俺、護衛する。4
今回はかなりのグロ展開。
苦手な人は即バックを。
俺は慎重に一歩前に進む。目測にして距離は20m。ハイランドは腕を怪我しているから剣は振れないはず。一瞬で片が付くだろう。
しかし、ハイランドは笑みを崩さない。自分の優位が揺らがないと確信している表情だ。
(何が狙いだ…?)
俺は、ハイランドの余裕が気がかりでなかなか攻めれないでいた。
「なんだよ…。あれだけ大口叩いといて何もしねぇのか?だったら」
ハイランドは懐から一冊の古びた本を取り出す。
「こっちから行くぜ…?」
俺は思い切り床を蹴った。あれが俺の思っている通りの本だと、かなり厄介なことになる!!
だが。
「遅い」
「千の理をかき抱く偉大なる魔導書よ!汝が主の命に応え、我が敵を打ち砕く剣を遣わせよ!!」
ハイランドが呪文を唱えきると同時、床に二つ、青白く光る魔方陣が現れる。そこから、剣を持つ人形がハイランドを護るように前に出た。
「ちっ」
俺は軽く舌打ちして、そのまま突撃する。右の人形に切りかかるが、簡単に防がれる。しかも、相手は2体。俺が片方を相手していると、背中からもう一体が切りかかる。
俺は体を捻って何とか躱し、バッと後ろへ飛んで距離を取った。
「ふん、そこそこできるみたいだが…やはり、一人ではこいつらに歯が立たんか」
俺は動悸のする心臓を鎮めるため、深呼吸を繰り返す。俺はすぐに息を整えると、ハイランドに向かって言った。
「魔導書…それも召喚が出来る魔導書は、普通の物よりかなり希少だ。…どうやって手に入れた?」
「ふふ、案外、価値の分からん奴ではないらしいな。そう、これは召喚の書と呼ばれる物だ。しかし俺が何故これを持っているか…そんなことを気にしている余裕はないんじゃないか?」
「さぁ、そこのガキを殺せ!」
ハイランドの命令に従って、2体の人形が俺に向かって殺到する。俺は人形をギリギリまで引きつけて、足元を潜る様に駆け抜けた。こいつらはそんなに足は速くない。一度抜いたら追撃を食らうことはない!
俺はスリ時代のテクニックがまさかこんな所で役に立つとは、と思いつつハイランドを目指す。
しかし、俺はとっさに背中から聞こえる音に反応して身を伏せた。俺の頭上ギリギリを剣が回転しながら通り過ぎる。
「剣を投げるとか、無茶苦茶なことをしやがって…!」
「さっきのナイフのお返しだ。悪く思うなよ、ガキ」
俺が立ち止まっている間に人形が肉薄する。
「死ね!!」
人形の腕が俺に向かって振り下ろされた。
俺はそれを横に転がって躱し、鉈を足元に突き刺して床に縫い付ける。そして、迫ってくるもう一体に構わず、俺は親父から受け取ったあるものを取り出し、ハイランドに向けて引き金を引く。
パン!
炸裂音。廊下に立っていたのは…。
ゴーシュだった。
「ま、魔導銃…!?」
ハイランドは胸を押さえて蹲る。
「いや、こいつはただの普通の銃さ」
俺はガンマンのようにくるくると銃を回す。
「親父の方針でね。実力に見合った装備を…ってことで、これを渡されたんだ。たった一発しか打てない銃を、な。便利なものをただ便利と割り切るのではなく、利点をちゃんと把握しろ、だとさ。俺としてはこれの使いどころを見極めなくちゃいけないから、大変だったよ」
俺は動きの止まった人形から離れ、床に落ちている剣を拾う。
「ま、結果オーライってことで」
「待て、待て待て待て!俺様は次期国王になる男だぞ!?手を挙げて良い存在じゃないん」
「妄想もいい加減にしろよ」
ドスッ。
「がっ!?」
ドスッドスッドスっドスッドスッドスッ。
「や、止め」
ドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッ。
「や」
ドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドス。
「…」
ドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドス。
ん?やっと死んだ?
残るのは、細切れの肉片と血だまりのみ…。
ゴーシュがこんなに拘るのは、傭兵強化(凶化?)修行のせい?
自分で書いてて、少なからず引いた。
一部訂正しました。