蠢動する悪意。
「――以上が、研究機関からの報告です」
「ご苦労」
オルレアン騎士団・団長室で、アレンは目の前にいる自分の仕える主に報告を行った。内容は先日の《学院襲撃事件》にて捕獲されたあの奇妙な生き物についてだ。
然るべき研究機関に例の死骸を送ったのだが――
「…原因不明、か」
白騎士はある程度予想していた内容にため息をついた。
「自然の環境下でこのような生物が現れるとは考えられず、実際に確認されたことはない」
「はい」
「しかも、最も不可解なのは、それが最初からそうであるとしか思えないときた」
「結局、分からないことのの方が多いですね。あの狼が何故学院に現れたのかも気になりますし…」
「そうだな…。とにかく、これまで以上の警戒をするように。私はこのことを大統領に報告に行く。…下がれ」
「はっ」
白騎士はアレンが居なくなった後、窓から見える青空を見上げながら呟いた。
「動き出したか…《青髭》」
――――同時刻、某所にて
「なんと!使い魔がやられたと」
「ああ、どうやら騎士が片づけたらしい」
「ふん。憎たらしい奴らだ。我らが正義を邪魔するとは」
「いや、まだ大丈夫だろう。我々の計画が分からないうちはこっちが有利だ」
「…よかろう。手駒はまだまだある。我らが悲願も、達成される日は近い」
「ええ、あのお方のためにも、正義の名の下に我らが悲願を達成させましょう」
「――聖女の為に!!」
「聖女の為に!!」
「聖女の為に!!」
「聖女の為に!!」
「「地獄の悪魔たちに死の鉄槌を!!!」」
今、ヨーロッパの歴史を調べています。
歴史の転換点、と言うべき出来事が多いですね。今回出てきた《青髭》も実在するお話です。
分かる人は分かるかな?
《緊急告知》現在、活動報告でこの作品についての悩み事を書いています。もしお暇があれば寄って行って下さい。