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曼珠沙華
咲いた咲いた赤い花
曼珠沙華の花が咲きました
畦のほとり
瀝青の路地裏
野辺に眠るあなたの上にも
咲いた咲いた赤い花
今年も綺麗に咲きました
別れゆく夏の夕映え
曼珠沙華が揺れていた帰り道
瞼に焼きついた影法師のように
咲いた咲いた赤い花
今年も鮮やかに咲きました
野辺送りの火のように
ひとりぽっちで群れています
風に吹かれても色彩褪めぬ
哀慕の赤を燻らせて
咲いた咲いた赤い花
摘まれる日は来ぬままに
‐‐‐‐
*1 曼珠沙華:彼岸花の別名。ほかに『幽霊花』『死人花』『地獄花』など。毒を持つ不吉な花というイメージが一般的だが、毒を抜けば非常食にもなる『悲願の花』が転じて『彼岸花』、葉が落ちて花が咲く姿から『花は葉を思い、葉は花を思う』『相思華』などの多様な逸話がある。
*2 花言葉:『情熱』『独立』『再会』『あきらめ』『転生』『悲しい思い出』『想うはあなたひとり』『また会う日を楽しみに』
*3 花の形が炎のように見えることから、家に持って帰ると火事になるという迷信がある。