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寒月に咲く
青ざめた月の光が射す夜に
きみは何を思うのだろう
凍てつくようなさみしい夜に
きみはぬくもりを求めず
だれかの肩に寄りかかりもせず
ただひとり まっすぐに立っている
その後ろ姿は
凛と美しく
胸を震わすほどに哀しい
きみはきっと
差しのべられた手など振り払うのだろう
生ぬるい馴れ合いなどではなく
真冬の海に沈むような孤独を選ぶのだろう
まやかしと知りながらも
春の陽の下を往くわたしを睨むのだろう
きみは弱い
けれどもそれを知り 認めているからこそ
強いのだ
きみは立つ 寒々しく輝く月を見上げ
まるで咲き誇る 一輪の花のように