●ゴールに向かう男性と枝葉に向かう女性
●ゴールに向かう男性と枝葉に向かう女性
男性は、物事に集中し、筋道を立てて、スタート地点からゴールに向かうよう、考えることが得意です。視界が一直線に近く、聞こえ方もひとつに集中することを選択するため、影響されてそうなるのかもしれません。
何かの目的に向かって走るタイプの小説や映画、スポーツなどが、男性は大好きです。少年漫画を見るとわかるのですが、チームを組んで何かに立ち向かう、という作品がとても多い。
ファンタジー系の作品では、主人公が様々な人々とチームを組み、魔王を倒すという話がわかりやすいでしょう。
『魔王を倒す』という目標を立て、そのゴールに向かって、お互いに反発しあう人物同士であっても、『チーム』を組んで協力する。
この場合、枝葉の物語りは割愛されます。魔王を倒す旅の途中、出会う人々との話は、主人公の成長や、何か目的のために必要なら描かれますが(魔王を倒すアイテムを手に入れる為とか)、そうでないなら、村人A、村人Bとの会話にちょっとバリエーションがついている程度で終わります。
ゴールに向かって一直線でないと、男性は面倒だと感じてしまうからです。
また、首尾よく魔王を倒す目的を果たした場合、
行く途中、どれほど苦労したとしても、帰りの旅路の描写は割愛されます。都に凱旋とか、村で幸せに暮らしました、みたいな描写はあるかもしれませんが。
『魔王を倒す』という『目的』は既に達しているので、それ以降は描かなくとも問題はない、と男性は考えるからです。
女性の場合、そうはなりません。大きな目標は漠然と考えていますが、女性の場合、感情が重視されます。
物語りの場合は、出会った人物との関係性が、まず重視されます。
視界や聞こえ方の所でも書きましたが、女性は本来、全く別の物事を、同時進行で考え、あるいは実行するのが当り前の人種です。
『魔王を倒す』という物語りを、女性視点で描く場合、
『魔王を倒す』がゴールになる事は、まずありません。矛盾しているようですが。
一緒に旅をしている人の過去、なぜ、その人がそういう性格になったのか、どのような生き方をしてきたのか。
立ち寄った町で知り合った人物が、なぜそうした暮らしをしているのか、それにより、どのような人間性を持つようになり、成長したのか。
そういう、細々とした裏設定のようなものを、女性は重視します。そうして、出会った相手と自分との間に、どのような関係が築けたのか、それにより、自分がどのように変化したのか、成長したのかを考えます。
魔王はその結果、おまけとして倒されるものなのです。また、途中で『魔王を倒す』以外の目的に向かってしまっても、女性としてはOKなのです。
男性には、その辺りが、ぐだぐだしているように見えます。何が目的なのか、わかりづらい。なぜそうなるのかも、良くわからない。
ただ、女性の、相手との関係性を重視する姿勢、自分自身の変化を考える姿勢は、男性にある種の感銘を与えます。
ゴールに向かって走り続けるのが普通の男性には、思いも寄らない視点だからです。
少女漫画で、男性にもファンが多い作品は、背景や関係、内面の変化をしっかりと入れながら、大きな目標も忘れず、そちらに向かって努力する系な作品である事が多いですね。
また、少年漫画でも女性に人気のある作品は、目標に向かって走ることを中心としながら、登場人物の過去や、仲間同士の関係性を掘り下げている作品が多いです。