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世界最強になった俺、史上最強の敵(借金)に戦いを挑む!~ジャブジャブ稼いで借金返済!~  作者: リキッド


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このアセリア(世界) 2

お待たせしております。


 結局、玲二と雪音が目を覚ましたのは日も高く上った頃だった。



『お、起きたか』


『わ、悪い。寝過ぎたみたいだ』


『申し訳ありません。助けて頂いた上にこんな時間まで寝てしまって』


『良いってことさ。これまで大変だったろう。風呂でも入って汗を流してこいよ。着替え……なんてあるわきゃないから、こっちの平民が身に付ける服がある。古着でよければくれてやるぞ。その格好は目立ちすぎるから是非とも着替えてくれ』


『女性用は私が選んだから心配はない。我が君の趣味ではない事を先に申し伝えておく』


『何から何までありがとうございます。お言葉に甘えさせて貰います』


 仕切りを見ればどちらがどちらを使うかは言わなくても良いだろう。


 俺がここまで用意周到なのは相棒のお陰だったりする。クロイス卿から連絡を受けた後、側にいたレイアに現地に文字通り飛んでもらった。彼女は魔族の特性の一つとして飛行能力を持っている。最初に出会ったときにグレンデルの身代わりで王都上空を飛んでもらったこともある。


 場所は<マップ>で共有しているので説明の必要はない。レイアが転移環を持って移動中の間に俺達はリリィ先生の監修の元、召喚者が必要とするであろう品物を集めて回ったのだ。

既に夜の帳が降りた後だったが、公爵家の御用達の店は快く対応してくれた。価格としては安い(それでも一揃えで金貨一枚はする。被服は非常に高価だ)買い物だが、嫌な顔ひとつせずに接客ををしてくれた。こういうときの権力の使いどころである。


 その後でセリカに話をつけ、どのように動くかを幾通り考えて準備し終わった頃、レイアから到着の連絡があったと言うわけだ。



 二人が風呂から上がり、人心地ついた後で昼飯のような朝食をとった。今日は暇だったので俺の料理スキルが久々に火を吹いた。といっても台所を借りたわけではないので大したものは作れない。野外でも行えるような簡単な調理品をいくつかと焼きたてのパンを山ほど<アイテムボックス>から出しただけだ。


 

『実は、俺昨日の夜中に森に入った辺りから記憶がないんだが……』


『森に入った後で取った休憩の時に寝オチしてたわよ。その後はユウさんが私とレイを抱えてこの村まで運んでくれたのよ』


 雪音は冷たい視線を玲二に送っている。玲二はばつが悪そうにこちらを見た。



『やっぱりそうか。わ、悪い、迷惑をかけたみたいだな』


 良いってことさ。俺は視線でそう答えておいた。弟だって姉を守るために色々気を張っていたに違いないのだ。玲二の方が消耗は大きかっただろうし、深夜の休憩でふと意識を飛ばしても責めるつもりはなかった。必要ならば起こして自分の足で歩かせることもできたが、片腕で人一人運べば済む話だった。その時に雪音には簡単にスキルの話をしてある。




『さて、落ち着いた所で昨日から先延ばしにしていたこれからやこの世界の話を……』


『ねえねえ、二人が貰ったチートでどんなのなの? この世に一つしかないユニークスキルは気になるなぁ~、きっと凄いんだろうね』


 おぉい相棒……先走りすぎるぞぉ……そりゃ俺だって気になっている。世界を揺るがしかねないとんでもないスキルを持っているという異世界召還者だ。だが、興味本位で探っていいことじゃない。


 ユニークスキルはこの世界で身寄りも知り合いもいない二人には唯一の交渉材料、絶対に手元において知られてはならない事だろう。それを理解しているから俺も敢えて追求はせず、気が向いたらそっちから話してくれればいいと思っていたのだが……リリィがド直球に聞いてしまった。


『す、すまない。今のは忘れてくれ。二人も答えなくていいからな。安易に自分の秘密を話す必要はないんだ』


『え~、いいじゃん、減るもんじゃないんだし』

 

 呑気に文句を言う相棒にちょっと強い口調で注意しようとしたら、待ったの声が掛かった。


『いや、それはかまわないぞ。どうせこんなスキル知られたところでたいした意味はないんだ。だから俺達もあいつらの拠点であんな扱いだったんだよ』


 雪音にもいいよな? と確認を取った玲二はそのまま俺にその秘密を教えてきそうになったのでこっちが慌てて止める羽目になってしまった。


『待て待て、よく考えろって。大事な判断をその場で決めるなって。俺達としては嬉しいが、二人の将来さえ左右するんだぞ。勢いだけで流されてないよな?』


『そこまで考えなしじゃないって。これでも俺達は色々な目に遭って来てるんだ。人を見る目だけは経験を積んできてるんだ。これはこれまでの礼と思ってくれてもいいが、ほんとにそこまでの価値はないんだって。あの牢屋で時間だけはあったからな。色々検証した結果さ。ユウもこれを確認すればわかるさ』


 二人はリリィと似たような力が使えるらしい。玲二がアクセス、雪音がシステムと呟くと俺にも慣れ親しんだ画面が現れた。二人はそれをこっちに見せてきた。俺自身はこの画面を他人に見せたことがなかったので本当に余人に見えるのか疑問だったのだが、問題ないようだ。



レイジ ハラダ

 ヒューマン  男  年齢 16

 職業 召還者

 HP  15/15

 MP  6/6 

 STR 6

 AGI 6

 MGI 10

 DEF 4

 DEX 8

 LUK 6

 SKILL POINT 10/10


 所持スキル <料理lv1><オールステータス増加lv1>



ユキネ ハラダ

 ヒューマン  女  年齢 16

 職業 召還者

 HP  10/10

 MP  9/9 

 STR 2

 AGI 2

 MGI 6

 DEF 2

 DEX 7

 LUK 3

 SKILL POINT 10/10

 

 所持スキル <裁縫lv1><アイテムクリエイトlv1>



『ふむ。ユニークスキルってのはステータス増加とアイテムクリエイトの事かな』


 差し出された画面を覗き込んだ俺はそれぞれ二つあるスキルからユニークらしきものを選び出した。

 この齢で与えられるというユニークの他に既にスキルを所持しているというのは単純に凄い事だ。


 この世界の子供もいくつかスキルを持っている子はいるが、それは朝から晩まで家業を手伝わされて身についた習慣の結果だ。普段は学校に通っているはずの二人が既にスキル持ちというのは恐らく才能があったのだと思われる。

 

 それより気にすべきはそれぞれの特殊能力だろう。


 <オールステータス増加lv1>の意味は恐らくそのままだろう。普通といえばそれまでだが、まだスキルの効果内容を確認していないので判断は保留だ。


 それに引き換え<アイテムクリエイトlv1>はどういう技能なのだろう? 意味は解るが、意味の解釈が大きすぎて理解は難しい。だが、チートであるユニークスキルの扱いなのだ。とてつもない効果があるに違いない。


『ふおおおおおっっっ!! これはしゅごい!!』


 リリィは興奮している。恐らく<鑑定>をしてスキルの内容を知ったのだろう。どれ、俺も……。


『字面だけを見ると中々凄いスキルなんじゃないかって思うよな? 俺達も始めは無邪気に喜んでたよ。スキルの説明欄って見えるか?』


『こっちには<鑑定>があるからそれで見れる』


 <オールステータス増加lv1>


 所有者が所持する全てのステータスを倍増させる。効果は永続する。


 次レベルまで 100ポイント消費



 <アイテムクリエイトlv1>


 所有者が願ったアイテムを魔力を消費して創造する。使用魔力は文字数に比例し、その数字の10を掛けその二乗の必要とする。


 例  卵    たまご(3文字) 30×30×30=27000 使用魔力 27000MP


 次レベルまで 100ポイント消費



 なんだ? この尖りまくったスキルは?

 特に雪音のスキルは素晴らしいの一言だが……消費MPの桁がおかしいぞ。なんだよ27000って。ありえるのかそんな数字。


 それに次のレベルをあげるまでに必要なポイントがおかしい。1から2へ上げるのに普通100も要求するか? いくらユニークスキルとはいえ要求量がおかしいぞ。戦士lvを上げる時だって多くて15だったはず。レベルを上げるごとに要求量は上がると見ていいから、2から3に上げるためにはまさか、150必要だったりするのか?



『な、解っただろ? このユニークを伸ばしたくても必要なポイントが大きすぎるんだよ。もしこれを伸ばすならレベルアップで手に入るポイントを全てつぎ込んで、他の技能は全て諦めなきゃだめだろうな』


『私のユニークは好きなものを何でも魔力で作り出すことですけど、消費魔力が膨大すぎてとても使えません。私も自分の能力を鑑みて使用は現実的ではありません。ユニークスキルを次のレベルに上げるためのポイントも同じで、レベルを上げるにしても本来とるべきスキルを全て取得しない選択肢は取れません。結果として、二人とも召還者として失敗作の烙印が押されたようです』


<ユウ!! 凄いよこの二人。絶対仲間にしたい>


<もちろん、逃す気はない。これ、俺の持つスキルで全部解決可能だからな>


 二人はすっかり諦めているが、俺にはとあるスキルを活用する事で全ての問題をあっさり片付けることができるはずだ。



 


楽しんで頂ければ幸いです。



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