回復は早いが、それでも一瞬にして全回復とはならないからだ。

 皆は今のうちに作りたい品物の魔力充填を行おうと取り組んでいて、忙しそうにしている。


 これは雪音のスキルレベルが4に上がり、同時に2個の作成が可能になったからだ。これにより作成の幅が広がり、長時間かかる物を作りながら簡単に出来る品を作る事が出来るようになったのだ。


 結局この魔方陣の効果時間は半日近くにも及んだ。



 このエーテリオンをセラ先生が欲しがるかと思ったのだが、あまり興味はないらしい。確かに広範囲で魔力を回復するアイテムを彼女がどのように使用するのか疑問ではある。

 

 これは騎士団やギルドなど、魔力持ちが大量に所属している場所で真価を発揮するアイテムだな。スキルでの買い取りは金貨5枚だが、ギルドに持ち込んだら金貨20枚で買い取ると言い出した。

 あちらの言い分はウィスカの冒険者ならマナポーション20本分以上の価値を認めるはずだ、と言うことだ。

 考えてみればこのダンジョン内で冒険者たちがやっているように、挟撃を受けない場所に拠点を構えて腰を据えてモンスターを狩り出すようにすれば、半日魔力が回復する魔方陣の中から魔法が撃ち放題なのだ。魔法職が数人でやればマナポーションぶんの金額はすぐに稼げるだろう。


 他の宝箱は様々な宝石が入っており、まさに26層は嫌がらせ層を突破した者へのご褒美とばかりの大盤振る舞いだった。

 階層主は巨大なゴールドマンで、どでかい金塊を落とす。これは金貨80枚の価値だった。その代わりに帰還石を落とさないのは先に述べたとおりだ。



 27層も足を運んでみたのだが、ここほど稼げないのであまり先に進む気が湧かなかった事もある。一度降りたら階段が消えるので戻れないし、余計な探索をするくらいならここで金塊と宝石を手に入れていた方がよほど良い。

 こんな考えもこれ以上の侵攻を阻むダンジョン製作者の思うツボなんだろうなあ、と思いつつ今はその手のひらで踊ってやろうじゃないか。



 ここの敵は既に述べた通り、金銀の人形だ。比率は4対6程でかなり金色が混じっており、だからこその収益となっている。

 もちろん26層に相応しく彼等は強い。いや、単品としての強さはこれまでのなかで最強ではないかと思う。彼等はただ単純に堅く、強い。俺と変わらぬ程度の大きさと見かけながら武器も戦術もなしに暴れる。恐らくこれだけでデスハウンドの集団だって捻り潰せると思うほどだ。

 俺は彼等の名誉のために正直に証言する。例え今では俺に金銀を献上するために向かってきている状態とはいえ強いのものは強いのだ。

 今も25体の集団が、俺の魔法の嵐の前に沈んでしまって、全く強さが実感できなくても強いはずなのだ。何せ全身が武器であり防具であるようなものだからな。


 ゴロゴロと転がっているドロップアイテムを回収しながら俺は進む。数はもちろん銀塊の方が多いが、いまはこの銀の方が喜ばれるというから世の中分からないものだ。




 実は今この国、いやこの大陸の全ての国は慢性的な銀不足に陥っているらしいのだ。

 この前酒に酔ったセリカが口を滑らせたのだが、原因は新大陸との交易よる不均衡が銀の流出を招いているようだ。


 俺でも分かる理屈だが、銀の不足は絶対にまずい。

 銀は庶民生活に直結する貨幣だからだ。世の中に流通する硬貨は銀貨が一番多いし、商人でもない平民が最も生活で使用するのが銀貨だからである。

 銀貨が無ければ銅貨で支払えば良いというものではない。それはそれで銅貨が足りなくなるだけの話だし、銅貨を数十枚使って普段の買い物をするのは面倒くさすぎるし、商売をする側も嫌だろう。

 金貨だって同じことだ。元より生活において金貨に縁がない者が大多数なのだ。田舎の寒村では一生お目にかかる機会がない、なんて話もある。俺の実体験であるが。


 このままこの問題を放置すれば国に銀貨が出回らず、品物があっても銀貨がなくて買えないという事態になりかねない。

 この状態が続けばまともな経済活動が行われず、民の間で銀の価値が跳ね上がる信用不安が起きる可能性さえあった。

 これが金貨ならそこまでの問題は起きなかった。

 国や大商人がたんまり溜め込んでいる金貨を放出すれば良い。だが、銀貨ではそうはいかない。どんな金持ちもわざわざ銀貨で溜め込んでいる奴などいないからな。



 根本的な原因は新大陸の増大した人口に対して銀貨が充分に賄いきれないせいで、一方的にこちらから流出しているようだ。交易の大半は金貨で賄うが当然銀貨も使われる。その銀貨がたいしてこちらに返って来ない状況らしい。

 新大陸に金山は見つかっているが、銀山は今の所小規模なものしかなくて、ほとんど開発が進んでいない状態のようだ。採算が取れなければどんな必要だとしても商業化は無理だからな。必要な銀を得るために赤字を垂れ流しては本末転倒だ。

 下手をすると銀貨一枚の価値が銀貨分を越えかねないという笑い話のような未来が訪れる可能性もあったという。

 素材そのものに価値がある金貨系はそこに落とし穴があるのは知られた話だそうだが、紙幣を導入するほど製紙技術が進んでいないから無理だった。未だに羊皮紙が現役の世界で紙幣は無理がありすぎる。国家の”信用”が価値を保障する紙幣は国が簡単に興亡するこの世界ではまだ早すぎる気もするしな。



 金貨と銀貨における1枚の価値の乖離も大きな問題だと思う。金貨1枚が銀貨200枚と同価値というのはどうにも差がありすぎる。だから大量に銀貨が必要になっているわけだ。

 玲二たちが知る異世界の金銀との価値の違いもあるが、これはこの世界が決めたことなので仕方ない所だ。



 この世界のお偉いさんたちも新大陸との交易が増大すればいずれこうなることは解っていたようで、無策で手をこまねいた訳ではないようだ。


 大銀貨などもその対応策の一環で、銀の使用量を減らしながら通貨としての利便性を上げる一石二鳥の試みだったようだが、前にも触れた通り不正や偽造が横行し作っては立ち消えるを繰り返してきた歴史がある。


 それでも今回の大銀貨は商業ギルドが威信を懸けて取り組んだだけに相当に自信作のようで、毎日猛烈な勢いで作っているのかウィスカでも数多く出回り始めている。

 セリカの話では()()()()()大量の触媒と魔石を毎日のように持ち込んだ奴がいるようで、懸案だった魔法使いの枯渇が触媒と魔導具の仕様変更により解消されたかららしい。何処かで聞いたような話である。



 もっともこの成功で味を占めたのか、新たに中銀貨なるものも研究されているようだ。何処の店も大量の銀貨と銅貨で店を回しているから、銀貨5枚分の価値を持つ中銀貨はこれも重宝されるだろう。こちらも早く実現を願いたいものである。

 とにかくこの銀不足のなかで俺が大量の純銀を手に入れた事は、この世界のお偉いさん達には福音だったようだ。銀が枯渇しかかっているなかでこの量(一日で1トン以上あるのだ)を流せば、必ず商人たちは反応する。それをうまく舵取り出来れば、世界経済を思いのままに動かせるのではないかとセリカは夢想しているようだが、果たしてそううまく行くものなのか。




「はい、今日はおしま~い! 帰りまーす!」


 俺は無心になって金銀の(お宝)をバンバン倒し続けていたのだが、不意にリリィからのお知らせが入る。ついつい熱中しすぎて自分で決めた帰還する時間を越えて敵を狩る事が多かった。

 なので相棒に時間が来たら教えてもらうようにお願いしていたのだ。

 そう、お願いしていたのだが……。


「あ、あと5寸(分)だけ」


「ダーメ!! 昨日もそう言って結局半刻(30分)いたじゃん。今日はちゃんと帰ります!」


「いやだがな……予定していたポーションもまだ手にしてしないし、触媒だってまだ……」


「それを全部無視して26層にずっと居たのはユウでしょ。こういうのは諦めが肝心なの」


 これも26層の巧妙な罠の部分かもしれない。これまでは倒した相手やら宝箱から攻略の助けになるようなポーションやマナポーション、触媒などが手に入ってきた。

 大量に入手したそれらを売ることで現金や借金返済に当ててきたわけだが、全てを売却はせず手元に残して様々な場所で使ってきている。

 

 だが、ここで落ちるのは換金以外用途のない金銀である。宝箱は宝石類だからこれも宝飾品にする以外は売るしか能がないアイテムである。その能が有能すぎて困るくらいなのだが。


 根性の悪いこのダンジョン製作者はここで今まで溜め込んできたアイテムを一気に消費させるつもりなのかもしれない。

 大量に持ち込んでも価値の落ちることのない金銀を餌にしてこの階層におびき寄せ、回復薬を浪費させる。本来ならば上に戻る階段が消えて慎重になっているはずの冒険者たちの、この先への備蓄として残しておくはずだったアイテムさえ使わせるつもりではないかと思うのだ。無論、俺の思い込みかもしれないが。


 それほどにここの層は美味しいからな。あれだけ安全に気を付けていた俺をして、疲労の影響を考慮せず延長戦を考える位なのだから。


 特に今のポーションの少なさは深刻だった。王都で大掃除をした際にミリアさんの手下達に保険としてそれぞれ2個ずつポーションを渡していたのだが、未だ返却されていないのだ。


 本当は褒賞金と交換でポーションを回収する手筈でいたのだが、なんの手違いでもあったのかリノアから金を渡す流れになったので回収に立ち会えなかった。頭から直々渡すのは解らないでもないが、そのせいもあってそのままになっていたのだ。


 今では向こうから積極的に声をかけてくるほど親しくはなれたが、逆に”貸しただけだから返せ”とは何となく言い出しづらくなってしまい、もうくれてやっても良いかもと思っている。



 そんなわけで手持ちのポーションが50個程になっているのだ。充分じゃないかと思われる人もいるかもしれないが、俺は元の数になるまでポーションを集めるつもりだった。


 ポーションをセラ先生の所で買うのはもう無理だ。あの人の商売は『取れる奴からふんだくる』というもので、出来の悪いポーションでも金貨1枚を請求されたからだ。


 金持ってるんだからケチケチするなと言われても、こちらは立派な借金持ちである。銀貨5枚程度の品を金貨で買う義理はない。既に回復薬はダンジョンで手に入れることが習慣になっているからタダで手に入るものを何故買う必要があるのか、という考えになっていることも大きいな。


「もうしょうがないから<調合>すれば? せっかくスキルはあるんだからさ、レイアに作ってもらう手もあるしね」


「レイアはさすがに巻き込めないな。あいつ今マナポーションと上級ライフポーション毎日作成しているんだぞ、単価が数百分の一の品を量産してくれとは言えないぜ。休みの日にでも俺がやってみるさ。薬瓶はハチミツのが大量に余っているしな」


 幸い材料は手元にあるし、調合器具はセラ先生の所以外にも実は有料だが冒険者ギルドにあったりするのでそれを借りるつもりだ。薬草が足らなかったらギルドで依頼を出してもいい訳だしな。


「じゃあギルドへ行こうよ。元々今日は呼ばれてたんでしょ?」


 リリィの言うとおり、俺はギルドから呼び出しを受けていたのだ。昨日の内にユウナから『暇を見つけて』顔を出してくれと話は聞いていたのだが、このようにわざと話したユウナもギルドマスターのジェイクも全く乗り気でないようで、暗に無理して来るなと言わんばかりの口調だった。


 最近はユウナがギルドとの繋ぎはおろか換金までやってくれていたのであまり出向いていなかったのだが、そこまで言われると逆に気になるので顔を出してみようと思ったのだ。


「じゃあ、アレを倒したら帰ろう」


 新たに襲い来る敵集団を指差した俺をリリィはため息をついて同意した。


「これが終わったらホントに帰るからね。私が石使うからね!」


 歩く金貨たちを見据えた俺は、本日最後の一稼ぎを行うべく土属性の魔法を打ち出した。



 


楽しんで頂ければ幸いです。

まさかこの程度の量に4日もかけるとは思いませんでした。半分は寝オチしたせいです。


この話想定量では王都編並みなので次で一旦切ります。そこからまた話を続けます。

次は短いので時間をかけずに上げられる(フラグ)です。


いつもの謝辞になりますが、閲覧、ブックマーク、評価、誤字脱字全てありがたく感謝しております。皆様のアクションが私の行動力の源泉になっておりますので、これからもどうぞよろしくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ