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十二話 拡大

 「青山、酒田! おまえ達はドワーフ捕まえろ。

 無能のふたりは俺が痛い目にあわせてやる」


 川島くんに言われ、ふたりはドワーフの女の子を再びおいかけだしました。


 「相良さん、どうしましょう?」

 「決まってんじゃん! ぶっ飛ばす」


 すでに戦闘態勢の相良さん。

 でもおそらく戦うのは自分です。


 「気功砲撃ったら死んじゃいますよ」

 「確かに殺すのはちょっとね。手加減したら大丈夫なんじゃね?」

 「だから、その手加減が出来ないんですって」


 自分現実世界では、喧嘩一つしたことがありません。

 どうしたら良いかわからず、川島くんを見ると鼻くそをほじっていました。

 そして、右手の指で弾いて自分たちの方に飛ばしてきました。


 「はぁ~?汚ねぇ~!ふざけんな!」


 実際にここまで届かず、当たらないとわかってても避けてしまいます。


 そう思っていたら、目の前に巨大な物質が現れました。


 「えっ、なにこれ?」

 「自分もわかりません!」


 なんとか自分も相良さんも、いきなり現れた物体をよけれました。


 「それは、俺の鼻くそだ」

 「はっ、何言ってんの? あんなでかい鼻くそ出たら、鼻もげるわ。ギネス記録だわ」

 「俺の祝福は【拡大】 身体の一部を大きくすることが出来る祝福だ」


 身体の一部を大きくする祝福。

 鼻くそまで大きくなるなんて、凄いです。


 「いや、鼻くそは身体の一部じゃないだろ!」


 自分もそう思います。

 川島くん、さらに鼻くそをほじって自分たちに飛ばします。


 「汚ねぇ~だろが~! 鼻くそを飛ばしてくるんじゃねぇ~。クソボケナス~!」



 必死で逃げます。

 これまで鼻くそを飛ばして戦う勇者なんて、いたでしょうか? 最悪です。


 「イッチー。早くアイツぶっ飛ばしてよ」

 「死んじゃいますって!」

 「この際、良いんじゃね?」

 「駄目に決まってるじゃないてすか!」


 必死で逃げていると、玉切れいえ、鼻くそ切れのようです。


「よっしゃ~!逃げきったぜ。どんだけ鼻くそたまってたんだよ」


「安心してるところ悪いが、こんなことも出来るぜ」


川島くんはハサミを取り出し……自分の髪を切り空に投げました。


そして、空中で拡大された髪の毛は、一本いっぽんが巨体な鉄柱ぐらいの大きさになり、自分たちに降り注いできました。


「ヤバイ!逃げれない!」


合計百本以上の鉄柱です。

逃げきれません。


「イッチー、本気でいいから、かめはめ波出して」

「良いんですか?」

「じゃないと死んじゃう」

「わかりました」


自分は、川島くんが投げた髪の毛の鉄柱に向かって気功砲を撃ちました。

髪の毛の鉄柱を破壊して、なんとか直撃は避けましたが、これで自分も相良さんも戦う術がなくなってしまいました。

大ピンチです。

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