七話 ギャルと友達
金無し宿無しの僕達は、教会の中の隅っこを借りて今夜は過ごします。
「でさぁ~、イッチー超ヤバいの。
ワイバーンぶっ飛ばしたんだよ」
「マジで!? 超ヤバいじゃん」
えっ、相良さん。
通話できないって言ってませんでしたっけ?
「元のせかいとは繋がんないって言ったけど、ムーコやミーコのスマホとは繋がるよ。ギャルからスマホ取り上げたら、戦闘力マイナス1兆じゃん」
よくわからん理論です。
「でっ、そっちはどう?」
「王様達、めっちゃ「なのじゃ」」
「なにそれ。超ウケるんですけど」
「だよね~」
楽しそうにスマホで話している相良さん。
自分のスマホをもう一度見てみるが、やはり電源すら入らない。
「イッチー。なにやってんの?」
「電話終わったんですか?」
「うん。とりあえず向こうの状況の確認」
「というか、相良さんのお友達、スマホで喋ってるのみられたら不味いんじゃいですか!」
「大丈夫。大丈夫。なんかね、ミーコ【結界】の勇者なんだって。ミーコが張った結界の中なら、外からはなにも見えないし、なにも聞こえないんだって」
「凄いですね」
「凄いっしょ」
友達を褒められ嬉しそうな相良さん。
自分はそんな友達が居なくて、羨ましくおもう。
「心配ですよね。どうして離ればなれになっちゃったんですか?そんなに仲の良い友達なら、追放とか止めてくれたんじゃ」
「止めてくれたよ」
「じゃあ、どうして?」
「言ったじゃん、王様は多分敵だって。
それにイッチーが一人になっちゃうじゃん」
「そんな……自分のせいで……すみません」
「自分のせいとか言うなし。それにギャルの一番嫌いな事知ってる?」
「なんですか?」
「大人に命令されること。だから、自分の意思で追放されたんだよん♪」
「相良さん……」
「あれ?イッチー。泣いてるの?」
「泣いて無いですよ」
「顔見せろよ~」
「もう、辞めて下さいてば。もう寝ますからね」
うっかり泣いてしまいそうでした。
でも、自分も男です。
泣いてるところは見られたくありませんので、我慢しました。
「イッチー。お休み。また明日ね」
「はい。お休みなさい。また明日です」
「イッチー。ウチが魅力的だからって、夜這いするなよ」
「しませんよ!」
相良さんはとてもいい人でした。