表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界召喚で杖になった俺は、魔女の弟子と共に魔女の仇を取る  作者: 月ノ裏常夜


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/10

10.レイラの魔法

レイラは当たりを見渡すとある場所を指差した。

「あそこに丁度良い岩があるわね」

レイラが指差した先には、彼女の言う通り岩がある。大きさは人の顔ほどだ。

いずれ西の魔女と戦うというのであれば、レイラの魔法の腕をここで知っておくというのはいい機会だ。

「あれを動かすのか?」

あれを使って自分の力を見せる気なのだろう。


「いいえ、壊すわ」

まあ、戦いに使う力なのであれば動かすよりも壊す方が分かりやすいか。

「どんな風に?」

「師匠がやってた風によ」

杖を頭上に掲げると、何か不思議な感覚に襲われる。

「おお、これは」

何か体全体がピリピリするような感じだ、

そういえば俺は杖だ。つまりレイラは俺を介して魔法を使おうとしている。

魔力が流れ好んでくるというのはこんな感じか。


「どうかした?」

魔法を使おうとしたタイミングで、俺が声を出したため、レイラが怪訝な顔をしている。

「魔力を感じる」

杖の先端に付けられている水晶の上に火の玉が生成された。

それは東の魔女が何度か使って見せていた魔法だ。


「そうね。今の私は杖無しで魔法を使うのは難しいし、あなたを介して魔法を使う事になるわね」

「こんな感じなのか」

本当に魔法のある世界に来たのだと改めて感じた。


「じゃあ行くわよ」

「いや、ちょっと待て」

今の俺には杖に蓄えられた魔法の知識がある。

だからこそ、その魔法が拙い事も分かる。

そして具体的に魔力の流れのどこが悪いのか俺には理解できる。

加えて俺の意志でその魔力の流れに介入できるようだった。

魔力の流れに無駄が多いし、火の玉を作らずに外に発散してしまっている魔力もある。これらの流れを変えればもっと威力を上げる事が出来るはずだ。

それを実際に試してみる。


「ちょっと、今何かした?」

俺に魔力を流し込んでいたレイラはそれを感じ取ったようだ。

ほぼ同時に、生成された火の玉が一回り大きく成長する。

「いや、魔力の流れに気になるところがあってな」


「私の魔法に干渉したの?」

「そうなるな」

他人の魔法を操作し操る。

それはある程度高度なテクニックを要するため、俺がそれをやったことをレイラは驚いているのだろう。

俺に蓄えられている知識は東の魔女の知識であり、当然レイラの知識よりも上だろう。つまり俺を使う事でレイラは東の魔女に近い魔法を使う事が出来るようになる訳だ。


「知識だけじゃなく、実際の魔力操作もできるのね」

「そうみたいだな」

自分でもやってみて驚いている。

「まあいいわ。行くわよ」

炎が安定してきたため、レイラがそれを射出する体制に入る。

「ああ、いいぞ」

その気になれば俺が火の玉を射出することもできるが、ここはレイラの腕を見る意味も込めてレイラにやらせよう。


「ファイアボール!」

杖を振り下ろしながら、魔法を唱えた。

火の玉は真っ直ぐに斧に向かって飛んで行き、目標としていた岩に直撃すると、当たりが光に包まれた。

どうやらこの体でも眩しいという感覚はあるようだ。

ついで熱風と衝撃波が襲ってくるのも感じる。

それはレイラも同じようで手で顔を庇いながら口を開く。


「ちょっ…」

何故か魔法を使った本人が驚いている。

「お前の魔法だろう。驚くような事か?」

見上げると空高く大きな火柱が立ち上っている。


「いや、いつもはこんなに大きな爆発しないわよ」

レイラもそれを見ながら茫然と呟く。

「そうなのか?」

俺はレイラのいつもを知らないから、よく分からないが。


「あんた、干渉しすぎよ」

どうやらレイラからすれば、思った以上に威力が出ていたようだ。

「かもしれないな」

そういえば、俺が魔法に干渉するのは初めてだった。

色々試そうと思い出来る限り威力を上げようとしてしまったが、やり過ぎたのかもしれない。


「こんな派手にやるつもりじゃなかったのに…」

「どの程度を予定してたんだ?」

「あの岩を壊すって言ったでしょ」

「跡形もなくなってるな」

岩のあった場所は大きなクレーターになっている。

岩を壊すどころの威力ではなかった。


「もしかして、あなた単体でも魔法は使える?」

魔力に干渉できるという事は、自分で魔法を使う事も出来るのかもしれない。

「やってみる」

先ほどレイラが魔法を使った時の感覚は覚えている。俺はそれを再現しようとしてみる。


「どう?」

「何も起こらないな」

あれはレイラから流し込まれた魔力に干渉していただけで。自分自身の魔力を使って魔法を使うという事はできないのだろう。

そもそも、元の世界では魔法を使えなかった。つまり俺自身に魔力がないのだろう。


「干渉はできるけど、自力では使えないって事?」

「みたいだな」

「まあ、杖は本来そういう物だからね」

「ところで、そろそろ町が見えてきているな」

地平線の近くに町が見えていた。


「そうね。もうすぐ町ね」

「今の爆発、町からも見えたんじゃないのか?」

かなり大きな爆発であった。ここから町が見えているという事は、あの爆発も町から見えていた可能性が高い。


「見えたでしょうね」

レイラも俺と同意見らしい。

そうすると一つの問題が発生する。

「もしも、既に町が帝国兵に制圧されていた場合、今の爆発を見た帝国兵が様子を見に来るんじゃないのか?」

帝国兵が魔女と敵対しているのであれば、明らかに魔法を使った爆発が見えたのであれば、様子を見に来てもおかしくない。


「あたしのせい?」

「魔法を使ったのはお前だろう」

力を見せると言い出したのはレイラだ。


「干渉してきたのはあなたよ」

俺が干渉したせいで予想よりも目立ってしまったというのは否めない。

とはいえ、ここで責任の押し付け合いをしてても仕方がないか。

「とりあえずここにいるとまずいんじゃないのか?」

あれだけ派手な爆発なら誰かが見ていてもおかしくない。

そして、俺たちは一つ忘れていた事があった。


「いいわ、さっさと移動するわよ」

だが俺達がその場を離れるよりも先に、第三者の声が聞こえる方が早かった。

「動くな!」

つまり、帝国兵は町にいるとは限らないという事だ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ