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Silent rain
静かに
ただ静かに
音も立てずに
雨が降る
隣に立ったあなたの
窓から差し出した指先に
ビーズのような雨粒が
弾けた
「冷たいね」
なぜか楽しそうに
あなたは呟いて
わたしは ただそれを
ぼんやりと見つめていた
「雨は好き?」
「ううん」
それなのに
なぜ そんなにはしゃぐのか
わたしにはわからなかった
「でもね」
あなたは指先を濡らしながら
「雨上がりとか、虹が出るから、好きかもしれない」
笑って答える
その横顔を
やっぱり わたしはぼんやりと見つめていた
静かに
ただ静かに
音も立てずに
雨は降る
けれど この静けさの向こうに
世界が美しく見える 何かがあるのだとしたら
わたしは この静けさを
好きになれるのかもしれない