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世界最強になった俺、史上最強の敵(借金)に戦いを挑む!~ジャブジャブ稼いで借金返済!~  作者: リキッド


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仄暗い闇の中から 6

お待たせしております。



 あれから暫くの時が流れた。


 俺はダンジョン探索に精を出し、ギルドから依頼された帰還石を既に百個ほど納品してとりあえずこれ以上は必要ないとの返事を得ている。

 ギルドがこれをいくらで販売するか知らないが、帰還石はスキルだと買い取り額が雀の涙ほどしかない(ウィスカのダンジョンでしか使えないのだから当然ではある)のでギルドで売り買いしてもらった方が良いアイテムだし、ここなら値は天井知らずだろうから期待している。

 何しろここに集う冒険者たちは皆金持ちだし、いざという時の安全が金で買えるという意味を知り抜いているからだ。



 俺の仲間である玲二と雪音の二人も自分の人生を有意義にすべく、己のやりたいことを邁進中だ。


 玲二は最近師匠であるハンク爺さんの味が皆に受け容れられないのが不満のようで、見返してやる! と息巻いている。

 何でも屋台を市場に出して商売をするんだとか。そのために商人ギルドに申請を出したりと準備に忙しく、俺も探索が終った後は駆り出されたりして手伝っている。


 俺や当の本人であるハンク爺さんはその辺の事情が解っているので半ば諦め顔なのだが、それでも玲二が積極的に動いてくれるのは嬉しいようだ。玲二の影響なのか、爺さんも婆さんも少し若返って見えるから人間とはやはり張り合いの生き物なのだなと思う。


 恐らく失敗するだろうが、玲二にはこれも良い経験になるだろうから俺も見守っている感じだ。



 雪音の方はセリカと組んで本格的に動き始めている。玲二のユニークスキルのレベルが上がった事により、創造可能な品物が大きく広がったのだ。今の玲二のスキルレベルは3まで上がり、ステータスは8倍にまで上がっている。この順で行くとこの次のレベルでは16倍になるのだろうか……。雪音の野望はとどまる事を知らないようだ。

 今は”スキンケア”なる奇っ怪かつ深遠極まりない世界の扉が開いたとかなんとか。


 そのスキンケアとやらをセリカが知り合いの有閑マダム達に”ここだけの話”として広めているようだが、凄まじい反響が来ているようだ。

 いつでもどこでも『貴方だけに特別にお教えします』という魔法の言葉に弱い人は多い。


 セリカ達は顧客をガッツリ掴んだ後で店舗を構える計算のようで、その手堅い商売方法はとても人生20年も生きていないとは思えない老練さだった。


 だが、そろそろセリカとも奴隷を買いに行かねばならないな。人員を揃えるのが店を構える直前というわけにはいかないし、慣れるまではある程度時間を見るべきだろう。

 今はお互いの暇な日を探している状態だが、本当に急がなくてはならないな。


 クロイス卿の資金稼ぎもあれから三度程行い、どんなに高くついても高級奴隷を10人は集められる額を用意した。俺としては双方に恨まれないよう同時に奴隷を買いにいきたい所である。

 金はセリカの方があるが(元は俺の金だが)ツテはクロイス卿の方があるだろう。仲良くやってほしいものだ。




 俺個人の状況としては只今第26層を攻略中だ。21層からの通称”嫌がらせ階層”はなんとか25層で終わってくれた。だが本当に最後まで梃子摺らせてくれた。よくダンジョンを作ったのは神だと言われるそうだが、その神は絶対に性格がネジ曲がっている。


 21層から順に増援地獄、蜘蛛の巣地獄ときて足下不注意だ。そろそろこちらもだいぶ心の準備ができてきたところで、次なる地獄がやってきたのだ。


 24層は乳白色の濃霧が支配する空間だった。深い霧のせいで視界は全く効かず、5メトル先さえ満足に見通せない。<マップ>がなければ手探りで進む羽目になっただろう。


 これと似たような第6層はこちらも視界の効かない暗闇だったが、難易度はこちらが上だ。敵を引き寄せるとはいえ、明かりをつければなんとかなる暗闇と違い、この濃霧はダンジョンの中のものなので風を巻き起こしても霧が晴れることはないのだ。


 さらにこの濃霧(ガス)、無臭にして可燃性である。落ち着いて考えればちゃんと<鑑定>してみるべきだったのだが、はじめてやらかした時は本当に死ぬかと思った。<結界>で阻まれて無傷だったものの、<マップ>でモンスターを確認して火魔法を発動した瞬間に自分が爆発するのは間違いなく寿命が縮む。次は解っていても二度とやりたくない。


 そのくせここで現れるモンスターは水や氷属性で固められているという、どないせいって言うんじゃあ!! と叫んだ俺を誰も責めないと思う敵配置である。


だが、玲二曰く”レベルを上げて物理で殴ればいい”という、人間の知性を全力で投げ捨てているかのような攻略法を聞いて、そのまま実行する羽目になった。


 流石にアイスブランドを敵に叩きつけるような方法は取っていないが、玲二のユニークスキルにより俺の魔力も跳ね上がっているので、超強化された<ストーンブラスト>で遠距離にて始末している。



 24層のモンスターは非常に硬い氷の塊であるフリーズロックと吹雪を吐いてくるフロストドッグの二種類だ。

 ドロップアイテムは当然氷属性に偏っていて、特にフリーズロックが落とす氷雪岩と呼ばれるアイテムは隣国ライカールにある炎熱の回廊と呼ばれるダンジョンのとある箇所を攻略するのに必須のアイテムとなり、金貨10枚で買い取ってもらえた。スキルの方の買い取りは金貨5枚だったので売るならギルドが向いている。


 レアアイテムは氷魔法の発動体である護符だった。氷属性は四大属性の一つである水の眷属だが、より攻撃的であり好む魔法使いは多い。このアイテムは即座に魔法が発動する上、使い終わればまた魔法を込められる逸品だった。宝珠と同じ使い方ができる金貨16枚の価値がある品物だ。


 フロストドッグの方は火魔法をほぼ無効化する毛皮と、レアアイテムが使い捨てのスクロールだ。もちろん氷属性の魔法攻撃である。毛皮の価値は金貨6枚だ。


 スクロールは使い捨てだが魔力を持たない人間にも扱えるアイテムだ。非常に高価だが、いざというときの攻撃手段として金の余裕のある高ランク冒険者なら誰でも持っているものだ。これはかなり上級なスクロールなので金貨15枚だ。宝珠は発動する時に魔力が要るので誰でも使えるというわけではなく、そこは住み分けができている。



 魔石はここも5等級だった。価値は高いのだが、上の階層と同じなので苦労の割りに……という印象が強い。

 更に、24層の特異さが拍車をかけている。この層、敵の湧く量が普通なのだ。大量に現れる敵を倒し続ける事によって大きな収入を得ている俺にとっては不本意極まりない。ガスを満遍なく行き渡らせる為なのか、これまでの層に比べ道が狭く敵も数体しか出てこないのだ。俺にとっては全く物足りない残念な層である。


 階層主はフリーズロックのデカい奴だが、本当にただ大きいだけの相手だった。本来は堅牢な防御力を誇る難敵のようだが、俺の魔法一発で大穴が開いて終了だ。帰還石と氷精の雫と呼ばれる宝石を落とすが、救いがあるとすればこの宝石が金貨40枚の価値がある事くらいだな。


 そして、前にも少し触れたが、この24層では風切りの刃なる魔導具が毎日必ず一つどこかの宝箱に入っている。この魔導具は攻撃としては非常に弱い。威力としては柔な皮鎧も切り裂けないと思われ、24層で出るアイテムとしては物足りないものを感じる。

 だが、このアイテムは何故かデーモンスパイダーの糸を容易く切り裂くのである。

 剣や斧で切ろうとすると絡み付いてとれなくなり、耐熱性と高い魔法防御力を備えたデーモンスパイダーの糸をである。


 明らかにこれを使って22層を簡単に攻略しろといわんばかりのアイテムだ。

 別に神でもなんでもいいが、このダンジョンの構成を考えた奴がいるのは俺の中でもう確定事項だった。


 スキルでの買い取りはわずか金貨3枚だが、ギルドに持ち込めば高く買い取ってくれるだろう。

 だが、現状でこのダンジョンに挑んでいるのは20パーティもないのだ。必要とする個数も少ないだろうからある程度が売れたら十分と考えるべきかもしれない。



 個人的には不作な24層を越えると、そこは広大な空間だった。恐らく環境層のように一面全てぶち抜きの層だと<マップ>で判明したが、問題はそこではなかった。


 25層は薄闇の砂漠地帯であった。砂に足がとられるがそんなことは些細なことだ。


 この層にいる敵は足元にいるただの一匹である。


 ここは超巨大サンドワームの巣だった。全長何千メトルなのか想像もできないほどの巨体が砂の海を縦横無尽に泳ぎ回りながら俺を昼メシにせんと大きな口を全開にして襲いかかってきた。


 結果は、まあうん、サンドワーム君も頑張ったんじゃないかな。格好いい出現方法だし、何度見ても勇壮な巨体だし。だが、弱点である頭から俺に突っ込んでくるのだ。そこに魔法を合わせるのは簡単というか、向こうからわざわざ当たりにやってくるというか……まあ、そんな感じだ。


 ドロップアイテムはまさかのマジックバッグと4等級の魔石だった。19層のモモンガムササビといい、袋持ちとデカい奴はマジックバッグを落とす法則にしているのだろうか。ほぼ確定で落とすので有難い収入になる。

 最近とある事情でマジックバックを大量にダメにしてしまったから良い補充になった。

 俺が使用済みの()()()()()マジックバックをスキルのほうに納品しようとしたら、そんなもの買い取れないとセリカに強く拒否されたのだ。こういうとき向こうの顔が見れるのは不便である。素知らぬ顔で押し付けられないというとは面倒だが、俺が彼女の側でも合計400以上のアレが入っていたマジックバッグを買い取りはしなかっただろう。


 ちなみに例の燃えるゴミは最適な死体処理場(ダンジョン)があるので、そこを利用している。なにしろ一日も経てばその痕跡さえ綺麗さっぱり吸収されているのだ。便利な処分場と化していた。

 それと、生ゴミの諸君は所持金として金貨20枚近い資金を持っていた。相当数のゴミが集まればまさに塵も積もれば、である。

 俺は奴らで金を稼ぐと同類になってしまうのが嫌だったので、新たな組織の構成員となったザインたちで分配するようにと渡してある。




 ある意味で中ボス的立ち位置のサンドワーム君はすぐに退場してもらったが、ここからが問題だった。

 俺はこの25層で実に10日以上足止めを食っていたのだ。


 なにしろ下に降りる階段が見当たらないのである。いつもの通り<魔力操作>で階段を探るも、全く見つからないのだ。

 まさか25層が最奥ではないだろうと思いつつも階段を捜すが、見渡す限りの砂地が広がるばかりである。


 まさか砂に埋まっているのではと思い捜そうにも、いつもこの層に来る頃には21層から全ての宝箱を開けて降りてきているので時間的に帰る時間になっており、捜索に時間をかけることなく手に入れた帰還石で帰る日々を繰り返してしまっていた。


 だが、とりあえずの提出量を越えたこともあり、他の層の探索時間を減らすことで25層に割ける時間が増えたことで気づいたことがあった。


 この砂地は中央部分が微妙にへこんでおり、その下は蟻地獄ように更に地下空間があるのだ。


 流石の俺もこの中に飛び込むのは逡巡した。蟻地獄の下は何故か<魔力操作>を受け付けなかったので、逆にそれが信憑性を与えてくれたものの、飛び込んで確かめようという気は起きなかった。


 それでも先に進みようが無い事は解っていたのでなんとかするしかない。考えた末<結界>を重ね掛けして、雪音に酸素ボンベなる水中でも呼吸できるアイテムを作ってもらってなんとか準備を整えた。 

 この時は彼等のユニークスキルに初めて感謝した。


 息を止めて砂に飲まれて地下に落ちると言うのはある意味自殺だからな。俺もこれならなんとかなるという自信がなければやろうとは思わない。


 砂に呑まれて移動した時間は恐らく5寸(5分)ほどだろうか。相棒は共に行くと聞かなかったが、最悪の状況を考えると二手に別れた方が、多くの打開策を取れる可能性があるので砂地で留守番してもらう。


 うまく降りられればリリィは転移があるので合流できるからな。



()()は砂が細い滝のように音もなく流れ落ちる静寂の空間だった。


 絶え間無く砂が落ちてくるが必要以上に溜まることなく消えてゆく。この砂も環境層の水と同じく魔力を帯びていて地味に金になる。

 金になるのだが、セリカからお願いだから嫌がらせは止めてくださいと懇願されたので諦める事にしたが、他で思いがけない活用法が見つかったのだ。


 この砂は、他の魔力と反応するとその力と同調するのである。具体的には焚き火にこの砂をくべると非常によく燃えるし、燃焼時間も一掴みで半刻(30分)近く保つ驚異の砂だった。


 ギルドでこの説明を行ったらえらいことになった。特に炎との相性が最高で、なんでも魔法の火でなくても同じ効果があり、冬場の薪がほぼ要らなくなる模様だ。

 薪拾いから解放されるのはすごいことだ。厳寒期になる前に必要量を集められればいいが、そうでないと悲惨の一言になるのである。

 主に子供の仕事だったから覚えているが、真冬に手をあかぎれだらけにして薪を探して歩いていた兄妹たちを思い出すだけで今すぐ広めたい衝動に駆られる。

 しかし、薪拾いは子供の貴重な収入源でもあるから、なくなってしまうと困る人もいるだろうから難しい所だな。



 薪は料理にも使われるが、火力調節は薪を使うしかない環境でこの砂の登場は料理の世界に革命をもたらしたとかなんとか。

 魔導具は火力が一定なので煮込みには強いが、ステーキなど焼き物には向かないとは料理の玄人である玲二の意見だ。



 ダンジョンに砂漠はこれまで存在したが、当然ながら砂を持ち帰る阿呆はこれまでいなかった。

魔力水もそうだが、ダンジョンで水が必要なら水魔法で出せるし持ち帰る意味がない。その分、ドロップアイテムやお宝を持ち帰る方が普通だからだ。

 これまでマジックバッグ持ちも居た筈だが、誰も気づかなかったのだろうか?



 話が逸れたな。


 この砂の滝による思わぬ効果が目の前の宝箱たちだ。


25層の地下には待ち望んだ地下への階段と共になんと地上への転移門も存在した。確かにここから砂の滝を上って戻るのは無理だろうが、あの嫌がらせ層を経験した後では意外と配慮しているなと感じた。


 しかし転移門があるのは有り難い。よく調べるとこれは『転送門』のようで、一度起動すると転移門がある場所と別の地点に転送された。こちらは完全な一方通行だが、鍵で入れる転移門はなんと25層に跳べるようになっていた。

 これはうれしい誤算である。あの嫌がらせ階層と縁が切れると思い、相棒と無邪気に喜んだものだが

よくよく考えてみればこの根性の悪いダンジョンを作った奴が、そこまで都合の良い話を許すわけがないことを思い知ることになる。






楽しんで頂ければ幸いです。


玲二の<<オールステータス増加Lv1>>は現在レベル3になりステータスも2倍4倍8倍と上がっています。ここまで来るとアイテムクリエイトしか恩恵は受けられませんが、それが一番大事なので。


後酸素ボンベはボンベガチャを繰り返してようやく出ました。

カセットボンベや本来の意味であるドイツ語の物体が大量に現れて、どうすんのこれ?状態になってます。


 次も急ぎます。気に入っていただけたら感想、ブックマークなど頂戴できれば私が泣いて喜びます。

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