◇◆ 16日目 ◇☆●
月明かりだけが照らす夜。
なぜ彼らがここにいるのか。
それは割と簡単。わざわざモモを取り返しに来たから。
「なんでお前が、ダグリアの門前にいやがる……?」
それはもうちょっと難しい。
「悪の波動を感じ取ったから、かしらね」
わたしはニヒルに笑う。
相手は五名。
リーダー格の男と騎士が二名、魔術師が二名といったところ。
リーダーの男性は、わたしと悶着を起こした方です。
「しっかし、わざわざ渡航免状を慌てて取ってきてまで。しつこいことねえ」
職人たったひとりのために。
ストーカーよ、ストーカー。
「うっせえ、レズ女!」
な、なんというひどい言い草……
「てめーが逃げなければ、俺がこんなところに来ることもなかったんだぞ!
面倒くせえことしやがってよ!」
「まあまあそう怒鳴りなさんな」
わたしはひょこひょこと手を泳がす。
「喧嘩腰はとりあえず置いといてさ、ちょっとお話してみようぜよ。
もしかしたら分かり合えるかもしれないぜよ」
「ハァ?」
わたしは彼をじーっと見つめる。
名前はエルドラドくん。
長年培ったネトゲコミュニケーション能力と経験による、プロファイリング開始である。
「年は20代前半。男性。フリーター。
PCには慣れているが、ネットゲーム経験は少ない。人と触れ合うのは苦手」
目を細める。
「割と臆病者で、ホントは結構無口とみた」
「ああん!?」
怒鳴られる。
しまった。ホントのことを当てたら悪口になった。
「誰に聞いたんだよ、俺のことを……」
彼は取り巻きを睨む。
「いやいや、観察したらそれぐらいわかるって。
そもそも、モモちゃんを狙ったのだってギルドのためでしょう?」
まあ、さらに言えば自分の手柄のためだろうけど。
「でもそんな人を拉致するようなやり方をこれからずっと続けるの? 何ヶ月も何年も?
無理だよ。想像してごらんよ。
誰かが心の病気になっちゃったらどうするの。
現実に戻った時に、責任取れるわけ?」
「ンなの俺の知ったことかよ」
やばい。自己チューだ。
わたしの海より広い心もここらが我慢の限界に。
「つか、面倒を見てんのは俺じゃねえし。俺は命じているだけだ」
「いやだからさ、そんなんでギルドに利益が入ったところで、楽しいの?
あの子たちは道具じゃないのよ。自分がされたらどんな気持ちになると思う?」
「知ったこっちゃねえっつの。てめえマジでかなぐり捨てンぞ」
(#^ω^)ビキビキ。
まだだ、まだもうちょっと対話してみよう……
来るべき対話にて、人類の変革を信じてみよう……!
「ネットゲームは自分が楽しく相手も楽しくがモットーです。
規約にも書いてあります。
そもそもこのことをギルドマスターさんは知っているの?
もしキミが勝手にやっていることなんだったら、バレたら怒られるぞぉー?」
「うっせえな、てめえには関係ねえっつってんだろうが!」
うん、もう……
もう、ゴールしちゃってもいいよね。
「ああそう。つまり論理じゃ納得できないってわけね。
自分がしたいように気持ちいいようにやりたいのね。
幼稚園児でも道理がわかるっていうのにこのオナニー野郎は」
「――て、てめ、今なんつって」
一瞬で顔が真っ赤になるエルドラドくん。
わたしは、てへぺろ☆する。
「あらわたくし、品がなかったわね。
ごめんなさい、あなたのレベルに合わせちゃった」
「てンめ――」
わたしに掴みかかってこようとしたその瞬間、彼は取り巻きに止められる。
「エルドラドさん! 違うPTの人間には、手ぇ出しちゃやばいッスよ!」
チッ。
相手から先に攻撃させたら、労せずグレーネームを狩れていたのに。
ちなみにこれをFPKと言います。
相手に攻撃を仕掛けても構わないというフラグを立ててから、こちらから攻撃する手段ね。
システムを知り尽くしたものが使いこなす、知的なPK手段と言えましょう。
「なら、お前だ」
おやおや?
エル兄さんは魔術師Bさんを差す。
「パーティー抜けてコイツを殺れ。そしたら赤ネームになるのはお前だけだろ」
ほほーう。
「考えましたなあ」
睨まれる。
わたしは微笑しながら指を振る。
「でもそれは、大きなミステイク」
もうすでにわたしたちは町の外に出ている。
魔術師Bがパーティーから外れた瞬間。
わたしは小さく唇を動かし、【ギフト】を発動させた。
「【犠牲】」
この眼が鈍く輝き、全身からは黒いオーラが噴き上がる。
「えっ」
魔術師Aは恐らく反応できなかった。
抜き放つと同時に斬り上げる。
一期一振による居合は彼のHPを半減させた。
その体にさらに横薙ぎ。
二倍撃の《両断火》から二連撃への連携。
たった二発のスキルで彼はその肉体を失った。
光の粒となって亡骸が溶けて消えたその直後、
わたしの名前が闇の中――
おぞましい赤色に輝く。
『ぴ――PKしやがったァ!?』
ふたりの騎士が叫ぶ。
一方、パーティーから抜けた魔術師Bはフードを脱いで叫ぶ。
「ヴァユ・ンラ・バイド・エルス!
《シャドウバインド》!」
彼のグレーネーム化。
それとともに、騎士Aが足を止められる。
わたしは肩に担いだ刀をもう一方――
騎士Bの顔に渾身の力で叩きつける。
恨みはなにもないが、エル兄さんと一緒にいた不幸を呪っておくれ。
執拗に顔面を裂く。
ヘッドショットならぬヘッドアタックだ。
「う、うあああああああ!」
頭部の部位破壊は【盲目】効果である。
彼はすぐになにも見えなくなって狼狽した。
その効果は数秒程度だったと思うけど、十分すぎるね。
MMORPGにおけるPVPの勝敗は7割が頭数、2割が装備、そして残りが練度で決まります。
ぶっちゃけ事前準備が9割だね。
ていうわけで、5対1の状況でわたしが勝つことは絶対にむーりー。むーりーだーよー。
ま、PvPならね?
ではPKの勝率はなにで決定するか。
わたしは9割が奇襲だと確信している。
相手が反応する間もなく戦力を削ぐ。
弱いやつから狙う。
徹底的にゲームの穴を突く。
正直、わたしの【ギフト】はこの戦法にマッチし過ぎている。
いくら魔術師相手だからって同スキル帯の人を一瞬で倒すことなんてできないよ。
【犠牲】+一期一振のわたしでもなければ。
「ふ、っざけんなよォ!」
エル兄さんが斬りかかってくる。
見るからに高級そうな(強そうとは言わない)片手剣の一撃をわたしは避ける。
モンスター相手にしているんじゃないんだから、そんなの見え見えっすよ。
《チャージ》で盲目状態の騎士Bを良い位置に突き飛ばす。
これでふたりの騎士を一箇所に固めた。
わたしは飛び退いて叫ぶ。
魔術師Bと声が重なった。
『ヴァユ・ス・ダムド!
《ソードサイクロン》!』
同時に発生したふたつの気流は、騎士二名を飲み込む。
漸減してゆくわたしのHPは残り半分。
そろそろ悠長にしてらんないね。
斬り込むとしますか。
「アグニ・グランデラ・イリス!」
魔術師Bの呪言とともにわたしの刀に炎が点る。
刀の攻撃に炎属性の追加ダメージと発火の効果を付随させるエンチャント魔術だ。
しかも彼は三倍の触媒を消費する“グランデラ(隆隆と)”で唱えているから、
かなりの効果が期待できるはず。
烈火を帯びた刀をたなびかせて駆ける。
無防備な騎士Bの腹を薙ぎ、走り抜ける。
「こ、こいつ……鬼神かァ……!?
く、来るなら来い……!」
騎士Aは足止めされていただけなので、立派な大盾と片手槍を構えて迎え撃つ態勢だ。
わたしは跳躍した。
体をひねって彼の背後に回り込む。
ここらへん《体幹》スキルの賜物ね。
姿を見失っている騎士Aに突きを放つ。
装備を無効化しダメージを与えるスキル、《鎧抜き》だ。
さすがにまだ倒れないが、続く魔術師Bの追撃の火の魔術でダメージはさらに加速した。
「おい、やめろ馬鹿――!」
エル兄さんが叫び、かかってくる。
相変わらず挙動が丸わかりだ。
剣を弾き、逆に斬り払う。
あまりのダメージに彼は顔を青くした。
キミ、ギフトが残っていれば今のが使う最後のチャンスだったんだけどね。
やっぱりとっさにはできないよね。
ビバ不意打ち。
その後、騎士ふたりはわたしと魔術師Bの連携によって灰になる。
「ナイス、イオリオ!」
あっ、言っちゃった。
「イオリオ、お前……なんでだ……!」
わたしはサクリファイスを手動で解除し、エル兄さんに刀を突きつけていた。
イオリオはまったくの無傷。
涼しい顔でローブの埃を払っていた。
「同じギルドメンバー相手でもPKはできるんだな、勉強になった」
彼は真っ赤な西洋竜に突き刺さる大剣――
<キングダム>のエムブレムをつけていた。
脱退にはマスター、あるいは副マスターの許可がいる。
彼は自分で<ウェブログ>を抜けて、敵対ギルドに入っていたのだ。
熱心に勧誘活動を行なっていたギルドに入団することはそう難しくはなかっただろう。
そもそもキングダムの内部構成は(イオリオの言うところだと)一枚岩ではない。
クエスト攻略班。金策班。クラフトワークス班……
と担当する班がわかれているそうで、それぞれ横の繋がりは薄いらしい。
金策班に属するエル兄さんは、もちろん渡航免状を持っていなかった。
実際、戦闘技術だってそんなにはなかったし。
そういう意味では、ダグリアに逃げたわたしは正解だったわけだ。
で、ここからは推測。
自分の悪事がバレることを恐れたエル兄さんは手勢と共にクエストを攻略。
渡航免状を入手し、モモちゃんを追いかけてくる。
だが金策班の彼がクエスト攻略班や戦闘班から手を借りるわけにはいかないだろう。
わたしになにをバラされるかわかったもんじゃないし。
そこに渡航免状を持った戦闘要員の魔術師がひょっこりと入団してきた、というわけだ。
当然、エル兄さんは手からノドが出るほどほしい。
リーダーに掛け合って金策班に入れてもらい、こうして遠征にまで引っ張ってこられた、というわけだ。
まーほとんど想像だけど、遠からずってところじゃないかな。
それ以外にも複雑な経緯があっても、イオリオが語ってくれない限り、わたしには知る由もないのである。
「スパイみたいな真似をさせちゃったね」
わたしは鞄から水薬を取り出し、口をつける。
イオリオは肩を竦める。
「いいさ。割と楽しかった」
なんでも楽しめるね、キミ!
わたしたちが談笑している間、エル兄さんはガタガタと震えていた。
「てめえら、俺をどうするつもりだ……」
さ、ここからが本番ね。
「まず、相手のマスターに連絡取ってもらっていい?」
別に殺されたって寺院に戻るだけなのに、エル兄さんはマジでビビってます。
夜遅くだからコールが繋がらなかったら朝までエル兄さんを監禁しようと思っていたけれど(鬼)、その心配はないようだった。
「くっ……あ、マスター……自分です、エルドラドっす。
今、その、脅されていて……おいてめえ、名前は!?」
「ギルド<ルルシィ・ズ・ウェブログ>のマスター。ルルシィールよ」
ぽつぽつとエルドラドさん、マスターに現在の状況を説明しています。
自分に都合の良い発言をするたびにわたしが優しく(刃を向けて)修正させます。
①彼は自分が少年少女たちを監禁してギルドの資金源にしていたということを、おおむね認めました。
つまり、全部エル兄さんの独断だったってわけ。
これでギルドぐるみで犯罪をしていたという最悪のパターンは免れたね。
良かった良かった。
脅迫ってすごい。そりゃみんなやるわけだ。あと、
②エル兄さんともフレンド登録をする。
逃げられないようにね。ついでに、
③相手のギルドマスターとの話し合いの約束も取り付けました。
全部達成。
なんだ、チョロイもんじゃないか。
色々心配して損したなー。
すると、エル兄さんは出し抜けに叫びます。
「こ、これでいいだろ! 俺だけ早く返してくれ!」
ンンー?
首を傾げる。
「イオリオくん、わたしそんなこと約束したっけ?」
首を傾げる。
「僕のログにはなにもないな」
「だよねー」
刀を抜く。
「ひっ」と悲鳴をあげるエルさん。
「や、やめろ。それ以上罪を重ねるな!」
わたしはヘラヘラと笑いながら彼に近づく。
っていうか仲間が全員死んだのに、自分だけは生かしてくれって虫が良くないかな?
反省したら見逃してあげてもいいって思ってたけど、その気もないみたいだしね。
「どうせこっちは三人も殺しているんだから。あとひとりぐらい増えたっておんなじよ」
「これが犯罪者の思考か……」※イオリオの個人の感想です。
わたしの刀が無防備なエル兄さんの肩口に刺さる。
――はい一名様、寺院へごあんなーい。
夜の砂漠の帰り道。
まだ体の火照りは冷めなかった。
フッ、初めて人を殺しちまったな……なんてね。
せめてものプライドで隠そうとしているものの、内心はガクブル状態だったんですよ。
ホントに。
だってこれは、画面の中の出来事じゃないんだもの。
わたしが刀を振って、わたしが殺してみせたんだからね。
実際に殺すことはなかったとしても、それでもやっぱり……うん、ビビります。
その点イオリオはさすがだ。
平然としていて、落ち着いているように見える。
さすが頼れるおにーさん。
「しかし、やっぱり赤ネームは目立つな。これからどうするんだ? 野宿生活か?」
「それはちょっといやだなあ」
街から離れながら、頭の後ろで手を組む。
「実はね、ここから先に衛兵のいない村を見つけてたんだ。
わたしはしばらくそこに身を隠すよ。赤ネームがグレイネームになるのは丸一日。
グレイネームがノーマルに変わるまで丸二日さ」
「用意周到だな」
ため息をつくイオリオ。
「さすがだ。ルルシィさんは……なんてことないって顔をしているな」
「え?」
「緊張していた僕と違ってさ。
……さっきまで、杖を持つ手が震えていたんだ。カッコ悪いだろう」
イオリオは手のひらを胸の高さに掲げて、小さく握る。
わたしはちょっとドキッとしてしまった。
そっか、同じなんだね。
この子も、わたしと一緒だったんだ。
そうだよね、まだ高校生なんだものね。
「ううん、そういうことちゃんと言えるのも、カッコイイと思うよ、わたしは」
「……そうかい?」
「うん」
わたしはにっこりと笑う。
うーん、わたしもしっかりしなきゃ!
少なくとも、モモちゃんやみんなからは、カッコ良いギルドマスターって思われたいからね。
見栄とかじゃなくて……これがわたしなりのロールプレイってことで!
「それにしても、時効になるまで逃亡生活か」
「いいじゃん、ひとりじゃないんだからさ」
イオリオの脇腹を肘でつつく。
コホン、と咳払いをするイオリオ。
「そういう意味、なのか?」
ん?
わたしを見つめる彼。
その眼鏡の奥の目が、そっとわたしから視線を外す。
「……いや、なんでもない」
えっと……
なにかしら……?
夜が明けて、寝不足状態のままギヌの村の食堂に出る。
ふぁぁ……
ルビアとモモはもう先に座っていた。
「先輩だらしないですぅ」
ヨーグルトドリンクをすする。
「そう言わないでおくれ。昨夜はちょっと運動し過ぎちゃって」
と、そのとき廊下からシスの叫び声があがる。
「うお! イオリオなんでお前ここにいるんだ!」
連れ立ってふたりがやってきた。
「元々こっちで合流する予定だったんだよ……
ちゃんと大使館にも顔出してきたからな。クエストできるぜ……」
イオリオも眠そうだ。
金髪眼鏡魔術師さんを見て、モモちゃんも別の意味で驚いていた。
「そのエンブレム……」
イオリオがわたしに目で問いかける。
この子が?という確認だろう。
わたしはうなずいた。
すると彼は視線をモモちゃんに戻して、優し目の声色で。
「ああ、これか。警戒するのも無理はないな。心配しないでくれ。
僕は元々<ウェブログ>だ。
諸事情により、一時的に君のギルドに身を置いているだけさ」
「諸事情、って……?」
モモはルビアの背に隠れていた。
「大丈夫ですよう。
イオリオさんはむっつり眼鏡ですけど、お優しい人ですからぁ」
あれ、そういえばこのふたり、いつの間に仲良くなったんだろう。
こないだまでハブとマングースみたいにケンカしてたのに。
わたしは仏頂面で腰を下ろすイオリオを眺める。
ま、この子が一番今回頑張ってくれたんだろうしね。
詳しく言ってくれないけど。
彼はしばらく――ヴァンフォーレストに帰るまで、<キングダム>の一員となる。
ギルドからどんなコールが届いているかわからないけれど、もしかしたら人格攻撃などもされているのかもしれない。
もしかしたら、脱退も容易にはできないかもしれない。
それでも、モモちゃんを救うために手伝ってくれたのだ。
良い人すぎる。
モモちゃんに褒め称えられる権利ぐらい、あると思うよ?
というわけで。
「イオリオはね、キミを助け出すためにあえてスパイになってくれたんだよ。
たっぷり感謝するといいよ」
イオリオがドリンクを吹き出した。
ああそれ、飲み慣れないと甘ったるいからねえ。
って違う?
「普通そういうこと言うかね」
イオリオの顔が若干赤い。
さらにコールチャットが届く。
『それならあなたはどうなんだよ』
いやいやわたしとか何にもしてないっしょ。
小児誘拐して人斬っただけで。
ああ、文字にするとマジでヤバイ。
この笑えない感じ!
「そ、そうなんだ……あ、ありがとうございます、イオリオさん……」
モモちゃんは丁寧に頭を下げる。
そういえばイオリオは自分が救ったはずの子の顔を、今初めて見たんだよね。
耳に顔を近づけて尋ねる。
「どう? 可愛い子でしょ」
「ん、ああ……まあ、そうだな。と言ってもアバターだけどな」
いや、そらそうなんだけど。
「そんなとこ気にしてたらゲーム楽しめなくない?」
「自分で言うのもなんだが、僕は相当楽しんでいる方だと思う」
ああ、やっぱり自覚あったんだ。
イオリオってわたしの次に好きにしているよね……っていう。
「ハッ、まさかイオリオさん、ここでモモさんに恩を売って、その体を貪る気だったりしますかぁ……!?」
久しぶりに会うイオリオを今度はルビアがからかっていた。
本気ではないと思う。
「え、えあー!?」
すかさずルビアの背に隠れるモモ。
「いやまさか」
イオリオは照れもせずに一蹴。
「なんにせよ、これでようやく<ウェブログ>全員集合だな」
シスが嬉しそうに告げる。
あるいはそれは揶揄のターゲットが自分以外にもうひとり増えたからかもしれない。
「よーしきょうもどっかいきますかー」
ドリンクを掲げるとみんなが「おー」と言った。
うちのギルドは現状三名の超小規模だけど、またーりとした雰囲気の良いギルドです。
きょうから三日間、わたしたちは(わたしの刑期が終わるまで)ここを拠点に生活することになるでしょう。
二度目のダンジョン攻略、成功するといいなー。
ニヤニヤ。
へ へ 、 や ば い … … M M O 楽 し い … …