一話
精霊契約者が現れて千五百年たった。今でこそ、世界には多くの精霊契約者が存在するが彼らが現れた当時は混乱が続いた。精霊という未知の存在に一般人が恐怖したのである。そして、精霊や精霊契約者を異端者であると訴える反精霊組織が各地で結成された。最初は小さなデモがやがてテロに変わり、戦争まで発展した。この戦争に終止符をうったのが聖霊王と呼ばれてた人物である。聖霊王に付き従う七大精霊、彼の弟子である十天と呼ばれた精霊契約者達の奮闘により戦争は終わりを迎えた。そして、長い年月をかけて精霊達は人間の生活に浸透していった。
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精霊契約者促進機関ー通称FCPIは名前の通り精霊契約者を育成する組織である。俺の通っているルミナス学院もこの機関の指揮下にあり、他の学園も同様である。何が言いたいかと言うとFCPIは精霊に関わっている奴ならだれもがこの機関を知っている。それぐらい馬鹿でかい機関である。その馬鹿でかい機関の議長の孫が俺と同じ学園に通っている。運がいいのか、悪いのか、わからないが同じクラスで有り今目の前で立ってる。
『聞いているの、森川君』
九頭龍杏花は端麗な顔立ちの少女であり、まさに絵に描いたようなお嬢様というのが俺の第一印象であった。可愛いというより、綺麗という言葉が彼女にあっている。
『…ああ、聞いてる』
『なら、早く進路票を提出しないと先生が困っているよ』
はやく、はやくと急かしてくる九頭龍に当時抱いていたお嬢様像が崩壊してしまった。金髪でお嬢様っていたら、ツンデレであるという俺の先入観を見事壊した。もう当初の緊張を返してほしい。FCPI議長の孫であり、現十天の娘である彼女にクラスメートは恐れ話かけれないほどである。
よし、終わったと俺が進路票を彼女に渡し、お詫びにジュースをわたした。九頭龍にジュースのお礼を言われて、俺は彼女は対する認識を完全変えた。どうやら、彼女は人間ができているようだ。
下校中先ほど書いた進路票について真剣に考えていた。ルミナス学院は一年、二年時は精霊や精霊契約者についての座学を勉強する。そして、三年時に精霊と仮契約して四年時に本格的に契約する。今年から三年の俺は精霊と仮契約しなければいけないのだが、俺はある問題を抱えていた。それは、すでに俺がある精霊と契約しているというものだ。