私たち、再会する。
ついに、彼が復活します!
「誰、あなた」
私は警戒しながらゆっくり手を背に伸ばす。さり気無くミュラーを見ると、私の意図に気付いてくれたみたいだ。こういう時は頼りになる。
「……」
相手は無言。ただ、不気味な圧力は否応にも上がっていく。
「応えないなら――」
「こっちから行くぜ!」
だっと、ミュラーは黒い騎士に突撃する。下段からの振り上げ。しかし、相手は一歩下がっただけで避けてしまう。
私から見ても、それは完璧なまでな見切りだった。ミュラーからしたら、あまりの手応えの無さに鳥肌が立ったに違いない。
でも私たちは、相手がそんな簡単にこちらの攻撃が当たるなんて思ってもいない。
本命は、次!
「ミュラー!」
私の声を合図に右に飛ぶ。ミュラーが先に攻撃することで私が銃ライフルを構える時間を稼ぐと同時に、ミュラーを壁にして死角を作る。
ダゥン!!
私たちの出来うる最高の不意打ち。しかし、相手は難なく腕で弾いて防御する。
金属同士が火花を散らして――それで終わりだった。
「――――え」
私は、その光景にぼけっと呆けるしかなかった。あまりに予想外。人間、得てして予想外のことが起こると放心してしまうらしい。
だけど、その一瞬の間はあまりに致命的だった。
「がふっ!?」
!?
何が起こった!?
ミュラーが吹っ飛ばされる瞬間、黒い騎士の姿がぶれて、気が付いたらミュラーは壁際まで吹き飛ばされてる。
「…レベルが違う」
また相手の姿がぶれる。ぶわっと風が顔に吹き付けるのを感じて、私は本能的にとっさに腕を上げた。
ドン!!!
「あうっ!!」
凄まじいまでの衝撃が私を襲った。ゴロゴロと無様に転がって、あまりの激痛に意識が吹き飛びそうになる。
「ニーナさん、ミュラー君!」
あ、ジル教授の声が聞こえる。逃げて、教授。こんなの、一般人が敵うレベルじゃない。
心は叫ぶ。でも体が追いつかない。
ジャリ
耳元で足音が聞こえた。金属特有のひんやりした感覚が私の首にかかる。
私は半分飛びかけた意識の中、首を持ち上げられたのが分かった。
苦しい。
息が出来ない。
声が出ない。
意識が白む。
私は、手放しそうになる意識の中で確かにその名を呼んだ。
――――助けて、ゴーシュにぃ。
「俺の妹に、何してくれてんだよ――――この糞野郎」
誰かが、黒い騎士の腕を掴んで腹に思いっきり拳を放つ。
私を助けてくれた白い騎士は、ゴーシュにぃとよく似た声をしていた。
帰ってきた主人公。
やっと出せた。