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行き詰まり

しれっと続きます。

 目が覚めたのはまだ真夜中、時刻にして3時28分だった。


 うつ伏せで寝ていた体を起こす。武装したままだったことを知り、昨日はそのまま寝落ちしてしまったことを思い出す。しばらくすると酒を呑んで寝たあと特有のベタつくような不快感が襲ってくる。


 汗を流したいな。体を拭くのではない、風呂に入りたかった。

 宿の裏庭に丁度いいスペースがあったのを思い出す。地面も草ではなく土だったし、後片付けすれば許してくれるかも。


 思い立った俺は行動に移した。自作したリリィのベッド(バスケットに上等の綿が入れてある。間違いなく俺の寝台より高級品だ)に彼女が涎を垂らして寝ていることを確認した後、部屋を出て宿の外に回る。

 宿の人たちを起こさないように<暗視><忍び足><消音>のスキルを使用した。今の俺は盗賊そのものだな。



 風呂作りは一瞬で終わった。<多重詠唱>で土をせり出させて固め、さらに火で焼き固めたあと熱い湯をいれて終了だ。”恵みの森”でやったことがあるから二回目は簡単に作ることができた。<土魔法>は地面の操作と何もない空間に土を生み出すこともできるが、難易度は当然後者の方が上だった。この場合は新たに生み出したら邪魔になるため地面の操作をすることにする。


 湯の温度は熱めにした。とにかくさっぱりしたかったからだ。体を洗うこともせず一気に入ってしまうが、誰も入らないからいいよな。

 なんともいえない虚脱感が襲う。やはり風呂はいいものだ。このためだけでも魔法を取得してよかったと心から思う。



 風呂に入って頭も働いてきたところで、昨日の行動を思い出してみたのだが……失敗を生かして教訓とするためだが、わかったことは頭が働いてないと人間ロクなことをしないということだった。



 特にダンジョンを出てからが我ながら酷すぎた。番兵に対する昨日の対応は最悪だったな。

 あの番所はダンジョンではなく町のほうを向いて作られている。それを意味する所はダンジョンのモンスターを警戒しているのではない、冒険者の出入りを管理しているのだ。

 絶対に冒険者ギルドか街の管理のはずだ。連中と揉めてもいいことなどなにもなく、余計な難癖でもつけられたら冒険者として駆け出しそのものである俺に何ができるというのか。



 冒険者ギルドでの対応もそうだ。当然だが明らかに怪しまれていた。俺だって迷宮でしか出ないアイテムをあんなに持ち込んだ新人がいればこいつ何者だと怪しむわ。

 数日は溜め込んでいた、人の使いで来たと言えば何とかなりそうだが、その後が続かない。能力が割れれば便利屋扱いされるのがオチだろう。こちとら冗談みたいな額の借金持ちである、いずれは一流冒険者となって世界中をリリィと大冒険して回ってやるという野望もあったが、今はそれどころではない。ギルドとはほどほどの付き合いが良かった。

 ギルドのランクアップなどしたくもない、しがらみが増えるだけで借金も増えそうではないか。クエストをこなしても初日の収入の半分以下ではとてもやる気は湧かない。


 上手い言い訳を考えるか、他の方法を考えないと早速行き詰るな。



 それに比べれば迷宮の方は少しはマシか。昨日は殆ど手探りだったし、<鑑定>ばかりしていたから時間を食ったが、第二層までの構造はわかっているし探索速度は上がるだろう。階段の場所はともかくとして、問題はアイテムの回収作業だ。あれをもう少し早くできれば効率が上がる。そう、全ては効率だ。第一層の敵のアイテムは最悪、拾わなくてもいいのかもしれない。



 となると今、一番の問題はギルド対応だな。このままノコノコとギルドに行くのはマズい。いくつか腹案はあるが、これというものは浮かばない。最悪、いつでも金貨に換えられるなら換金を待ってもいいわけだ。アイテムボックスは無限だからいくらでも入るしな。



 考えも少しは整理できてきたので風呂から上がろうとすると、宿からハンク爺さんの気配がした。老人はこんな時間から起きてくるのか。


 爺さんは暗がりの中、俺を見て驚いたようだ。

「お前、こんなことも出来んのかい…」

 爺さんの声は渋い。伝法調でいかにも人生の年輪を重ねたような声音をしている。いつか俺もと正直憧れるが、今はそれどころはない。

「勝手に庭を使ってすみません。すぐに直します」

「いや、かまわん。むしろワシも入らせろ。ここいらじゃ風呂など滅多に入れんのでな」

 おお、爺さん話せるな。土魔法で脱衣用の仕切りを作ってやった後に俺は上がり、湯を足して湯の温度をかなり熱めに上げてやった。ちなみに<キュア>で湯の浄化もしました。


 爺さんも一切の遠慮をせずに風呂を喰った。脱衣所の意味がなくなったが、俺が使った。体を拭く布は手元に用意してなかったので風魔法で水気を吹き飛ばした。ただの思いつきだが、結構快適だった。

 

 暗がりの中で服を着て、そのままアイテムボックスから私物のサボンと手ぬぐい、木桶を取り出した。ここは一つ人生の先達の背中を流さすばなるまいて。


 明かりがほしかったので小さい火の玉を周囲に数個ばら撒いた。

 俺の意図が伝わったのだろう。爺さんが風呂から上がり、俺に背を向けて座った。爺さん本当に慣れてるな。風呂文化がなければ年長者の背中を流すなんて思いもしないだろう。

「ずいぶんと風呂に詳しそうですね。ここいらじゃ自分しか知らないと思ってました」

「修行先が東の人でな。昔はよく風呂に行って背中を流させられたもんだ」

 聞けば風呂は東の大陸ではそこそこあるらしい。大都市になると大衆浴場もあるとか。

「客の事情に首突っ込む気はねぇが、お前、本当に面白ぇな」

「そうですか?自分じゃそうは思いませんが」

「嘘つけ。ここらじゃ風呂なんて入る贅沢なんて無ぇし、お前はいやに手馴れてるじゃねぇか」

 俺が丁稚のころはもっと要領悪かったぜ、とかすれた声で呟いた。

「齢のわりにゃあ落ち着いてるし、魔法の腕もいい。幸運の象徴である妖精もつれてて、度胸もあるってんだからお前はでかくなるだろうよ。だが、どうにも生き急いでいるようにも見えるぜ」

「そいつは……」

 借金のせいで返済に躍起になっているのは確かだが……生き方を狭めているのだろうか。今は仕方ないと思うけども。



 背中を流し終えるとハンク爺さんは軽く礼をいい、また風呂に戻った。しかし、世間じゃ妖精は幸運の象徴って言われているのか、初めて知ったぞ。彼女との出会いは俺にとって確かに幸運だったが。


「責めてるわけじゃねぇ。さっきも言ったろ、俺は包丁人だ。上手い飯が作れりゃそれで満足なのさ。客の事情なんざ知ったことじゃねぇよ。ただよ、うちのカカァや周りは心配するからよ、もちっと自分を大事にしろって話さ」

 こいつも捨てがたいがな、と風呂の土板を叩いたハンク爺さんは俺を気にしてくれたようだ。素直に礼を言うしかない。

「気をつけます。ありがとうございます」

「気にすんなってんだろ……それよりもこれ、またやってくれや。礼に美味い奴食わしてやっからよ」

 了解して部屋に戻った。風呂はそのままでいいらしい。帰ってきたら片付ければいいだろう。



 まだ周囲が薄暗い中、再び寝台に横になった。気が立っているが、もう少し休んでいこう。動き始めるのは朝日が昇ってからでいいだろう。



 

 いつもどおりに起き出して、装備の点検をする。大したものはないが、確認は大事だ。問題ないことを確かめ、リリィをつかんで部屋を出る。手の中で何かがつぶれたような音がしたが、気にしないことにする。


 宿を出るころに女将さんに捕まった。どうやらハンナさんも風呂を好んでいるようだ。ハンクさんだけずるいと随分文句を言ったらしい。今日の夜にもう一度風呂を沸かすことを約束したら、弁当をくれた。

 どうせなら木の風呂でも作るかと考えた。丁度建材もあるし。

 だが土壁の風呂は取り壊すのも作るのも一発で簡単なんだが、木の香りのする風呂も捨てがたい…何故ここまでこだわるのかは自分でも分からないのだが。




 そんなことを考えている内に、ダンジョンに到着する。時刻はまだ朝の5時過ぎなので番兵はいないようだ。一日中詰めているわけではないようだ。昨日もいなかったし、今日はもう少しうまくやろうと思う。


 早速ダンジョンに入る。今日は効率よく行きたいものだ。





 現在時刻午後0時8分、俺たちはついに第三層の階段を発見した。

 今日は幸先良く第一層の階段をすぐに見つけることが出来たものの、第二層に相当手間取ってしまった。

 敵は見つけ次第速攻で倒しているから問題はないのだが、探索にかなりの時間を割いてしまった。それにアイテム回収の時間もかかる。コウモリの牙は非常に小さく、それでいて高価なため探すのに躍起になってしまい、時間を浪費してしまった。誰だって金貨が砂の中に落ちていたら必死になって探すと思う。コウモリ種は体積の割に塵となる量が多い気がする。

 その甲斐あって収穫は上々で牙が20個に羽が60枚手に入った。これだけで金貨30枚以上になるのだ。さらにホーンラビットのアイテムもあるときている。成果は大きかった。


 さて、第三層である。気張って下に下りると第三層も基本は同じだった。問題は敵の種類であるが、それもたいしたことはないだろう。 

 事実、探すまでもなくすぐに反応が見つかった。全くどうしてこんな迷宮が存在するのだろうと思ってしまう。それで俺が稼げているのは確かなのだが。


「蜂だぁ!」


 リリィがすぐ俺の懐に逃げ込む。過去に蜂の群れに追い掛け回された経験があるせいか、彼女は蜂を苦手としていた。しかも図体が非常に大きい、ジャイアントバット並みにあるぞ。


  キラービー  蜂種モンスター


 大型の蜂種モンスター。尾の部分に鋭い針を持ち、文字通り人を殺せる威力を持つ。群れで行動し、集団で獲物を狩る要注意モンスターだが、冒険者からの人気は高い。

 HP 40/40 MP 0/0 経験値 28

 ドロップアイテム モンスターの蜂蜜 ビーニードル


 油断できない敵だ。本当にそう思うが、対処法は変わらない。水魔法の矢を多めに作り出して射出する。水であれば空を飛ぶ虫と相性が悪いと思ったからだ。

 だが、水がどうとか言う前に放った魔法で敵は全滅した。こりゃ火でも風でも変わらないかな?


 だが、この敵は数といい飛行していることといい、接近戦で近寄らせれば面倒なことになっていたはずだが、俺には全く関係なかったな。

 


 キラービーは蜂蜜を落とした。なんともご丁寧に瓶詰めである。ドロップアイテムの謎を見た気がしてならない。

 だが、問題も発生した。<鑑定>すると価値が低く、銀貨1枚の価値しかなったのだ。喜んでいるのは大好物である蜂蜜が一杯手に入ったリリィだけだ。この階層を隅々まで探索しましょう!と意気込んでいるが、こちらは一気にやる気をなくしてしまった。もう一つのキラービーの針は金貨一枚の価値はあったが4つしか出なかった。それに引き換え蜂蜜は18個ドロップした。





 まだ3層しか知らないが、ダンジョンの敵の種類は一層につき2種類を基本としているようだ。

 第三層のもう一つの敵は第二層でもいたジャイアントバットでこちらは大いに稼げた。同じくらい探す時間もかかったが。

 それに下に行くに従って帰る時間も考慮しなければならないから大変だ。おそらく帰りに2時間はとった方がいい。現在時刻は午後2時40分ほどだ。遅くても4時には帰還を始めねばならないだろう。

 

 その道中にあって、キラービーの存在が肝だった。見つけてもやり過ごすわけには行かず一々倒しても得られるものが少ないのだからたまったものではない。俺の憂鬱とは裏腹にその分リリィは大量の蜂蜜に囲まれこの世の天国を味わっている。



 結局その日は第4層の階段を見つけたら帰還することにした。帰り道も時間がかかり、帰り着いたときの時刻は午後6時半になっていた。

 俺の表情は不満顔なのに対し相棒は喜色満面だった。あれから結果として蜂蜜が50個近くもドロップしたのだ。ちょうだい、とリリィが無言で訴えてきたのだが、無論、断れるわけもない。

 彼女はしばらく蜂蜜に困らないだろう。



 これより帰り道で手に入ったゴブリンソードのほうが価値があるってどういうことだと思う。




 詰め所の番兵は昨日とは違う奴だった。俺の存在を聞いていたのか、興味深げな視線をよこしてくる。

「お疲れ様です。よければどうぞ」

 そう言って蜂蜜の小瓶を二つばかり手渡した。番兵は驚いている。おそらくはキラービーが落とす蜂蜜を見たことがあるのだろう。


「まさか、本当に一人で潜っているのか?それにこれは第三層のキラービーが落とすやつだろう?」

「一人ではありませんよ。今出てくるのが俺だけということです」

 それで門番は納得したようだ。他の探索チームの使いでもしているのだろうと思ったに違いない。

俺はリリィが一緒だから一人ではない。嘘ではないので間違ったことを言ってはいない、はずだ。




 そのままギルドへ向かい昨日と同じ場所で換金すると、昨日と同じくレイラさんが相手をしてくれた。

「今日も大漁ですか?」

「昨日ほどではないですが、とりあえず出します」


 蜂蜜はリリィのたっての願いにより8個残した。明日もあそこ通らなければならないから嫌でも手に入るのだけれど、まあいいか。

 それでもそこそこ大量である。かさばらないのはコウモリ種が多いからだ。肉球も一杯あるがゴブリンやコボルトほどかさばるものではない。



 ギルドカードを手渡してひたすら待つ。聞く気はなかったのだが、<盗み聞き>スキルが勝手に発動していた。

「またあの少年か。いったいどうなっているんだ? コウモリの牙が20個もあるぞ、信じられん! 贋物ではないのだな!?」

「魔力の反応がありますから間違いなくドロップ品です。しかしほとんど落とさないといわれるアイテムをここまで集めてくるとは、本当にFランクの新人なのか?」

 盛り上がってらっしゃる。本当になんとかしないとどうしようもなくなるな、これ。



 今日の儲けはマイナス158枚。銀貨は含まないので、手元には銀貨が5枚増えた。



 宿に戻って約束通りハンナさん用の風呂を焚く。本当に風呂桶作ったほうがいい気がしてきた。

 結果として彼女も大喜びしてくれた。ハンク爺さんとは彼が修行していた店で知り合ったらしく、風呂にも良く入っていたそうだ。聞けば大衆浴場ではなく、従業員用に風呂を用意していたらしい。自分でも風呂が安くないシロモノだとわかっているから、とんでもない店だと思う。


 俺は魔法でささっと作っているが、実際に人力でやろうと思ったら水を汲み、風呂を沸かさなければならない。薪の使用量も多いだろう。これを平然と行うのは並大抵のことではない。王族だってきっと出来ないに違いない。

 

 夕食はいつもより豪華だった。ハンク爺さんの味付けは東方風であり、俺にはなぜか懐かしい味に感じられた。いつもより食が進み、気を良くしたハンク爺さんが毎日風呂に入らせてくれればもっと美味いもの出してやると言ってくれた。俺は風呂桶の作成を心に誓うと共に”双翼の絆”を風呂も入れる店にしてやると請け負った。


 

 俺にとってこの夫婦との会話は借金の憂鬱を忘れさせる楽しい時間となっていった。






 あれから少しだけ時が流れた。



 月の単位は90日単位だ。昨日で春の月が終わり、今日から夏の月が90日始まることになる。気温はまだ高くないがこれから上がってゆくのだろう。

 俺はといえば絶賛低空飛行中である。借金が増えるばかりで、最近の報酬額は金貨94、86、89、76と推移している。


 合計借金額は15000974枚。順調に増えていってしまっている。

 

 予定では順調に収入が増えていっているはずが、このザマである。


 無論、原因は把握している。キラービーの存在と迷宮捜索とアイテム回収の時間効率が共に悪すぎた。

 頑張るとかやる気とかで解決する問題ではないため、八方ふさがりなのだった。ギルド側の疑念も相当に膨らんでいる。昨日行った時には少し話があるといってきやがった。

 そのときは時間がないと言って何とか逃げたが、次はないだろう。色々面倒ごとになりそうなのは間違いない。



 昨日は戦略を変えて第四層の階段を見つけるまでアイテムを回収しないでやってみた。しかしそういうときに限って階段が中々出てこないもので、全ての階でマップを半分以上歩いた後に階段は見つかった。

 そのせいで結局第三層に下りたのは午後になってしまった。自分の運が悪いのはステータスを見て知っていたから、全てを諦めそこからいつも通りにアイテムを回収し始めた。 

 それで今までで最低の報酬額となったわけだ。



 抜本的な改革が必要だった。

 運とか、時間短縮とかそういったものではなく、もっと違う方向から現状をひっくり返す方法を探すべきだとの考えが俺とリリィの共通認識だった。


 無論、一番の解決策はダンジョンでキャンプすることである。事実、上位グループと呼ばれる連中が何日も姿を見せないのは2週間くらいの泊り込みで下層に下りているかららしい。それ位しないと十人以上のパーティでは利益が見込めないのだろう。


 俺たちがそれをしないのは、まだ早いと思っているからだ。そんなことを言っている場合ではなくなってきている気もするが、この段階からそれをしてしまってはこの”上”に行けないような気がしたのだ。


 ダンジョンでキャンプをするにあたっての一番の問題はもちろんモンスターをどうするかだ。

上位陣はどこでキャンプをしているのかなどの情報を当然洩らしていないので想像するしかないが、リリィが言うにはどこか安全地帯みたいなものがあるに違いないようだ。俺も同感なのだが、ダンジョンに潜ってつくづく実感したのはほとんど気の休まる時間がないということだ。

 どこかしらモンスターは必ずいて、俺が視界に入った瞬間に全力で襲ってくる。ひたすらその繰り返しだった。


 戦術もくそもない襲撃なので、”決まり”を作ってしまえば簡単に一蹴できるが、それでも戦い続ければいつか疲弊する。俺がそうなっていないのは力を入れる瞬間をほんの一瞬に限っており、それ以外じゃ基本的に手を抜いているからだ。いつも全力では3層に降りる前にガス欠になるだろう。


 そんな中でキャンプなどありえない。一流どころはきっと強行軍でもして一気にどこかにある安全地帯にでも向かうのだろう。どんな神経の図太い人間でもモンスターの襲撃中に熟睡とは行かないはずだ。




 そしてかねてから一日休日を作るべきだとリリィが口を酸っぱくして言ってきていたから、本日は休養日としすることにした。俺は休みたくはなかったが。


 俺が休養日を取りなくなかった理由も簡単だ。休んだ日にもしっかりと借金は加算されており、このまま休養日を設けると一日300枚金貨を稼がねばならなくなるのだが――。

 まあ、本当に煮詰まっていたし、滅入った気持ちで探索を行っても思わぬ事故を招きかねない。そして、その結果がどうなるかなど言うまでもないことだ。

 

 リリィが俺を心配してくれていることもわかっていたから、従うことにした。



 何とか今日のうちになんとか打開策を見つけたいものだ。





 残りの借金額  金貨 15000974枚  銀貨8枚


ユウキ ゲンイチロウ  LV48

 デミ・ヒューマン  男  年齢 75

 職業 <村人LV67>

  HP  1175/1175

  MP  1047/1047

  STR 157

  AGI 144

  MGI 145

  DEF 136

  DEX 137

  LUK 103

  STM(隠しパラ)280

 SKILL POINT  180/180     累計敵討伐数 2057

読んでいただいてありがとうございます!!

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