091●神のサイコロ
・哲学と量子力学が語る、世界の見え方
この世界には、人の数だけ「世界線」がある。
それぞれの人が、自分の見たもの、感じたことをもとに、
自分だけの世界を作りながら生きている。
そんな世界の見え方に、昔の哲学者と現代の科学者が、
それぞれの言葉で問いかけている。
・アインシュタインの相対性理論
20世紀になると、物理学者アインシュタインが「相対性理論」を発表した。
この理論では、「時間や空間は、見る人の動き方によって変わる」とされている。
たとえば、宇宙船に乗り高速で動いている人の時間は、
地球にいる人よりもゆっくり進むように見える。
これは、自然の法則が「見る人」によって変わるという、科学の考え方だ。
プロタゴラスの哲学とアインシュタインの理論は、
どちらも「見る人が大事」という点で似ている。
だが、アインシュタインは「自然は偶然ではなく、
きちんと決まっている」と信じていた。
・量子力学と「サイコロを振る神」
ところが、量子力学という新しい物理学が登場すると、話は変わってくる。
この分野では、「粒子の状態は、見るまで決まっていない」とされる。
つまり、「見る人」が現実を決めるという考え方だ。
アインシュタインはこの考え方に納得できず、こう言った。
「神はサイコロを振らない。」
自然は偶然ではなく、必ず原因があるべきだ、と。
しかし、実験はアインシュタインの考えとは違う結果を示した。
量子もつれという現象では、離れた場所にある粒子が、
まるでつながっているかのようにふるまう。
この量子もつれは、何度も実験され、
今では量子通信や量子コンピュータの基礎になっている。
では、神はサイコロを振るのか?
宇宙の真理は、本当に偶然によって決まるのか?
現代の物理学は、ある意味で「神はサイコロを振る」と答える。
自然の振る舞いには、偶然や確率が含まれている。
だが、それは「何も決まっていない」ということではない。
「見る人が、世界をどう見るかによって、現実が形づくられる」
そう、私たちの心ひとつで、世界は変わるのだ。
・世界線を歩く私たちへ
物語の中で、帝王は「命令で世界を動かす」ことに疑問を持ち始めた。
ソレイユは彼にこう語った。
「あなたが世界をどう見るかで、世界は変わるのよ」と。
私たちもまた、見ること、感じることで世界をつくっている。
だからこそ、どんな世界線を歩むかは、自分自身の選び方次第なのだ。




