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その革命の名は。


 ゴーシュが行方不明になってから、1週間が経った。


 傭兵団のメンバーは、あれからゴーシュをあちらこちら探して回ったが、一向に見つかる気配はなかった。


 ガンテは、独りため息を付いていた。なかなか見つからない焦りから、濃い疲労が見て取れた。


「お頭、大変だ!」


「どうした…」


 返事をするのも億劫そうに顔を向ける。


「ゴーシュが、見つかったらしい」


「なにぃ!?」


 すぐに立ち上がり、部下の襟首を締め上げる。


「どこだ?どこにいた!?」


「お、落ち着いてくだせぇ、お頭。それじゃ息ができねぇよ」


「す、すまん」


 ゲホッゴホッとせき込みながら部下が答えた。


「そ、それが…。落ち着いて、聞いてくださいよ?」


「ああ」


「ゴーシュらしき子供を、行商人が見た、と言ってました。問題は場所。フランスです」


「フランス?」


「ええ。それと、気になる…というか、信じられない情報がもう一つ」


「それは?さっさと言え」


「それが…ゴーシュが、村一つを潰した、と」










「は?」


「ここ最近、フランスは情緒不安定になっているそうで…。各地で暴動が起こっても不思議はない、とその行商人が」


「そんなこと、あり得るわけねぇだろうが!!」


 ガンテはテーブルに拳を叩き付ける。その衝撃でテーブルは粉々に砕けた。


「あいつは!あいつの村は!焼き尽くされた!あいつが同じことをするはずがないだろうが!?」


「しかし、その行商人が言うには、白髪の、しかも子供だって…。俺たちだって信じたくねぇのは一緒です。でも、そうとしか…」


 ガンテは力が抜けたように椅子に座りこんだ。


「一体、ゴーシュに何があった…?」












 ――ところ変わり、フランスの首都、パリ。


「しかし、何者なんですか、父上。我々傭兵を雇った者は」


「ふふ、同業者ですよ」


 二人の男が、安っぽい宿の前で話していた。


「お前にはぜひ会わせてみたい見たい方でね。きっと、いい勉強になると思いますよ?なにせ、これから100年は先になるだろう革命を、たった一人で火種を業火にまで変えた人物なのだから」


「父上がそこまで言うなんて…珍しいですね」


「ええ、年甲斐もなく興奮してしまっていますからね。きっと、この革命は成功するでしょうし」


 すらりとした服を着た男が、ある部屋をノックする。


「失礼します」


「…入れ」


「それでは、最終確認をしましょうか?」


「ゴーシュさん」











 その革命は、たった1日で王城を制圧。史上初めての無血革命となった。後に、王の血縁者は全て断頭台に処され、フランスは民主国家として生まれ変わることとなる。





 後の世まで、長く語り継がれることとなるその革命の名は――――







                              ――――『フランス革命』と呼ぶ。








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