私、入学する。3
パリ中央騎士学院――通称『学院』。ここには世界中からあらゆる分野の情報、物資、技術などが集中する。それはここに集まる生徒たちも同様に、世界中から子供たちがやって来る。
フランス内にあるが、一種の治外法権を認められており国家の縮図と言っても過言ではない。季節は春――『学院』も、新たなる風が吹こうとしていた。
「へ~、ここが学院かぁ」
私は周囲を見渡しながら感嘆の声を漏らした。ここにはあらゆる国の人間が集まることもあって、様々な文化を吸収した建物が多く見られた。フランス、イギリスなどのヨーロッパ風の建物があれば、地中海の方の建物や、アジア圏の東方風の建物もあった。
「ここにはいろんな国から人がやって来るからなぁ。それだけ、違いが色濃く表れるのは当然だわな」
「ふふ、ニーナさん、目を輝かせてますね。でも、集会堂に行ったらもっと驚くと思いますよ」
「集会堂?」
「入学式とか、そういう行事に使われる建物さ。ほら、あれだ」
スッとミュラーが私の先を指差した。そこには周りの建物とは一回りは大きい建物があった。
「あ、あんなに大きいの!?」
「ま、中はもっとスゲェぞ。俺たちは入学式には出席出来ないからな、精々頑張れよ?」
「何に対して頑張るって言うのよ?」
「行けば分かる」「行けば分かります」
二人は同時に言って、私から離れていった。いったい何があるんだろう?
「え~、諸君。入学、おめでとう。ここでは君たちの希望と夢が…――」
私は理事長のありがたい(別にありがたくなんかない)言葉を聞いていた。眠気を堪えているけど、無茶苦茶眠い。あくびを噛み殺しながら周りをこっそり見渡すと、みんな真剣な面持ちで話を聞いている人がほとんどだった。
『以上で、入学式を終了します。』
私は何とか眠ることなく入学式をクリアして、その場で背伸びをする。あ~、気持ちいいなぁ。
『なお、新入生はこの場で制服の採寸がありますので、そのまま待機していて下さい。』
私はその言葉でピタリ、と動きを止めた。…さ、採寸?私はチラッと自分の胸元を見て、周りの女の子と比べる。…頑張れって、そういうことか…。私は、がっくりと肩を落とした。
「おう、お疲れ~」
「お疲れ様です、ニーナさん」
夕暮れ、採寸からやっと解放された私はふらふらと集会堂から出てきた所を回収された。や、疲れたよ。本当に…。
「まぁ、大丈夫。そういうのが好きな奴だっているさ」
「何よ、もう成長しないって言うわけ!?」
「3年間、俺があらゆる女子を観察してきたデータからすると…。それ以上の成長は望みは薄い」
ドスンッ!!
私は涙目になりながら思いっきりミュラーの腹を殴った。「ぐっは!!?」と声を漏らしてあまりの威力に一瞬ミュラーの体が宙に浮く。地面に這いつくばりながら痙攣するミュラーを無視して、私はセレ姉に抱き着いた。
「セレ姉~!ミュラーがぁ!!」
「あはは…」
ミュラーの、尊い犠牲は忘れない。