表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/58

私、闘う。2

PV22000、ユニーク3100突破!!


見て頂いた方々、本当にありがとうございます!これからも面白い話を書けるように頑張ります!


 私たちに近づいてきた上級生はどうやらドイツ人のようだ。堀の深い顔立ちにサファイアブルーの瞳。少し色素の抜けた髪を短めに刈り上げている。


「おい、新入生(ニューフェイス)。さっきの言葉はどういう意味だ?」


「そのまんまの意味だけど?」


 私とは20cmは差があるだろう。だけど、私は前言を撤回する気は無かった。


「女のクセに、大口を叩いていると痛い目に遭うぞ?ここはそういう場所だ」


 私はその言葉にカチンときた。何?私が女ということで、文句があるのか?確かに、私は女だ。男と比べれば腕力や体力では劣る。けど、少なくとも目の前の上級生より私の方が強いのは間違いないのだ。


「そう言うなら、アンタも痛い目に遭うかもしれないわよね…?ここはそういう場所なんでしょう」


 私は足を前後に開き、腕を構えて臨戦態勢を取る。上級生の男は私の挑発に乗ったようで、同じく臨戦態勢を取った。


「後悔するなよ」


「どっちが」


 空気がピリッと張り詰める。だけど、私たちが拳を交えることは無かった。




                ドスゥゥゥン!!!



 突如、外から何か重たいものが落ちてきたような音。


「きゃああああああ!!」


 そして、悲鳴と共に聞こえてきたのは、腹の空かせた獣の咆哮だった。













「な、何よコイツ…!」


 私たちは外に出てそれ(・・)を見て絶句した。私の言葉がその場にいる全員の言葉を代弁していた。それは巨大な狼だった。3mはあるだろう巨体は、自然にいる狼とはかけ離れた存在だとしか思えない。その咢に噛みつかれたら、人間なんか簡単に引きちぎられるのは簡単に予想できるだろう。


 しかし、その狼は大きさこそ異常だがまだ納得できる範囲だった。これ程大きな個体はそうそういないだろうが。だが、どうしても違和感を覚えさせるものが背中から生えているのだ。


 翼。


 猛禽類の翼なような物が、その狼にあったのである。


「なんと面妖な…」


 上級生がポツリと言葉を漏らした。そう言わずにはいられなかったのだろう。


 私は、あまりに現実から離れた光景にしばし放心していたけど、その狼がぐるりと周りを見渡すのでハッと正気に戻った。


 (何かを、探している――?)


 一瞬過ぎった考えを取り敢えず保留にして、固まって動かないセレ姉に声をかける。


「セレ姉!周りの人たちを安全な所に避難させて!」


 私の声にビクッとしてからすぐに頭を巡らしたのだろう。コクン、と頷いて同じように動けないでいる生徒たちに声をかける。


「ここは危険です!早く安全な所へ!」


 しかし、狼は急に動いた生徒たちに敏感に反応した。私は咄嗟に服の下に隠していた銃を出し、撃つ。


 パン!パン!パン!


 私は威嚇目的で足元に3発撃ち、そのまま狼の視界に入る様に生徒たちの流れとは反対方向に走る。私の持つ銃ではただの時間稼ぎにしかならない。だから(・・・)、時間を稼ぐ。


 私に興味が移ったのか、はたまた違う理由なのか。とにかく狼は私を追いかけてきた。


「はっはっはっ」


 私はなるべく遮蔽物を挟むように走って距離をつめさせない、が。


「あっ」


 私は足を躓かせて転んでしまう。マズッ…!


 私は噛まれると思って目を閉じた。…あれ?恐る恐る目を開けると、後ろ脚の付け根から血を流す狼がいた。


「まったく、突然走るから追いかけるのが大変だったぜぇ」


「ふん。もう少し考えろ。ここには騎士クラスが2人いるんだからな」


 そこには、長剣を持った2人の姿があった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ