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クラスで人気者の明るい彼女は屋上ではオタクを楽しむ -クラスの盛り上げ役が、俺の隣でだけ素になる話-  作者: すなぎも


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第21話 作戦会議の誘い

 家に到着したところでスマホが震えた。

 画面に表示された名前は神名。


「タイミング凄いな」


 神名のメッセージを適当に返してたから、いつか通話が掛かってくるとは思っていたが、家に着いた直後とは。閉じられた玄関を振り返り。


「……付いてきてるわけないよな」


 そんな事をいいながら通話ボタンを押す。


『桐生くんっ!?』


 大きすぎる声が鼓膜を揺らす。

 思わず顔をしかめてスマホを睨みつけてしまった。

 洋画のワンシーンみたいだな、なんて内心で思いながら。


「うるせえ」


『あっ、ごめんなさい。あの、いま大丈夫だったかな? 家ついた?』


「ちょうど着いていま玄関で靴脱いでるところだ」


『ならよかった』


 電話の向こうで、ふーっと大きく息を吐く音がした。

 やけに落ち着きがない。


 なにもよくねえ、少しは休ませろ。とは言わずにおく。


「そんな興奮してどうした? 朧狐うららに会えたのがそんなに嬉しかったのか?」


『それはもう最高の1日だったよ! 興奮してテンションも上がっちゃう……。って言いたいところだけど、いまはそうじゃない!』


「じゃあなんだよ」


『今日のこと、ちょっと話したくて』


「今日のこと?」


『マミに会ったんでしょ? ちゃんと話し合っといた方がいいのかなって』


 落ち着いた声音ではあるが。


「必要か? それ」


『必要でしょ! 私達の関係がバレたら一大事なんだから!』


 それもそうか。

 とはいえ、そんなに共有する情報ないんだけどな。


『それで……。会って話せないかな?』


「今からか?」


『うん。その……。ダメ、かな?』


 控えめな声。

 申し訳なさそうにこちらの顔色を窺っている神名の表情が脳裏に浮かぶ。


『桐生くんの顔を見ながら、お話したいんだけど』


「……まあ、花柳の件は神名にとって重要だからな。会って話すか」


 言いながら俺は自分の部屋に進み時計を見上げる。イベントが終わってすぐに帰ったから今はお昼過ぎ。疲れ具合と時間の進みが比例してない気もするが。


『やった!』


「喜ぶことじゃないだろ」


『そ、そうだよね。うん、わかってる。マミの件だもんね!』


 言葉のわりに、声が高くなってるのは気のせいじゃないはずだ。

 この調子だと、うららとの話しを聞かされることになりそうだ。


「で、どこに行けばいいんだ? 誰かにも見つからないところにしろよ」


『だよね。学校の屋上には行けないし。そうなると……』


 神名は少し考えて。


『うち、来る?』


「はぁ?」


『違う違う! 変な意味じゃなくて! うちなら誰にも見つからないし、パパもママも今日は遅いし。ただ話すだけなら私は大丈夫なんだけどって思って』


「却下だ」


『早っ!?』


「外で会う分にはまだ言い訳できるけど、家に入ってぐところ見られたら終わりだぞ。言い訳もクソもねえ」


『うっ……たしかに……』


 神名が唸るような声を出す。


『じゃあ……。どうしよっか?』


「別にこのまま電話でも」


『それはダメ! 直接、会って話したいの!』


 そこまで言われると、さすがに「また今度な」で切るわけにもいかない。

 少しだけ考えてから、折衷案を出す。


「じゃあ夜にするか。それなら見つかる可能性も下がるだろ」


『ほんと!?』


「神名んちの近くに公園とかないのか? 夜は静かな場所とか」


『ある! 公園ならあるよ! ……けど、いいの?』


「なにがだよ」


『私が我儘いってるのに、桐生くんに来てもらうの申し訳ないなって』


 我儘を言ってる自覚があって、謝ってくるあたり、厄介な奴である。


「夜に遠い場所まで1人で来させるのは気が引けるから。別にいいよ」


『大丈夫だよ。マミたちと遊んでる時とかも夜道は歩くし』


「そうなんだろうけど。ナンパの対応見た俺からすると、夜ひとりで歩かせるのは心配なんだよ」


 花柳たちと遊んでて危ない目に遭いました~なら「そうですか」で終わるけど、俺に会うために危険な目に遭いました~ってなったら、さすがに気分が悪い。責任を負う方が面倒だ。


 俺の言葉を聞いた神名は、電話の向こうで一瞬黙る。

 それから、少しだけ柔らかくなった声が返ってきた。


『……そういうとこ、ほんとズルいよね』


「なにがズルいんだよ? 俺が譲歩してんだろうが」


『なんでもない、なんでもないよ! いつもほんとにありがとうございます。……じゃあ、うちの近くの公園でもいい? 小さいとこだけど、街灯あるし、人もそんなに通らないし』


「それでいい。あんまり遅くならない時間にしろよ」


『うん。じゃあ、詳しい場所、メッセージで送るから。時間は桐生くんが指定して』


「了解」


『うん。ありがとね。じゃ、いったん切るよ』


「お疲れさん」


 通話が切れると、ようやく部屋に静けさが戻った。スマホの画面には、通話履歴の一番上に「神名美来」の文字が残っている。


「……周りに見つからないように、な」


 この履歴も消して、連絡先も消した方がいいんじゃないか?

 なんて考えが過るが、それはさすがにやりすぎか。


 俺は椅子に腰を下ろして、神名から届いた指定の公園をネットで調べた。


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