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ワイバーン戦闘の後



 ワイバーンの大群と戦闘した後、怪我人は向かっていたダンジョン前の宿場で治療をしていた。

 その治療の際、ある一点にみんなの視線を集めていた。

 その視線の先には、黒髪の少年がいた。


 具体的にいうと、絶世の美少年と言っても過言でもない美貌を持った少年がいた。


「アイン。◯◯◯◯草、△△△草を潰してから混ぜて。コイツの患部に塗って。」

「承知。」


 その少年は商人の格好した従者らしきの男と共に手際よく薬を調合し、患者達を治していく。


「うぅ・・・。」


 目覚める気配をした患者の元に少年がパタパタと駆け足で向かった。その様子に胸を押さえる者が続出した。


「起きた?」

「!!!!?????」


 その患者は目覚めた途端、今までに見たことがない超美形の顔のドアップに動揺や混乱で自分の負った怪我の痛みが吹っ飛んだ。


「あ、動かないで。驚くのは分かるけど。アンタ、ワイバーンに噛み殺されそうになったから。よく聞いて。

筋肉や骨、神経が傷ついているから、3ヶ月は運動しないように。もし、できれば、帰った後に神殿で治療してもらうか、回復薬ポーションを飲んでね。」

「は、はい!」

「うん。今は安眠してて。後で飯が貰えるから、たくさん食べて寝ようね。」

「はい!!」


 少年は微笑みながらそう言い、他の患者のところに行った。患者は魂が抜かれたかのように、仰向けになって天井を呆けながら見ていた。


「フードはどうしたんですか?」

「麻酔代わりになれるからね。」


 実際、患者達は痛みを忘れ、ワイバーンとの戦闘での恐怖や不安も消えており、麻酔や安定薬と同様の効果を発揮していた。

 それくらいの顔の良さを持っていることを少年は自覚しており、フル活用をしていた。


「確信犯ですか。」

「暴れられるよりはマシだろ?」

「・・・・・我、信奉者から刺されないと良いのだが。」

「なんか言った?」

「いえ。」


 少年はニッコリと笑い、男に圧をかけた。

 言わぬが花というものなのだよという副音が聞こえた気がしたのは、男だけではなく、近くにいた者であり、震え上がったほどだった。


「患部に塗り終えました。次はどうしますか?」

「んー、あらかたは対処し終えたから、後は本職の人に任せようか。」

「分かりました。」


 処置を全員に施し終え、後片付けをしている時に夕食を知らせる声がその部屋に轟いた。


「おーい!!!飯が出来たぞー!」

「あ!配膳手伝いますよ!」


 少年のエプロンを畳み、空中の黒い穴に放り込む。少年が空間系の魔法、若しくはスキルを持っていることに驚き、周囲はどよめいた。


「お。それは助かるな!」

「この階にいるのは軽症の人たちで、重体の人達は二階にいます。」

「そうか!じゃあ、二階の方を頼めるか?重体の人達はコレらの飯だ。」

「分かりました。アイン。二階の方へ行くぞ。」

「承知致しました。」


 少年は鍋を持ち、男を率いて二階へ登った。


「あぁ・・・」


 残念そうな声が一階中に響く。

おそらく、一階にいる人全員がそう声を発したのだろう。


 その場にいた人は飯を運んだ人以外全員、こう思った。


(重症の人羨ましい。)


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