八話 ヲタクとギャルの初クエスト
「うわっ!? めっちゃ混んでんじゃん」
昨日と違い、人が多い冒険者ギルド。
皆様とても強そうです。
「あっ、職員のお姉さん。おはようござます」
昨日のオオカミの獣人の職員さんがいました。
「あ、新人さん。おはようございます」
「めっちゃ、混んでますね」
「昨日の調査に行ったワイバーンが丸焦げの死体で発見されたそうです。その話題で今日は朝から持ちきりです」
誰がやったんだ?
この町にワイバーン倒せるやついたのか?
などの声が聞こえてきます。
自分が倒したと言っても、絶対に信じて貰えないと思います。
「ねえ、職員のおねーさん。」
「なんでしょう?」
「やっぱ、ワイバーンって強いんすか?」
「もちろんです。ワイバーンはAランクに登録されてモンスターですから」
「Aランクってすごいんすか?」
モンスターはFランク~Sランクにランク訳されていて、ワイバーンはAランク。
上から二番目に位置するらしいです。
Sランクのモンスターは桁違いでドラゴンや、おとぎ話のレベルの強さなモンスターとのことです。
「イッチー。スゲーじゃん」
「自分でも信じられません」
相良さんに褒められていると、自分たちの受付の順番が回ってきました。
冒険者としてのはじめての仕事です。
「これなんかいかがでしょうか?」
紹介して、もらった仕事は薬草の採取でした。
はじめてのクエストとしてはかなり妥当です。
しかし。
「地味。無理っすす」
相良さんは反対のようです。
「なんか、モンスターを倒すのとかないんすか?」
「相良さん。わざわざ危険を犯す必要はないかと」
受付の方が、討伐クエストの書類を探していると、うしろから他の冒険者の方から声をかけられました。
「お前らみたいなヒョロガリなんかに、モンスター討伐なんか無理だろ。大人しく薬草採取しとけよ」
「あっ、なんだって? お前表出ろや」
「相良さん、相手にしちゃ駄目ですって」
相良さんが他の冒険者の方と一触即発になってます。
「イッチー止めるなよ。ギャルは舐められたら終わりなんだよ」
必死で止めていると、相手のチームの人も、その人の変わりに謝ってくれて冒険者の人を注意してくれました。
そして、自分達はゴブリン討伐のクエストを受ける事にしました。
五体討伐するとクエスト成功みたいです。
「ゴブリンなんか、十匹でも二十匹でも倒したるわい。見とけよこのクソボケナスが」
絡んできた冒険者にそう啖呵をきって、自分と相良さんははじめてのクエストに行くことになりました。